要介護3とはどんな状態?受けられるサービスやケアプラン例、要介護4との違い

要介護3とは、日常生活において全面的な介助が必要になる状態を指します。本記事では、要介護3の認定基準やケアプランの例、もらえるお金、要介護4との違いなどについて解説します。

要介護3の状態とは?

要介護3は、日常生活において全面的に介助が必要な状態です。

例えば入浴やトイレ、着替えにもサポートが必要。足腰はより不安定になってきて、自力で立ち上がることも難しい状態です。

厚生労働省によると、要介護状態は「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」と定義付けされています。

要介護は1〜5の段階に区別され、数字が大きくなるほどより長時間介護が必要な状態を指します。

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要介護3になると障害者認定される?

要介護認定をされたからといって、障害者に認定されるわけではありません。要介護と障害者の認定では根拠となる法律が異なるためです。

ただし、自治体によっては「障害者控除(および特別障害者控除)の認定基準」に要介護の状態を含めている場合もあり、間接的に要介護認定が関わることもあります。

これが税金の控除対象となる場合があります。要介護3の障害者控除については下記でさらに詳しく解説しています。

要介護3になると障害者控除が受けられる?

要介護3の認定基準

要介護3の認定基準は、厚生労働省による要介護認定等基準時間が「70分以上90分未満」であることです。

要介護認定等基準時間とは、介護にかかる手間や労力を時間で表したものを指します。

区分ごとに設けられた調査に回答することで、介護にかかる時間を計算して算出します。

「サポートが必要な時間」とは、介護保険法に定める「要介護認定等基準時間」と呼ばれるもので、要介護認定を行うための特殊なものさしによる評価です。したがって、実際に家庭や施設で行われている介護時間の合計を現すものではありません。

参考:要介護認定はどのように行われるか(厚生労働省)

要介護2・要介護4との違い

要介護2

・食事やトイレ、入浴に手助けが必要。

・立ちあがるときや歩くときは支えを必要とする。

・見だしなみや掃除など、身の回りのこと全般に見守りや手助けが必要。

・理解力の低下が見られることがある。

・立ち姿勢を保ったり、歩いたりするときに何らかの支えが必要。

要介護3

・トイレや入浴、服の着替えなどに全面的な介助が必要。

・身のまわりのことや家事ができない。

・自力で立ち上がったり歩いたりすることができない。

・立ち姿勢を保ったり、片足で立ったりすることができない。

・全般的な理解力の低下がみられることがある。

要介護4

・トイレや入浴、服の着替えなど日常生活の殆どに介助を必要とする。

・身のまわりのことや家事ができない。

・自力で立ち上がったり歩いたりすることができない。

・立ち姿勢を保ったり、片足で立ったりすることができない。

・両足で立っていることができない。

・多岐にわたり理解力の低下がみられることがある。

・生活全般にわたり介護を要する状態。

要介護3は要介護2に比べて、全般的な理解力の低下が顕著になります。

入浴や排せつの介助、服の着替えなど、日常生活全般にわたりサポートが必要です。足腰もさらに弱くなり、自力で立ち上がれなくなる方もいます。

要介護3の状態からさらに進んだ状態が要介護4です。介護なしで日常生活を営むことが難しく、全面的なサポートが必要。認知機能の低下により理解力・判断力も衰えてきます。

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要介護3で受けられるサービス

自宅で家事の世話や介護を受ける

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問入浴

訪問看護

訪問リハビリテーション

夜間対応型訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

施設に通って介護サービスやリハビリを受ける

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーション(デイケア)

地域密着型通所介護

療養通所介護

認知症対応型通所介護

訪問・通い・宿泊サービスを組み合わせて利用する

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

短期間のみ施設に宿泊する(ショートステイ)

短期入所生活介護

短期入所療養介護

施設に入居する

特別養護老人ホーム(特養)

介護老人保健施設(老健)

介護療養型医療施設

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

介護医療院

小規模な施設に入居する

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

福祉用具を使う

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

要介護の認定を受けた人は介護給付サービスを受けることが可能です。以上のサービスから自分に合ったものを利用することができます。

また、特別養護老人ホーム(特養)の入居対象者となるのも要介護3以上です。

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要介護3でもらえるお金は?

介護保険制度では、直接支援金が給付されることはありません。ですが、介護サービスを自己負担1〜3割で受けることができ、介護度ごとに上限金額があります。これを区分支給限度基準額と言います。(※自己負担の割合は本人もしくは家族の資産状況、収入に応じて変化します)

要介護3の支給限度額は270,480円になり、超過して介護サービスを受ける場合は全額自己負担となります。

例えば、要介護3で自己負担が1割の方の場合、サービス利用額が27,048円を超えた分は全額自己負担という具合です。(1単位=10円の場合)

介護保険の利用限度額については下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

関連記事介護保険サービスの自己負担割合はいくら?

要介護3の方のケアプラン例と介護にかかる自己負担額

在宅介護の場合

施設入居・入所の場合

在宅介護と施設入居で異なるため、それぞれの利用サービスや費用の例を詳しく解説します。

在宅介護の場合

利用しているサービス 回数/月 金額/回 金額/月
訪問介護

12

3,230円 38,760円
訪問看護 8 5,250円 42,000円
訪問入浴 4 14,270円 57,080円
訪問リハビリテーション 4 3,360円 13,440円
通所介護
(デイサービス)
8 9,610円 76,880円
短期入所生活介護 2 9,510円 19,020円
福祉用具貸与(車いす、ベッド等) - 定額 16,660円
合計 263,840円
自己負担
(1割の場合)
26,384円
参考:介護サービス公表システム

※試算額は、全国の利用実績の平均値を用いた概算です。
※負担割合が1割の方における概算です。
※利用する施設・事業所の所在地により定まった「地域区分」単価が適用されます。

上記の例の場合、訪問介護を週3回、訪問看護を週2回、訪問入浴と訪問リハビリテーションを週1回ずつ利用しています。さらにデイサービスに週2回通い、ショートステイも月に2回利用しています。

介護側の負担は避けられませんが、施設入居のケースと比較して、介護費用は抑えられます。要介護3の在宅介護については、下記でも触れています。

要介護3で在宅介護はできる?

