【はじめての方へ】デイケアはリハビリに特化した介護サービス!特徴と費用・利用法まで
デイケア(通所リハビリテーション)とは、要介護高齢者が施設に通ってリハビリを受ける介護保険サービスです。
医療機関や老健(介護老人保健施設)、介護医療院などで行っており、医師の指示のもと専門職によるリハビリを受けることができます。
近しい名称の「デイサービス」と比べると、デイケアはリハビリに特化してるといえるでしょう。また、医師や看護師、国家資格を持ったリハビリスタッフなどの医療従事者が多数配置されているという点も特徴的です。
ここではデイケアのサービス内容と費用、メリット・デメリットや利用方法について解説します。
デイケアの基本的なサービス内容
デイケアの利用時間は、6~8時間程度の「一日型」が一般的ですが、事業所によっては1~2時間程度の短時間で行っている施設もあります。
提供されるサービス内容は以下の通りです。
デイケアのサービス内容
- リハビリテーション(運動機能訓練・栄養改善指導・口腔機能訓練など)
- 体操
- 送迎
- 入浴介助
- 排せつ介助
- 昼食
- 家屋調査
- 住宅改修・福祉用具の提案
- レクリエーション
- 看護師による健康チェック
デイケアは、デイサービスと比べて医療やリハビリという点において強化されている施設です。
胃ろうや痰吸引などの医療的ケアが必要な方や、集中的にリハビリを希望する方が多く利用されています。
デイケアで活躍する専門職
デイケアでは、以下のような職員が専門性を活かしたサービス提供を行います。
- 医師
- 医師が常勤し、リハビリの指示やデイケアで行う医療的ケアなどについて指示を出します。ただし、医師がいるからといって薬などを処方することはできませんので注意しましょう。
- 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)
- リハビリを行う国家資格を持った専門職です。その方の身体状況に合わせて、医師の指示のもと、適切な専門職がリハビリにあたります。リハビリを行うときには、「リハビリテ―ション実施計画書」の内容に基づいて進めます。
- 看護師、准看護師
- 医師の指示のもと、バイタルチェック(体温・血圧・脈拍)、服薬管理、健康観察、医療管理(インシュリン・バルーンカテーテル管理)応急処置や急変時の対応、リハビリの補助を行います。
- 介護職員
- デイケアにおける入浴介助、排せつ介助、食事介助など必要な介護を全般的に行います。また、レクリエーションの提供も介護職員が対応します。
いくらかかる?デイケアの費用
(1回につき) | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|
1~2時間未満 | 336 | 395 | 426 | 455 | 487 |
2~3時間未満 | 380 | 436 | 494 | 551 | 608 |
3~4時間未満 | 483 | 561 | 638 | 738 | 836 |
4~5時間未満 | 549 | 637 | 725 | 838 | 950 |
5~6時間未満 | 618 | 733 | 846 | 980 | 1,112 |
6~7時間未満 | 710 | 844 | 974 | 1,129 | 1,281 |
7~8時間未満 | 757 | 897 | 1,039 | 1,206 | 1,369 |
- 1単位10円とした場合 ※2021年4月時点の情報です
以下の費用も加算される場合があります。
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ6カ月以内 | 560円/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ6カ月超 | 240円/月 |
短期集中個別リハビリテーション実施加算 | 110円/日 |
入浴介助加算(Ⅰ) | 40円/回 |
栄養改善加算 | 200円/回 |
- ここに記載されているのは一部です。その他実施サービスに応じて加算が生じる場合があります。
他にも、昼食代やおやつ代が別途必要です。
例)要介護1 通常規模型通所リハビリテーション費 7~8時間利用の場合
757円+40円(入浴介助加算)=797円(介護保険分 1割負担の場合)
797円+50円(おやつ代)+600円(昼食代)=1回あたり1447円
※その他、月単位でかかる費用:560円/月(リハビリテーションマネジメント加算(A)イ6カ月以内)
※おやつ代、昼食代はデイケアによって異なります。
デイケアの利用方法
デイケアの利用手順を解説します。
要支援・要介護認定が必要
要介護認定を受けている「要支援1~2、要介護1~5」までのすべての人が利用できます。
要介護認定は基本的に65歳以上を対象としていますが、40歳以上65歳未満の医療保険加入者で特定疾病を抱えている方の場合も「2号被保険者」として要介護認定の申請ができます。
介護認定がない人は役所等で申請を
介護サービスを利用するには要支援・要介護認定が必要です。まずは市区町村役場へ要介護認定の申請をしましょう。
申請から約1ヶ月後に、認定結果が記載された介護保険証が届きます。その認定結果が「要支援」の方は、地域包括支援センターへ相談を。
「要介護」の方は、居宅介護支援事業所へ相談しどのデイケアを利用するか決めましょう。
要介護認定の申請方法|介護保険サービスを受けるには?健康診断書等の書類を準備する
通いたいデイケアを決めたら、「診療情報提供書」または「健康診断書」を主治医に作成してもらいます。
それをデイケアへ提出することで利用判定会議が行われます。会議の結果、特に問題なければ利用開始の手続きに入ります。
デイケアによっては、「診療情報提供書」や「健康診断書」の提出が不要な場合もあるので、具体的な手続きをデイケアスタッフや担当のケアマネジャーに確認してみましょう。
デイケア利用時のポイント
デイケアに通うメリット・デメリットについて解説します。
デイケアのメリット・デメリット
メリット
デイケアのメリットとしては、医師や看護師がいるため、体調がすぐれない場合、すぐに診察や医療的処置をしてくれるということがあります。また、必要であれば、理学療法士や作業療法士が家屋調査を行ったうえで、自宅の環境に合わせた福祉用具やリハビリ内容を提案してくれます。
デメリットはない?
