【老後に備える】50代からの不動産運用術

お金と電卓

高齢者向け施設等への住み替えを機に、自宅を売却したり賃貸住宅にするといった不動産活用法が注目されています。

「自宅」という資産が、老後資金や介護資金の重要な柱になっているのです。このページでは、将来に備えて知っておきたい、高齢期の不動産活用術について解説します。

自宅を活用した老後資金・介護資金作りのいくつかの方法とその特徴・リスクなどについて概略的にご紹介しますので、「わが家の場合」で考えてみてはいかがでしょう。

2人以上世帯の8割が保有する自宅を、老後・介護資金に

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2017年)」によると、預金や貯蓄型保険、株式、債券などの金融資産保有額(保有世帯のみ)は60代の2人以上世帯で平均2,062万円(中央値1,400万円)、70代以上で平均2,512万円(中央値1,500万円)です。

一方、持ち家の割合は、60代で82.0%、70代以上で83.4%と非常に高い割合となっています。

2人以上世帯の金融資産と持ち家割合

金融資産保有額
(保有世帯のみ)

持ち家割合
平均額 中央値
60代 2,062万円 1,400万円 82.0%
70代以上 2,512万円 1,500万円 83.4%
  • ※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2017年)」より筆者作成

例えば、60歳で2,062万円の貯蓄があっても、これを現在価値のまま35年で取り崩すとすると、毎月使えるのは約4.9万円。

公的年金等で不足する生活費を補うとしてもぎりぎりの金額でしょう。

高齢者は「保有資産が多い」と言われるものの、「人生100年時代」と言われるように長くなる老後を支えることは、金融資産の取り崩しだけでは難しくなっています。

そこで最近注目を集めているのが自宅の活用です。「家は子どもたちに残す」といった発想はすでになく、自宅も含めて老後資金・介護資金としてプランニングしていかないとまかなえない時代になっています。

具体的にどのような方法があるのでしょうか。次項以降で見ていきましょう。

不動産を売却して老後資金・介護資金を作る

自宅を活用して老後資金や介護資金を作る方法の1つが売却して換金することです。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など高齢者施設へ入居するための資金を作る、あるいは、入居をきっかけに住宅を売却してしまうケースもあります。

中には、判断能力があるうちに売却し現金化することで、その後の老後資金・介護資金に充てるという方もいます。

また、単に老後資金・介護資金不足で売却を考える場合もあるかもしれません。こうした高齢期の自宅売却の注意点としては、次のような点が挙げられます。

  • 老後資金・介護資金不足で売却する場合はその後の住まいを考える必要がある
  • 売却した資金で入居した高齢者施設にずっといられるのかも必ず確認する
  • 子どもたちにとっても帰省先を失うことになるので話し合って同意を得ておく

前出の「家計の金融行動に関する世論調査(2017年)」によると、土地・住宅資金を売却した人の平均売却額は、60代で2,190万円、70代以上で1,200万円

この中には、自分で購入した住宅だけでなく、相続で取得した住宅も含まれますが、自宅を売却することでこうした資金を作りだすことが可能だということです。

自宅を売却するというのは一大事ですが、置かれている状況によって優先すべきことが変わってくることでしょう。後悔のない選択ができるようにしたいものです。

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住みながら生活費を借りる「リバースモーゲージ」

自宅に住み続けながら、自宅を担保にして毎月の生活費や必要な資金を借りられる仕組みが「リバースモーゲージ」です。金融機関が取り扱っているほか、社会福祉協議会の一部でも扱っているところがあります。

対象となる物件が限定されている場合も多く、誰でも利用できるわけではありませんが、利用できれば助かる制度といえます。

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メリット

老後資金・介護資金不足に陥ったときに、自宅を担保にお金を借りるものの、自宅に住み続けることができるのは大きなメリットでしょう。

しかも、生存している間は返済がないか、利払いのみという点も高齢期にはありがたい仕組みです。

夫婦の一方が要介護状態で施設に入り、もう一方が自宅に住み続ける場合や、そうでなくても在宅介護が発生して介護費用がかかる場合の捻出方法としても活用できます。

あらかじめ設定した契約期間が満了したり、利用者が亡くなったときに、自宅を売却して返済をします。

返済後に残金があれば遺族に支払われますが、逆に、売却しても残債がある場合は遺族に請求がいきます(リコースタイプ)。

最近は、残債があっても請求されないノンリコースタイプも登場しています。

リバースモーゲージ活用時に注意したいこと

注意点としては、次のようなものを挙げることができます。

  • 金融機関によって、エリアや不動産の種類、築年数、最低評価額が制限されている場合がある。
  • 担保評価額の5~7割程度が借入額の上限となる。
  • 毎月借りる「年金型」と、まとめて借りる「一括融資型」など、借り方は金融機関で異なる。
  • 利用するには相続人全員の同意が必要となる。

