初老期における認知症とは?介護保険の対象になる?独自データから見る施設入居の必要性

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初老期における認知症とは、40代〜60代前半の若さで発症する認知症です。「特定疾病」の一つとして法律で定められており、介護保険サービスも利用できます。本記事では、初老期における認知症の定義や、若年性認知症との違い、受けられる支援などをご紹介します。実際の調査データを交えて、施設入居の必要性についても解説。介護の不安を解消するためのヒントにしてください。


 

初老期における認知症とは?

「初老期における認知症」とは、40歳から64歳までの人が発症する認知症を指します。介護保険サービスを受けられる「特定疾病」の一つとして法律で定められています。働き盛りで身体も動く年齢のため、ご本人やご家族が見過ごしてしまいがちです。単なる疲れやストレスによる物忘れだと思い込んだ結果、少しずつ生活や仕事に支障が出るケースも少なくありません。40代、50代で発症することで、経済的な問題にもつながりやすいです。

初老期における認知症と若年性認知症の違い

「初老期における認知症」と若年性認知症は発症時期で区別されます。厚生労働省による定義では、若年性認知症は65歳未満で発症する認知症全般を指します。一方、初老期における認知症は、40歳〜64歳で発症する認知症です。若年性認知症の中に「初老期における認知症」が含まれると言えます。

出典:厚生労働省「若年性認知症ハンドブック」(PDF)

初老期における認知症の種類

初老期における認知症には、複数種類の認知症が含まれています。代表的な病気や症状を簡単に解説します。

アルツハイマー型認知症

認知症のなかで最も多くみられる病気です。

脳にアミロイドβやタウタンパク質という物質が異常に溜まることで、脳全体が萎縮して発症します。また、若年性アルツハイマー型認知症の一部には、遺伝性のものもあります。

はじめは物忘れ(記憶障害)、日時や場所の認識ができない(見当識障害)、手順や計画が必要なことができない(実行機能障害)などの症状が見られます。進行すると服の着脱などの簡単な生活動作が難しくなり、5〜10年ほどで会話や身の回りのことができなくなって介護が必要となります。

根本的な治療薬はありませんが、進行を遅らせる薬が使われています。

血管性認知症

脳の血管が詰まったり破れたりして、脳梗塞や脳出血を起こしたことで発症する認知症です。男性に多く見られます。他の認知症と同様に記憶障害や見当識障害、実行機能障害などの症状が現れます。

これに加えて、運動麻痺や知覚麻痺などのさまざまな症状が現れます。できることと、できないことの差が激しかったり、1日のなかでも症状に波が見られたりします。ご本人が症状を自覚しやすい、感情のコントロールが難しいなどの特徴もあります。

根本治療はありませんが、リハビリテーションによってできなくなったことができるようになったり、いまできることができなくなるのを防いだりします。また、何より重要なのは、脳梗塞や脳出血の再発を防ぐことです。高血圧や糖尿病などの生活習慣病を持っている方は内科的治療(内服を続けるなどの治療)をきちんと継続しましょう。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉や側頭葉が萎縮(いしゅく:縮んで小さくなる)することで理性的な行動ができなくなったり、言葉を理解しづらくなったり、言葉が出にくくなったりなどの症状が現れます。初期のころは、記憶障害が目立たないことが多いです。進行すると無気力や無関心の症状が強くなり、行動の異常が見られることもあります。

根本の治療法はないため、症状を緩和させるための対症療法やケアが、治療の中心となります。患者さんの多くは40歳代から60歳代と、比較的若い年齢で発症します。

また、ピック病は前頭側頭型認知症の一つです。

レビー小体型認知症

中枢神経(脳の大脳皮質や脳幹など)や自律神経系などに「レビー小体」と呼ばれる異物が溜まり、その影響で神経細胞が壊されて発症します。

発症の初期には、記憶障害などの認知機能の低下はあまり目立たないことが多いです。その代わり、動作が遅くなる、歩き方が小刻みになるなどのパーキンソン症状や、幻視(見えないものが見える)、レム睡眠行動障害(大きな声ではっきりした寝言や寝ぼけ行動)、自律神経症状(立ちくらみや便秘など)など、多彩な症状が出てきます。

立ちくらみによる転倒や誤嚥性肺炎を引き起こすことで、介護や医療が必要になることもあります。根本的な治療法はなく、症状の進行を抑えるための薬を使用したり、リハビリテーションを行ったりします。
 

初老期における認知症の場合、介護保険サービスは利用できる?

