【はじめての方へ】地域密着型サービスとは?10種類のサービス内容や特徴を解説

地域密着型サービスとは、認知症高齢者や要介護高齢者が、要介護度が重くなっても、住み慣れた地域でいつまでも生活できるように創設された介護サービスです。

市町村により指定された事業者がサービスを提供し、その地域に住む住民が利用対象となります。

このページでは地域密着型サービスの特徴、サービスの種類・内容、課題などを解説します。

地域密着型サービスとは

地域密着型サービスが必要とされている背景

高齢化が進む現代の日本において、高齢者向けの介護福祉施設の存在は欠かせなくなっています。全国で見ると施設数は増えているものの、市町村という単位でみると高齢者の人口や施設数に差があることがわかっています。

そこで必要なのが、市町村単位で介護福祉施設事業所の指定や監督を行う体制。2006年に、この体制は「地域密着型サービス」として新設されました。

地域密着型サービスの特徴

地域密着型サービスは、今後ますます増加が予想される認知症高齢者や要介護高齢者が、要介護度が重くなっても、できる限り住み慣れた地域で生活ができるようにする目的で創設されたサービスです。

地域の特性を活かし、地域の事情に即したサービスを提供するために、事業者の指定や監督は市町村が行います。

また、小規模な施設や滞在時間が少なく回数を多くできる訪問サービスなど、利用者のニーズにきめ細かく応えられるよう、柔軟にサービスが設計されています。

地域密着型サービスの対象者

地域密着型サービスが利用できるのは、下記の対象者です。

  • 原則65歳以上の方(※1)
  • 要介護認定を受けている方(※2)
  • 原則として、サービス事業者と同一の市町村に住民票がある方

※1 40~64歳で特定疾病により要介護認定を受けている方も対象に入ります。

※2 介護度により利用できるサービスが異なります。

要介護1~5の方
地域密着型サービス全事業
要支援1・2の方
地域密着型介護予防サービス
介護予防認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
要支援2の方のみ
地域密着型介護予防サービス
介護予防認知症対応型共同生活介護のみ

通常の居宅介護サービスとの違い

居宅介護サービスにおける訪問介護や訪問看護に対して、小規模多機能型居宅介護や複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)は、訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイが同一事業所からサービスが提供されます。スタッフが顔なじみとなるため、利用者は家族のような安心感を得ることができます。

地域密着型サービスは、事業所の地域に自分の住民票がないと利用することができないため注意しましょう。

居宅介護サービスとは

提供される10種類のサービス内容

地域密着型サービスには、下記のようなサービス種別があります。

小規模多機能型居宅介護

24時間365日対応しているサービスで、「小多機」とも呼ばれています。サービスの中心はデイサービスですが、必要に応じてスタッフが利用者宅を訪問したり、利用者が泊まったりすることもできます。

デイサービス・ショートステイ(宿泊)・訪問介護と、3つの機能を1つの事業所が提供しているのが特徴です。

デイサービスは午前のみ、午後のみなどの短時間利用も可能。通所の場合も時間や回数に制限はありません。自由度が高いサービスですが、利用料は介護度による定額料金となっているため料金を気にすることなく利用できます。

利用できる事業所は1ヶ所のみで、担当のケアマネジャーも小規模多機能に在籍しているケアマネジャーへ変更になります。

小規模多機能型居宅介護をくわしくみる

看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)

小規模多機能型居宅介護のサービスに訪問看護が加わった、介護と看護が一体となったサービスです。小多機と同じく24時間365日対応しており、通称「看多機」と呼ばれています。看護師が配置されているため、医療ケアが必要な方も利用できます。

ひとつの事業所で訪問介護・訪問看護・デイサービス・ショートステイの4つの機能を併せ持っているのが特徴で、利用者の体調や家族の状態に寄り添ったサービスを提供。馴染みのあるスタッフが対応するため、利用者・家族ともに安心してサービスを受けられます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

日中・夜間を通して、訪問介護と訪問看護が一体となって、あるいは密に連携して、定期巡回や緊急時などの随時対応・随時訪問サービスを行います。24時間、365日対応しているため要介護度の高い方はもちろん、独居や認知症の方も利用しやすいサービスです。

「定期巡回」では、事前に立てた計画をもとに1日複数回の訪問介護サービスを提供しています。安否確認や健康チェックのみなど、状況に応じて内容や時間なども柔軟に対応しています。

定期対応は必要ないが、困ったときに頼りやすいのが「随時対応」。24時間電話受付を行っており、利用者や家族による連絡をもとに看護師、介護福祉士、社会福祉士、ケアマネジャー等の有資格者が対応します。

