介護保険制度とは?保険料はいつから支払う?仕組みや目的、対象者までわかりやすく解説
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介護保険制度は必要な方に介護サービスを提供すると同時に、介護者の共倒れを防ぐための大切な制度です。40歳になると保険料の支払いが始まり、生涯にわたって支払い義務が生じる一方、本制度について煩雑な印象を抱く方も少なくありません。本記事では、介護保険制度の概要や保険料、対象者、サービス内容などを網羅し、わかりやすく解説します。
介護保険とは?
介護保険は、介護が必要な方に介護サービス費用の一部を給付する公的な社会保険です。窓口で申請して要介護認定を受けると、デイサービスでの食事や入浴、訪問介護、福祉用具のレンタルなどのサービスを、所得などに応じて原則1〜3割の自己負担で利用できます。制度の運営主体(保険者)は全国の市区町村で、保険料と税金で運営されています。
介護保険制度の目的
介護保険制度の目的は、必要な介護サービスを提供し、介護が必要になってもできる限り自立した日常生活を続けられるよう支援することです。同時に、ご家族(介護者)の負担を軽減する役割もあります。高齢化が進み、介護が長期化する中で、介護者が限界を迎えてしまうケースは少なくありません。介護問題を家族だけで抱え込まずに、社会全体で支え合うための制度です。
介護保険制度の最新動向
介護報酬の臨時改定
介護報酬は通常3年に一度見直されますが、深刻な人材不足や物価高騰に対応するため、2026年度に臨時改定(期中改定)が行われます。本改定の大きな柱は、介護職員をはじめとする現場の処遇改善(賃上げ)です。ケアマネジャーや訪問看護などの職種も含め、働き手の給与水準を引き上げるための加算が拡充されます。また、施設における食費の基準費用額も引き上げられ、高騰する食材費にも対策しています。
介護情報基盤の移行開始
2026年度から移行が始まった介護情報基盤は、医療と介護の現場をつなぐネットワークシステムです。本人の同意のもとで、医師や看護師、ケアマネジャーなどが、過去の医療費や介護サービスの利用履歴、健診結果といった情報をオンラインで共有可能に。情報共有がスムーズになることで、ご家族や各所の負担が軽減されると同時に、一人ひとりに合った、切れ目のないケアを提供しやすくなります。ただし、すべての自治体で一斉に始まるわけではなく、利用できる内容や開始時期は地域によって異なります。
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介護保険の対象者
| 第1号被保険者 | 65歳以上の方 |
|---|---|
| 第2号被保険者 | 40歳~64歳までの方で医療保険の加入者 |
介護保険の加入者には第1号被保険者と第2号被保険者の分類があります。保険料の支払い義務は両者にありますが、介護保険サービスを利用できるのは、原則として第1号被保険者だけです。第2号被保険者は、国が定める特定疾病が原因で要支援・要介護認定を受けた場合に限り、サービスの利用対象となります。
介護保険における特定疾病とは?
|
・末期がん |
第2号被保険者が介護保険サービスを利用するためには、国が定めた特定疾病という病気が原因で、介護が必要になったと認められる必要があります。特定疾病には、末期がんや関節リウマチ、初老期における認知症、若年性アルツハイマー病、脳血管疾患など、加齢に伴って発生しやすくなる上記16種類の病気が指定されています。
介護保険の保険料はいくら?
介護保険料は一律で決まっているわけではなく、第1号被保険者か第2号被保険者かで異なります。また、会社員か自営業かを踏まえて、前年の所得をもとに計算されます。一般的には毎月数千円ほどのケースが多いものの、具体的な金額は市区町村や、加入している健康保険組合によっても差があります。詳しい金額や計算方法を知りたいときは、毎年届く通知書を確認するか、自治体のウェブサイトをチェックするのがスムーズです。
介護保険の保険料はいつから支払う?
40歳になる月を迎えると、介護保険料の支払いがスタートします。法律上の正確な基準は「誕生日の前日が含まれる月」からです。そのため、1日生まれの方は、誕生月の前月から納付義務が生じます。40歳〜64歳までの方は、新規での手続きは必要なく、加入している健康保険とあわせて徴収されます。
介護保険料はいつまで支払う?