40歳以上65歳未満の初老期における認知症は介護保険の特定疾病となっているため、条件を満たせば介護保険サービスを利用できます。

介護保険が利用できる条件

1 認知症の診断基準を満たす
・記憶障害や認知機能(言葉を使う、物事を判断する、計算するなどの脳の機能)の障害によって、さまざまな症状が出ている

・その症状によって、社会生活や仕事が困難になっている
2 外傷性疾患、中毒性疾患、内分泌性疾患、栄養障害を除く
認知症症状の原因が、事故やケガ、病気、栄養状態の悪化などによって起きたものではないこと。

介護保険の特定疾病として認められるためには、上記を満たす必要があります。

介護保険サービスを利用するには要介護度の認定を受ける必要があります。まずはお住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。

初老期における認知症で受けられる支援

初老期における認知症では、介護保険サービスだけでなく、精神保健福祉手帳の申請も可能です。取得すると税金の免除や減免、公共料金の割引、公営住宅の優先入居、各種手当の支給といった支援を受けることができます。また障害年金も受給できます。

初老期における認知症は働き盛りの年代で発症するため、必要に応じて経済的な支援を受けることも検討しましょう。支援を受けるためにはまず、診断を受けることが必要です。気になる症状があれば早期に、かかりつけ医に相談するのがおすすめです。

初老期における認知症では施設入居を検討するべき?

40代〜60代前半という比較的若い時期に認知症の診断を受けた場合でも、介護施設への入居は生活の質を上げるため、ご本人の安全を守るための選択肢の一つとして有効です。

以下は「LIFULL 介護」が実際に施設入居した方やご家族を対象に、入居のきっかけを調査したデータになります。「認知機能の低下のため」という理由は35.1%にのぼり、全体の2位を占める結果に。認知症の進行に伴う見守りの負担増加や、専門的なケアの必要性を感じて入居を決断するケースが多いことが読み取れます。

介護施設を選ぶ際には、若年性認知症の方を受け入れた実績のあるところを探すと良いでしょう。

出典:tayorini「老人ホーム入居のきっかけは?実態調査からわかる入居時期と必要な準備」

まとめ

気になる症状が見られても、本人に病気の自覚がなかったり、家族が認めたくなかったりして、認知症は受診につながりにくいものです。

また、初老期における認知症の診断には高度な診断技術が必要なため、判明までに時間がかかるケースも少なくありません。

そのため、多くの方が、認知症疾患医療センターという専門機関で診断を受けています。

心配なことがあればかかりつけ医に相談し、専門の医療機関を受診できるように、紹介状を作成してもらいましょう。

イラスト:坂田 優子

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この記事の制作者

矢込 香織

著者:矢込 香織(看護師/ライター)

大学卒業後、看護師として大学病院やクリニックに勤務。その後、メディカル系情報配信会社にて執筆・編集に携わる。現在は産婦人科クリニックで看護師として勤務をするかたわら、一般生活者のヘルスリテラシー向上のための情報発信を行っている。

noteKaori Yagome*看護師

Twitter@KaoriYagome

内海 久美子

監修者:内海 久美子(砂川市立病院 副院長・認知症疾患医療センター長)

NPO法人中空知・地域で認知症を支える会理事長、一般社団法人認知症疾患医療センター全国研修会代表理事も務める。
長年にわたり、医師として認知症の診断、治療の傍ら、地域に向けた啓発や関係者とのネットワークづくりに尽力。
「砂川モデル」として全国からも注目され、講演、取材、TV出演など多数。

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