【はじめての方へ】口腔ケア用品⑤洗口剤・液体ハミガキ
洗口剤とは、一般的に、口内洗浄剤・うがい薬・マウスウォッシュなどと呼ばれるもので、口の中の細菌の再付着を防ぐために、ケアの最後に使用すると効果を発揮します。
液体歯磨きと洗口剤
「液体歯磨き」という洗口剤と見た目がよく似たものも販売されていますが、こちらはまた全く使用方法が異なります。
液体ハミガキとは「デンタルリンス」とも呼ばれ、口の中にいきわたらせてからブラッシングすることでハミガキの効果を得るものです。
どちらも薬局やドラックストアで購入することが可能です。
細菌除去の基本はブラシでこすること
「液体ハミガキ」と「洗口剤」、どちらも使用に際し細菌を減らすのは、「ブラシでこする」が基本です。
殺菌効果を謳った洗口剤も各種出ていますが、まずブラシ類を使って細菌の塊(バイオフィルム)を除去してからでないと効果は発揮できません。
なお、むせこみやすく飲み込みに問題がある人に対しては、洗口剤は使用しないほうがよいでしょう。
ただし、歯磨きの仕上げとして、洗口剤を薄めたものをスポンジブラシ(介護用品売り場に置いてありますが、噛んでしまう方には千切れると危険なので使用できません)に浸し、水分をよく絞ってから口の中をふき取るという方法はどなたにも使えると思います。
液体ハミガキの使用方法は、まず適量を口に含み、20~30秒ほどかけて全体に行き渡らせて吐き出します。
その後、水ですすぐ必要はありません。続けて歯磨きを行いましょう。
歯周病対策などといった薬効成分を隅々までいきわたらせるには、隙間に入りやすい液体の方が都合はいいのです。
しかし、上手くお口が動かせず液体をお口の中にいきわたらせることが出来なかったり、やはりむせこみやすく飲み込みに問題がある場合には使用は控えたほうが良いでしょう。
就寝前の使用で雑菌の繁殖を防ぐ
唾液の分泌が減る就寝中は、口の中が乾燥し雑菌が繁殖しやすい状態です。抵抗力の落ちている高齢者の場合、誤嚥性肺炎のリスクが高まっている状態だと言えます。
洗口剤や液体ハミガキには雑菌の繁殖を抑える働きがあり、保湿成分が入っているものもあります。そのため、乾燥を防ぎ誤嚥性肺炎の予防効果も期待できます。
(※逆にアルコールの含まれている洗口剤、液体歯磨きは乾燥を助長します。乾燥しがちな高齢者には避けるべきでしょう。)
唾液の分泌が減ってしまう就寝中の雑菌の繁殖を抑えるため、就寝前の使用はお勧めです。
また、口臭を気にしている高齢者や、要介護者の口臭を負担に感じている介護者は少なくはありません。
口臭予防効果もあるため、介護者の負担を和らげてくれるでしょう。口臭を予防することが、自信を持って周囲とコミュニケーションできるきっかけとなるかもしれません。
ただし、あくまでも洗口剤や液体ハミガキは口腔ケアの一環であり、それだけでは虫歯予防や歯周病の改善にはならないので注意が必要です。
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この記事の制作者
著者:尾上 庸惠(訪問歯科衛生士)
専修学校 新東京歯科衛生士学校卒業 卒業後、一般歯科医院、顎関節症専門医院にて勤務。現在数件の往診専門歯科医院に勤務し、老人施設、在宅、病院などで口腔ケア、食支援を行っている。
口腔栄養サポートチーム「レインボー」所属。著書に「歯科衛生士のための訪問歯科ハンドブック」などがある。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士。
2015年 東大IOG摂食嚥下モジュール 地域講師資格取得。