通うことのデメリットは特段ありません。強いていえば、利用にあたり主治医が作成する「診療情報提供書」や「健康診断書」が必要になるということです。
この書類作成のために健診を受け直す必要があったり、作成料がかかったりすることもあります。書類ができるまでに1~2週間程度かかることもあり、利用するまでに時間や手間が掛かるといえます。
また、デイサービスと比べると利用料がやや高くなります。
デイケアと訪問リハビリどちらを選ぶ?
デイケアは施設に通い利用するサービスですが、利用者の自宅に理学療法士などが訪問する訪問リハビリという介護サービスもあります。
リハビリを希望する場合、どちらを利用するか迷うところです。
訪問リハビリは、自宅環境でないとできないリハビリを希望する場合にオススメです。例えば、「浴槽のまたぎ方」などの入浴時の動作訓練や、「自宅から近所のスーパーまで転ぶことなく歩きたい」という屋外歩行訓練などです。
デイケアでは、筋力強化や日常生活動作の向上も行います。そのため、デイケアで基礎的な身体機能を向上させる、又は訪問リハビリで具体的な生活動作のリハビリを行うなど目標に応じたサービスを選択すると良いかもしれません。
訪問リハビリテ―ションについて詳しくみるデイケアとデイサービスで迷ったとき
デイケアとデイサービスは一見すると似たようなサービスなので、どちらを利用するか迷う方がいます。
デイケアは、医療的ケアが必要な方や、病院を退院したばかりで病院のリハビリを継続したい人にはオススメです。
もし迷った場合は、まずデイケアを利用してみて、デイサービスでの機能訓練でも対応できるまで機能回復をしたあとに、デイサービスに移行するのもよいでしょう。デイケアは、デイサービスに比べると利用手続きに時間がかかるため、時間的余裕をもって探すようにしましょう。
デイケアとデイサービスの違い|選び方をかんたん解説デイケアはマンツーマンのリハビリをずっと行うわけではない
デイケアによっては、1~2時間程度の短時間利用のところがあり、そこでは短時間にリハビリのみ集中的に行って帰宅します。
デイケアによって異なりますが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのスタッフが1対1で行うのは20~40分程度で、それ以外は立案されたリハビリメニューを自分で行う自主トレーニングが多い場合もあります。
利用時間中ずっと1対1の個別リハビリが受けられるわけではありません。
デイケア見学時や契約時に個別のリハビリがどの程度してもらえるか、しっかり確認しておきましょう。
リハビリ目標を達成するとデイケアを卒業することも
デイケア利用当初にリハビリテーション計画書を作成し、そこにリハビリの目標が記載されています。この計画書に沿ってリハビリが行われ、目標が達成されるとデイケアを卒業(サービス終了)ということもあります。
その後は身体機能の維持のためデイサービスに移ったり、場合によっては訪問リハビリを利用することも可能です。デイケアでは医師の指示のもとリハビリが行われるため、リハビリの必要性がある間はサービスを継続することができます。
デイサービス(通所介護)の特徴と費用についてくわしく見る 全国のデイケアをさがすイラスト:安里 南美
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この記事の制作者
著者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)
株式会社HOPE 代表取締役
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。
監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)
地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。