夜間対応型訪問介護の特徴や費用、利用手順まで解説します

夜間対応型訪問介護は、夜間の時間帯に提供される訪問介護サービスです。

在宅で過ごす要介護者が、夜間も安心して生活できるように、介護スタッフが定期的に訪問する「定期巡回訪問サービス」と、利用者から通報を受けて都度訪問する「随時対応サービス」があります。

このページでは、サービスの内容と利用のしかた、費用などについて詳しく解説します。

夜間対応型訪問介護は、こんなときに便利

要介護者や介護をする家族にとって、夜間にはさまざまな不安があります。夜間対応型訪問介護は、下記のようなニーズに沿って夜間の安心を提供できるサービスです。

一人暮らし高齢者の夜間の介護(離れて暮らす家族も安心)
就寝準備、夜間のトイレ介助またはおむつ交換、寝返り介助、室温の調整、バイタルチェック、起床準備、安否確認など
夜間に何かあったときの対応
転倒や体調の変化など夜間に何かあったときの連絡先、緊急時のヘルパーの訪問、救急車の手配など
家族の夜間の介護負担の解消
家族が出張や残業をしたときの対応、老老介護や子育てと介護のW介護世帯の夜間の介護負担軽減、転倒した要介護者の立ち上がり協力など

利用できる方の条件

夜間対応型訪問介護は地域密着型サービスのため、原則としてその市区町村に住んでいる要介護の認定を受けた人が利用できます

夜間対応型訪問介護のサービスを利用できる方の条件は以下の通りです。

利用できる人

・要介護認定で「要介護者1~5」と認定された方
・利用する事業所と同一市区町村に住んでいる人

利用できない人

・要介護認定で「自立」や「要支援1・2」と認定された方
・利用したい事業所とは別の市区町村に住んでいる人(但し、保険者の同意があれば他市区町村の住民も利用可能な場合もあり)
・グループホームや、有料老人ホームなどの特定施設に入所している人
・(看護)小規模多機能型居宅介護やショートステイを利用中の人

サービス内容

夜間対応型訪問介護は、下記の3つのサービスを一括して提供しています。

定期巡回サービス
夜間に定期的に利用者の居宅を巡回して介護サービスを提供します。
随時対応サービス
オペレーションセンターなどから連絡を受け、ヘルパーが訪問し介護サービスを提供します。
オペレーションセンターサービス
利用者からの通報を受けてヘルパーを訪問させる、などの対応を判断します。

利用者は、必要に応じて「定期巡回サービス」と「随時訪問サービス」のどちらも利用することができます。

なお、利用者がオペレーションセンターなどに通報するために、「ケアコール端末」を持つことがこのサービスを提供する条件になっています。

「夜間」とは何時から?

このサービスにおける「夜間」とは、夜10時から朝6時までを含む時間帯であり、実際のサービスの提供時間は各事業所で設定することができます。

ただし、朝8時から夕方6時までの時間帯をこのサービスに含むことはできません。

定期巡回サービス

あらかじめケアプランで決められた時間に、訪問ヘルパーが利用者宅を巡回し、1回の訪問は30分間を目安に、排せつ介助や寝返り介助などの身体介護、安否確認などを行います。

随時対応サービス

転倒して起き上がれないときや、急に具合が悪くなるなどの異変などがあったときに、利用者のケアコール端末からの通報に応じて、ヘルパーが随時訪問するサービスです。

1回の訪問は30分が目安となっており、サービス時間帯内であれば何度でも利用できますが、その都度料金がかかるので注意が必要です。

なお、夜間対応型訪問介護では医療面の対応も必要とされる場面が想定されることから、サービスを提供する介護事業者は、訪問看護ステーションや主治医との連携を確保するようになっています。

