小規模多機能型居宅介護とは

在宅介護でデイサービス・ショートステイといったさまざまなサービスを利用していると、利用しているサービスの数だけ契約手続き・信頼関係の構築が必要になります。

利用者の身体状況等が変化し別のサービスに変更をしようと思っても「手続きが大変」「利用者が一から信頼関係を築けるか不安」など、利用者・その家族ともに負担を感じることは少なくありません。そのような悩みを解消してくれるのが「小規模多機能型居宅介護」という比較的新しい介護サービスです。

小規模多機能型居宅介護とは

小規模多機能型居宅介護の特徴

小規模多機能型居宅介護とは、介護保険制度で創設された地域密着型サービスの一つで、同一の介護事業者が「通所(デイサービス)」を中心に、「訪問(ホームヘルプ)」や「泊まり(ショートステイ)」を一体的に提供することができます。

それまでの介護サービスは、利用者や家族の状況に合わせて「通所」「訪問」「泊まり」を選択しそれぞれ必要なサービスを契約するという形でしたが、利用者を取り巻く状況は日々変化し、その都度利用するサービスを変更することは「介護事業所を新たに探す必要がある」「信頼関係の築けたスタッフや利用者と離れることへの不安」など、利用者やその家族ともに大きな負担が生じます。このような負担や不安を解消しサービス選択の自由度が高いところが、この小規模多機能型居宅介護の大きな特徴です。

月額料金は定額制

小規模多機能型居宅介護のもう一つの特徴は利用料が月額定額制という点です。

通所・訪問・泊まりを組み合わせる場合も定額(宿泊費・食費などは別途必要)で利用できるため、毎月の介護保険利用限度額からはみ出してしまう心配がありません。

またサービスの利用回数ですが、それぞれのサービスの一日あたりの定員人数を超えていなければ制限はありません。

事業所全体の登録定員人数:29名
一日あたりの通所サービスの定員人数:18名
一日あたりの泊まりサービスの定員人数:9名
※平成27年4月改定

小規模多機能型居宅介護を行う事業所は24時間・365日利用者の生活を支援するため休業日を設けていません。そのため、上記の定員人数さえ問題なければ「家族が体調を崩したためデイサービスを利用した後そのままショートステイを利用」といった突発的な利用も可能です。

サービス誕生の背景

小規模多機能型居宅介護は平成18年4月に行われた介護保険法改正によって、地域密着型サービスの一つとして誕生しました。

それまでは「住み慣れた地域で介護サービスを受け暮らしていきたい」という方が多い中、現実は重度になって遠くの施設に入所するという形が一般的でした。

こうした状況で生まれたのが小規模多機能型居宅介護の前身である「宅老所」です。

宅老所は地域密着型の小規模施設であることの他に、通所を中心に訪問・泊まりを組み合わせたサービスを行う事業所(小規模多機能ホーム)もあり、その仕組みが利用者・その家族だけでなく厚生労働省にも評価され、その後正式に制度化されたものがこの「小規模多機能型居宅介護」なのです。

どこで提供しているのか

「小規模多機能型居宅介護事業所」や「小規模多機能ホーム」と呼ばれているところでサービスの利用が可能です。事業所によって特色が違うため、実際に足を運んで確認するとよいでしょう。

サービスを受けるにはどこに相談すればよいか

まずは担当のケアマネージャーに相談しましょう。その後条件に合う事業所が見つかれば面談・契約を行いサービス開始となります。なお、小規模多機能型居宅介護サービス開始後は、その事業所専属のケアマネージャーに変更する必要があるのでご注意ください。
 

サービスの利用条件と費用

利用条件

介護認定の「要介護」「要支援」ともに1以上と認定された高齢者。

サービスにかかる費用

月額料金(定額)は以下の通りです。

要支援1 3,403単位(自己負担額:3,403円)
要支援2 6,877単位(自己負担額:6,877円)
要介護1 10,320単位(自己負担額:10,320円)
要介護2 15,167単位(自己負担額:15,167円)
要介護3 22,062単位(自己負担額:22,062円)
要介護4 24,350単位(自己負担額:24,350円)
要介護5 26,849単位(自己負担額:26,849円)