施設入居・入所の場合

介護付き有料老人ホーム 特別養護老人ホーム(※1)

介護サービス費用

(1割負担の場合)

22,973円 27,415円(※1)
家賃・食費・生活費など 200,000円(※2) 112,940円
合計 222,973円 140,355円
参考:介護サービス公表システム

(※1)ユニット型個室タイプの場合です。また、介護サービス費用は別途追加される場合もあります。

(※2)LIFULL介護に登録している施設の月額費用相場です。

施設に入居する場合は、家賃や食費、生活費が発生する分、在宅介護に比べて費用は高くなる傾向にあります。

介護付き有料老人ホームで22万円程度、特別養護老人ホームで14万円程度かかるでしょう。

在宅介護と比べると費用負担は上がります。しかし、介護の大半をお任せできる点は大きなメリットといえます。

要介護3になると障害者控除を受けられるって本当?

障害者が所得税や住民税を納める際に、税金の軽減措置を受けることができる制度のことを障害者控除といいます。通常、「障害者手帳」などの証明書が必要となりますが、要介護1~5と認定された要介護者も同様の控除が受けられる場合があります。

要介護3に認定されると、特別障害者控除(40万円)を受けられる場合があります。所得税法では、要介護認定を受けた人に対する障害者控除を一律に規定しているわけではありません。ただし、「それに準ずるもの」として市町村長の認定を受けた場合は優遇措置を受けることができます。

控除を受けるには、各自治体の窓口へ「障害者控除対象者認定書交付願」の提出が必要です。
お住まいの地域の自治体のホームページ、国税庁ホームページなどで確認してみましょう。

要介護3で在宅介護は可能?

要介護3で在宅介護を行っているケースもあり、不可能ではありませんが、介護者に非常に大きな負担がかかります。

厚生労働省が2022年に発表した「国民生活基礎調査の概況」によると、要介護3の場合、同居の主な介護者が介護にあたる時間は、「半日程度」と「ほとんど終日」を足して53.8%となり、半数以上のケースで半日以上は介護をしているという調査結果が出ました。

先述の通り、要介護3では日常生活のほとんどの場面でサポートが必要なためです。

介護者も共倒れするリスクがあり、一人暮らしだと思わぬ事故が発生することも想定されます。

また、要介護3は、公的な介護施設である「特別養護老人ホーム」に入居ができる介護度です。負担やリスクを減らすために、施設入居という選択肢が現実的になってくる介護度とも言えるでしょう。

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施設別入居者の平均介護度

株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2020年)より

上記の「施設ごとの平均要介護度」を見ると、要介護1や2の段階で施設入居している方が多いことがわかります。

要介護3の状態は、十分に施設入居を検討するべき段階とも言えます。

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要介護3の施設別入居割合

要介護3の方の割合が最も高いのは、介護老人保健施設です。

介護老人保健施設は老健とも呼ばれており、入院などで寝たきりになってしてしまった人が自宅復帰を目指してリハビリを行うための施設です。

そのため、3ヶ月おきに状態を見て入居し続けるかどうかの審査が行われます。

特別養護老人ホーム(特養)のように終身で入居はできないことに注意が必要です。ほぼ同率で、特別養護老人ホームと高齢者向け賃貸住宅が続きます。

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要介護3の認定を受けるまでの流れ

1.お住まいの市区町村役場の窓口、または地域包括支援センターで要介護認定を申請

2.自治体から委託された認定調査員などが本人と面談

3.主治医の意見書を取得

4.一次判定(要介護認定基準時間の審査:コンピュータによる)

5.二次判定(認定審査会)

6.要介護認定が決定

一次判定は、認定調査員の調査結果をコンピュータで判定します。一次判定の結果とかかりつけ医師の意見書、各専門家による二次判定(認定審査会)を経た後に最終決定します。

申請〜結果通知までの時間は、およそ30日程度ですが、自治体によって2か月ほどかかる地域もあります。また、この認定結果には以下の有効期間があります。

期限が過ぎると介護保険サービスを利用できなくなるので注意しましょう。

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介護認定の有効期限

・新規の場合:6ヵ月

・更新の場合:12ヵ月

※前回の介護度と同じ介護度の場合:最大48か月

要介護3は周囲のサポートが必須。施設入居も検討しましょう

記事内でも解説したように、要介護3は、日常のほとんどの場面でサポートが必要になる状態。

介護サービスなどを活用しながら在宅介護もできますが、介護側にかかる負担は大きくなります。

共倒れを防ぐためにも、施設への入居を視野に入れるのがおすすめです。

「LIFULL 介護」では、全国38,000件以上の介護施設情報を掲載中。要介護3の方が入居できる介護施設特集も行っています。

施設利用を具体的に検討中の方から、興味がある方まで、ぜひチェックしてください。

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この記事の制作者

高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

施設職員、通所介護事業所の生活相談員、居宅介護支援事業所の管理者などを経験。業界14年目の現役のケアマネジャー。業務のかたわら、フリーコンサルとしても開業。介護事業所向けのコンサルティング、Webサイト制作や広告デザイン(ブランディング)などの依頼も受注開始。SNSでは「幸せに働く介護職を増やしたい」をモットーに、業界を明るくする発信を続けている。

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