要介護1とは?受けられるサービスやもらえるお金、要支援2、要介護2との違い

要介護1は基本的な日常生活は自立しているものの、排せつや入浴など部分的な介助が必要な状態です。一人暮らしをしている方もいますが、訪問サービスの利用や施設入居を検討するのが良いケースも。ケアプラン例や費用面も解説するので、参考にしてください。

要介護1とはどんな状態?

要介護1とは多くの場合、掃除などの家事を行うときや、排せつ・入浴をするときに、部分的な手助けが必要な状態を指します。

また、理解力の低下がみられる方もいます。

厚生労働省によると、要介護状態とは「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」とされています。

参考:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」

要介護1の認定基準とは

要介護認定の判定に用いられる基準の一つとして「要介護認定等基準時間」があります。

要介護1は、要介護認定等基準時間が32分以上 50分未満、またはこれに相当する状態と定義されています。

「要介護認定等基準時間」は直接的、間接的な介護の必要性を時間で表すものさしで、実際の家庭や施設での介護の時間と連動するわけではありません。

要支援2・要介護2との違い

要支援2 要介護1 要介護2
食事 自分でできる

ほとんど自分でできるが部分的に助けが必要

手助けが必要
入浴やトイレ ほとんど自分でできる 一部手助けが必要 手助けが必要
立ち上がりや歩行 支えが必要 支えが必要 支えが必要
家事など身の回りのこと 見守りや手助けが必要 部分的に手助けが必要 全般的に見守りや手助けが必要

要介護1と、その前後の段階に相当する要支援2・要介護2の違いについて表にまとめました。

要介護1は要支援2よりも身体的な衰えや理解力、判断能力の低下が進んだ状態であり、日常生活のさまざまな場面で手助けが必要になります。

しかし、まだ自分でできることも多く、一部の手助けで済むでしょう。

要介護1よりもさらに症状が進んでしまい、より多くの場面で手助けが必要となるのが要介護2です。

また、要支援1以上に認定されると、介護保険サービスが原則1割負担で利用することができます。

関連記事要介護認定とは?認定基準や区分、申請~通知の流れ、有効期限まで

要介護1でもらえるお金

介護保険制度では、対象者に直接支援金が給付されることはありません。しかし、一定の金額になるまで介護サービスを自己負担1〜3割で利用することが可能です。

自己負担が1〜3割になる範囲を「区分支給限度額」と言い、介護度ごとに決められています。

要介護1の支給限度基準額は167,650円です。

要介護1の人は、167,650円までの介護サービスであれば、1~3割の負担で利用できます。自己負担割合は利用者の経済状況、資産状況に応じて決まります。

例えば要介護1で、自己負担が1割の場合、サービス利用額が16,765円を超えた分は全額自己負担となります。

要介護1で受けられるサービス

自宅で家事の世話や介護を受ける

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

夜間対応型訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

施設に通って介護サービスやリハビリを受ける

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーション

地域密着型通所介護

療養通所介護

認知症対応型通所介護

訪問・通い・宿泊サービスを組み合わせて利用する

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

短期間のみ施設に宿泊する
(ショートステイ)

短期入所生活介護

短期入所療養介護

施設に入居する

介護老人保健施設(老健)

介護療養型医療施設

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

介護医療院

小規模な施設に入居する

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

福祉用具を使う

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

※要介護1だと一部の用具に利用制限あり

上記に要介護1で受けられるサービスをまとめました。

介護認定を受けると、介護給付サービスを受けられます。訪問介護や訪問看護など自宅で受けられるサービスや、通所利用や短期入所など施設に通ったり入所したりすることも可能。さらに、福祉用具もレンタルできます。

どのサービスを利用すべきかわからない方は、地域包括支援センターに相談するのがおすすめ。センターでは申請手続きだけでなく、介護全般についての相談にも乗ってくれます。

関連記事地域包括支援センターとは

関連記事訪問介護とは

要介護1の場合、認知症の症状はどの程度現れているか

要介護1の場合、過去の統計調査を参考にすると、6割程度の方が「道に迷う」「金銭管理にミスがある」など生活にサポートが必要な症状が出ていると考えられます。

その根拠として、要介護1では67.7%の方が「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上」とされたという平成25年の調査結果があります。

