短期入所療養介護(医療型ショートステイ)のサービス内容と利用方法

在宅介護では、主介護者の体調不良や外出・外泊などにより介護ができなくなることもあります。そこで活用したいのが、介護施設に短期間入所して介護サービスを受ける「ショートステイ」です。そのうち医療的なケアを伴う医療型ショートステイが、今回お伝えする「短期入所療養介護」です。

要介護者が在宅での療養生活を続けられるために、本人の医療的処置や機能回復だけでなく、介護をする家族の負担軽減も目指すサービスです。ここでは、「短期入所療養介護」のサービス内容や費用などについて解説します。

短期入所療養介護の特徴

ショートステイには、特別養護老人ホームなどに短期間入所して主に生活面の介助を受ける「短期入所生活介護」(一般的なショートステイ)と、介護老人保健施設や医療機関に短期間入所して医療面を伴う介護を受ける「短期入所療養介護」(医療型ショートステイ)の2種類があります。

短期入所療養介護は、自宅で療養生活をしている要介護者が、一時的に施設に入所し、看護や医学的管理のもとに介護、機能訓練、そのほか必要な医療などを受けるサービスです。

例えば、インスリンの自己注射を行っている人や喀淡吸引が必要な人のように、利用者は療養上の世話が必要な人、定期的な検査が必要な人、集中的なリハビリテーションが必要な人、認知症の人などを対象にしています。

このように、短期入所療養介護は医療的ケアの側面が強く、そのため医師が必ず配置されており、看護師の割合も多くなっています。また、理学療法士、作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職も配置されています。

短期入所療養介護は、本人の医療的処置のためもありますが、介護している家族などが病気、冠婚葬祭、仕事の都合等で一時的に在宅介護が困難な場合も利用できます。また、そのような特別な理由がなくても、介護者の休息のために利用することも可能です。

短期入所療養介護を提供する医療施設
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・療養病床を持つ病院・診療所
・老人性認知疾病療養病棟をもつ病院

以上の施設の空床を利用してサービスが行われます。但し、最新の実際の利用状況を見ると、このサービスを利用している人の97%が介護老人保健施設を利用しており、病院や診療所の利用が少ないのが現状です。

短期入所療養介護は居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいて利用します。しかし、やむを得ない状況のときには、ケアプランに入っていなくても緊急に利用することができます。
なお、介護認定「要支援」の人がこのサービスを利用する場合は「介護予防短期入所療養介護」となり、軽度者に適した内容・期間・方法でサービスが提供されます。

短期入所療養介護のメリット・デメリット

メリット

  • 脳血管疾患、認知症、糖尿病患者など医療上の管理が必要な人、定期的な検査や病状の把握が必要な人などが、泊りで介護サービスを受けることができる
  • 理学療法士などリハビリテーション専門職が配置されているため、集中的なリハビリテーションを受けることができる
  • 要介護者の孤立感の解消や心身機能の維持回復を図ることができる
  • 介護者の介護疲れを防ぐための休息(レスパイト)として利用できる ※このサービスの利用者の64%がレスパイトを目的で利用している
  • 要介護者の急変時や介護者の冠婚葬祭・出張・病気など緊急時に対応してもらえる
  • 認知症患者への対応が期待でき、特に老人性認知疾病療養病棟では重度の要介護者の対応が可能である
  • ターミナルケアや看取りまでの実施が可能である

デメリット

  • 要介護者が慣れない環境に戸惑ってしまうと、ストレスを感じたり、心身状態が悪化したりする可能性がある
  • 満床のことが多いため、利用したいときに利用できないことがある
  • このサービスを使いすぎると介護保険の利用限度額がいっぱいになってしまうため、ほかの介護サービスが使いにくくなる
  • 滞在費や食費など介護保険が適用されない実費が発生するため、介護費用がかかる

提供されるサービス内容

短期入所療養介護は、医療を集中的に行うものではなく、看護と医学的管理のもとで介護、機能訓練、医療、日常生活上のサービスなどが提供されるサービスです。具体的に提供されるサービスは次の通りです。

1.病状の確認と療養上の世話
病状や負傷に対する診断、服薬指導、インスリンの自己注射の管理、褥そう(床ずれ)状態のチェックや処置、在宅では困難な検査・投薬・注射・処置など
2.装着されている医療機器の調整・交換
胃ろうチューブなどの医療器具の調整・交換
3.リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリの専門職による身体状況に合わせた機能回復訓練やリハビリテーション、マッサージ
4.認知症患者への対応
日常生活に支障をきたす症状や行動がある認知症利用者へのケア
5.緊急時の受け入れ
家族が急病や葬儀など突然の出来事で介護ができない時の受け入れ
6.急変時の対応
利用者の状態の急変したときは、施設医師の判断により、協力医療機関に診療依頼又は専門的機関を紹介
7.ターミナルケア
終末期の対応と看取り
8.日常生活上の世話・介護
栄養バランスや要介護者の状態に応じた食事の提供、看護師による体調チェック、身体状況に合わせた入浴や清拭、排せつ介助など
9.生活相談・助言
自宅における療養生活を送るうえでの相談とアドバイス

利用するときはケアマネージャーに相談

短期入所療養介護の利用の流れは、以下の通りです。

利用の流れ
STEP1 ケアマネジャーに相談

STEP2 ケアマネジャーが施設に問い合わせ

STEP3 利用者と家族が施設を見学、ケアマネジャー同席して施設のスタッフと面談(アセスメント)

