【はじめての方へ】認知症と口腔ケア①|歯みがきを拒否する5つの理由

認知症と口腔ケア

介助磨きの拒否

認知症の方への口腔ケアの対応に悩まれている介護者からの相談を良く受けます。

認知症の種類や進行度により差はありますが、そのほとんどが介助磨きの拒否です。なかなか口を開けてくれない、指や歯ブラシを咬まれそうになる、など。

介護磨き拒否

なぜ認知症の方は介助磨きを嫌がられるのでしょう?原因をあげてみます。

【介助磨き拒否】5つの理由

  • 本人に口腔ケアの必要性が理解されない
  • 口というデリケートゾーンを触られるのが嫌だ
  • 何をされるのか分からない恐怖心や不安を感じている
  • 歯ブラシなどを見せても何の目的に使用する物なのか理解ができない
  • 口腔内に痛みや傷があって触られたくない(痛みの訴えをうまく伝えられず周囲も気付いていない)

認知症の方の介助磨きをする場合、介助者も「なんとか磨かなくては!」のように意気込みすぎると、緊張感が相手に伝わってしまいます。

口腔ケアに使用するものを揃えてからゆったりと優しい雰囲気で行えるように、まずは一緒に深呼吸をしてお互いに気持ちを落ち着かせます。

いきなり歯ブラシを口に入れず、手の甲をさすりながら陽気や体調を気遣う声掛けをし、(今日はいいお天気ですね・体調はいかがですか・口の中で痛むところはないですか、など)これから口腔ケアをさせていただくことを説明します。

認知症があるからと説明を怠らず丁寧に対応します。その最初の優しい雰囲気だけで会話が出来なかったとしてもリラックスと安心感を持っていただける効果があります。

歯磨きを始める時は、歯ブラシを見せ「これから歯をみがきますね」と一声かけて行います。

磨く時の歯ブラシの毛が硬すぎる、磨く力加減が強すぎる、焦って磨こうと乱暴な磨き方では、「痛い口腔ケア」になってしまいますから注意しましょう。

認知症の方の口腔ケアでは、気持ちにできるだけ寄り添い「気持ち良くなった・さっぱりした」と感じていただけることが次のケアの成功に繋がります。

次の章ではその成功のコツをお伝えします。

認知症と介助磨き

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この記事の制作者

篠原 弓月

著者:篠原 弓月(訪問歯科衛生士、東京医科歯科大学口腔保健科非常勤講師、日本歯科大学東京短大非常勤講師)

東京医科歯科大学附属歯科衛生士学校卒業後、一般歯科医院での臨床経験を積み、訪問での歯科診療に携わる。2017年「口腔栄養サポートチーム レインボー」を立ち上げる。著書に「歯科衛生士のための訪問歯科ハンドブック」などがある。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
日本歯科衛生士会 在宅療養指導・口腔機能管理認定歯科衛生士
日本歯科衛生士会 摂食嚥下リハビリテーション認定歯科衛生士

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