要介護認定とは?認定基準や認定を受ける流れ、サービスの利用方法を紹介

要介護認定とは介護を必要とする度合いを7段階に数値化したものです。公的介護保険サービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。

体の状態が衰えてきても、人の手を借りることへの抵抗感があったり、費用が気になったりして、要介護認定を受けることを躊躇することもあるでしょう。

しかし、これまでと変わらない生活を長く送るためにも、介護保険サービスを上手に活用したいものです。

このページでは、要介護認定の申請から介護保険サービスを受けるまでの流れを、順を追って解説します。

要介護認定とは

要介護認定とは、介護の必要性を「要支援1~2」または「要介護1~5」に数値化して認定することを言います。

要支援よりも要介護の方が、また数値が大きくなるほど介護の必要性が高いことを示します。持病を抱える高齢者も多くいますが、要介護認定と病気の重さは比例するとは限りません。

要介護認定の判定は、公平性を保つためにコンピューターによる「一次判定」と、一次判定の結果を基に保健医療福祉の学識経験者による「二次判定」の2段階で行われます。

これらの判定により、要介護認定されると介護サービスを保険適用で利用できるようになります。

要支援と要介護の違いと8つの区分

要支援と要介護の違いは、介護の必要度合いに現れます。それぞれ受けられるサービスも異なってくるので、要介護認定の申請を出す際には違いを把握しておくとよいでしょう。

要支援

要支援とは「基本的な日常生活の動作においてほとんど一人で行えるが、要介護状態となることを予防するために、何らかの支援が必要な状態」のことを指します。

たとえば起立や片足で立つ能力の衰えはみられるが、意思決定能力や歩行、身体を洗うなどの能力低下については様子見ができる状態です。

要支援状態の場合は、「介護予防サービス」や「生活支援サービス」の利用が可能です。

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要介護

要介護とは、基本的な日常生活の動作においても自分で行うことが困難にあり、何らかの支援を必要とする状態を指します。

要支援で問題がなかった意思決定や歩行、身体を洗うなどの能力低下が認められる状態です。

要介護状態と認定されると特別養護老人ホームなどの「施設サービス」や訪問介護などの「居宅サービス」、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの「地域密着型サービス」を利用できるようになります。

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要支援と要介護は「自立」を含めた、8つの区分に分けられます。

自立・要支援1~2の区分

自立と要支援1~2は下記のような状態を指します。

区分 状態
自立 日常生活の基本的な動作を自分で行うことが可能。さらに薬の内服や電話の利用など、基本的な日常生活の動作ができる状態
要支援1 日常生活の基本的な動作をほとんど自分で行うことが可能であるが、掃除など一部の家事を一人で行うのは困難な状態
要支援2 日常生活の基本的な動作をほとんど自分で行うことが可能であるが、入浴時に背中が洗えない、浴槽をまたげない等の能力低下が見られる状態

上記のとおり、自立・要支援1~2では、自分で日常生活を送れる程度であるため、介護による家族の負担はそこまで大きくないと言えます。

要介護1~5の区分

次に要介護1~5の状態をみていきます。

区分 状態
要介護1 起立や歩行が不安定で、排せつ時のズボンの上げ下げ、入浴時や着替えなど日常生活において部分的に介護が必要な状態
要介護2 起立や歩行が自力で行えないことが多く、見守りがあれば着替えはできるが、排せつや入浴など、
日常生活全般の一部、もしくは全部において介護が必要な状態
要介護3 自力での起立や歩行が困難で排せつ、入浴、着替えなどの日常生活全般において介護が必要。
認知症の症状も認められ、日常生活に支障がある状態
要介護4 自力での起立や歩行がほとんどできず、排せつ、入浴、着替えなどの日常生活全般において介護ないと成り立たない。
コミュニケーションにおいても理解力の低下が見られ、意思疎通がやや難しい状態
要介護5 寝たきりの状態で食事やオムツ交換、寝返りなどの介助が必要。理解力の低下が進み、意思疎通は困難な状態

運動能力だけでなく、思考力や理解力の低下により意思疎通が難しい要介護状態においては、介護サービスなどを積極的に活用して、家族の負担軽減の工夫をする必要があります。

