要介護認定とは?認定基準や区分、申請~通知の流れ、有効期限まで

要介護認定は対象者にどの程度の介護が必要かの目安になる重要な指標です。認定されることで、介護保険サービスが受給でき、介護者や周りの方々の強い味方になってくれます。そこで、認定基準や申請の流れなどあらかじめ抑えておきたい情報を解説します。

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要介護認定とは

要介護認定とは、対象者がどの程度の介護を必要とするかを7段階の数値で表したものです。要介護認定が下りた場合は、公的な介護保険サービスを利用できます。

自宅で暮らしながら、調理や掃除などの生活援助、入浴や移動などの身体介護を受けられるほか、必要であれば施設入居も可能。本来であれば高額な費用がかかりますが、介護保険サービスは1〜3割の自己負担で受けられます。

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要支援・要介護の違い

要介護認定には要介護・要支援の2種類があります。要支援よりも要介護の方が、また数値が大きい方が介護の必要性が高いです。要支援が、日常生活において多少の支援が必要な状態。一方要介護は、全面的な介護が必要な状態です。詳細は下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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要介護認定の基準

介護の分類
介護の分類 介護内容
直接生活介助 入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助 洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為 輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助
要介護認定等基準時間の分類
要介護度 基準時間
要支援

上記5分野の要介護認定等基準時間が 25分以上 32分未満

またはこれに相当する状態

要介護1

上記5分野の要介護認定等基準時間が 32分以上 50分未満

またはこれに相当する状態

要介護2

上記5分野の要介護認定等基準時間が 50分以上 70分未満

またはこれに相当する状態

要介護3

上記5分野の要介護認定等基準時間が 70分以上 90分未満

またはこれに相当する状態

要介護4

上記5分野の要介護認定等基準時間が 90分以上110分未満

またはこれに相当する状態

要介護5

上記5分野の要介護認定等基準時間が110分以上

またはこれに相当する状態

参照元:厚労省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」

要介護度は要介護認定等基準時間を基に認定されます。要介護認定等基準時間とは、対象者を介護する手間や労力を時間に換算した指標です。症状が重いほど介護に費やす手間や労力も増えるため、要介護認定等基準時間も長くなります。

持病を抱える高齢者も多くいますが、要介護認定と病気の重さが比例するとは限りません。また、身体は元気(自立)でも、例えば認知症の症状である歩き回り(徘徊)によって目が離せないことがあると要介護度が重くなることがあります。

要介護認定の区分

要支援1
要支援2
要介護1
要介護2
要介護3
要介護4
要介護5

要介護認定が下りた場合は、7段階のうちいずれかの区分に分類されます。区分ごとに症状や利用できる介護保険サービスの内容、費用面も異なります。なお、それぞれの分類の違いは大まかな状態像でしか定められていません。そこで、各状態のおおよそのイメージを解説します。

要支援1

日常生活の基本的な動作をほとんど自分で行えますが、掃除など一部の家事を一人で行うのは困難な状態です。

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要支援2

日常生活の基本的な動作をほとんど自分で行えますが、入浴時に背中が洗えない、浴槽をまたげないなどの能力低下が見られる状態です。

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要介護1

起立や歩行が不安定で排せつ時のズボンの上げ下げ、入浴時や着替えなど日常生活において部分的に介護が必要な状態。認知症や症状が急変するリスクがあると、要介護に区分されます。

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要支援から要介護になる基準

  • 認知症の症状がある
  • 今後状態が急変するリスクがある

要介護2

起立や歩行が自力で行えないことが多く、見守りがあれば着替えはできるが、排せつや入浴など、日常生活全般の一部もしくは全部において介護が必要な状態です。

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要介護3

自力での起立や歩行が困難で、排せつ、入浴、着替えなどの日常生活全般において介護が必要。認知症の症状も認められ、日常生活に支障がある状態です。

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要介護4

自力での起立や歩行がほとんどできず、排せつ、入浴、着替えなどの日常生活全般において介護が必要。理解力の低下が見られ、意思疎通もやや難しい状態です。

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要介護5

寝たきりの状態で、食事やオムツ交換、寝返りなどの介助が必要です。理解力の低下が進み、意思疎通は困難な状態です。

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要介護認定の申請

要介護認定を受けるには、市区町村にある地域包括支援センターに相談、または役所の高齢者福祉窓口に申請を行います。

入院しているなどで本人が申請できないときは、家族が代理で申請可能。家族や親族の支援が受けられない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、入所中の介護保険施設に代行してもらえます。

要介護認定の申請に必要なもの

  • 申請書
  • 介護保険証
  • かかりつけ医のわかるもの(診察券など)
  • マイナンバーが確認できるもの
  • 健康保険証(64歳以下の場合)

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要介護認定の申請について動画で見る

申請後~認定調査の流れ

1.訪問調査

市区町村の職員や、委託されたケアマネジャーなどが自宅を訪問し、申請者の状態や、日常生活、家族や住まいの環境などについて聞き取りをします。調査内容は全国共通(基本調査74項目)で、主な項目は下記の通りです。

