特定施設とは|サービス内容と老人ホーム選びのポイント

有料老人ホームをはじめとする介護施設のなかには、「特定施設」と呼ばれるものがあります。

これは行政に運営の届出をして、介護保険法により定められた基準を満たし、都道府県知事(または市区町村)から事業指定を受けた施設がその対象となります。

特定施設には①人員基準、②設備基準、③運営基準があり、こうした基準を満たしているという点では、行政のお墨付きを得た施設と言ってもよいでしょう。

このページでは特定施設の特徴や、入居を検討する際のポイントについて解説します。

特定施設とは

正式には「特定施設入居者生活介護」といいますが、一般的に「特定施設」と略称で呼ばれています。

介護保険法に基づき、入居者に対して以下のサービスを提供するために、厚労省の定めた基準を満たしている施設を指します。

特定施設における入居者へのサービス内容

  • 介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
  • 上記計画書に基づいた、食事・入浴・排泄などの介助
  • その他の日常生活に関わる身体的介助
  • 機能訓練(リハビリテーション)

また、介護保険法では、特定施設における要介護者への介護サービス提供を「特定施設入居者生活介護」、要支援者への介護サービス提供を「介護予防特定施設入居者生活介護」と呼びます。

入居者は毎月一定額の介護保険料を支払い、これらの介護サービスを受けます。

特定施設の対象となる種別

特定施設にも種類がある

特定施設にも「地域密着型」や「介護予防特定施設」といった種類があります。

都道府県からどの指定を受けているかによって、入居できる対象者が変わります。

都道府県の指定種別 入居対象者
特定施設入居者生活介護 介護専用型 要介護1~5
混合型 自立・要支援1~2・要介護1~5の方
※自立・要支援の定員数は都道府県が定める
地域密着型特定施設入居者生活介護 同市区町村に住民票がある要介護1以上の方
介護予防特定施設入居者生活介護 要支援1~2の方

施設種別は4種類

特定施設に該当する施設種別は以下の4つです。

有料老人ホームだけでなく、近年急増しているサービス付き高齢者向け住宅や、ケアハウスもその対象です。

対象となる4つの施設種別

  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅(一部のみ)
  • ケアハウス(軽費老人ホーム)
  • 養護老人ホーム(原則、要介護高齢者が対象ではありません)

有料老人ホームの場合、特定施設の指定を受けると「介護付」と名乗ることができます。この指定を受けていないと、ホームページやパンフレットなどで「介護付」と名乗ることはできません。

また、全国で総量規制が敷かれ、特定施設の数が自治体の判断で制限されています。そのため、特定施設の基準で施設を開設しても、総量規制によって指定が受けられないという有料老人ホームも無数に存在します。

その場合は介護付ではなく「住宅型有料老人ホーム」として運営します。近年は老人ホームの急増により、介護付よりも住宅型の定員数が上回りました。

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人員配置の基準

特定施設の指定を受けていない住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅の場合は、外部の訪問介護事業所と契約して介護サービスを受けます。
これに対し、特定施設では施設に所属する介護職員が介護サービスを提供します。

特定施設の人員配置
職種 配置基準 備考
管理者 原則専従1名 専従(管理上支障が無い場合は、施設内、同一敷地内の施設の他職務と兼務可)
生活相談員 入居者:生活相談員=100:1 1名以上は常勤
介護・看護職員 入居者:介護・看護職員=3:1 要支援1の場合は10:1
介護職員 1名以上 1名以上は常勤
看護職員 入居者30名以下 1名以上 1名以上は常勤
入居者31名以上 入居者50名ごとに1名 1名以上は常勤
機能訓練指導員 1名以上 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、看護師、准看護師、はり師、灸師のいずれかの国家資格を持つ者。他職務と兼務可

計画作成担当者(ケアマネジャー)

1名以上(要介護者等:計画作成担当者=100:1)

専従(管理上支障が無い場合は、施設内の他職務と兼務可)

また、特定施設の中には配置基準の3:1を上回る手厚い人員体制をとっていることがあります。

通常より手厚い介護サービスを受けられますが、基準を上回る人員体制の人件費として「上乗せ介護費」が追加される場合もあります。

人員が多いことで、具体的にどういったサービスを受けられるかも確認しましょう。上乗せ介護費については各社の料金プランをご確認ください。

上乗せ介護費用について詳しく見る Q&A老人ホームの人員配置「3:1」の意味は?

