認知症予防の5つのポイントとは?ゲームや脳トレなど対策まで

認知症は根本的な治療方法がないため、予防が非常に重要となります。認知症予防は様々な角度から行えるため、一人ひとりに合った方法を見つけることが大切です。ここではポイントから具体的な対策まで網羅的に解説するので、ぜひ参考にしてください。

認知症予防の重要性

認知症を発症すると健康面や日常生活全般にさまざまな支障が出るため、予防が重要です。認知機能が低下すると、多方面に影響が現れ活動量も減少します。次第に足腰が弱り転倒するなどケガのリスクも高まります。家にこもりがちになり、他者と関わる機会が減ると、さらに認知機能が低下する悪循環となります。

厚生労働省によると、2025年には65歳以上の認知症患者は約700万人に上るとされており、高齢者の約5人に1人が認知症になる予測です。また、65歳未満でも認知症を発症する若年性認知症や、認知症の一歩手前の段階をあらわすMCI(軽度認知障害)などのリスクもあるため、日々の生活で予防を実践する事が大切です。

参照:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(2020年)

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認知症予防5つのポイント

1.生活習慣病を予防・治療する

2.運動する

3.達成感を味わう

4.他人と交流する

5.ご本人が望んで生活に取り入れる

認知症予防をうまく生活に取り入れると、万が一発症しても進行がゆるやかになる傾向があります。生活の質を保つことにもつながるので、ぜひ実践してみましょう。

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1.生活習慣病を予防・治療する

血管性認知症やアルツハイマー型認知症は、糖尿病や脳血管障害など生活習慣の乱れからくる病気に起因することも多いもの。そのため生活習慣病の予防や治療をすることは、上記の認知症予防にもつながります。

2.運動する

運動は脳が刺激されて認知機能が向上するため、認知症予防につながることが多くの研究で明らかになっています。運動を習慣付けて、日頃から適度に身体を動かすことが大切です。

3.達成感を味わう

日常生活の中で、楽しさや達成感を味わうことも認知症予防に効果的。本人の気持ちも前向きになるでしょう。たとえば料理を作ったり、写真を撮ったり、日記を書いたりして後から振り返れるよう形にするのもいいでしょう。

4.他人と交流する

他者とのコミュニケーションも認知症予防に有効です。脳を刺激するほか、気持ちにも豊かさをもたらします。家族との会話、ご近所や自治会の交流、共同作業を行うなどの機会をもち、参加しつづけることが大切です。

5.ご本人が望んで生活に取り入れる

認知症予防で重要なのは、本人が無理なく楽しみながら継続できることです。ガーデニングやウォーキングなど本人の趣味を生活に取り入れて、習慣化できる環境を整えてあげましょう。

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「認知症予防の10カ条」とは?

  • 1. 塩分と動物性脂肪を摂りすぎないバランスのよい食事を
  • 2. 適度に運動を行い足腰を丈夫に
  • 3. 深酒とタバコは減らし規則正しい生活を
  • 4. 生活習慣病(高血圧、肥満など)の予防・早期発見・治療を
  • 5. 転倒に気をつけよう!頭の打撲は認知症を招くことも
  • 6. 何事もに興味と好奇心をもつように
  • 7. 考えをまとめて表現する習慣を
  • 8. こまやかな気配りをしたよい付き合いを
  • 9. いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに
  • 10. くよくよしないで明るい気分で生活を
参考:公益財団法人 認知症予防財団「認知症予防の10カ条」

「認知症予防の10カ条」は、認知症予防に効果的な10の生活習慣や方法をまとめたものです。以上の内容を実践することで、認知症の発症リスクを低減できます。末永く豊かで健康的な生活を送るためにも、ぜひ日常生活に取り入れてみましょう。

年齢別の認知症予防方法

20代~30代

40代~50代

60代以降

認知症の発症や重症化を防ぐには、年齢ごとに適した予防方法を実践することが重要です。若年層にも発症のリスクがあるため、気づいた時から予防に取り組みましょう。

20代~30代

20代~30代の方は、適度な運動を日常に取り入れたり、バランスの良い食事を摂ったりして規則正しい生活を意識しましょう。脳血管性認知症の大きな原因になる動脈硬化対策に有効です。逆に不規則な生活を送ると、将来的な認知症のリスクが高まります。仕事や家事において効率アップを工夫するなど、考えることを習慣付けるのも将来的な認知症対策に有効。

40代~50代

生活習慣病は認知症のリスクを高めるため、40代から50代の方は特に対策が重要です。なかでも、脳血管への負担が大きい高血圧や動脈硬化には十分注意しましょう。塩分の過剰摂取や喫煙、飲酒など、生活習慣病のリスクを高める食事や習慣はなるべく控えます。定期的に健康診断を受けたり血圧を測定したりして、自身の健康状態を把握するのがおすすめ。

