ケアマネジャーの変更方法と注意したい4つのポイント

ケアマネジャーを慎重に選んだつもりでも、支援をお願いしていく中で、徐々に自分と合わない部分が目に付いたり、上手く対応してくれないことが増えて不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ケアマネジャーは変更することができます。その場合の変更手順や、変更によって生じるデメリットについて現役のケアマネジャーが詳しく解説していきます。

ケアマネジャー選びも相性が大切

ケアマネジャーは変更することが可能で、変更についての規定はケアマネジャーと交わした契約書・重要事項説明書に記載されています。

どんなに慎重に選んだ方や、周囲の評判を聞いて決めたケアマネジャーであっても、自分に合うかどうかは別の話です。相談をしていくうちにどのような人物か分かるようになり、自分に合うかどうかが徐々に分かってきます。

人ですから、友達や職場の人間関係と同じように、相性があります。

相性が悪い同僚と仕事をしてストレスが溜まるのと同じように、相性の合わないケアマネジャーを無理に利用しつづけると、ストレスに感じたり相談できるところがなくなってしまうなど、良いことはありません。

利用者が変更を考えてしまうとき

具体的には、どのような時にケアマネジャーの変更を考えるのでしょうか。

いくつか例をあげてみたいと思います。

  • 「こうした方が良い」とケアマネジャーの意見ばかりで利用者の話しを聞いてくれない
  • いつ電話しても不在で折り返しの電話もない
  • 医療的ケアが必要なのに、医療職との調整をしてくれない。
  • ケアマネジャーにサービス利用日の変更連絡をしても、事業所に伝わっていないことが度々ある

このように、利用者に真摯に向き合っていないと感じることが、変更を考えるきっかけになっているようです。

多くのケアマネジャーは、1人で数十人もの利用者を担当しています。多忙ではありますが、利用者や家族としてはしっかり話しを聞いて対応してほしいと思うのは当然でしょう。

安易な変更は禁物。もう一度冷静に考えてみましょう

ケアマネジャーの変更を決意されたと思いますが、今一度考えてみましょう。

ケアマネジャーに何らかの事情があって上手くいかなかったのかもしれませんし、コミュニケーション不足によるうお互いの気持ちの掛け違いの可能性もあります。

ケアマネジャーの気持ちを知ることで、関係を修復してやり直せることもあるでしょう。

「今のケアマネジャーは良い人だけど、今回の件だけは納得できない」といった場合は、納得のできなかった内容について正直にお話をするなど、再度話し合いの機会を設けるか、所属する事業所の管理者や最寄りの地域包括支援センターへ相談してみることをオススメします。

ケアマネジャーの変更手順

利用者・家族内で相談をし、ケアマネジャーの変更を決意したとき、実際にどのように手続きをすればいいのでしょうか。

ケアマネジャーを紹介してくれた相談先へ問い合わせる

ケアマネジャーを変更する場合、一番スムーズなのは、ケアマネジャーを紹介してくれたところへ再度相談することです。

例えば、地域包括支援センターから紹介された場合はもう一度地域包括支援センターへ相談します。

あるいは、市区町村役場などでケアマネジャーのリストをもらい、自分でケアマネジャーを選んだ方の場合は、地域包括支援センターに相談するか、ケアマネジャーのリストから新たなケアマネジャーを探して連絡してみましょう。

地域包括支援センターの職員は、業務上、地域で活動するケアマネジャーと交流があるため、多くのケアマネジャーを知っているはずです

もしも、現在のケアマネジャーが在籍する事業所は変えずに、担当だけを変更したい場合には、事業所の管理者へ相談してみましょう。

地域包括支援センターについて詳しく見る

顔合わせをする

上記、相談先へケアマネジャーの変更を相談した後は、どのようにすればよいのでしょうか。

相談先から新しいケアマネージャーを紹介してもらい、電話をし、顔合わせをしてみましょう。

相談した結果、問題がなければ契約を交わして利用開始となります。ここまでが、変更の手続きの流れです。

!ワンポイント!

  • 市区町村役場へのケアマネジャー変更の手続きは、新しいケアマネジャーが行ってくれますので、安心してください。

変更する時に気を付けたい4つのポイント

ケアマネジャーを変更する手続きについて解説しましたが、その際に気を付けておきたいポイントが4つあります。

1.利用しているサービスが継続できるように伝える

ケアマネジャーの変更により、現在利用している介護サービスが途絶えると生活に影響します。

利用しているサービスを継続したいのであれば、介護サービスは変えずにケアマネジャーのみ変更したいということを、相談している地域包括支援センター等に伝えましょう。伝えることで、どのような介護サービスを利用していたのかという情報が、旧ケアマネジャーと新ケアマネジャーに引き継がれます。

また、これを機に介護サービスも変更したい場合には、同じように新旧ケアマネジャーに伝え、新しいケアマネジャーと介護サービスを1から組みなおしましょう。

2.事業所を変更するときには、変更理由を冷静に伝える

ケアマネジャーを変更するということは、新ケアマネジャーにとっても「何かあったのだな」と、慎重になる場合があります。

旧ケアマネジャーと何があり、どういった理由で変更することになったのかを、なるべく客観的に伝えるようにしましょう。

感情的になってしまう気持ちもわかりますが、上手くいかなかったことを冷静に伝え、相談をしている地域包括支援センター等に整理・調整をしてもらうことが大切です。

3.新しいケアマネジャーが自分に合うかどうかはわからない

ケアマネジャーを変更したからといって、新ケアマネジャーが自分に合うかどうかは契約してみないとわかりません。新ケアマネジャーになっても、「以前のケアマネジャーのほうが良かった」と後悔することもあるかもしれません。

仮に新ケアマネジャーを地域包括支援センターから紹介されたとしても、紹介してくれたところを責めることはやめましょう。

すべての決定は利用者・家族です。この点は自己責任と理解し、新しいケアマネジャーと合うかどうかはわからないことも、理解しておきましょう。

4.ケアマネジャー変更のデメリットも理解しておく

ケアマネジャーを変更する場合、以下のようなデメリットもあります。

  • 事業所を変え場合、新しい事業所と契約が必要で手間がかかる
  • 状況把握のため、利用者の今の状況を1から伝えないとならない
  • サービス担当者会議を開かないとならない
  • 1から信頼関係を築かないといけない

ケアマネジャーを変更する場合には、デメリットも理解した上で、変更後のことも考えておきましょう。

相性の良いケアマネジャーを見つけましょう

ケアマネジャーは、困ったときに相談できる関係性でなければ意味がありません。相談するにあたって気を使ったり、「あのケアマネジャーに相談してもどうせ解決してくれない」などとあきらめるような関係性であれば、他のケアマネジャーを探すことをオススメします。

一方で、地域包括支援センター等に相談をすることでケアマネジャーを変更する理由も明確にし、次に同じ理由で変更をすることがないようにお互い注意しましょう。

この記事を参考に、ストレスなく、相談できる支援者と巡り合えるようにケアマネジャーの変更を考えてみましょう。

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この記事の制作者

森 裕司

著者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

山本 武尊

監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)

地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。

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