要介護認定された場合は介護保険制度が適用される

要支援、要介護状態であると認定された場合には、介護保険制度を利用できます。利用者は保険適用となり一定の負担額で介護サービスを利用することができます。また、要介護レベルが高くなるほど支給限度額も高くなります。

介護度 支給限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

介護保険制度を利用する場合の自己負担分は支給限度額の1~3割程度で済みます。ただし、制度利用金額が支給限度額を超過した場合は、全額負担となります。

介護施設への入居時の要介護レベル

引用元:株式会社 LIFULL senior:「介護施設⼊居に関する実態調査」より

当社が2020年に行った調査結果から、比較的介護レベルの低いとされる要支援および要介護1の人でも介護施設に入居しています。

本人の状態はもちろんですが、介護は住宅環境や被介護者の家族の状況、同居・別居などにより必要なサービスも異なります。介護保険で利用できるサービスの種類は多岐に渡るので、要介護レベル以外のことも包括的に判断し、利用するサービスを検討してみましょう。

要介護度の認定基準

要介護度を決定する際には下記のような認定基準が設けられています。前提として介護は下記の5つに分類され、これらの介護に伴う時間をもとに要介護度合いが決定されます。

介護の分類
介護の分類 介護内容
直接生活介助 入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助 洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為 輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助
要介護認定等基準時間の分類
要介護度 基準時間
要支援

上記5分野の要介護認定等基準時間が 25分以上 32分未満

またはこれに相当する状態

要介護1

上記5分野の要介護認定等基準時間が 32分以上 50分未満

またはこれに相当する状態

要介護2

上記5分野の要介護認定等基準時間が 50分以上 70分未満

またはこれに相当する状態

要介護3

上記5分野の要介護認定等基準時間が 70分以上 90分未満

またはこれに相当する状態

要介護4

上記5分野の要介護認定等基準時間が 90分以上110分未満

またはこれに相当する状態

要介護5

上記5分野の要介護認定等基準時間が110分以上

またはこれに相当する状態

参照元:厚労省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」

要支援2と要介護1の差

要支援と要介護の境目である要支援2と要介護1は近しい状態ではありますが、下記2つの要素から判定が分かれます。この差は利用できるサービスの種類や負担限度額にも影響します。

認知症の有無

「認知症高齢者の日常生活自立度」により、認知症の度合いを7段階評価。その度合いが高くなるほど、要介護と判定される可能性が高い

状態の安定性

介護が必要な時間や状態が多くなるような変化が発生するかどうか(介護の再評価)の点で評価されます。再評価が必要と判断された場合には、「要介護1」となる可能性があります。

要介護認定で一番多いのは要介護1

厚生労働省が公表している「平成30年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント」によると、平成31年3月末時点での要介護(要支援)認定者数は658万人です。その割合は下記のとおりで、要介護1の認定が最も多いことがわかります。

要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
14.1% 14.1% 20.1% 17.3% 13.2% 12.2% 9.1%

要介護認定の申請手順

介護保険サービスを受けるには、下記のステップを踏む必要があります。

  1. 市区町村か地域包括支援センターの窓口に申請する
  2. 要介護認定の認定調査を受ける
  3. 要介護認定の結果が通知される

市区町村か地域包括支援センターの窓口に申請する

まず住んでいる市区町村の窓口に下記の必要なものを揃えて要介護認定の申請を行います。

申請に必要なもの 申請場所
・申請書
・介護保険の被保険証
・健康保険の保険証
(第2号被保険者(65歳以下)の場合)

・居住地の市区町村窓口

・地域包括支援センター

申請の際には手数料などは発生しないため、無料で申請ができます。

※2016年1月より、マイナンバーの個人番号も申請書に記入しますので、マイナンバー通知書も手元に用意して申請書の記入をしましょう。

地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法

本人が申請できないとき

入院している場合など、本人が申請できないときは、家族が代わりに申請できます。

ひとり暮らしや、家族や親族の支援が受けられない場合などは、次のところで申請を代行してもらうこともできます。

  • 地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業者
  • 介護保険施設(入所中の方)