オペレーションセンターサービス

オペレーションセンターサービスとは、利用者からの通報を受けたオペレーターが、利用者の状況に応じてヘルパーの派遣や、主治医への連絡、救急車の手配などを判断します。

オペレーターになる人は、看護師や介護福祉士のほか、医師、保健師、社会福祉士、准看護師、そしてケアマネジャーなどの資格取得者です。

随時訪問サービスの通報窓口となることもあれば、現在起きていることへの対処方法を伝えたり、時には不安なことの話し相手になる事業所もあるようです。

利用者には介護事業所から通報に使用する「ケアコール端末」が配布されます。

ケアコール端末とは、ボタンを押すなどの簡単な操作により、オペレーションセンターなどに連絡できる機器です。設置は電話回線があれば業者が無料で取り付け工事をします。

オペレーションセンターには利用者の健康データが蓄積されています。利用者からの通報があったときは、オペレーターがその健康データを確認し、対応を判断します。

なお、夜間対応型訪問介護の利用者が少なくて、訪問ヘルパーが利用者からの通報に十分対応できる状態である介護事業所では、オペレーションセンターを設置しなくてもよいことになっています。

ただし、介護事業所と利用者の間に密接な関係があり、定期巡回サービスを行う訪問ヘルパーが利用者から直接通報を受けたときに十分な対応が可能である場合とされています。

また、オペレーションセンターを設置しない介護事業所であっても、事業所側にオペレーションセンターが使用する通信機器に相当するシステムと、利用者へのケアコール端末の配布は必要です。

つまり、夜間対応型訪問介護は、利用者にケアコール端末を持ってもらうことが大きな特徴で、利用者からの通報の際に、一般の電話や携帯電話は認められていないのです。

サービスにかかる費用

夜間対応型訪問介護は、オペレーションセンターを設置する事業所を利用する場合と、設置しない事業所を利用する場合とでは、利用料金が異なります。

設置する事業所を利用する場合は、月額基本料金に、訪問回数ごとに加算された料金を支払います。設置しない事業所を利用する場合は、月額定額制です。

なお、ケアコール端末の貸与料、設置料、保守料などの利用者による費用負担はありません。

オペレーションセンターを"設置する"事業所を利用する場合
月額基本料金:1,025円 + 利用回数や事業所の対応により以下が加算
・定期巡回(1回386円)
・随時訪問・ヘルパー1人(1回588円)
・随時訪問・ヘルパー2人(1回792円)
・24時間通報対応加算(1回610円)

※以上、自己負担額1割の場合
※以上の単価は標準値であり、地域によって若干異なる

利用する回数ごとに料金が加算されるため、ひと月に何度も利用すると支給限度額を超える可能性もあるので注意が必要です。なお、夜間に他の訪問介護の併用は可能です。

オペレーションセンターを"設置しない"事業所を利用する場合
訪問ヘルパーなどが、利用者からの通報を直接受ける体制のサービス事業所を利用する場合は、1か月の定額料金で月額2,800円になります。
※自己負担1割の場合。金額の目安のため、地域により若干異なります。
月額制のため、夜間にほかの訪問介護を併用することはできません。

※2021年4月更新

利用方法の流れ

夜間対応型訪問介護を利用したいときは、まずケアマネジャーに相談して夜間に介護サービスが必要であることを伝えます

ケアマネジャーは、利用者の状態を把握してから、介護給付の支給限度額、サービス提供事業者の選択、そしてサービスの内容や回数を検討し、適切なケアプラン(夜間対応型訪問介護計画)を作成します。

利用者は、ケアプランを承認後に夜間訪問介護事業者と契約し、ケアコール端末を受け取りサービスが開始されます。

まとめ

夜間対応型訪問介護は、夜間の介護の強い味方です。昼間の介護サービスと組み合わせることで、24時間体制のサービスが可能となります。

通報システムがあることがこのサービスの大きな特徴です。オペレーションセンターがある場合は、不安のある夜間にケアコール端末のボタンを押せば、オペレーターが話し相手をしてくれる事業所もあるようです。

なお、夜間に利用者宅にヘルパーが来てもらうサービスは、夜間対応型訪問介護のほかに、通常の「訪問介護」の夜間・早朝・深夜利用や「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。

ケアマネジャーとよく相談して利用者のニーズに最も適したサービスを選ぶようにしましょう。

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この記事の制作者

浅井 郁子

著者:浅井 郁子(介護・福祉ライター)

在宅介護の経験をもとにした『ケアダイアリー 介護する人のための手帳』を発表。
高齢者支援、介護、福祉に関連したテーマをメインに執筆活動を続ける。
東京都民生児童委員
小規模多機能型施設運営推進委員
ホームヘルパー2級

森 裕司

監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

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※HOME’S介護は、2017年4月1日にLIFULL 介護に名称変更しました。

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