独身だからこそ知っておきたい!老人ホームにかかる費用

独身の老人ホーム入居

会社を退職し年金生活が始まる老後生活に、一体いくらお金が必要なのか、誰しもが気になることでしょう。

ここでは独身の人が老人ホームを利用する場合に必要となる資金について解説します。

独身者が老後に必要な資金

厚生労働省のデータによれば、65歳以上(退職後)の独身者の1ヶ月あたりの平均家計収入は約13.6万円、1年で約164.3万円です。(※)

老後を65歳〜85歳までと仮定すると、独身者の老後の資金は3,280万円程度でしょう。しかしこの金額に対し、支出の平均は収入を多少上回っています。

そのため老後の資金不足に陥らないよう、老後の金銭面についてはしっかり検討し、計画的に生活していく必要があります。

また金銭面だけでなく、どのようなライフスタイルを送りたいかについても、早めに考えておいたほうがいいでしょう。

独身者に限った話ではありませんが、老後ひとりで自宅で倒れた時に救急搬送が遅れるといったことがないよう、安心して老後生活を送れるよう備えることが大切です。

その一つの選択肢として挙げられるのが、介護施設や老人ホームへの入居です。

そのため老人ホームの利用にかかる費用についても、老後に必要な資金として下調べしておいたほうがいいでしょう。

ここからは独身者が老人ホームに入居した場合に必要となる費用について紹介していきます。

※参考:家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支

老人ホーム・介護施設の種類

介護施設・老人ホームには様々な種類があり、施設によってサービス内容や費用も大きく異なります。

そのためどのような老後を送りたいのか、また自身の経済状況を考慮したうえで、老人ホームや施設を選ぶことが充実した老後を送るために重要です。

まずはどのような種類があるのか解説していきます。介護施設や老人ホームは、公的施設と民間施設に分けることができます。

公的施設

民間施設・住宅

特別養護老人ホーム

介護老人保健施設

介護医療院/介護療養型医療施設

軽費老人ホーム(A型/B型/ケアハウス)

介護付有料老人ホーム

住宅型有料老人ホーム

健康型有料老人ホーム

グループホーム

サービス付き高齢者向け住宅

シニア向け分譲マンション

社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設

公的施設は、地方自治体や、自治体から助成金を受けた社会福祉法人、医療法人が運営している施設で、社会福祉の観点から介護の必要性が高い人や低所得者の支援を重視しています。

公的な老人ホーム・介護施設には以下のような種類があります。

施設の種類

特徴

特別養護老人ホーム

介護を受けて日常生活を送ることができる、原則要介護3以上の人向け。終身利用が可能。

介護老人保健施設

病院退院後に自宅での生活が難しい人など。医療ケアやリハビリが必要な要介護1以上の人向け。原則3か月の短期利用。

介護医療院/

介護療養型医療施設

要介護1以上で、医療と介護を受けて療養生活を送る人向け。(介護療養型医療施設は2024年3月までに介護医療院に移行する。現在は併存している。)

軽費老人ホーム 生活に多少不安はあるものの基本的には自立者向け。A型、B型、ケアハウスがある。中心はケアハウスで、一般型(自立型)と、一部に介護型がある。生活サービスが受けられる。

国や地方自治体の補助金を受けて社会福祉法人などが運営しているため、民間施設よりも費用を抑えられることがメリットで、人気があり、なかなか入居できないケースが多くなっています。設備の充実度については施設ごとに異なります。

民間事業者が運営する民間施設

民間事業者が運営する民間施設の老人ホームや介護施設は、入居者のさまざまなニーズに対応しています。施設ごとに特色のあるサービスが取り入れられているなど、バラエティ豊かです。

民間の老人ホームや介護施設には以下のような種類があります。

施設の種類

特徴
介護付有料老人ホーム おおむね65歳以上の方が対象で、介護型、混合型、入居時自立型がある。手厚い介護ケアを受けられる施設もある。

住宅型有料老人ホーム

食事や掃除、洗濯などの生活援助サービスを提供。介護サービスは外部のサービスを利用。

健康型有料老人ホーム 自立した人向け。介護が必要になったり、認知症を発症した場合は退去する必要がある。一部、アクティビティや設備が充実した施設もある。
グループホーム 65歳以上で要支援2以上の認知症の人向けの施設。5~9人の少人数で、可能な範囲の役割を持ち自立した生活を目指す。
サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上の方が入居できる賃貸住宅。施設はバリアフリー構造になっており、安否確認と生活相談サービスが提供されている。
シニア向け分譲マンション 高齢者が住みやすいようにバリアフリーになっている分譲マンション。生活支援サービスを受けられる。物件の購入であるため、売却したり賃貸に出したりすることもできる。

公的施設と比較すると費用は高いですが、入居者のニーズに合わせたサービスが多種多様に用意されているので、自分にあった施設を見つけやすい点がメリットです。

関連記事老人ホーム・介護施設の種類、それぞれの特徴

老人ホーム・介護施設に必要な費用

老人ホームを利用するために必要となる費用は、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 入居時に必要な費用
  • 入居後に必要な費用

入居時に必要な費用(初期費用)