また、病院に入院している場合は、病院のソーシャルワーカーが自治体の窓口や地域包括支援センターに連絡し手続きを進めることもできます。

2.要介護認定の認定調査を受ける

申請をすると認定調査が行われます。調査の方法は、本人への訪問調査と、かかりつけ医による意見書の作成をもとに公平に審査し判定が行われます。「要介護認定」は、どれくらいの介護サービスが必要か、その度合を判断したものです。

1. 訪問調査

市区町村の職員や、市区町村から委託されたケアマネジャーなどが自宅を訪問し、申請をした本人の心身の状態や、日常生活、家族や住まいの環境などについて聞き取りをします。

適切に認定してもらうためにも、本人の普段の様子はメモにとり、認定調査時は家族も同席して、認定調査員へ伝え漏れの無いように準備をしておきましょう。

調査内容は全国共通です。認定調査の主な項目は図表参照。

訪問認定調査内容
概況調査 現在受けているサービス(在宅・施設)の状況
おかれている環境(住まいの状況・家族の状況・傷病・既往症等)
基本調査
  1. 身体機能・起居機能
  2. 生活機能
  3. 認知機能
  4. 精神・行動障害
  5. 社会性への機能
  6. 過去14日間で受けた特別な治療
特記事項 基本調査項目の中で具体的に内容が必要なものを選択し、介護の手間や頻度を明確にする
基本調査項目と内容
主な基本調査項目 調査内容
身体機能・起居機能
  • 麻痺の有無
  • 関節等の動きの制限
  • 寝返りができるか、起き上がれるか
  • 座っていられるか、立つことができるか
  • 視力聴力等
生活機能
  • 乗り移りや移動の動作
  • 食事の状況
  • 排尿、排便状況
  • 歯磨き、洗髪、洗顔
  • 衣類の脱ぎ着
  • 外出の頻度
認知機能
  • 意思の伝達
  • 生年月日や年齢をいうことが出来る
  • 自分の名前を言う
  • 短期記憶
  • 外出すると戻れない、場所の理解
精神・行動障害
  • ものをとられた等被害的になる
  • 泣いたり笑ったり情緒が不安定
  • 昼夜の逆転
  • ものを集めたり、無断で持ってくる
  • 一人で外にでたがり目が離せない
社会性への機能
  • 薬の服薬
  • 金銭の管理
  • 集団生活が難しい
  • 買い物
  • 簡単な調理
過去14日間で受けた特別な治療
  • 点滴の管理
  • 透析
  • 経管栄養

2. 主治医の意見書

市区町村の依頼によりかかりつけ医が主治医意見書を作成します。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が紹介する医師の診断を受けることになります。かかりつけ医による診断は、今後更新の際にも受けることになりますので、普段健康で医者にかかることがないような方でも年に1度は健康診断を受けるなど、心身の状態を確認してもらいましょう。

3. 一次判定・二次判定

一次判定
訪問調査の結果とかかりつけ医の意見書の一部の項目をコンピュータ入力し、一次判定を行います。
二次判定
一次判定やかかりつけ医の意見書、認定調査における特記事項を基に、保健、医療、福祉の専門家が審査します。

特に一次判定においては申請時に得た情報を入力して判定されるため、漏れのないよう被介護者の状態を伝えておきましょう。

要介護認定の結果が通知される

介護認定審査会の審査結果に基づいて、要介護度が認定され通知されます。

通常、介護認定申請から結果通知まで30日程度要します。

※地域によっては、申請から判定まで1~2ヶ月かかる場合もあります。

要介護1~5、要支援1・2、非該当(自立)のいずれかに認定されます。要介護認定1~5に認定されると、「介護保険サービス」が利用できるようになります。要支援1・2に認定されると、「介護予防サービス」が利用できます。非該当で自立と判断された場合は、地域支援事業が利用できます。

認定結果に納得できない場合

認定結果に納得できない場合は、まず、市役所に相談をしましょう。それでも納得がいかないときは、「介護保険審査会」に不服を申し立てることができます。介護保険審査会は都道府県に設置されています。