この随時対応で訪問が必要と判断された場合、ヘルパーによって訪問介護サービスが提供されるのが「随時訪問」です。

また、医師の指示によって定期的に提供されるのが「訪問看護」。随時対応で緊急性が高いと判断された際に状況に応じて提供されるサービスとなっています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護について詳しくみる

夜間対応型訪問介護

夜間の定期巡回による訪問介護、利用者の求めに応じた随時の訪問介護、を実施するサービスです。いずれも利用者にケアコール端末を付与し、利用者の通報に応じて対応するオペレーションサービスの体制をとっています。

なお、夜間の定義は22時~翌朝6時までを含む時間帯となっており、この範囲内で事業所がサービスの提供時間を定めています。

定期巡回ではケアプランで定められた時間にヘルパーが利用者宅を訪ね、1回あたり30分程度の介護サービスを提供。随時対応ではケアコール端末による通報ごとにヘルパーが訪問します。

1回の訪問は定期巡回と同じく30分程度ですが、利用回数に制限がありません。ただし利用ごとに料金がかかるようになっています。

夜間対応型訪問介護をくわしくみる

地域密着型通所介護

利用定員18人以下の小規模なデイサービスで、平成28年4月より地域密着型サービスに移行されました。通常のデイサービスと同様、食事や入浴、レクリエーションや機能訓練などのサービスが提供されます。

地域密着型通所介護は、18人以下という定員の少なさを活かし、より利用者に寄り添ったサービスを提供しやすいのが特徴。

広いスペースが必要ないため、民家を改装した施設などアットホームな施設が多くなっています。配置スタッフが少ない分、活発なコミュニケーションが生まれやすく利用者の状況も把握しやすい環境が特徴です。

認知症対応型通所介護

認知症高齢者を対象とした通所介護(デイサービス)。利用定員が12名以下の少人数で家庭的な雰囲気のなか、入浴や食事介助、レクリエーションや機能訓練などをして過ごします。

地域密着型サービスに分類され、少人数の定員を活かして手厚いサービスを受けられる環境と認知症専門スタッフのケアを受けられることが特徴です。

事業所のタイプが3つに分けられているのも特徴。認知症対応型通所介護を単独で運営している「単独型」のほかに「併設型」「共用型」があります。併設型はほかの福祉施設といっしょに設置されているもので、共用型は認知症対応型グループホームなどの施設の一部を使っているケースを指します。

認知症対応型通所介護をくわしくみる

療養通所介護

デイサービスのなかでも医療・介護両方のサービスを受けられるのが「療養通所介護」です。医療依存度の高い方が利用するため、「医療型デイサービス」とも呼ばれています。

要介護1以上の方が利用可能なサービスで、徳に難病や重度要介護の方、末期がんの方を受け入れています。常に医療ケアの体制が整っており、送迎サービスには看護師が付き添ってもらえるため、在宅介護を続けながらデイサービスを併用したい方も安心して利用できるサービス内容となっています。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症高齢者が5~9人で共同生活をおくりながら、日常生活の介護を受けられる施設です。利用者が家事を分担するなどして、リハビリをしながら認知症症状の進行を防ぎ、安心して生活を送れるようにします。

認知症による家族の負担を軽減させるとともに、利用者は専門的なケアを受けながら自立した生活を送ることができるというメリットの大きい施設。

地域密着型サービスの1つとして分類されており、手厚いサポートや、環境の変化が苦手な認知症の方にとって大事な“住み慣れた地域”でサービスを提供していることもポイントです。

認知症対応型共同生活介護をくわしくみる

地域密着型特定施設入居者生活介護

指定を受けた定員30人未満の小規模な介護専用の有料老人ホームや軽費老人ホームで、少人数の入居者に対し、食事や入浴などの生活支援や介護サービス、機能訓練などを提供します。

「特定施設入居者生活介護」では利用者の居住地に条件がないのに対し、「地域密着型特定施設入居者生活介護」は施設と同じ市町村に住民票がある方のみ利用できます。要介護度も1以上となっており、自立生活が可能な方や要支援の方は対象外です。

特定施設とは

地域密着型介護老人福祉施設

定員29人未満の小規模な特別養護老人ホームで、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、健康管理などのサービスが提供されます。

通常の特別養護老人ホームは利用者の居住地に条件はありませんが、地域密着型の場合は施設と利用者の居住地が同市町村でなければなりません。施設のタイプには次の2種類があります。

