コミュニケーションとしての口腔ケア
口腔ケアの刺激は、覚醒を促します。また、関わりにより発語や笑顔を引き出す効果もあります。
大切なのは、相手にリラックスしていただける環境や雰囲気を作ることです。
ぜひ、心地よい口腔ケアをめざしましょう。
優しく気持ちの良いケアを
口腔はとても敏感でデリケートな器官です。誰でも他人に口の中を見られ、歯磨きをされるのは苦手であり、気分がいいものではないでしょう。
高齢であっても、認知症であってもそれは変わりません。口腔ケアを行う際は、されるほうにとっては気が進まないことをさせていただくという意識を持ちましょう。
そのような態度で、口腔ケアを通して信頼関係を築くことができれば、笑顔や発語を促すようなコミュニケーションとしての効果が期待できます。
黙々と歯磨きするのではなく、笑顔で優しい声掛けと、優しい刺激(歯磨き、マッサージ)を心がけると、リラクゼーション効果にもつながります。
気持ち良いと感じてもらえれば大成功
生活習慣としての口腔ケアですが、マッサージや適切な歯磨きはとても気持ちのよいものです。
「この人の口腔ケアなら受けたい!」と感じてもらえれば大成功です。
もし、歯磨きへの拒否があっても徐々に薄れていくでしょう。
口腔ケアのすすめ方
「人に見られたくない」という気持ちを理解し、笑顔で声をかけながら口より遠い部分(手から腕、肩、頬)から優しくゆっくりと触れていくことで緊張がほぐれることがあります。
口腔ケアの際には、相手の目をみながら、「次は~をしますよ」などと次の行為を伝えながら行うと安心感を持っていただけます。
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著者:尾上 庸惠(訪問歯科衛生士)
専修学校 新東京歯科衛生士学校卒業 卒業後、一般歯科医院、顎関節症専門医院にて勤務。現在数件の往診専門歯科医院に勤務し、老人施設、在宅、病院などで口腔ケア、食支援を行っている。
口腔栄養サポートチーム「レインボー」所属。著書に「歯科衛生士のための訪問歯科ハンドブック」などがある。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士。
2015年 東大IOG摂食嚥下モジュール 地域講師資格取得。