認知症の原因とは?ストレスとの関連性や進行速度も解説

認知症の原因は複数あり、原因毎に発症する症状も様々です。明確な治療法はまだ確立されていないため、原因を把握して効果的な予防策を打つことが重要。認知症患者さんとの向き合い方などにも触れているので、ぜひ参考にしてください。

認知症とは?

認知症とは、脳の障害や病気によって認知機能が低下し、ものをなくす、道に迷うなど日常生活に様々な影響が出ることです。記憶力や注意力が低下する軽度認知障害もあり、初期段階で見分けがつきにくいこともあります。具体的な症状例は次の通りです。

認知症の症状例

・直近の出来事を忘れる

・同じことを何度も言ったり聞いたりする

・すぐにものをなくす

・同じものばかりを買ってくる

・日にちや曜日が分からなくなる

・慣れた道でも迷う

・お風呂の入り方など毎日繰り返していた動作が分からなくなる

・状況判断ができない

・怒りっぽくなる

・不安にかられる

高齢者人口が増えている日本では、今後も認知症の患者が増えると予想されています。認知症についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

認知症の方も入居相談可能な施設を探す

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認知症の原因

脳の萎縮

脳機能の損失

ストレス

その他

認知症でどのような症状が出るかは原因によっても異なります。原因を適切に把握することは予防法を知るヒントにもなるので、ぜひ参考にしてください。

関連記事認知症の4つの種類とは?特徴と原因、症状や治療についても解説

脳の萎縮

脳は加齢などの要因で徐々に萎縮します。速度には個人差があり、ペースが早いとアルツハイマー型認知症の原因に。

また、アミロイドβ蛋白が溜まるとさらに進行し、脳の記憶をつかさどる「海馬」も萎縮することで、もの忘れなどの記憶障害が起きます。

アルツハイマー型認知症の詳しい症状や治療法は以下でも解説しています。

関連記事アルツハイマー型認知症の症状とは?原因から経過、治療までを解説

脳の萎縮によって起こる認知症

アルツハイマー型認知症

脳機能の損失

脳梗塞で脳の血管が詰まったり、怪我で脳の機能が低下したりして脳機能が損失すると血管性認知症の原因になります。

脳の機能が低下した部位のみに障害が起きるため、症状も出たり出なかったりと様々。これはまだら認知症と言われています。

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関連記事まだら認知症への対応

脳機能の損失によって起こる認知症

血管性認知症

ストレス

ストレス過多の状態が続くと血流が悪くなります。血流が悪くなると、脳に必要な酸素や血液が十分に届かず、加齢による脳の萎縮速度を早めます。

記憶を司る海馬も萎縮するため認知症の原因に。

ストレスによってうつ病になる可能性もあり、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の原因になることもあります。

ストレスによって起こる認知症

アルツハイマー型認知症、血管性認知症

その他

慢性硬膜下血腫や水頭症、脳腫瘍や病因たんぱく質が脳内に増えることも認知症の原因になります。

慢性硬膜下血腫や水頭症は頭を打つなどの外傷によって発症することも。

脳内に病因たんぱく質が増加して起きる認知症にはレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症があります。

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その他の要因で起こる認知症

レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症

認知症の進行速度

認知症の進行速度は人それぞれ違います。徐々に進行する方もいれば、症状が急変して進行ペースが上がる場合も。一般的には、アルツハイマー型認知症は8-10年のスパンで進行すると言われています。もの忘れなどが初期症状で現れ、進行すると介護が必要になります。

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認知症ともの忘れとの違い

認知症 もの忘れ
症状 ・食事したことを忘れる
・もの忘れの自覚がない
・ものをなくしたら、周りの人を疑うことがある
・何を食べたのかを忘れる
・もの忘れの自覚はある
・ものをなくしたら探そうとする

もの忘れは認知症の初期症状として現れやすいですが、加齢によるものと区別しづらいこともあります。まだら認知症の場合は症状が出たり出なかったりするケースもあるでしょう。そのため、自己判断せず専門医による診断を早めに受けることが重要です。結果、早期発見に繋がり進行を遅らせる可能性を高めてくれます。