定額料金以外にかかる費用(加算)は次の通りです。

初期加算(登録日から30日間) 30円/日
介護サービスを利用する最初の段階に支払う加算のこと。
認知症加算 500~800円/月
認知症で支援や介護が必要な利用者の場合加算される。
訪問体制強化加算 1,000円/月
訪問サービスを担当する常勤の従業員を2名以上配置し、事業所全体のひと月当たりの延べ訪問回数が200回以上である事業所の場合加算。
総合マネジメント体制強化加算 1,000円/月
小規模多機能型居宅介護計画について、随時適切に見直しを行なっている事業所の場合加算。
看護職員配置加算 480~90円/月
常勤の看護職員を1名以上配置している事業所の場合に加算される。細かい条件により金額が異なる。
サービス提供体制強化加算 350~640円/月
介護職員の総数のうち「介護福祉士」「常勤職員」の占める割合によって加算。
介護職員処遇改善加算 介護給付費×4.1~10.2%
介護職員の賃金改善のため、規定要件を満たした事業所の場合加算。

この他、ショートステイを利用する場合は宿泊費(1,000円~3,000円/日程度)、食費、おむつ代(実費分)などが必要になります。

※自己負額は原則1割負担(利用者の所得により2~3割負担の場合あり)
※料金は地域によって単位数に違いがあり若干異なる場合あり

小規模多機能型住宅介護のメリット・デメリット

メリット

  • 通所、訪問、泊まりの全てのサービスを一つの事業所との契約で受けることができる
  • 状況に応じて定額で柔軟にサービスを組み合わせることができる
  • 通所は「午前中だけ」「午後だけ」など短時間の利用も可能
  • 訪問は時間や回数に制限がないため、必要な時に必要な時間利用が可能
  • 少人数制のため一人一人に寄り添ったサービスを受けられる
  • 全サービスを同一事業所で受けられるため、違うサービスであっても顔なじみのスタッフが行うこともあり利用者が安心できる

デメリット

  • 馴染みのケアマネージャーから事業所専属のケアマネージャーに変更が必要
  • 「通所は良いけれど泊まりのサービスが不満」などがあっても部分的に事業所を変更することはできない
  • 通所単体で見ると、デイサービスに特化した事業所の方がレクなどが充実している
  • それまで利用できた介護保険サービス「居宅介護支援」「訪問介護」「訪問入浴介護」「デイケア」「デイサービス」「ショートステイ」を併用できなくなる

小規模多機能はどんな人に向いているのか

以上のことから、下記に複数当てはまる方は小規模多機能型居宅介護が向いていると言えるでしょう。一度担当のケアマネージャーに相談してみてはいかがでしょうか。

「住み慣れた地域で介護サービスを受けたい」
「利用するサービスによってスタッフが変わるのは不安」
「デイサービスを利用しているが、朝から夕方まで長すぎてしんどい」
「時間や回数を気にせず訪問サービスを利用したい」
「日によって体調の変化が大きく柔軟にサービスを利用したい」
「退院後のサポートをしてほしい」

小規模多機能型居宅介護の利用例

複数のサービスを組み合わせて利用している例

Aさん(要介護3)の一週間の利用状況
月曜日:通所介護
火曜日:通所介護
水曜日:訪問介護
木曜日:通所介護
金曜日:通所介護
土曜日:泊まり
日曜日:利用なし
※一ヶ月の利用回数:通所18回・訪問4回・泊まり4回
一ヶ月の料金例
定額料金(1割負担):22,062円
食費(30回):15,000円
宿泊費(4回):6,000円
合計:43,062/月
※宿泊費は1,500円/日、食費は500円/回で計算
※定額料金の他に、各種加算・おむつ代などが別途必要です

まとめ

小規模多機能型居宅介護では、「通所・訪問・泊まり」の全てのサービスを一つの事業所で包括的に、また定額で利用することができます。利用者が自立した生活を営めるよう多様なニーズに応えることが可能な新しい介護サービスです。

デイサービスやショートステイは利用者本人にとって外出の機会となり、同世代が集うコミュニケーションの場として利用できます。さらにご家族の介護負担も軽減できるので複数のサービスを上手に活用しましょう。

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