設備基準

入居者が安心・安全な生活をする上で必要とする設備が定められています。

特定施設の主な設備基準
必要設備 条件
介護居室 ・個室(または4人部屋以下)
・プライバシーが保護できること
・介護を行える適切な広さがあること
・地階ではない
一時介護室 介護を行える適切な広さがあること
浴室 介護を要する者(身体が不自由な者)が入浴するのに適した浴室
トイレ ・居室のある階ごとの設置
・非常用設備を備える
食堂・機能訓練室 身体機能を十分に発揮できる適当な広さ
施設全体 車椅子でも円滑に移動ができる広や構造になっているか

現在、多くの介護居室は「個室(定員一名)」となっており、多床室(4人部屋)を廃止して個室に入れ替えている施設もあります。

また、法令上の基準はないものの、自治体向けのガイドラインとなっている「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」では、居室面積を13㎡以上と規定。トイレや洗面を備えた18㎡居室が、昨今の有料老人ホームにおける居室面積の標準となりつつあります。

運営基準

特定施設に入居する際は、重要事項説明書の説明を受け、サービス内容に同意したうえで入居契約を結びます。入居後は施設に所属するケアマネジャーがケアプラン(介護サービス計画)を立て、施設の介護スタッフが介護サービスを直接提供します。(外部サービス利用型特定施設は除く)

また、入居者へのサービス提供の記録や、苦情窓口の設置も運営基準に含まれており、こうした内容は重要事項説明書にも記載されています。

特定施設の運営基準
主な基準
計画 利用者に合わせた特定施設サービス計画が作成されていること。
重要事項説明 重要事項説明書を交付して事前説明を行うこと。
契約 事前説明の同意を得て、文書で契約を締結すること。
入浴 自ら入浴が困難な利用者については、週2回以上の入浴又は清拭を行うこと。
教育 職員の資質向上のため、研修の機会を確保すること。
記録 提供したサービスの内容等を記録すること。
苦情 苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置すること。

入居検討のポイント

特定施設を選ぶメリット

  • 介護または看護職員が夜間も含めて24時間常駐。安心感が高い。
  • 施設によっては、法定基準よりも手厚い人員体制で運営しているところもある。
  • 介護保険の自己負担額は、介護度ごとの定額料金でサービスを受けられる。
  • 毎月定額で大幅な料金変動などがないため、入居後の費用感をイメージしやすい。

特定施設を選ぶデメリット

  • 介護保険の満額を入居先の施設に支払い介護サービスを受ける仕組みのため、ほとんど介護が必要のない方の場合は、「住宅型」など他種別の施設(※)の方が自己負担が安くなる可能性がある。
    ※在宅介護と同じく、利用した介護サービス分だけ費用が発生する仕組み。
  • 介護保険の満額を入居先の施設に払って介護サービスを受けるため、介護保険を使った外部サービスを利用できない。
    (例:これまで通っていたデイサービスを継続利用できない)
    ※介護保険を使わずに、全額自費で外部サービスを利用できる場合があります。施設の担当者にご相談ください。

介護職員によるサポートがどのぐらい必要になりそうか、外部のサービスを自由に選択したいか等によって、特定施設の方がご希望に合うケースと、他種類の施設の方が希望がかなうケースがあります。

まず、ご本人やご家族が希望する条件を洗い出し、優先順位をつけましょう。

その希望条件の中で、優先順位が高いものがかなうのか、かなう条件の数が多いのか等を確認しながら検討してみてください。

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介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの主な違い

前述のように、自治体による総量規制の影響もあり、基準を満たしていても特定施設として指定されにくい状況になっています。

なかには、開設当初は住宅型有料老人ホームとして運営し、数年後に特定施設の指定を受けて介護付きに種別が変更されるケースもあるのです。

介護付きと住宅型の主な違い
介護付(特定施設) 住宅型
介護保険自己負担 定額制 契約した介護サービス分のみ
介護職員 その施設の職員 外部の訪問介護事業所の職員
外部の介護サービス利用 不可
(全額実費であれば可の可能性あり)
可能

どちらが優れている?

介護付きと住宅型、どちらが良質なサービスを提供しているかは一概にはいえません。

一定基準を満たしている介護付きの方が安心感はあるかもしれませんが、その介護付きと同等またはそれ以上の手厚いサービスを提供する住宅型も多数存在しています。

また、入居者の身体状態によってもその良し悪しは変わるでしょう。自立度の高いお元気な高齢者であれば、レクリエーションや娯楽設備の多い施設の方が好まれます。

寝たきりの状態や、医療的ケアが必要で介護度が重い方の場合は、手厚い人員体制や医療体制の整ったホームの方が安心感が高いといえます。

大切なのは施設の種別ではありません。介護付と住宅型、両者をよく見比べたうえで希望するサービスが一つでも多く受けられる方を優先すると良いでしょう。

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