口腔ケアの効果とは|誤嚥性肺炎や認知症予防にも

インフルエンザ予防効果

口腔ケアの効果|歯周病・誤嚥性肺炎・認知症・心臓病や糖尿病の予防など

① 虫歯・歯周病の予防

歯と歯の間・歯の付け根部分や、歯と歯ぐきの境目に歯垢が溜まると虫歯や歯周病を引き起こします。口腔ケアでむし歯や歯周病予防の期待ができます。

②誤嚥性肺炎の予防

日本人の死亡原因の3位である肺炎(※1)の中でも、特にご高齢者に多い誤嚥性肺炎は、唾液や飲み物、食べ物が誤って気管から肺に入り込んでしまう誤嚥の際に口腔内の細菌が肺に入ってしまうことで起きます。

口腔ケアで口腔内細菌数を減らし、飲み込みの機能を維持向上することで誤嚥性肺炎を発生率を下げる効果が期待できます。(※1平成28年厚生労働省発表資料)

③唾液の分泌を促す

要介護の方の多くが口の機能が低下し、内服薬の副作用などにより唾液が出にくくなり口腔内が乾燥しがちです。また唾液が口の中をきれいに保つ自浄作用も低下しています。

口腔ケアでお口の中を刺激することで唾液が出やすくなります。

④ 口臭の改善

口臭の改善

虫歯や歯周病が進行している場合や、舌の表面に汚れが付着すると(舌苔)口臭の原因になります。

口腔ケアを行い、歯と歯茎の境目や舌、頬などを優しく擦り口の中を清潔に保つことは口臭を予防できます。

⑤ 味覚の改善

舌に厚く舌苔が付着したり、口腔乾燥が進むと味覚が鈍くなってしまいます。舌ブラシ、口腔ケア用ティッシュなどを使用して舌をきれいにし、口腔内が潤ってくると味覚の改善効果があります。

⑥食前のケアで覚醒を促し食べる前のウォーミングアップ効果

寝たきりで重度の要介護高齢者の場合は口腔ケアの刺激により、覚醒を促し、生活リズムを作る効果があります。

口腔ケアは食後に行うイメージが強いですが、このような場合は、食事前に行うと口の中がきれいに爽やかになり、唾液で潤い、食べるための口の動きのウォーミングアップにもなります。

⑦ 認知症の予防

歯がほとんどなく入れ歯を使用していない人は20本以上歯が残っている人に比べて1.9倍、あまり噛めていない人は何でも良く噛める人に比べて1.5倍、認知症になる確率が高くなるというデータがあります。

歯を大切にする口腔ケアで歯を失わないようにしていきましょう。

⑧心臓病や糖尿病の予防

歯周病菌が血中に入り込むことで心内膜炎、心筋梗塞や狭心症など心臓病を引き起こすリスクが高まると言われています。

また歯周病が悪化すると糖尿病も悪化する相関関係もあります。口腔ケアで歯周病菌を減らしていきましょう。

⑨インフルエンザの予防

口は食べ物の入り口だけでなく、細菌やウイルスの入り口にもなります。

ある介護施設で高齢者を対象に、歯科医師や歯科衛生士が専門的な口腔ケア(口腔清掃や清掃の指導)を実施したところ、通常の口腔清掃だけをしていた施設に比べ、予防接種の有無にかかわらずインフルエンザの発症が10分の1に抑えられた、という報告があります。

インフルエンザ予防効果

このように口腔ケアは虫歯や歯周病予防、誤嚥性肺炎の予防や、全身の健康を守るためにとても大切です。

それだけでなく、おいしく食事が食べられ、会話を楽しむことは「その方らしい生活」を送り続ける生きがいにもつながります。

この記事の制作者

篠原 弓月

著者:篠原 弓月(訪問歯科衛生士、東京医科歯科大学口腔保健科非常勤講師、日本歯科大学東京短大非常勤講師)

東京医科歯科大学附属歯科衛生士学校卒業後、一般歯科医院での臨床経験を積み、訪問での歯科診療に携わる。2017年「口腔栄養サポートチーム レインボー」を立ち上げる。著書に「歯科衛生士のための訪問歯科ハンドブック」などがある。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
日本歯科衛生士会 在宅療養指導・口腔機能管理認定歯科衛生士
日本歯科衛生士会 摂食嚥下リハビリテーション認定歯科衛生士

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