認定結果の有効期間と更新手続き

認定結果には有効期間があります。新規の場合は6か月、更新認定の場合は12か月です。

介護認定の効力発生日は、原則認定申請日になります。認定の有効期間は、状態が安定していれば、24か月に延長される場合があります。

ただし、介護認定は自動更新ではないため、有効期間が過ぎた場合は認定の効力がなくなり、介護サービスが受けられなくなるので注意が必要です。

有効期間以降も引き続き介護サービスを利用したい場合は、有効期間満了日の前日から数えて60日前から満了日までに更新の申請をしましょう。

介護の必要度にあまり変化がない場合でも更新手続きは必要です。また、更新の際にも、最初の要介護認定時と同様に、本人に訪問調査を行い介護度が判定されます。

また、著しく心身の状態の変化があった場合は、認定の変更を申請します。有効期間を待たずして状態の変化があった場合は、その都度介護認定変更の申請ができ、これを要介護認定の「区分変更申請」と言います。

介護保険サービス利用の手順

介護保険サービスを利用する際は、要介護1~5の場合と要支援1~2の場合によって利用手順が異なります。具体的には下記の3パターンに分けられます。

・要介護1~5:自宅で介護サービスを受ける場合

・要介護1~5:介護施設でサービスを受ける場合

・要支援1~2の人が介護予防サービスを受ける場合

要介護1~5:自宅で介護サービスを受ける場合

1.居宅介護支援事業者(ケアマネジャーを配置しているサービス事業者)を選ぶ
市区町村のホームページなどで地域の居宅介護支援業者を調べることができます。どこが良いかわからないときは、地域包括支援センターへ相談しましょう。
2. 担当のケアマネジャーが決まる
3. ケアプランを作成する
どのようなサービスをどのくらい利用するのかを担当のケアマネジャーと相談しながら決めます。サービス内容など希望があれば、事前にケアマネジャーへ伝えておきましょう。このケアプランの作成は「無料」です。
4. サービスを利用する
訪問介護や、デイサービスなどの通所サービスの事業者と直接契約をします。サービスの内容や、かかる費用についてしっかりと説明を聞き、確認をしましょう。
なお、契約は本人が行う必要があり、家族であっても本人に無断で契約することはできません。本人が認知症などで判断能力がない場合には、代理人(任意後見人)を選任して代理人が契約をします。
居宅介護サービスについて詳しくはこちら

要介護1~5:介護施設で介護サービスを受ける場合

1. 介護施設を選び連絡をする
介護施設を選ぶ際は必ず見学をし、サービス内容やかかる費用について事前に確認をしましょう。入所したい施設が決まりましたら、施設に連絡をして申込みをします。
要介護の方が入居できる施設を探す
2. ケアプランを作成する
入所した施設のケアマネジャーとケアプランを作成します。
3. サービスを利用する
介護施設サービスについて詳しくはこちら

 要支援1~2の人が介護予防サービスを受ける場合

要支援1~2と認定された人が介護予防サービスを利用する手順は下記のとおりです

  1. 地域包括支援センターに連絡をする
  2. 地域包括支援センターの職員と介護予防ケアプランを作成する(これからどのような生活をしたいか要望を伝えまし介護予防サービスを利用する
  3. 介護予防サービスを利用する

要介護1~5の場合はケアマネジャーとケアプランの作成を行いますが、要支援1~2の場合は地域包括支援センターの職員と介護予防のケアプランを作成します。どのような生活を送りたいかなどの希望をしっかりと職員に伝えましょう。

家族とこれから送りたい生活について話し合いを

家族としては介護サービスを活用したいと思っていても、本人に抵抗感があるとなかなか前に進むことができません。

介護状態が重くなってきてからの介護認定は、本人や家族の介護への希望を叶えることが難しい場合もあります。また、申請から認定を受け介護サービスを受けるまでには、数か月かかることもあります。

これからどのような生活を望むのか、どんな暮らしをしたいのか。日常生活が困難になる前の元気なうちから家族で話し合っておきましょう。

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イラスト:安里 南美

この記事の制作者

森 裕司

監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
11年医療ソーシャルワーカーを経験後、介護支援専門員(ケアマネジャー)として相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。最近では、新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活躍。

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