【はじめての方へ】介護保険の施設介護サービスとは?

施設介護サービスとは、介護保険施設に入居して受ける介護サービスです。

介護保険施設には「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」の4つがあり、必要とする介護の内容により入所できる施設が違います。

上記の「介護保険4施設」は公的施設の意味合いが強いので、施設を運営する母体は、地方公共団体や社会福祉法人、医療法人などに限られています。

施設建設に補助金が出たり、運営する法人が法人税などの優遇を受けられるため、入所者の費用も有料老人ホームと比べて低く抑えられます。

超高齢化社会を迎え、施設の数が足りず、特別養護老人ホームへの入所待ちの高齢者数は全国で数十万人にものぼります。

多くの人が必要としてい4つの介護保険施設の違いとかかる費用をみていきましょう。

特別養護老人ホーム(特養)

【はじめての方へ】リバースモーゲージ|自宅を活用して入居資金を準備しよう

特別養護老人ホーム(以下、特養)は、常に介護が必要で、自宅での介護が困難な方が対象となります。

これまでは、「要介護1以上」の方から入所できましたが、2015年8月からは、原則「要介護3以上」の方が対象となりました。

現在入所している要介護1や2の方は、そのまま継続して施設での生活が続けられます。また、やむを得ない事情がある場合は、要介護1や2の方でも入所できます。

やむを得ない事情とは、例えば一人暮らしの認知症の方で徘徊などを起こし常に見守りが必要であるというケースや、同居家族の虐待を受けているケースなどがあります。

受けられるサービスは、日常生活における食事や、入浴、排せつ、機能訓練や健康管理などの介助となります。

※入居条件などは施設により変動する場合があります。各施設へお問い合わせください。

特養には4種類の居室形態がある

ユニット型個室

ユニット(10名程度)で利用できる共用のリビングなどを併設している居室

ユニット型個室的多床室

室内は、天井との隙間がある仕切りで個室のように区切られ、ユニット(10名程度)で利用できる共用のリビングなどを併設している居室

従来型個室

リビングを併設していない個室

多床室

定員2人以上の個室ではない居室

特養の主な特徴

要介護高齢者のための生活施設

定義
65歳以上の人であって、身体上又は、精神上著しい障害があるために常に介護を必要とし、かつ居宅において介護を受けることが困難な人が入所し、養護することを目的とする施設
主な運営主体
地方公共団体
社会福祉法人
1日あたりの施設サービス費(1割)の目安
要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室
ユニット型個室的多床室
要介護3 712円 712円 793円
要介護4 780円 780円 862円
要介護5 847円 847円 929円

※2021年4月時点。地域により費用は変動します。

介護老人保健施設(老健)

老健は「要介護1以上」の方を対象とし、病院での治療を終え病状が安定した方が、リハビリに重点を置き在宅復帰を目的とする施設です。

受けられるサービスは、医学的な管理の元、介護や看護、リハビリと日常生活の介護となります。

リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士の配置が定められており、計画的にリハビリが行われます。

入所者一人につき少なくとも週2回程度行うとされています。在宅復帰を目的とする施設なので、特養のように終身利用を前提として生活することはできません。

※サービス内容などは施設により変動する場合があります。各施設へお問い合わせください。

老健の主な特徴

要介護高齢者にリハビリなどを提供し、在宅復帰を目指す施設

定義
要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び、機能訓練その他必要な医療、並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設
主な運営主体
地方公共団体
医療法人
1日あたりの施設サービス費(1割)の目安
要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室
ユニット型個室的多床室
要介護1 714円 788円 796円
要介護2 759円 836円 841円
要介護3 821円 898円 903円
要介護4 874円 949円 956円
要介護5 925円 1003円 1009円