「サテライト型」

サテライト型は、利用者の居住地を問わず利用可能な特別養護老人ホームなどを本部とし、その近隣に設置された施設です。

「単独型」

単独型は、個室を備えた施設が多くなっています。サテライト型よりもアットホームで、ショートステイやデイサービスを併設するケースが多くなっています。

特別養護老人ホームとは

地域密着型サービスの利用条件

地域密着型サービスを利用するには、「地域密着型サービスの対象者」で前述した通り利用条件が設けられています。

第1の条件として、利用者は利用するサービスの事業所と同じ市町村に住んでいる(住民票がある)必要があります。

また、第2の条件として要介護認定を受けていなければなりません(サービスによっては追加条件あり)。

第3の条件として、年齢は原則65歳以上でなければ利用できませんが、40~64歳で特定疾患により要介護認定を受けている方も希望する場合は利用できます。

特定疾病|65歳未満も介護保険対象となる16の病気

サービスの利用手順

地域密着型サービスは下記の手順で利用します。

1.担当のケアマネジャーあるいは地域包括支援センターに相談

2.利用したい地域密着型サービスの運営事業所を検索、空き状況の確認

3.事業所と契約

4.ケアプラン作成 
※利用するサービスが小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)、施設の場合は、そこに所属するケアマネジャーに変更となり、ケアプランも新たに作成します。

5.サービス利用開始

地域密着型サービスにおける運営推進会議

運営推進会議は、地域密着型サービス事業者が自ら設置するもので、下記の目的、構成員、頻度で開催されています。

運営推進会議の目的
・サービス内容を明らかにする、運営内容の透明性確保
・事業者による利用者の「抱え込み」防止
・サービスの質の確保
・地域との連携を図る
運営推進会議の構成員
・利用者
・利用者の家族
・地域住民の代表者(町内会役員,民生委員,老人クラブの代表者など)
・事業所がある市町村の職員、事業所がある区域を管轄する地域包括支援センターの職員
・当該サービスについて知見を有する者(地域の医療関係者、同一サービスの他法人運営事業所の職員など)
運営推進会議の開催頻度
サービス種別 開催頻度
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
6ヶ月に1回以上
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 3ヶ月に1回以上
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
2ヶ月に1回以上

地域密着型サービスが抱える課題

地域密着型サービスは、国が提唱する地域包括ケアの根幹サービスです。

利用者にとってもありがたい非常に柔軟性のあるきめ細かいサービス内容で、高い期待が持たれていました。しかし、実際には事業所・利用者共に数は思ったほど増えていません。

それには下記のような理由が挙げられています。

事業所側の理由
・サービス内容や時間帯の対応範囲が広く、それを網羅する人材確保ができない
・定員が少ない、介護報酬が低いなどの理由で採算が取りにくい
・事前にニーズが掴みにくく、効率的な運営が困難(夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護)
・ケアマネジャーへの周知が低い
・ケアマネジャーが変わってしまうため提案がしにくい(小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス))
利用者側の理由
・ケアマネジャーが変わることに躊躇してしまう(小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス))
・費用は定額で良いが、スタッフの体制など事業所の都合もあり使いたいサービスが自由に使えるわけではない(小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス))
・サービス単価が高く、使うかわからないサービスに支給限度額の枠を開けておくのは現実的ではない(夜間対応型訪問介護)

課題は、特に在宅サービスに顕在化しています。利用者のニーズに即した理想的なサービスですが、それを実現するにはスケールメリットが少なく採算性と人材不足が深刻な問題となっています。

スタッフの負担は大きく、それがさらに人材不足を加速させる状況であり、また、人材不足のためにサービスが思うように提供できず、利用者を集められないという悪循環に陥っています。

それに対して、体制強化と採算性の解決を図るよう総合マネジメント加算などが制定されており、2018年の介護保険改正においては要件緩和などが取り上げられています。

期待の大きいサービスなだけに、軌道に乗ってほしいものです。

まとめ

地域密着型サービスは、要介護度が重くなっても住み慣れた地域や自宅で介護や医療サービスを受けられるようにするという目的で提唱されたもので、大きな期待がかかっています。

課題は財源と人材の不足ですが、これは地域密着型サービスに限ったことではなく、打開策を講じるのはなかなかの難題です。

地域の高齢者を見るという考えは、サービス事業者だけでなく、地域住民にも落とし込んでいく必要があるでしょう。

認知症高齢者がますます増加していくことからも、地域住民による見守りは必須となってきます。ボランティアや元気な高齢者を始め、地域の社会資源を最大限に活用する仕組みを構築することが重要となるでしょう。

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この記事の制作者

本間 郁子

監修者:本間 郁子(公益財団法人 Uビジョン研究所 理事長)

高齢者施設評価者、研修講師。図書館情報大学卒業(現筑波大学)。
表彰:2005年 国際ソロプチミスト東京、2010年 エイボン女性大賞
これまで介護施設を1,600カ所調査訪問。著書に「特養ホームで暮らすということ: ある主婦があたたかな目で記した体験レポート」「特養ホームが変わる、特養ホームを変える(高齢社会の手引き)」「間違えてはいけない老人ホームの選び方」など多数。

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