【はじめての方へ】口腔ケアを始める前に
口腔ケアをする前に、「これから歯磨きをしましょう」などの声掛けを必ずします。
いきなり口を触ったりしないようにしましょう。体の中心から遠い場所、手を触れて合図をしてから始めるのが良いでしょう。
お口はとてもデリケートなところです。声掛けや話をして要介護者がリラックスしていることを確認してから口腔ケアを開始します。
誤嚥性肺炎にも注意して口腔内をチェック
話をするときに事前にお口の痛みや悩みがないかなども聞いておくとよいでしょう。
介助磨きの時は始める前は歯、歯茎だけでなく粘膜や舌、のどなど口のなかの各部分を注意して観察することが大事です。
口腔ケアをすると唾液が良く出ます。誤って喉に唾液やケア中の汚れた液体が流れてしまうと誤嚥する危険があり、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあります。口腔ケアをするときは姿勢などの環境を整えてから始めるようにしましょう。
口腔ケア時の姿勢
可能であれば椅子に深く腰掛けて頂き安定した状態で口腔ケアをしましょう。座った状態で顎を引けば唾液やケア中の汚れた液体の誤嚥の可能性は少なくなります。
車いすの場合は安定した姿勢が保てるようフットレストを外して床に足をつける、倒れてしまう時はバスタオルやクッションなどで姿勢を保ちます。
顔(顎)が上がらないよう少し下向きで行います。座位をとることができない場合はベッド上で行います。
ベット上では45度から60度起こした姿勢が良いとされています。そのような姿勢が取れない場合は要介護者がむせない楽な横向き姿勢を取ります。
同時に介護者が口腔ケアを行いやすい無理のない姿勢をとることも重要です。
麻痺がある方の口腔ケア
お口に麻痺がある方はケア中に唾液やケア中の汚れた液体が口の外に流れ出る場合があります。できるだけ洗面台に近づいて座ったり、タオルなどを胸元に置くと良いでしょう。
上半身が起こせない方はベッドを上げて麻痺側を上にして側臥位にして介助磨きをします。そうすることで唾液やケア中の汚れた液体がのどに流れ込まないようにします。
その方の体の状態で無理の無いよう、疲れない範囲で安心、安全に行えるよう準備をしてから口腔ケアを始めましょう。
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この記事の制作者
著者:村西 加寿美(訪問歯科衛生士)
京都歯科医療技術専門学校 卒業。同校 歯科衛生士科専任教員に就任、その後一般歯科医院で臨床経験を積む。平成12年より光吉歯科医院 訪問専任歯科衛生士として勤務。
日本歯科衛生士会 在宅療養指導・口腔機能管理認定歯科衛生士。
日本歯科衛生士会 摂食嚥下リハビリテーション認定歯科衛生士。
NPO法人 摂食介護支援プロジェクト 嚥下トレーナー。