※2021年4月時点。地域により費用は変動します。

介護療養型医療施設

「要介護1以上」の方が対象。治療を終え病状が安定しているものの、引き続き長期間療養を必要とする方が入所する医療施設です。

受けられるサービスは、介護体制が整った医療施設で医療や看護及び日常生活の介護となります。

※入居条件などは施設により変動する場合があります。各施設へお問い合わせください。

介護療養型医療施設の主な特徴

医療の必要な要介護高齢者の長期療養施設

定義
療養病床などを有する病院又は、診療所であって、当該療養病床などに入院するよう介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他必要な医療を行うことを目的とする施設
主な運営主体
地方公共団体
医療法人
1日あたりの施設サービス費(1割)の目安
要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室
ユニット型個室的多床室
要介護1 593円 686円 706円
要介護2 685円 781円 801円
要介護3 889円 982円 1,002円
要介護4 974円 1,070円 1,090円
要介護5 1,052円 1,146円 1,166円

※2021年4月時点。地域により費用は変動します。

介護医療院

「要介護1以上」の方が対象。要介護者に対し「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する医療施設です。

受けられるサービスは、介護と医療的ケアが同時に受けられるため、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養が必要な方でも対応できます。

介護医療院の主な特徴

医療的ケアの必要な要介護高齢者の長期療養施設

定義
介護医療院とは、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設
主な運営主体
地方公共団体
医療法人
社会福祉法人などの非営利法人等
1日あたりの施設サービス費(1割)の目安

Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)
療養機能強化型A相当、看護6:1、介護5:1

従来型個室 多床室
要介護1 714円 825円
要介護2 824円 934円
要介護3 1,060円 1,171円
要介護4 1,161円 1,271円
要介護5 1,251円 1,362円

※2021年4月時点。地域により費用は変動します。

施設サービスを利用した時の自己負担

施設サービス費の自己負担分(所得に応じて1割~3割)に、居住費、食費、日常生活費を加えたものが、施設で掛かる費用の総額となります。

施設サービスを利用した時の自己負担のイメージ図

居住費と食費は、施設と利用者との契約により決まりますが、施設の平均的な費用を基に水準額が定められています。

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施設の種類 居住費 食費
従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
介護老人福祉施設 1,171円 855円 2,006円 1,668円 1,445円
介護老人保健施設 1,668円 377円
介護療養型医療施設
介護医療院

※2021年4月時点。地域により費用は変動します。

特養が、有料老人ホームと比べて安い費用で済むのは、居住費と食費について、水準額が定められていることと、所得が低く資産が少ない方の負担軽減が大きいといえます。

所得や資産に応じて自己負担額の上限が定められており、これを超えるものは「特定入所者サービス費」として介護保険から給付されます。

「特定入所者サービス費」は、これまで所得のみが判断基準でしたが、2015年8月より保有している資産額や、住民票上世帯が異なる配偶者の所得も判断基準に加わりました。

これは、在宅や有料老人ホームで生活している方は、所得や資産に関係なく食費や居住費は全額自己負担であることから、不公平感をなくすための改正です。

また、これから新設される特養は、厚生労働省が推進するユニット型が増加していく傾向にあります。

ユニット型は従来型個室や多床室に比べ、人員体制が手厚く入居者のプライバシーも確保できる、というメリットがあります。

一方で、従来型と比べて居住費や介護サービス費が割高となり、公的施設とはいえ費用水準が上がっていくと予想されます。

各施設の詳しい内容は、「老人ホーム・介護施設の種類と特徴」へ 【はじめての方へ】リバースモーゲージ|自宅を活用して入居資金を準備しよう

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この記事の制作者

中村 真佐子

著者:中村 真佐子(ライフプラン相談研究所)

ファイナンシャルプランナーとして、住宅ローン・教育資金など、若い世代の普通の家庭におこりうるお金周りの相談は、生活者目線を大切にしています。
社会福祉協議会で生活支援員としての活動もしており、高齢者や障害者の介護、住み替え、成年後見制度分野の相談も得意としています。

森 裕司

監修者:森 裕司(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、障がい支援専門員)

株式会社HOPE 代表取締役 
医療ソーシャルワーカーとして10年以上経験した後、介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身。介護の相談援助をする傍ら、医療機関でのソーシャルワーカーの教育、医療・介護関連の執筆・監修者としても活動。近年は新規事業やコンテンツ開発のミーティングパートナーとして、企業の医療・介護系アドバイザーとしても活動中。

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