まずは入居時に必要となる費用に、以下のようなものがあります。

  • 入居一時金
  • 引っ越し費用
  • 生活用品
  • 身元保証費用

入居一時金は、前払いの家賃のようなもので、ある程度まとまった資金が必要です。公的施設では入居一時金が不要もしくは安く設定されていますが、民間施設では0円というところもあれば、中には数億円必要な施設もありさまざまです。入居一時金が高額となる理由は、立地の良さやサービスや施設の充実度などが影響しています。

選んだ施設や置かれている状況によっては、引っ越し費用がかかるケースもあります。施設によっては家具や家電の持ち込みに制限があるため、事前に確認しましょう。

また入居時には、寝具や衣類など生活を始める上で必要な日用品を準備しなければなりません。

さらに独身者が入居する際に注意しておきたいのが、多くの高齢者施設で身元引受人が求められるという点です。親族などで身元引受人となってもらえる人がいない場合は、身元保証会社などにお金を支払って、身元を保証してもらう必要があります。保証会社によってさまざまですが、身元保証に加え、入院費用の保証料支払いや葬儀や納骨などの事務手続きなどをオプションで依頼することも可能です。

入居後に必要な費用

入居後は以下のような費用が毎月必要になります。

  • 月額利用料(居住費+食費+管理費+光熱費)
  • 介護サービスなどの自己負担分
  • その他諸費用(日用品、医療費、趣味交際費など)

有料老人ホームに入居すると、月額利用料が必要となります。月額利用料の内訳は、家賃・管理費・食費などです。施設によって差はありますが、公的施設で6~30万円、民間施設では10~35万円程度が相場です。

介護サービスの自己負担額は所得に応じて、1割/2割/3割と決められています。

住宅型有料老人ホームで介護を受ける場合は、必要なサービスを契約して、利用金額から自己負担割合分を支払います。介護付有料老人ホームにおける介護サービス費用は、要介護度に応じて定額です。

介護有料老人ホームの介護費用自己負担額(単位:円)
要介護度 1割負担 3割負担
要支援1 6,551 19,653
要支援2 10,775 32,325
要介護1 18,390

55,170

要介護2 20,510 61,530
要介護3 22,748 68,244
要介護4 24,821 74,463
要介護5 27,104 81,312

このほかに、手厚い介護体制を採用している施設では、上乗せ介護費がかかります。

また、個人的に介護保険対象外のオプションサービスを利用した場合の費用や医療費、消耗品費がかかります。

【パターン別】独身者が老人ホームに必要な費用

老人ホームは60歳以上、もしくは65歳以上から入居できる施設がほとんどです。

入居年齢はさまざまですが、80代前半から入居する方が増えていきます。

以下では、老人ホームにかかる費用を施設種別に調べてみました。

なお、それぞれ自立と要介護の2パターンに分けています。

介護費用は一人ひとり異なります。また、生活消耗品や趣味・娯楽のための費用も別途加算する必要があります。

自立している人が利用する場合

自立している人向け介護施設・老人ホームの料金相場(単位:円)

自立している人が入居できる老人ホーム

初期費用

月額費用

ケアハウス(C型) 数10万~百万 15~30万
住宅型有料老人ホーム 0~数千万 15~35万
健康型有料老人ホーム 0〜数億 10~40万
シニア向け分譲マンション 数千〜数億 10~30万

自立している場合は、月額費用や入居一時金以外に、自身の趣味や交際費などにかかる費用も考えておきましょう。

入居当初は自立していても、歳を重ねるに連れて介護が必要になってくると、外部の介護サービスを利用したり、おむつ代が毎月必要になったり、施設によっては退去しなければならないこともあります。

また健康型有料老人ホームを含む、有料老人ホームは初期費用にかなり幅があり、0円〜数千万円までさまざまです。

初期費用が無料の施設もありますが、その分月額費用が高くなるケースがほとんどです。

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要介護者が利用する場合

要介護者向け介護施設・老人ホームの費用相場(単位:円)
要介護者人が入居できる老人ホーム 初期費用 月額費用
特別養護老人ホーム 0 6~15万
介護付き有料老人ホーム 0~数億 15~35万
サービス付き高齢者向き住宅 0~数十万 10~30万
グループホーム 0~数百万 10~30万

特別養護老人ホームは初期費用が不要なので、支払いは月額利用料のみです。

各種老人ホーム・施設の中で最も費用が安いことが大きな特徴です。月額利用料に幅があるのは、個室を選ぶのか複数人で利用する多床室を選ぶのかによって異なります。

また上記の表内に含まれていないのが、介護保険の自己負担額です。

要介護者に認定されている人は要介護度と所得に応じて、自己負担額が異なります。

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パートナーが他界している、親族が近くにいないなど、単身者は老後への心配が大きいかもしれません。

超高齢社会の日本には、さまざまな種類の老人ホームや介護施設があるので、施設で過ごす老後を検討してみるのはいかがでしょうか。

ここで算出した費用はあくまで目安です。

もっと費用を抑えられる施設もあればもっと高額になる施設もあります。

費用負担が軽い公的施設や低所得者向けの負担軽減制度もあるので、自分にあった施設を早めに見つけておくことで老後の不安も軽減されるでしょう。

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