認知症スクリーニング検査「MMSE」とは?

MMSEとは、認知症が疑われるときに行われる神経心理検査のひとつです。

ここではMMSEの特徴や実施方法、改訂版長谷川式簡易知能評価スケールとの違いなどについて解説します。

MMSEとは?

MMSEは正式名称を「Mini-Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)」と言います。

認知症が疑われるときに行われる神経心理検査のひとつです。

認知機能の低下について評価するために行われます。国際的に用いられ、短時間で簡便に行えるという特徴があります。

また、認知症の重症度を簡易的に判断するために用いられることもあります。
 

MMSEでわかること

認知症が疑われるときには、問診・診察による病歴や症状の確認、神経心理検査による認知機能の評価、血液検査や画像検査による鑑別診断(認知症のほかに認知機能を低下させる原因がないかを確認すること)を行います。

MMSEはこのうちの神経心理検査のひとつです。どのような認知機能がどの程度低下しているか、客観的に確認することができます。

しかし、MMSEだけでは認知症の診断はできません。問診・診察や鑑別診断もしっかりと行った上で、総合的に認知症かどうかを判断していきます。
 

MMSEの実施方法

MMSEの所要時間は10〜15分程度です。検査は11項目で構成されていて、質問者から出される問題に一つずつ答えていきます。制限時間は1問10秒で、それを過ぎると次の問題に移ります。

テストは30点満点です。23点以下の場合は「認知症疑い」、24~27点の場合は「軽度認知障害(MCI)疑い」と判断することがあります。

ただし、この判断基準は年齢が考慮されていませんので、例えば65歳以下の若い方や超高年齢者の場合には一概に判断できないため、注意が必要です。

ここからは11項目の具体的な内容についてみていきましょう。

1.    時間に関する見当識:1点×5個

時間に関する見当識を評価します。ここでは季節や日付など、時間に関する見当識を測定する問題がいくつか出されます。

(例:「今日は何日ですか?」「今日は何曜日ですか?」)

2.    場所に関する見当識:1点×5個

場所に関する見当識を評価します。都道府県や場所について、いくつかの質問に答えます。

(例:「ここは何県ですか?」「ここは何地方ですか?」)

3.    聴覚言語記銘:1点×3個

ここでは、新しいことを覚える能力について確認します。質問者が3つの単語を言うので、その単語を繰り返します(1個1点)。

3つ全て答えられるまで行います(6回まで)。

(例:「梅、犬、飛行機」)

4.    注意と計算:5点

作業や動作に必要な情報を一時的に記憶する能力について評価します。暗算で特定の条件の引き算をする問題、または特定の単語を逆から言う逆唱課題が出されます。

計算問題では例えば、100から7を繰り返し引き算するように指示されます。

5.    再生:1点×3個

新しく覚えた記憶を保持し、思い出すことができるかを確認する項目です。

3.「聴覚言語記銘」項目で憶えてもらった3つの単語を答えてもらいます。

6.    呼称:1点×2個

ここでは物品の正しい名称を自分の記憶の中から思い出せるかを評価します。質問者が日常的にありふれた物品を提示するので、その名称を言ってもらいます。

(例:はさみを見せながら「これは何ですか」と質問する)

7.    復唱:1点

ある程度の長い文章を一時的に覚えていられるかをチェックします。文章が提示されるので、それを正確に声に出して繰り返します。

(例:みんなで力を合わせて棒を倒します)

8.    理解:1点×3段階

一度に複数の指示を理解して遂行できるか確認する項目です。3段階の命令が出されるのでそれを理解し、順番に実行します。

(例:「右手にハンカチを持つ」→「ハンカチを折りたたむ」→「ハンカチを質問者に渡す」)

9.  読字:1点

文章を理解する能力と、それを実行する能力を評価します。紙に書かれた文章を読み、そこに書かれた指示を理解して実行します。

(例:「手を握ってください」)

10.    書字:1点

この項目では、文章を正しく構成するための能力について確認します。どのような内容でも構わないので、自由に文章を書いてもらいます。

11.    描画:1点

目の前にある物の位置関係などの空間情報を把握して、それを再構成する能力をチェックします。ある図形を見せられるので、それと同じ図形を描きます。

(例:重なり合う五角形の図形をどれだけ正確に書き写せるかをチェックする)
 

改訂版長谷川式認知症スケールとの違い

認知症のスクリーニングテストにはさまざまな種類があり、検査の目的や所要時間などから適したものを選んで行います。

MMSEのほかに日本では、「改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」がよく使われていて、その質問内容のいくつかはMMSEと似ています。

ここではMMSEと改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の違いについてみていきましょう。

MMSE 改訂版長谷川式簡易知能評価スケール
(HDS-R)
所要時間 10〜15分程度 10〜15分程度
項目数 11項目 9項目
満点 30点 30点
認知症疑いとなる基準 23点以下 20点以下
軽度認知障害(MCI)
疑いとなる基準
24点以上27点以下
回答方法 口頭、記述、描画 全て口頭

MMSEは見当識や記憶力・注意機能以外にも、口頭指示を理解する・文章を理解する・書くなどの言語能力と、図形を見ながら模写する構成能力(視空間認知能力)などの認知機能も評価できます。

一方、改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)はMMSEに比べて記憶力に重点が置かれています。

また、MMSEは世界各国で活用されていますが、改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は日本でのみ使用されています。
 

実施希望があればかかりつけ医へ相談を

MMSEは医療機関で実施するテストです。

また健康保険が適応されるので、3割負担であれば240円、2割負担は160円、1割負担は80円で受けることができます。

認知症が心配でテストを受けたいときには、まず受ける必要があるかの判断が必要ですので、かかりつけ医に相談しましょう。

イラスト:坂田 優子
 

この記事の制作者

矢込 香織

著者:矢込 香織(看護師/ライター)

大学卒業後、看護師として大学病院やクリニックに勤務。その後、メディカル系情報配信会社にて執筆・編集に携わる。現在は産婦人科クリニックで看護師として勤務をするかたわら、一般生活者のヘルスリテラシー向上のための情報発信を行っている。

内海 久美子

監修者:内海 久美子(砂川市立病院 副院長・認知症疾患医療センター長)

NPO法人中空知・地域で認知症を支える会理事長、一般社団法人認知症疾患医療センター全国研修会代表理事も務める。
長年にわたり、医師として認知症の診断、治療の傍ら、地域に向けた啓発や関係者とのネットワークづくりに尽力。
「砂川モデル」として全国からも注目され、講演、取材、TV出演など多数。

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