いま住んでいる自宅はリバースモーゲージが利用できる物件かどうか、あらかじめ金融機関に確認しておきましょう。

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「ハウス・リースバック」にも注目!

最近、よく耳にする「ハウス・リースバック」。これは、自宅をリースバック専門の不動産会社へ売却し売却代金を受け取ります。

一方で、買主(オーナー)にリース料(家賃)を支払って元の自宅に住み続ける仕組みです。

売却代金は一時金で受取り、その使用目的に制限はありません。通常の不動産売却と比べ、現金化までの時間が早く、しかも引越しが不要という点がメリットです。

前述のリバースモーゲージにも少し似ていますが、リバースモーゲージは不動産の所有者は本人で、自宅を担保にお金を借りる仕組みです。

しかし、ハウス・リースバックでは自宅を売却してしまうため、所有権も本人にはありません。元の家を、家賃を支払って借りている状態です。

こんな人にオススメ

ハウス・リースバックは、老後資金や介護資金不足を補う選択肢の1つにもなります。また、一時金で受取れるので有料老人ホームの入居金等に充てることも可能です。

ハウス・リースバック利用時の注意点

  • 自宅を売却した価額が住宅ローンの残額よりも大きくないと利用できない。
  • 売却価額は相場よりもやや低めで、買い戻す際は通常、売却価額よりも高くなる。
  • 毎月の家賃(リース料)は、相場よりもやや高めになる場合もある。

利用する可能性があるのであれば、こうした注意点をふまえて調べておくといいでしょう。

「マイホーム借り上げ制度」を活用する

自宅を活用した老後資金・介護資金作りの1つの方法として、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借り上げ制度」もあります。50歳以上で自宅を所有している人が対象ですが、JTI経由で自宅を貸し出し、賃料もJTIから支払われます。

これによって、自宅を売却することなく、住みかえや老後資金・介護資金として得られる家賃収入を活用することができます。

実際の仕組みとしては、JTIが借上げて転貸しているので、入居者と関わることはありません。しかも、1人目の入居後は空室が発生しても規定の賃料が保証され、家賃の未払いなどの心配もありません

住宅が賃貸可能な状態である限り、借上げは継続されます。

こんな人にオススメ!

サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどに住み替える際に、できるだけ自宅を売却したくない人などに向きます。

安定的な家賃収入を、住み替え資金に充てたり、老後資金・介護資金の不足分に充てることもできます。

マイホーム借り上げ制度で注意したいことは?

  • 一般に貸し出す場合よりも賃料は低めになる。
  • 耐震基準を満たさない場合は補強工事が必要で、別途工事費がかかる場合がある。

利用を考える場合は、制度についてしっかり把握しておく必要があります。

まとめ

長寿化が進む中、「自宅」という資産は、今や老後資金や介護資金の一部と捉えられえるようになってきています。

自宅を売却する、担保に生活費を借りる、貸し出すなど、いくつかの方法があることを見てきましたが、実際に利用できるかどうかは、条件等もあって個々にご確認いただく必要があります。

リバースモーゲージやマイホーム借り上げ制度など、「そういう仕組みがあるんだ」と理解するだけではなく、「わが家はどの制度であれば利用できるのか」確認しておくと安心です。

50代になったら、わが家の場合、自宅がどこまで老後資金・介護資金の支えになるのかを金融機関に相談しておきましょう。

複数の制度が利用できそうなら優先順位をつけておくのもいいでしょう。

それとともに家族に説明しておくと、理解も得られていざというときにスムーズです。

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著者

豊田 眞弓

豊田 眞弓(ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンアドバイザー、相続診断士、ハッピーエンディングプランナー
FPラウンジ(http://happy-fp.com/)代表、小田原短期大学非常勤講師
マネー誌ライター等を経て、94年に独立。現在は個人相談のほか、研修講師、マネーコラムの寄稿を行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」

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