訪問認定調査内容
概況調査 現在受けているサービス(在宅・施設)の状況
おかれている環境(住まいの状況・家族の状況・傷病・既往症等)
基本調査
  1. 身体機能・起居機能
  2. 生活機能
  3. 認知機能
  4. 精神・行動障害
  5. 社会性への機能
  6. その他(過去14日間で受けた特別な治療)
特記事項 基本調査項目の中で具体的に内容が必要なものを選択し、介護の手間や頻度を明確にする
基本調査項目と内容
主な基本調査項目 調査内容
身体機能・起居機能
  • 麻痺の有無
  • 関節等の動きの制限
  • 寝返りができるか、起き上がれるか
  • 座っていられるか、立つことができるか
  • 視力聴力等
生活機能
  • 乗り移りや移動の動作
  • 食事の状況
  • 排尿、排便状況
  • 歯磨き、洗髪、洗顔
  • 衣類の脱ぎ着
  • 外出の頻度
認知機能
  • 意思の伝達
  • 生年月日や年齢をいうことが出来る
  • 自分の名前を言う
  • 短期記憶
  • 外出すると戻れない、場所の理解
精神・行動障害
  • ものをとられた等被害的になる
  • 泣いたり笑ったり情緒が不安定
  • 昼夜の逆転
  • ものを集めたり、無断で持ってくる
  • 一人で外にでたがり目が離せない
社会性への機能
  • 薬の内服
  • 金銭の管理
  • 集団生活が難しい
  • 買い物
  • 簡単な調理
過去14日間で受けた特別な治療
  • 点滴の管理
  • 透析
  • 経管栄養

2. 主治医意見書の作成

市区町村の依頼により、かかりつけ医が主治医意見書を作成します。かかりつけ医がいない場合は、市区町村または最寄りの地域包括支援センターに相談しましょう。スタッフとかかりつけ医を決めた後に診断を受けます。

3. 一次判定~二次判定

一次判定は、訪問調査の結果とかかりつけ医の意見書の一部の項目をコンピュータに入力して判定します。その後、一次判定やかかりつけ医の意見書、認定調査における特記事項を基に保健、医療、福祉の専門家が二次判定を行います。

4.結果通知

介護認定審査会の審査結果に基づいて、要介護度が通知されます。通常、介護認定の申請から結果通知までは30日程度要します。主治医の意見書や認定調査の日程が遅れると、地域によっては、申請から判定まで2ヶ月かかる場合も。

要介護認定の有効期間

原則として、認定の申請日から新規の場合は6ヶ月、更新の場合は12ヶ月です。なお、自治体が必要と認められる条件に合致した場合は4年間(48ヶ月)の有効期間になります。

介護認定は自動更新ではないため、有効期間が過ぎた場合は効力がなくなります。継続して介護サービスを利用したい場合は、更新の申請が必須。更新期間にも定めがあるため、必ず期間内に申請しましょう。

介護保険を更新できる期間

  • 有効期間満了日の前日から数えて60日前~満了日まで

介護度の変更

著しく心身の状態の変化があった場合は、有効期間を待たずに介護度変更の申請ができます。これを要介護認定の「区分変更申請」と言います。区分変更申請についても、申請場所と同じ窓口で手続きできます。

調査結果に納得できないときは

認定結果に納得できない場合は、役所の窓口か最寄りの地域包括支援センター、担当ケアマネジャーのいずれかに相談しましょう。認定結果について区分変更申請をするか、「介護保険審査会」に不服の申し立てが可能です。時間はかかりますが、認定調査をすべて最初からやり直せます。

介護保険サービスの利用方法

介護施設入居の場合
自宅で介護予防サービスを受ける場合(要支援1、2)
自宅で介護サービスを受ける場合(要介護1以上)

介護保険サービスの利用方法はケースごとに異なります。踏むべきステップも異なりますので、事前にチェックしてください。

介護施設入居の場合

1. 介護施設を選ぶ
2. ケアプランの作成
3. 入居開始

施設選びの際は必ず見学をして、サービス内容や費用面を事前に確認しましょう。施設が決まったら正式に申込みをします。

特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームなどの場合、ケアプラン作成は、施設のケアマネジャーが担当。住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの場合はケアマネジャーを自由に選べます。入居後はミスマッチがないか施設と連絡を取りながら確認します。

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自宅で介護予防サービスを受ける場合(要支援1、2)

1.地域包括支援センターに連絡をする
2.介護予防ケアプランを作成する
3.介護予防サービスを利用する

要支援1、2の場合は地域包括支援センターの職員と介護予防のケアプランを作成します。

適切なサービスを受けるためにも、これからどのような生活をしたいか要望をしっかりと伝えることが重要です。

自宅で介護サービスを受ける場合(要介護1以上)

1.居宅介護支援事業者を選ぶ
2. 担当のケアマネジャーを決める
3. ケアプランを作成する
4. 介護サービスを利用する

居宅介護支援事業者とは、ケアマネジャーを配置しているサービス事業者を指し、市区町村のホームページなどで調べられます。

居宅介護支援事業者からケアマネジャーを紹介されたら担当を決めます。今後様々な介護関連の相談をするので、信頼できる相性の良い方を選びましょう。担当とケアプランを作成後は、プランを基に利用を希望される各通所サービス事業者と契約。サービスの利用を開始します。

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要介護認定を受けて適切な介護サービスの利用を

対象者がどの程度の介護や支援を必要かの指標になる要介護認定。介護保険サービスを利用できるほか、自己負担額も1~3割で済むなど手厚いサポートを受けられます。ご本人や周りの方々がより良い生活を送るためにも、ぜひ要介護認定の申請を検討してください。

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イラスト:安里 南美

この記事の制作者

山本 武尊

監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)

地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。

公式おかげさま社労士事務所

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