介護保険料の支払い開始後は、亡くなるまで納める仕組みです。65歳になると、第2号被保険者から第1号被保険者に切り替わり、保険料の納め方も変更されます。年金受給開始後は、年金額から保険料が差し引かれる特別徴収か、口座振替や納付書で支払う普通徴収で納めます。
介護保険サービスの内容
| ・居宅介護支援 ・居宅サービス(訪問型サービス、通所型サービス、短期滞在型サービス) ・施設サービス ・福祉用具に関するサービス ・住宅改修 ・地域密着型サービス |
介護保険で使えるサービスは、自宅で受けるものから施設へ入居するものまで、多種多様です。あらかじめ全体像を把握することで、予算やご本人の希望に沿った介護計画を立てやすくなるでしょう。
居宅介護支援
居宅介護支援は、自宅での介護生活を支える役割を担うサービスです。専門知識を持ったケアマネジャーが、利用者の体調やご家族の事情に合わせてケアプランを作成します。デイサービスに通う頻度の調整や、訪問介護の手配などを代行してもらえるほか、ご家族の相談相手にもなってくれます。費用は介護保険から全額支給され、利用者負担はありません。
居宅サービス(訪問型サービス、通所型サービス、短期滞在型サービス)
居宅サービスは主に3タイプに分けられます。「訪問型」は、スタッフが家を訪れて掃除や洗濯などの生活援助をしたり、入浴や排泄の介助、看護を行ったりします。「通所型」は、デイサービスやデイケアなどに通い、食事やリハビリ、他の利用者との交流を楽しむものです。加えて、ご家族が一時的に介護できない場合に、施設に数日ほど泊まれる「短期滞在型」もあります。以上を組み合わせて利用し、無理のない在宅介護を実現するためのサービスです。
| 居宅サービス | ・訪問介護(生活援助、身体介護) ・訪問看護 ・訪問入浴介護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 |
|---|---|
| 通所型サービス | ・デイサービス ・デイケア ・認知症対応型通所介護 |
| 短期滞在型サービス | ・ショートステイ |
施設サービス
自宅での暮らしが困難な高齢者が、24時間体制のサポートを受けながら暮らせる環境を提供するのが施設サービスです。リーズナブルな費用で手厚い介護が受けられる「特別養護老人ホーム(特養)」など、介護保険の施設サービスとして以下の施設があります。日々の食事や入浴の介助に加えて、専門スタッフによる機能訓練や季節ごとのレクリエーションなど、全般的なケアを任せることが可能。ご家族の負担を大幅に軽減できます。
| 介護保険の施設サービス |
|---|
| ・特別養護老人ホーム(特養) ・介護老人保健施設(老健) ・介護医療院 |
福祉用具に関するサービス
在宅介護に必要な用具をレンタルできる、または購入費用を助成してくれるサービスです。介護保険を利用すると、車いすや介護用ベッド、歩行器、床ずれ防止用マットレスといった高額な用具を、原則1〜3割の自己負担でレンタルできます。また、ポータブルトイレや入浴用の椅子など、レンタルや再利用が難しい用具は、上限額の範囲内で購入費の支給を受けられます。
住宅改修
介護保険では、自宅の環境を整える工事費用も助成しています。手すりの取り付けや段差の解消、滑りにくい床材への変更、和式から洋式トイレへの交換などが助成対象です。最大20万円までであれば、原則1〜3割の自己負担で改修できます。事前の申請が必要なため、ケアマネジャーに相談して進めましょう。
地域密着型サービス
住み慣れた地域で最期まで暮らし続けられるようにサポートするのが、地域密着型サービスです。本サービスは、原則としてその市区町村の被保険者が利用できます。定員が少なくアットホームな雰囲気の「小規模多機能型居宅介護」や、認知症患者が専門スタッフと共同生活を送る「グループホーム」などがあります。地域とのつながりを保ったまま、きめ細かなケアを受けられるのが大きなメリットです。
介護保険サービスを利用するまでの流れ
| 1.要介護認定を申請する 2.認定調査の実施~主治医意見書の作成 3.判定~審査結果の通知 4.ケアプランの作成、または施設への申し込み 5.介護保険サービス利用開始 |
介護サービスを受けるには、まずお住まいの自治体での手続きが必要です。役所の窓口や地域包括支援センターで要介護認定の申請を行い、調査員による聞き取りや、かかりつけ医による意見書の作成へ進みます。調査結果をもとに介護の必要度が審査された後、自宅へ認定結果の通知が届く仕組みです。
認定後、在宅サービスを利用する場合はケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、計画に沿って介護サービスの利用が始まります。施設サービスを利用する場合は、希望する施設へ直接申し込む流れになります。

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介護保険サービスの利用時、施設入居はいつから検討するべき?