介護度 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の割合
要支援2 7.7%
要介護1 67.7%
要介護2 66.9%

出典:介護保険総合データベース(平成25年8月15日集計時点)

「認知症高齢者の日常生活自立度」とは、認知症の状態を表す尺度です。一般的にⅡ以上で、生活に何らかの支障をきたして、サポートが必要な状態です。

ランク 判定基準
何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。
日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。
日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする。
日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。
著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。

要介護1での在宅介護はいくらかかる?施設介護との金額差

介護をする場所 平均費用
在宅 4.8万円 / 月
施設 12.2万円 / 月

参考:公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 令和3年

公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査 令和3年」によると、在宅介護の平均費用は月額4.8万円です。

施設入居と比較しても月7万円程度費用を抑えられるでしょう。

要介護1で一人暮らしはできる?

要介護1でも一人暮らしをしている方は少なくありません。

厚生労働省発表の「要介護者等のいる世帯」の「要介護者等」の要介護度(2022年 国民生活基礎調査の概況)」によると、1人暮らしをしている要支援・要介護者のうち、要介護1の方の割合は全体の18.9%です。

しかし、認知機能や運動機能の低下は多少見られるため、入浴や排せつ、買い物や掃除など場面によっては手助けが必要なことも。

一人暮らしを続けるなら、適度に訪問介護やデイサービス、自治体の高齢者向けサービスなどを活用しながら生活するのが安心です。

関連記事訪問介護とは

関連記事デイサービスについて詳しく見る

関連記事デイサービスとデイケアで迷っている方はこちら

症状次第では一人暮らしが難しい場合も

要介護1でも、症状によっては一人暮らしが難しい場合もあります。

例えば、外出して道に迷ってしまう、金銭や服薬管理ができないなどの場合は様々なリスクが伴うため、一人暮らしは難しくなります。

他者の助けや見守りを受けて日常の身の回りのことを自分自身で維持できることが、一人暮らしをする際の最低条件といえるでしょう。

要介護1で一人暮らしのA子さんのケアプラン例

利用しているサービス 利用頻度 利用回数/月 金額/回 金額/月
訪問介護 3/週 12 3,200円 38,400円
訪問看護 2/週 8 5,260円 42,080円
訪問
リハビリテーション
1/週 4 3,320円 13,280円
通所
リハビリテーション
2/週 8 7,070円 56,560円
福祉用具貸与 - - 定額 7,630円
合計 157,950円
自己負担
(1割の場合)
15,790円

参考:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

在宅介護に欠かせない!居宅介護サービスの種類

要介護1の状態にある方の一般的な週間スケジュールで確認してみましょう。

例えば、リハビリと入浴目的でデイケアを週2回、食事や掃除といった家事支援に訪問介護を週3回程度利用するケースを考えてみます。

通所リハビリテーション(デイケア)1回当たりの費用は7,500円(入浴介助含む)で、月8回利用すると60,000円になり、一割負担の方は6,000円で利用可能。

訪問介護の場合は、1回(1時間)あたりの費用は3,490円です。月12回利用すると41,880円になり、一割負担の利用者は4,188円です。

全ての介護サービスに共通することですが、実際の料金には「介護職員処遇改善加算」や「サービス提供体制強化加算」といった事業所のサービス品質にあわせた加算が算定されている場合があり、その部分については利用者様負担となります。

