寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは?評価基準も解説

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)は、高齢者が日常生活でどの程度自立して暮らせるかを表す指標です。介護サービスを利用する際にも使われ、寝たきり度によって受けられるサービスも異なります。評価基準も解説するので、参考にしてください。

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寝たきり度とは?

寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とは、障害高齢者が身の回りのことを自分でどれくらいできるかを評価したものです。厚生労働省が定める基準であり、さまざまなシーンで用いられます。寝たきり度が重いほど身体機能が低くなり、介護負担が増えます。

なお、似たような言葉に「認知症高齢者の日常生活自立度」がありますが、両者はそれぞれ別物です。認知症高齢者の日常生活自立度については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事認知症高齢者の日常生活自立度とは?表でわかりやすく解説

概要

寝たきり度
(障害高齢者の日常生活自立度)

身体機能の低下による日常生活への影響を評価する
認知症高齢者の日常生活自立度 認知症による判断力・思考力の低下に伴う日常生活への影響を評価する

寝たきり度の活用シーン

  • 要介護度の認定調査
  • 介護サービスの計画書作成

障害高齢者が介護サービスを受けるには「要介護認定」が必要です。要介護認定の判定にあたり、介護事業者やケアマネジャーが寝たきり度を用います。

また、施設や在宅で介護を受ける際も、寝たきり度を参考にケアプラン(計画書)が作られます。客観的にどれくらいの支援が必要か、どのような方針で介護を進めるのかを判断するためにも重要な情報です。

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関連記事【はじめての方へ】ケアプランとは?作成方法や注意すべき点

寝たきり度の評価基準

生活自立度 ランク 判定基準 特徴
生活自立 ランクJ

何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
1. 交通機関等を利用して外出する
2. 隣近所へなら外出する

・ほとんどのことを自分で行える
・外出も一人でできる

準寝たきり ランクA

屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない
1. 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
2. 外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている

・家のことはほとんど行える
・外出は付き添いがないと危険

寝たきり ランクB

屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が
主体であるが、座位を保つ
1. 車いすに移乗し、食事、排せつはベッドから離れて行う
2. 介助により車いすに移乗する

・1日のほとんどをベッドで過ごす
・室内でも介助が必要
・移動は車椅子が必要
・座って食事や排せつができる

ランクC

1 日中ベッド上で過ごし、排せつ、食事、着替において介助を要する
1. 自力で寝返りをうつ
2. 自力では寝返りもうてない

・1日中ベッドで過ごす
・食事の介助が必要
・おむつや尿器を使用している

参照元:厚生労働省「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」

ランクJはもっとも自立度が高く、ランクCへ行くにつれて低くなります。上記表の判定基準や特徴を参考に、サポートの程度や介護サービス、施設利用の有無を決めると良いでしょう。

基準内にある「何らかの障害」とは、病気やケガまたは後遺症、老衰によって身体機能が低下した状態を指します。例として次のようなものが挙げられます。

寝たきり度の評価基準における障害の一例

  • 脳血管疾患の後遺症
  • 骨折
  • 高齢による衰弱
  • 関節疾患

寝たきり度を評価するポイント

  • 外出や自宅内での移動に関わる「状態」に着目する
  • 補装具や自助具を使用した状態で判定しても差し支えない
  • 状態の変化があるなら直近一週間でのより多く見られる「頻度」で判断をする

寝たきり度は基本的に、ベッドから起き上がり自分で移動ができるかが評価の大部分を占めます。

着目するのは能力ではなく状態です。補装具や自助具を使用していても、状態によっては自立していると認められます。例えば、歩行補助つえを使ってひとりで外出できる状態なら、歩行能力は十分でなくてもランクJと判断される可能性があります。

※その他の状況もあるため、必ずしもこの判定になるとは限りません。

また朝昼夜等の時間帯や体調等によって能力の程度が異なる場合は一定期間(過去1週間)の状況において、より頻回に見られる状況(頻度)で判断をします。

寝たきり度判定時の注意点

健常高齢者は対象外
一定期間の状況を基に判断されるケースも

寝たきり度の判定にはいくつか注意点があります。判定が下りない場合は利用できるサービスも変わってくるので、事前に確認しましょう。

健常高齢者は対象外

寝たきり度の判定基準は「何らかの障害を有する人」を対象として作成されているため、健常高齢者は対象となりません。

健常高齢者とは、何の障害も持っていない方のことです。公的な介護施設等には入居できないため、寝たきり度での評価が必要ないサービスを利用することになります。

一定期間の状況を基に判断されるケースも

パーキンソン病など、時間帯や体調で状態にムラがある場合は、一定期間の状況を総合して判断します。

薬を飲んでからの時間や体調で症状が軽くなったり重くなったりするため、ある程度の期間を観察します。判断期間は概ね1週間です。

寝たきりの状態で利用できる介護施設

特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護医療院
介護付き有料老人ホーム

寝たきり度によって必要なサポートが違うため、利用できる施設も異なります。状態に合わせた施設選びが重要なため、実際に施設を探す前に知識を得ておきましょう。

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特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)は、介護が必要な方に介護サービスと生活の場を提供する施設です。公的な施設なので比較的費用が安く、看取りの対応も可能ですが、地域によって入居までに時間がかかることも。下記の記事でさらに詳しく解説しています。

関連記事【はじめての方へ】特別養護老人ホーム(特養)の特徴と入居条件とは?

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、主に医療的ケアやリハビリを必要とする方が入居する施設です。自宅復帰が最終目標なので、期間は概ね3〜6ヶ月程度と定められています。医師や看護師に加え、理学療法士など各分野の専門職がいるのが大きな特徴。

関連記事【はじめての方へ】介護老人保健施設(老健)とは

介護医療院

介護医療院は医療サービスと介護サービスの両方を提供している施設です。長期療養や看取りにも対応しています。

対象者が要介護1〜5までと幅広い点も特徴です。医療的ケアが必要で、特別養護老人ホームや老人ホームでは対応できない方に適しています。

関連記事【はじめての方へ】介護医療院|医療的ケアが必要な人も長期利用できる介護施設

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが常駐している民間の介護施設です。入浴や排せつといった介助だけでなく、洗濯や掃除など生活支援サービスも受けられます。

サービス内容は施設により異なり、費用にも幅があるのが特徴。サービスが充実している施設であれば費用も高くなるので、予算を考慮して選びましょう。

関連記事【はじめての方へ】介護付き有料老人ホームとは

寝たきり度を適切に理解し、最適な介護サービスの選択を

一口に寝たきり度と言ってもランクによって状態は様々。必要なサポートも異なります。介護者に負担が掛かりすぎては共倒れのリスクが高まり元も子もありません。介護サービスや施設利用など、外部のサービスを活用しましょう。

どのようなサービスを利用するか判断するうえでも、寝たきり度は基準になるので、ぜひ本記事を活用してください。

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イラスト:安里 南美

この記事の制作者

山本 武尊

監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)

地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。

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