介護保険サービスの利用開始時、なるべく早い段階で施設入居を検討するのも1つの選択肢です。以下は「LIFULL 介護」が、調査時点から1年以内に介護施設や高齢者住宅に入居した方の近親者を対象に、「入居時の要介護度」と「入居前の在宅介護期間」を調査したデータになります。
入居時の要介護度では、「要介護認定なし」での入居が2割を超えており、全体の半数以上が「要介護1以下」で施設入居しています。この結果から、介護度が重くなってからではなく、比較的軽度な段階で在宅介護から施設介護への切り替えを決断しているケースが多いことが読み取れます。
また、在宅介護期間では、「自宅で介護していた期間はない」と答えた割合が23.5%を占めており、過半数が1年未満での入居となっています。また、前回調査と比較しても、全体的に施設入居時期の早期化が読み取れるでしょう。自宅で生活できる段階から、選択肢の一つとして施設入居を視野に入れることで、いざというときに慌てずに判断しやすくなります。


介護保険制度に関するよくある質問
Q.介護保険被保険者証とは?どこでもらえる?
A.介護保険被保険者証(介護保険証)は、介護保険サービスを利用する権利があることを証明する大切な書類です。65歳になる月に、お住まいの市区町村から自宅へ郵送され、特別な手続きはいりません。40歳〜64歳までの方は基本的には手元に届きませんが、特定疾病により要支援・要介護認定を受けた際や、発行を申請したタイミングで交付されます。
Q.介護保険における負担割合証とは?
A.介護保険負担割合証は、介護保険サービス利用時にご自身が支払う費用の割合(1〜3割)が書かれた証明書です。要介護認定を受けた方、65歳以上の方に交付されます。特段の手続きは不要で、所定のタイミングで郵送されます。自己負担の割合は前年の所得によって毎年見直されるため、新しい書類が届いたら必ず有効期限や記載内容を確認しましょう。
Q.介護保険における負担限度額認定証とは?
A.特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設やショートステイ利用時、食費や部屋代の負担を軽減してもらえる証明書です。所得や預貯金の額など、一定の基準をクリアしている方を対象とした制度で、施設利用費を大幅に抑えられます。本認定証は、お住まいの市区町村にある、介護保険の担当窓口へ申請することで受け取れます。
Q.介護保険制度のなりたちは?
A.高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして、2000年にスタートしたのが介護保険制度です。発足以前は、高齢者の体調が崩れると病院に長く入院せざるを得ないことに加えて、家庭内だけで看病を続けるご家族の肉体的・精神的な行き詰まりが社会問題化していました。こうした背景から、従来の医療や福祉の枠組みを見直し、必要な介護サービスを社会全体で支える制度として誕生しました。
Q.介護保険制度の財源はどこ?
A.介護保険制度を支える財源は、40歳以上の方が納める保険料と、国や都道府県、市区町村が負担する公費(税金)で賄われています。サービスを利用時に支払う1〜3割の自己負担金以外の金額は、本財源から事業者に支払われる仕組みです。
まとめ
介護保険制度は、介護が必要な方をサポートすると同時に、介護者の負担を軽減するための制度です。介護は突然始まるケースもあり、ご家族だけですべてを背負うと、心身に大きな負担がかかります。「まだ大丈夫」と思える段階であっても、在宅サービス、福祉用具、住宅改修、施設入居などの選択肢を知っておくことで、いざというときに判断しやすくなるでしょう。
もし、今後の生活に不安を感じたり、施設探しを始めようと思ったりしたときは、「LIFULL 介護」をご活用ください。お住まいの地域やご予算、要介護度といった条件をもとに施設候補を探すことができます。
介護保険について動画で見る
介護保険について、LIFULL 介護編集長・小菅が動画でご説明します。
【動画で見る】介護保険とはどんな保険?
介護保険で受けられるサービスについて動画で見る
イラスト:安里 南美
この記事の制作者

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)
有料老人ホームの入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。介護離職防止対策アドバイザー。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護や高齢期の情報発信を行う。2025年7月集英社より「幸せになれる老人ホーム探し~マンガでわかる高齢者施設~」発売。