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認知症の治療法

薬物療法

非薬物療法

認知症には主に薬物療法と非薬物療法の2つの治療法があります。

それぞれの特徴を把握して、最適な治療を模索するヒントにしてください。

薬物療法

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の場合は、薬物療法を用いることがあります。

脳血管性認知症の場合は抗認知症薬が効かないため、高血圧の治療を行うなど対症療法を行い、脳血管疾患の再発を予防します。

また、うつ病など精神面での治療が必要な場合は、抗うつ剤や睡眠薬、漢方薬を用いることも。

ただ、認知症患者の場合、薬の飲み忘れが起こる可能性があるため、周囲の人や家族のサポートが必要になります。

非薬物療法

薬を用いず、五感を刺激するようなリハビリテーションで、脳を活性化させる非薬物療法も有効です。

簡単な計算問題を解く、本の音読、園芸療法などがあります。そのほかに、アニマルセラピーや音楽療法によって不安な気持ちを軽減することも可能。

このようなリハビリテーションは家庭でも実践できますが、介護施設でも受けられます。

ご家族の介護負担軽減にもなるため、通所介護などでリハビリテーションを受けるのもよいでしょう。

また、老人ホームでもこうしたリハビリを行なっているところがあります。

認知症の予防方法

食事

運動

頭の体操

コミュニケーション

睡眠

認知症には予防に効果的とされているいくつかの対策があります。

食事

栄養バランスの良い食事をすることで脳に必要な栄養素を補えるため認知症の予防に繋がります。

過度な飲酒や高血圧、糖尿病なども認知症のリスクを高めるため、それらを防ぐにも健康的な食事が重要です。

運動

適度な運動は筋力低下を予防し、脳への刺激も促します。生活習慣病の予防になりますので、適度な運動を心掛けましょう。

週3回以上30分以上の運動を行うと、認知機能低下の可能性が低くなるとも言われています。

認知症リハビリについてより詳しく知りたい方は、こちらもお読みください。

運動療法

関連記事認知症のリハビリ|運動療法

頭の体操

計算やゲーム、読書、楽器演奏、ダンスなどは脳への刺激を促し脳の体操になります。

日頃から意識して脳トレを行うと認知症の発症リスクを減らすことができます。

下記の記事も参考に、生活に脳トレを取り入れたり、習慣化してみたりしてください。

関連記事認知症の予防方法

関連記事認知症予防におすすめの脳トレ

コミュニケーション

認知症の予防には、脳にへの様々な刺激が必要。食事や運動以外に、他の人とのコミュニケーションも大切です。

家族でも良いですし、近所のお友だちでも構いません。

会話やコミュニケーションにより脳が活性化されるため、認知症のリスク軽減につながるでしょう。

睡眠

人間は睡眠をとることで脳の中の老廃物を取り除けるようになっています。

そのため睡眠不足が続くと、脳内の老廃物が取り除けなくなるのです。

以上の理由から、睡眠不足の方は十分な睡眠を確保できている方と比べて認知症のリスクが高くなると言われています。

関連記事認知症予防に必要な習慣

認知症を持つ人との向き合い方

認知症を持つ人と向き合うときは、一番辛いのは本人であることを忘れず接することが大切です。

今までできていたことができなくなる、忘れることは本人にとって非常に大きな不安になっています。

暮らしやすいような生活環境を整えるなどサポートしましょう。

また、介護する方にも負担がかかり過ぎないよう、使えるサポートは利用することをおすすめします。

サポート窓口や介護時の心得などは以下で詳しく紹介していますので、ご覧ください。

関連記事ストレスを軽くする認知症の介護

関連記事地域包括支援センターとは

接するときのポイント

・叱ったり強く指摘したりしないようにする

・プライドを傷つけないようサポートする

・メモに残すなど生活環境を整えてあげる

・患者目線で物事を考える

認知症による資産凍結のリスクをご存知ですか?早めのご相談を

認知症により判断能力が不十分とみなされると、ご本人にもご家族にも預金がおろせない、不動産を売却できないなど、「資産凍結」に陥るリスクがあります。

備える方法を詳しくみる

早期発見や可能な限りの進行予防・対策を

認知症には原因によって様々な種類がありますが、いずれの場合も進行を予防・対策する鍵は早期発見です。

気になる症状がある場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。

今回の記事を参考に、規則正しい生活や適度な運動・脳トレなど、できることをコツコツ行って認知症を予防しましょう。

認知症患者との向き合い方についても触れましたが、介護する方たちのケアや休息も大切です。

訪問介護サービスを利用したり、施設入居を検討したりと外部の援助を受けることも選択肢に入れてみましょう。

「ライフル介護」では認知症患者の方も入居相談可能な施設を掲載中。

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この記事の制作者

石井道人

監修者:石井道人(医師)

ファミリークリニックあざみ野 院長

北里大学医学部卒。東京都立多摩総合医療センターで救急医療、総合診療を学ぶ。2013年より北海道・喜茂別町で唯一の医療機関に管理者として赴任。
乳幼児健診から看取りまで、町民二千人の健康管理を担う。2020年神奈川県横浜市にて開業。

日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医
日本救急医学会認定救急科専門医
日本内科学会認定内科医
日本医師会認定認知症サポート医

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