また、一般的に通所型サービスでは「食費」を別途請求しています。おおむね一食500円程度請求される場合が多いようです。

要介護1で入れる介護施設

要介護1でも介護施設への入居を選択される方は少なくありません。LIFULL 介護の2020年のアンケート調査から、要介護1の方が多くを占める介護施設をピックアップしました。

graf
株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2020年)より

1.健康型有料老人ホーム

お元気なうちから入居でき、家事などのサポートを受けながら健康的に暮らすことを目的にした有料老人ホームです。一方で介護度が重くなると退去になります。

関連記事健康型有料老人ホームとは 費用やサービス、サ高住との違いを解説

2.軽費老人ホーム

地方自治体や社会福祉法人が運営する、自立度の高い方のための介護施設です。家庭環境や経済状況などによって自宅での暮らしが難しい高齢者を対象としています。

関連記事軽費老人ホームとは

3.ケアハウス

軽費老人ホームC型とも呼ばれる介護施設です。自立度の高い方を対象とした一般型ケアハウスと、介護が受けられる介護型ケアハウスがあります。低所得の方や生活保護を受けている方でも比較的入居しやすい点が特徴です。

関連記事ケアハウスとは

4.グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

認知症の方が専門的な支援を受けながら家庭的な雰囲気の中で共同生活を行う小規模の介護施設です。家事など身の回りのことをサポートを受けながら生活する施設ですので、医療行為が必要など身体状態が悪化した場合は退去となります。

関連記事グループホームとは

5.サービス付き高齢者向け住宅

安否確認や生活相談などのサービスを受けながら暮らせる高齢者向けの賃貸住宅です。自宅と変わらない自由度の高い暮らしができます。個別に契約すると介護サービスなども受けられます。

関連記事サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?費用や入居条件、他施設との違い

要介護1の方の施設入居費用の相場

要介護1の方がサービス付き高齢者向け住宅に入居する場合
介護サービス費の例(1割負担の場合) 12,000円
月額費用相場※ 198,000円
合計 214,692円
要介護1の方がグループホームに入居する場合
介護サービス費の例(1割負担の場合) 26,578円
一般的にかかる月額費用 150,000円
合計 176,578円

参考:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

※LIFULL介護に登録している介護施設の相場です。

【全国・都道府県別】介護施設の料金相場を調べる

要介護1では必要に応じて施設入居や訪問サービスの利用を

記事内でも紹介したように、要介護1で施設に入居される方は少なくありません。日常生活は自立しているため、施設の選択肢が豊富です。

在宅介護を選択する場合は、訪問介護などのサービスを上手く活用するのが良いでしょう。

「LIFULL 介護」では全国38,000件以上の施設情報を掲載中。施設探しに悩んでいる方は窓口のスタッフがサポートします。

施設利用を検討中の方はぜひチェックしてください。

【PR】介護が必要になったら、操作不要の【簡単テレビ電話】が便利(外部リンク)
LIFULL介護相談窓口

専門スタッフが介護施設についてご相談をお受けします。

0120-652-140( 9時~18時、土日祝日休み )

後悔しない老人ホームの選び方ガイドブックを無料プレゼント

認知症による資産凍結のリスクをご存知ですか?

認知症を持つご本人も、ご家族も預金が下ろせなくなる「資産凍結」。専門家が、備える方法を初回無料でサポートします。不安を感じたら早めのご相談を。

詳しくはこちら

要介護1について動画で見る

要介護1について、LIFULL 介護編集長・小菅が動画でご説明します。

この記事の制作者

高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

施設職員、通所介護事業所の生活相談員、居宅介護支援事業所の管理者などを経験。業界14年目の現役のケアマネジャー。業務のかたわら、フリーコンサルとしても開業。介護事業所向けのコンサルティング、Webサイト制作や広告デザイン(ブランディング)などの依頼も受注開始。SNSでは「幸せに働く介護職を増やしたい」をモットーに、業界を明るくする発信を続けている。

X(Twitter)さんかくしおハッカ

YouTube介護職員向け動画配信

介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、その他介護施設や老人ホームなど、高齢者向けの施設・住宅情報を日本全国で延べ57,000件以上掲載するLIFULL 介護(ライフル介護)。メールや電話でお問い合わせができます(無料)。介護施設選びに役立つマニュアルや介護保険の解説など、介護の必要なご家族を抱えた方を応援する各種情報も満載です。
※HOME’S介護は、2017年4月1日にLIFULL 介護に名称変更しました。

情報セキュリティマネジメントシステム 株式会社LIFULL seniorは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。