どうする!?老後の収入|定年後の収入アップ方法

高齢者世帯の生活意識

人生100年時代の到来。昔に比べて老後の期間が長くなっています。老後を生活していく中での主な収入源は公的年金となりますが、多くの世帯では、公的年金だけでは足りず、預貯金などを取り崩しながら生活しています。

ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金以外の収入源を準備しておくことが大切なのです。

そこで当コラムでは、定年を迎える前から考えておきたい老後の収入をアップさせる方法について解説します。

イメージより厳しい?高齢世帯の暮らしぶり

高齢者世帯の半数が「生活が苦しい」と回答

高齢者世帯では、今の生活に対してどのように感じているのでしょうか。

厚生労働省が発表した国民生活基礎調査(2016年)によると、最も多いのは「普通(40.5%)」と回答している世帯で、次に「やや苦しい(32.2%)」、さらに「苦しい(22.0%)」と感じている世帯です。高齢者世帯の半数以上(54.2%)が、生活について「苦しい」と感じているのが実態です。

高齢者世帯の生活意識

これらの結果は、経済面での心理的な負担が、生活意識に大きく影響していると推測できます。

平均的な高齢世帯で月5万円の赤字

次に実際に高齢者世帯の収支状況を探ってみたいと思います。

下の図は、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)に於ける家計収支の平均額です。約21万9,000円の収入に対して、支出は約26万4,000円あります。多くの高齢者世帯では、収入より支出の方が高いということがおわかりでしょう。

高齢夫婦無職世帯の家計収支

上記図表の不足分、54,519円の内訳は以下の通りです。

不足分の内訳

支出から収入を差引いた不足分は約5万4,519円ありますが、その分については、預貯金からの取り崩しや保険金などで補いながら生活しているのが高齢者の実態です。

尚、上記の毎月の不足額を1年分に換算すると、約65万円になります。さらに、老後が30年間あるとすれば、不足額の総額は約2,000万円にもなります。

つまり、安心できる老後を迎えるためには、少なくても2,000万円以上の預貯金が必要であると言ってもよいでしょう。

これらの調査結果により、年金などの「社会保障給付だけでは生活ができない」こと、ゆとりある老後を迎えるためには、老後の収入を増やしていくことが有効ということがわかります。

定年後の収入アップ方法<公的年金と上乗せ制度>

年金を満額受給する

老後の収入の代表格である年金。公的年金は、生きている限りは確実に受け取れる終身年金です。

サラリーマンが加入する厚生年金であれば、現役時代に給与を上げることや、できるだけ長く働くことで、年金額アップにつなげることができます。

また、自営業者などが加入する国民年金であれば、保険料を滞りなくきっちり納めることで、満額受給につなげることが可能です。

確定拠出年金の活用

確定拠出年金は、国民年金や厚生年金の上乗せ分として老後資金が作れる、私的年金制度です。企業型と個人型(iDeCo)の2種類あり、前者は勤務先を通して加入し、後者は金融機関に申し込んではじめることができます。

主に預貯金や投資信託で運用していく確定拠出年金の大きなメリットは、掛け金が所得控除の対象になることや、運用中に発生した利益に関して税金がかからないことなどです。

また、受取時も、所得控除が適用できるメリットがあります。注意点としては、運用次第で資産が目減りする可能性のあることや、原則60歳まで払い出しができないことなどです。

自営業者やフリーランスが入れる公的制度

国民年金の付加年金

国民年金の保険料に付加保険料として毎月400円を上乗せすると、将来「200円×付加保険料納付月数」分の付加年金が受け取れるようになる制度です。

2年間で元が取れます。利用できるのは、国民年金の第一号被保険者と任意加入被保険者です。

小規模企業共済

自営業者や経営者のための退職金制度です。掛け金は1000円から7万円の間で選択し、全額所得控除の対象にもなるため、所得税や住民税が軽減できるメリットがあります。注意点は、20年未満の任意解約は元本割れすることなどです。

国民年金基金

国民年金の第一号被保険者が任意で加入できる、年金制度です。国民年金基金も掛け金が所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減できるメリットがあります。主な注意点は、一旦加入すると原則として任意で脱退ができなることなどが挙げられます。

定年後の収入アップ方法<シニア世代の就労>

老後の収入をアップさせる確実な方法は、自分が働いて収入を得ることではないでしょうか。今は元気なシニアが増えているため、定年退職後も長く働くことが可能です。下記の図を見てもわかるように、65歳以上の就労人口も年々増えているようです。

65歳以上の就労者数

そこで、シニアに適した就労方法や就労支援サービスをご紹介したいと思います。

継続雇用(再雇用)制度を利用する

勤務先の定年後も継続雇用を望む方は多いと思います。事業主には、高年齢者雇用安定法により、「60歳未満定年の禁止」や「65歳までの高年齢者雇用確保措置」などが義務付けられています。

