要介護1とは?受けられるサービスや要支援2、要介護2との違い

要介護1は基本的な日常生活は自立しているものの、排せつや入浴など部分的な介助が必要な状態です。一人暮らしをしている方もいますが、訪問サービスの利用や施設入居を検討するのが良いケースも。ケアプラン例や費用面も解説するので、参考にしてください。

要介護1とは?

要介護1とは多くの場合、掃除などの家事を行うときや、排せつ・入浴をするときに、部分的な手助けが必要な状態を指します。

また、理解力の低下がみられる方もいます。

厚生労働省によると、要介護状態とは「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」とされています。

参考:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」

要介護1について動画で見る

要介護1について、LIFULL 介護編集長・小菅が動画でご説明します。

要支援2・要介護2との違い

要支援2 要介護1 要介護2
食事 自分でできる

ほとんど自分でできるが

部分的に助けが必要

手助けが必要
入浴やトイレ ほとんど自分でできる 一部手助けが必要 手助けが必要
立ち上がりや歩行 支えが必要 支えが必要 支えが必要
家事など身の回りのこと 見守りや手助けが必要 部分的に手助けが必要 全般的に見守りや手助けが必要

要介護1と、その前後の段階に相当する要支援2・要介護2の違いについて表にまとめました。

要介護1は要支援2よりも身体的な衰えや理解力、判断能力の低下が進んだ状態であり、日常生活のさまざまな場面で手助けが必要になります。

しかし、まだ自分でできることも多く、一部の手助けで済むでしょう。

要介護1よりもさらに症状が進んでしまい、より多くの場面で手助けが必要となるのが要介護2です。

また、要支援1以上に認定されると、介護保険サービスが原則1割負担で利用することができます。

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要介護1の人が利用できるサービス一覧

自宅で家事の世話や介護を受ける

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

夜間対応型訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

施設に通って介護サービスやリハビリを受ける

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーション

地域密着型通所介護

療養通所介護

認知症対応型通所介護

訪問・通い・宿泊サービスを組み合わせて利用する

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

短期間のみ施設に宿泊する
(ショートステイ)

短期入所生活介護

短期入所療養介護

施設に入居する

介護老人保健施設(老健)

介護療養型医療施設

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

介護医療院

小規模な施設に入居する

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

福祉用具を使う

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

※要介護1だと一部の用具に利用制限あり

上記に要介護1で受けられるサービスをまとめました。

介護認定を受けると、介護給付サービスを受けられます。訪問介護や訪問看護など自宅で受けられるサービスや、通所利用や短期入所など施設に通ったり入所したりすることも可能。さらに、福祉用具もレンタルできます。

どのサービスを利用すべきかわからない方は、地域包括支援センターに相談するのがおすすめ。センターでは申請手続きだけでなく、介護全般についての相談にも乗ってくれます。

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要介護1の区分支給限度額

「区分支給限度額」とは、介護保険から給付される限度額を指します。

要介護1の支給限度基準額は167,650円です。

要介護1の人は、167,650円までのサービスであれば、利用者の経済状況、資産状況に応じ1~3割の負担で利用できます。

例えば要介護1で、自己負担が1割の場合、サービス利用額が16,765円を超えた分は全額自己負担となります。

要介護1で一人暮らしはできる?

要介護1でも一人暮らしをしている方は少なくありません。

厚生労働省発表の「要介護者等のいる世帯」の「要介護者等」の要介護度(2022年 国民生活基礎調査の概況)」によると、1人暮らしをしている要支援・要介護者のうち、要介護1の方の割合は全体の18.9%です。

しかし、認知機能や運動機能の低下は多少見られるため、入浴や排せつ、買い物や掃除など場面によっては手助けが必要なことも。

一人暮らしを続けるなら、適度に訪問介護やデイサービス、自治体の高齢者向けサービスなどを活用しながら生活するのが安心です。

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症状次第では一人暮らしが難しい場合も

要介護1でも、症状によっては一人暮らしが難しい場合もあります。

例えば、外出して道に迷ってしまう、金銭や服薬管理ができないなどの場合は様々なリスクが伴うため、一人暮らしは難しくなります。

他者の助けや見守りを受けて日常の身の回りのことを自分自身で維持できることが、一人暮らしをする際の最低条件といえるでしょう。

要介護1で一人暮らしのA子さんのケアプラン例

利用しているサービス 利用頻度 利用回数/月 金額/回 金額/月
訪問介護 3/週 12 3,200円 38,400円
訪問看護 2/週 8 5,260円 42,080円
訪問
リハビリテーション
1/週 4 3,320円 13,280円
通所
リハビリテーション
2/週 8 7,070円 56,560円
福祉用具貸与 - - 定額 7,630円
合計 157,950円
自己負担
(1割の場合)
15,790円