60代以降

60代以降になると認知症のリスクがさらに高くなるため、禁煙をしたり運動を始めたりしてリスクを抑えることが重要です。禁煙や運動は60代から始めても決して遅くありません。また、認知症の疑いがあるときや不安を感じたときは、早めに医療機関を受診しましょう。万が一認知症でも、発見や治療が早いほど進行をゆるやかにできます。

認知症による資産凍結のリスクをご存知ですか?早めのご相談を

認知症により判断能力が不十分とみなされると、ご本人にもご家族にも預金がおろせない、不動産を売却できないなど、「資産凍結」に陥るリスクがあります。

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認知症に有効な具体策

食事メニュー

ながら運動「デュアルタスク」

テレビゲーム

囲碁や将棋

脳トレ

楽器の演奏

認知症予防に食事や運動が重要なことは先述の通りですが、具体的にどうしたら良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。食事や効率的な脳トレメニューなど、内容にフォーカスして解説します。

食事メニュー

  • 魚介類:サンマ、イワシ、サバなど
  • 野菜:キャベツ、ほうれん草、小松菜、人参など
  • 果物:ブルーベリー、イチゴ、キウイ、カキなど
  • 大豆:豆腐、納豆、味噌など
  • 飲み物:緑茶、ワイン
  • その他:ココナッツオイル、オリーブオイル

認知症の予防には、糖質や塩分を抑えつつ、栄養素が豊富な食事を積極的に摂りましょう。上記の食材は特に有効なので、バランスよく摂取してください。たんぱく質を豊富に摂りつつ、栄養が偏らないようにしましょう。過度な飲酒や喫煙もNGです。また、料理をする行為自体も認知症予防に有効なので、可能であればチャレンジするのがおすすめです。

ながら運動「デュアルタスク」

デュアルタスクは2つのことを同時に行うトレーニング方法で、高い認知症予防効果があります。デュアルタスクの具体例は下記のとおりで、日常生活で実践できるものがほとんど。積極的に取り入れてみましょう。

デュアルタスクの具体例

  • 洗濯物をたたみながら歌を歌う
  • 同時進行で複数のメニューの料理を作る
  • ウォーキングしながらしりとりする
デュアルタスク

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テレビゲーム

指を動かしながら思考したり、目で映像の変化を追ったりするテレビゲームは、脳が刺激されるため認知症予防につながると言われています。特に反射的な操作が求められるアクションゲームや、楽しみながら脳を鍛える脳トレ系のゲームがおすすめ。

囲碁や将棋

対戦相手の手や数手先の展開を考える囲碁や将棋は、記憶力や思考力が高められ脳を活性化できます。

また、対戦相手や同じ趣味を持つ人同士でコミュニケーションがとれる点も魅力です。サークルなどを探して参加してみるのもよいでしょう。

脳トレ

認知症予防に効果的な脳トレは、文字を書く、計算問題を解く、折り紙、塗り絵などです。思考力や判断力が高められ、さらに手指を動かすことで脳も活性化されます。脳トレは特定のトレーニングだけを繰り返すのではなく、幅広い分野のものを実践するとより効果が期待できます。

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楽器の演奏

指を使ったり息を吹き込んだりする楽器の演奏は、脳を刺激して活性化につなげられます。指を動かすこと、楽譜を読むことを同時に行うデュアルタスクでもあります。手にとりやすい楽器としては、小型で価格帯も低めなオカリナや鍵盤ハーモニカ、リコーダー、ハーモニカなどがおすすめです。

認知症の決定的な予防法はある?

現在まで決定的な認知症の予防法は確立されていません。認知症の発症には、生活要素以外にも多くの要因が絡むため、簡単に原因が判明しないケースが大半です。そのため、効果があるとされている予防やトレーニングも、研究対象の少なさや調査期間の短さなどの課題から、万全とは言い切れないようです。

ただし、まったく効果がないと明らかになったわけでもありません。1つの予防法の効果が証明されるまでには、長い調査期間が必要です。楽しく取り組めるものは積極的に試し、生活に取り入れるとよいでしょう。

生活習慣を見直して、積極的な認知症予防を

記事内で紹介したように、認知症は様々な角度から予防できます。食事や運動以外にも、趣味として継続しやすい料理やゲーム、楽器の演奏なども効果的。本人に合った認知症予防の実践は、健康的で充実した生活にもつながります。本記事を参考に生活習慣を振り返り、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。

万が一認知症を発症した場合は、施設に入居してリハビリを行う方法もあります。「LIFULL 介護」では、認知症の方も入居相談可能な施設情報を掲載中。認知症の進行が気になるなどの無料相談も可能なので、ぜひチェックしてください。

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この記事の制作者

伊藤たえ

監修者:伊藤たえ(医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドック 院長)

脳神経外科、脳卒中専門医として、都内クリニックにて脳ドック、頭痛、認知症、頭部外傷、脳卒中などの診療に励む。仕事も育児もがんばるママさん女医。

公式サイト赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドック

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