STEP3 主治医が情報提供書を発行、ケアプランを施設に提出

STEP4 施設が受け入れを承諾し、利用者と施設が契約

STEP5 サービス開始

利用する施設選びのポイント・注意点

短期入所療養介護では、要介護者の病状や状態に合った医学的処置が可能な施設を選ぶことがとても大事です。ここでは、施設選びに関するポイントや注意点を紹介します。

施設選びのポイント・注意点
●サービス利用前に、本人、家族、ケアマネジャー、施設の担当者の間でアセスメントが行われるので、その時に利用者に必要なケアが可能な施設かどうかを確認する

●施設は事前に必ず見学し、スタッフの言葉遣い、態度、利用者とのコミュニケーションの様子、食事、施設の清潔感などチェックする

●施設の形態や専門職の配置人員によって費用が異なってくるため、かかる費用については事前にしっかり確認する

●何度も利用する可能性が高いサービスなので、ケアマネジャーからの情報のほかに、地域で実際に利用している利用者からの口コミ情報も参考にする

●認知症の症状がある場合は、ケアマネジャーを通して本人の状態を施設のスタッフにしっかり理解と把握をしてもらうようにする

●老健を利用する場合は、あらかじめ同じ施設で通所リハビリテーション(デイケア)を利用し、施設の雰囲気や職員との相性などを確認できるといい

短期入所療養介護の利用期間と費用

短期入所療養介護の利用日数は一泊二日から連続30日までで、さらに続けて利用する場合は再度申し込み手続きを行います。そのとき、31日目は自費(自己負担10割)となり、翌日からまた介護保険の適用がスタートする仕組みです。次の項では実際の費用について解説します。

短期入所療養介護の費用内訳

短期入所療養介護を利用する際は、自己負担1割~3割(所得により変動)で利用できる(A)基本サービス費と、(B)全額自己負担となるサービス費がそれぞれ必要となります。

(A)基本サービス費の金額は、要介護度、施設の形態、居室の種類、職員の配置により異なります。また、医療にかかる経費やおむつ代、介護用品などの経費、レクリエーションや行事にかかる経費なども含まれます。
一方、(B)全額自己負担になるサービス費は、滞在費と食費、そして希望した場合にかかる理美容代などの日常生活費となります。

施設種別や居室形態により費用が変動する

短期入所療養で最も多く利用されている介護老人保健施設(老健)は、施設の形態や運営基準によって、従来型老健、在宅強化型老健、介護療養型老健に分かれます。

「在宅強化型」とは高い在宅復帰率を達成している老健のことで、「療養型」とは既存の老健では対応が難しい医学的な管理や日常的な医療処置への対応が強化された老健のことです。さらにそれぞれの老健に、従来型個室、多床室、ユニット型個室があり、費用が変動します。

参考として、ここでは従来型の介護老人保健施設を利用した場合の費用についてまとめます。

実際にかかる費用

ショートステイの費用は1日当たりの料金設定となっています。

ホテルや旅館と違い、仮にショートステイを一泊二日利用した場合は、「入所した日で1日」「退所した日で1日」という計算になるため、合計2日分の料金が発生します。利用する際は、日数や料金をよく確認しておきましょう。

費用は以下のA~Dを足したものになります。

(A)基本サービス費の詳細(従来型介護老人保健施設を利用・自己負担1割の場合・日額)
要介護度 従来型個室 多床室(2名以上) ユニット型個室
要介護1 753円 826円 832円
要介護2 798円 874円 877円
要介護3 859円 935円 939円
要介護4 911円 986円 992円
要介護5 962円 1,039円 1,043円

※表記価格は1単位=10円としたときの目安。地域により異なり都市部ほど高くなる
※ユニット型は、食事や談話ができる共同スペースと個室で構成された居宅形態
※手厚い人員体制を敷く施設の場合はその分の加算がある

(B)加算

利用者の状態に応じて加算されるサービス費(自己負担1割~3割)

送迎、認知症行動対応、緊急受け入れ、
個別リハビリテーション、重度者に対する医学的管理と処置など
(C)全額自己負担分の詳細

滞在費(日額)

320円(多床室)
1,640円(従来型個室・ユニット型準個室)
1,970円(ユニット型個室)
食費(日額) 1,380円
(D)その他
その他の生活費(希望者のみ) 特別室、特別な療養食、日用品費、
教養娯楽費、洗濯代、理美容代など

まとめ

短期入所療養介護は、上手に利用できれば、要介護者にとっても、介護をする家族にとっても、在宅介護を強力にサポートするサービスです。訪問サービスやデイケアと上手に組み合わせて、介護生活によいリズムを生み出しましょう。そのためにもよい施設を見つけることが大事です。

なお、有料老人ホームでもショートステイの提供が増えてきました。全額自費(1日1万円超)となりますが、部屋さえ空いていれば緊急の際に利用することができますので、チェックしておくとよいでしょう。

著者

浅井 郁子

浅井 郁子(介護・福祉ライター)

在宅介護の経験をもとにした『ケアダイアリー 介護する人のための手帳』を発表。
高齢者支援、介護、福祉に関連したテーマをメインに執筆活動を続ける。
東京都民生児童委員
小規模多機能型施設運営推進委員
ホームヘルパー2級

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