参考:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

在宅介護に欠かせない!居宅介護サービスの種類

要介護1の状態にある方の一般的な週間スケジュールで確認してみましょう。

例えば、リハビリと入浴目的でデイケアを週2回、食事や掃除といった家事支援に訪問介護を週3回程度利用するケースを考えてみます。

通所リハビリテーション(デイケア)1回当たりの費用は7,500円(入浴介助含む)で、月8回利用すると60,000円になり、一割負担の方は6,000円で利用可能。

訪問介護の場合は、1回(1時間)あたりの費用は3,490円です。月12回利用すると41,880円になり、一割負担の利用者は4,188円です。

全ての介護サービスに共通することですが、実際の料金には「介護職員処遇改善加算」や「サービス提供体制強化加算」といった事業所のサービス品質にあわせた加算が算定されている場合があり、その部分については利用者様負担となります。

また、一般的に通所型サービスでは「食費」を別途請求しています。おおむね一食500円程度請求される場合が多いようです。

要介護1での在宅介護

施設入居にかかる費用を抑えたい場合は、在宅介護を選択すると良いでしょう。

要介護1の状態であれば、訪問介護を利用したり、家族がサポートしたりすれば、在宅介護も十分に可能です。

ただし、一人暮らしの場合はヘルパーさんがいない時間は完全に一人になってしまいます。

同居人がいる場合でも、介護側の負担が増える点は避けられないでしょう。

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在宅介護費用の目安

介護をする場所 平均費用
在宅 4.8万円 / 月
施設 12.2万円 / 月

参考:公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 令和3年

公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査 令和3年」によると、在宅介護の平均費用は月額4.8万円です。

施設入居と比較しても月7万円程度費用を抑えられるでしょう。

要介護1での施設入居

要介護1の状態で施設入居を選択する方もいます。

要介護1の認定を受けた人が入居できるのは健康型有料老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウスなどで、他にも様々な施設があります。

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要介護1の方の施設別入居割合

graf
株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2020年)より

各施設に入居された方のうち、要介護1の方が占める割合をグラフにまとめました。

さまざまな施設が満遍なく利用されており、要介護1での施設利用は一般的であることが伺えます。症状や経済状況などに合わせて、最適な施設をチョイスすると良いでしょう。

施設入居費用の相場

要介護1の方がサービス付き高齢者向け住宅に入居する場合
介護サービス費の例(1割負担の場合) 12,000円
月額費用相場※ 198,000円
合計 214,692円
要介護1の方がグループホームに入居する場合
介護サービス費の例(1割負担の場合) 26,578円
一般的にかかる月額費用 150,000円
合計 176,578円

参考:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

※LIFULL介護に登録している介護施設の相場です。

【全国・都道府県別】介護施設の料金相場を調べる

要介護1では必要に応じて施設入居や訪問サービスの利用を

記事内でも紹介したように、要介護1で施設に入居される方は少なくありません。日常生活は自立しているため、施設の選択肢が豊富です。

在宅介護を選択する場合は、訪問介護などのサービスを上手く活用するのが良いでしょう。

「LIFULL 介護」では全国38,000件以上の施設情報を掲載中。施設探しに悩んでいる方は窓口のスタッフがサポートします。

施設利用を検討中の方はぜひチェックしてください。

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この記事の制作者

高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

特別養護老人ホーム職員、通所介護事業所の相談員などを経て、現在は居宅介護支援事業所の管理者。業界13年目。現役のケアマネジャーとして業務するかたわら、フリーランスとしても開業。WEBライティング、介護事業所向けコンサルティング、Youtube生配信、広告デザイン(ブランディング)などの事業を受注。各種SNSでは介護業界を明るくするための発信活動を続けている

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