処方薬を理由に転院や施設入所できないことも

救急病院で治療を終えたものの、自宅に帰れない身体状態のため介護施設に入所する方も増えています。

しかし、処方薬を理由に介護施設に入所できなかったり、入所しても飲んでいた薬がいつの間にか変更されている場合もあります。その理由のひとつとして、法的な決まりによって、病院や施設で薬の処方ができない現状が関係しています。

まずはその背景から見ていきましょう。

入院中・介護施設入所中の薬の処方

入院したり、施設に入所した場合の薬の処方について見ていきましょう。

医療費の請求方法は「包括払い」と「出来高払い」の2種類

病院や介護施設の形態によって「包括払い」と「出来高払い」のいづれかに分かれます。

包括払いとは、1日当たりの診療点数が一定金額で決められていることをいいます。また、出来高払いとは、提供した医療サービス分を全額請求することをいいます。

出来高払いの病院や介護施設では、処方した薬の全額を請求できます。一方、包括払いは定額のため、高額な薬や処方された薬の量が多いと定額の上限を超えてしまい、その差額分を病院や施設側が負担しなくてはならない場合があります。

救急病院の場合

救急病院は治療を行う場所のため、医師が必要と判断した薬を処方して治療を受けます。救急病院の中でも「DPC」という入院料の算定が適用されていたら包括払いとなり、高額な薬を処方すると1日あたりの診療点数の上限を超えてしまうこともあります。

上述したように、上限を超えた分は病院が負担することあり、患者さんに自宅で飲んでいる薬の持ち込みをお願いしたり、入院前に入院期間中分の薬を持参するようお願いすることもあります。

例外として、国で決められた新薬や高額な薬は、包括払いの対象外となっている場合があります。

※DPCでない救急病院の場合は出来高払いになります。

療養病院、回復期リハビリテーション病棟、老健、特養の場合

療養病院、回復期リハビリテーション病棟、老健(老人保健施設)、特養(特別養護老人ホーム)では、そこに勤務している医師が薬を処方します。

こちらも、「包括払い」となるため、高額な薬を服用している場合は、同じ効果でも安価な医薬品(ジェネリック)に変更したり、健康上服用する必要がなければ終了する場合があります。

また、救急病院からこの4種類の病院・施設へ転院や入所の相談をすると、「この薬はうちの病院では処方できません」「安価な薬に変更できますか?」といったやり取りが病院間で行われています。

包括払いの病院や施設では、患者の薬の量が多かったり高額な薬を使用すると、受け入れる側がそれを負担することになり、そうした患者が増えると経営を圧迫します。そのため処方薬については慎重になるのです。

特養・老健など介護保険施設について詳しくみる

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の場合

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に関しては、自宅と同じように、かかりつけ医や施設の訪問診療医が薬を処方します。こちらは出来高払いのため、必要な薬は価格を問わずに処方されています。

老人ホーム・介護施設の種類について詳しくみる

本人や家族でも、薬が変わっていることを知らない場合がある

ここまで、入院や入所をきっかけに薬が変更となる背景を紹介してきました。

記述の通り「病院と施設」「病院同士」など、本人・家族が知らないところで、で薬の変更に関する相談が行われている場合があります。

もちろん医師の判断を仰いで薬を変更・終了しているので問題はないと思いますが、その変更内容を説明されていない場合もあるかもしれません。

ただし、薬の内容が変更・終了できるものなら良いのですが、それができない場合は入れる病院・施設が見つからないことも。例えば、救急病院の退院後に老健への入居が望ましい状態の方が、「老健では薬が出せない」という理由で、別の救急病院に移るという事例もあるようです。

救急病院から他の病院・施設に移る場合、薬剤師から薬の説明を受けることが一般的です。そのときに、もしも変更・終了した薬があれば、その理由を聞いてみると良いでしょう。
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この記事の制作者

森 裕司

著者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
11年医療ソーシャルワーカーを経験後、介護支援専門員(ケアマネジャー)として相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。最近では、新規事業・コンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活躍。
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