継続雇用されるにあたり、給与や雇用形態、業務内容もそれまでとは大きく変わってしまい長続きしない方もいるようです。事前に待遇や業務内容を相談するなど現役時代から考えておく必要があります。また、継続雇用の終了後に何をするかその準備期間に充てるのもよいでしょう。

シニアの就職を支援している機関やサービス

転職サイトの活用

近年はシニア世代に特化した転職サイトや、高いスキルを持つシニア人材と企業とを繋ぐマッチングサービスも登場しています。「シニア」に特化したサイトもあれば、転職情報サイトの中で「シニア」や「60代からのお仕事」などの検索条件を入れるとシニアの求人情報が表示されるサイトもあります。

転職サイトの活用は、家のパソコンやスマホで、時間や場所を選ばす気軽に職探しができるメリットがあります。今や定年世代でもネットやスマホを当たり前に使いこなす時代です。これからは、このようなサービスを積極的に活用するのもよいでしょう。

ハローワーク

シニアの職探しの定番と言えば、ハローワークです。ハローワークでの職探しは、「ハローワークインターネットサービス」の利用か、もしくは窓口で直接相談するがあります。中でも、現在全国のハローワークでは、シニアのための「生涯現役支援窓口」が設置されていて、シニア層の再就職支援が積極的に行われています。

そこでは、履歴書、職務経歴書の書き方や面接の受け方、求職活動の方法など、シニアに適したガイダンスが実施されています。尚、ガイダンスなどは開催日が限られているため、事前に電話やホームページなどでチェックしてから行くことをお勧めします。

国や自治体による就労支援サービス

ハローワーク以外でも、国や自治体が民間団体に委託する形で、様々なサービスが登場しています。例えば、国が主導となる「生涯現役促進地域連携事業」の一環として、各都道府県には、働く意欲のあるシニア層を活用するための協議会が設置されており、高齢者のための就業支援に関するセミナーの開催や情報提供が行われています。

さらに、自治体独自の就労支援も活発化されてきています。東京都では「東京セカンドキャリア塾」や「東京キャリア・トライアル65」といった高齢者の就労を支援するサービスが立ち上げられています。「東京セカンドキャリア塾」では、セカンドキャリアのためのセミナーの受講や就業サポート、「東京キャリア・トライアル65」では65歳以上のシニアを企業に派遣するためのサポートが行われていて、どちらも無料で利用できます。
自分が住む町にどのようなサービスがあるかについては、各自治体の窓口や公民館などに置いてあるチラシなどで確認してみましょう。

シルバー人材センター

シルバー人材センターとは、臨時的かつ短期的な軽易な業務を中心に紹介してくれる公益法人です。基本的には「生きがいを得るための就業」を目的とした仕事になっていて、一定の収入が保証されるものではありません。就労を希望したい場合は、最寄りのシルバー人材センターに問い合わせてみましょう。

起業する

成功する保証はどこにもありませんが、「自分の得意なことを生かして、定年のない働き方をしたい」、そのような方にとっては、起業という選択が最も適した方法でしょう。ただし、サラリーマン時代とは異なり、会社という看板がなくなるため、十分な準備をした上で起業することが重要です。

起業には当然資金が必要となりますが、最近はシニア起業を応援する国や自治体の助成制度、クラウドファンディングを活用して資金調達をするケースも増加しています。

定年後の企業に向けて最低限必要なこと

  • 事業計画を立てる
  • 資金の調達や必要な手続きを調べる
  • 助成金の有無を確認する
  • 在職中に人脈を作っておく
  • 事業が軌道に乗るまでの生活資金の確保
  • 家族の理解や協力を得ておく

これらは時間をかけてでも開業までに最低限行いたいことがらです。

尚、起業の準備については、自治体や商工会議所などが主宰する起業塾や創業支援セミナーなどを利用するのも一つの方法です。

より良い高齢期を過ごすために

今回は様々な定年後の収入アップの方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。本文で述べた通り、高齢者世帯の多くは、公的年金だけでは暮らしていけず、何かしらの蓄えを取り崩しながら生活している状態なのです。

ゆとりある老後を迎えるために大切なことは、現役時代のうちに1つでも多く、老後の収入を増やすための取り組みをはじることです。

また、少しでも長く働き続けるためには、現役時代のうちに仕事のスキルを磨くことはもちろんのこと、専門性を磨くため資格取得することが役に立つケースもあります。

イラスト:上原ゆかり

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著者

小澤 美奈子

小澤 美奈子(ファイナンシャル・プランナー/ライター)

K&Bプランニング代表
大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。2012年ファイナンシャルプランナーとして活動開始後は、Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。シニアや生活困窮者のライフプランにも力を入れる。フォトライターとしても活動。
ホームページ http://kandbplanning.org/

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