デイサービスとデイケアの違い|サービス内容や選び方までかんたん解説

デイサービスとデイケアは、名称が似ており、どちらも通所介護サービスであるためよく混同されます。しかし両者は、「目的」「人員体制」「提供されるサービス内容」が大きく異なります。

ここでは、デイサービスとデイケアの違いや選び方を紹介します。

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デイサービスとは

デイサービスとは「通所介護」のことです。要介護1~5に認定された方が利用することができ、自宅でできるだけ自立した生活を送れるように支援します。デイサービスについてより詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください。

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関連記事デイサービス(通所介護)の内容と種類・費用・使い方まで解説

デイケアとは

デイケアとは「通所リハビリテーション」のことです。病院や介護老人保健施設(老健)に併設していることが多く、利用できるのは要介護1~要介護5の人のうち、医師によって専門的なリハビリが必要と判断を受けた方のみです。デイケアの詳細を知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

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関連記事【はじめての方へ】デイケアはリハビリに特化した介護サービス!特徴と費用・利用法まで

デイサービスとデイケアの3つの違い

目的
人員
サービス

デイサービスとデイケアは、通いで介護を受ける点は共通していますが、目的が異なる施設のため人員規定や・サービス内容が違います。

それぞれの観点について解説します。

目的

デイサービス
(通所介護)
デイケア
(通所リハビリテーション)
対象者 要介護の認定を受けている方(※) 要支援か要介護の認定を受けている方
目的 1)他者との交流
2)心身機能の維持
3)家族の身体的・精神的負担の軽減
1)心身機能の維持・回復
2)日常生活の自立支援
3)健康管理
4)他者との交流
5)家族の身体的・精神的負担の軽減

※要支援の認定を受けている方はこれに準じたサービスが該当します(市区町村による)

この表から分かるように、デイサービスとデイケアはサービスを利用する目的が違います。

サービスを利用する目的が他者との交流や心身機能の維持、家族の身体的・精神的負担の軽減である場合など日常生活の介護を目的とした場合は、デイサービスを選ぶと良いでしょう。

心身機能の維持・回復や日常生活の自立支援のためのリハビリ、健康管理など医療的ケアの対応や専門職のリハビリを目的とした場合は、デイケアを選ぶことをお勧めします。

人員

デイサービス
(通所介護)
デイケア
(通所リハビリテーション)
人員体制 介護士
看護師
機能訓練指導員
介護士
看護師
リハビリ専門職
医師

デイサービスとデイケアでは、目的が違うことから、配置されている人員も違います。

デイサービスは事業所ごとに特色があり、入浴・食事・排せつ・レクリエーションなど日常生活の介護サービスが提供されています。

日常生活の介護を目的とするデイサービスでは、介護士や看護師のほかに、機能訓練指導員が在籍しています。機能訓練指導員とは、日常生活を送るのに必要な機能や能力が減退しないよう訓練を行う人のことです。看護師や理学療法士、作業療法士などの資格を持つ人が従事します。

一方、リハビリを目的とするデイケアでは、介護士や看護師のほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職、医師も在籍しています。

サービス

デイサービス
(通所介護)
デイケア
(通所リハビリテーション)
サービス

送迎、レクリエーション、入浴、

他の生活動作の介助、機能訓練

左記に加えて、

医師の診察、健康管理、リハビリ

医療的ケアの対応 △(不十分な可能性がある) 〇(体制が整っている)

デイサービスでは、入浴・食事・排せつ・レクリエーションなど日常生活の介護サービスのほか、機能訓練などもおこなわれます。ただし、医師は在籍していないため、医療的ケアが不十分な場合もあるでしょう。


一方デイケアでは、主に医師による診察や健康管理、専門的なリハビリが提供されています。医療的ケア(例えば、退院直後や慢性疾患でも経過観察が必要など)が必要な方にも向いています。

1日の流れの違い

デイサービス デイケア
  1. 送迎
  2. 健康チェック
  3. 入浴
  4. 嚥下体操・オリエンテーション
  5. 昼食
  6. レクリエーション・機能訓練
  7. 送迎
  1. 送迎
  2. 看護師によるバイタルチェック
  3. 入浴
  4. リハビリ
  5. 昼食
  6. レクリエーション
  7. 送迎

機能訓練とリハビリの違い

機能訓練 リハビリ
指導者 看護師、介護士など
(ただし、指導は機能訓練指導員)
リハビリ専門職
(理学療法士や作業療法士など)
医師の診察の有無 なし あり

機能訓練とリハビリの最も大きな違いは、医師による診察の有無です。リハビリは医師の診察結果に基づき、医師の指示のもと理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職によって実施されます。一方、機能訓練は医師による診察はなく、機能訓練指導員の指導により看護師や介護士が行うのが一般的です。

また、両者とも基本は個別療法ですが、複数人のグループで実施される場合もあります。

費用の違い

デイサービス デイケア
要介護1 645円 667円
要介護2 761円 797円
要介護3 883円 924円
要介護4 1,003円 1,076円
要介護5 1,124円 1,225円

費用は、一般的にデイサービスに比べてデイケアの方が少々高くなるでしょう。ただし、正確な料金は両者とも一日あたりの滞在時間や自己負担割合などに応じて異なります。
しっかり比較・検討したい場合は、施設に問い合わせるなどして見積もりを確認した方がよいでしょう。

デイサービスとデイケアのメリット・デメリット

デイサービスとデイケアのどちらを利用すべきか正しく判断するためにも、それぞれのメリット・デメリットを知っておきましょう。

デイサービス

メリット

  • 多くの施設がある
  • 空きがあればすぐに利用開始できる
  • デイケアよりリーズナブル
  • 機能訓練で十分な方は少人数の事業所を選択できる

デメリット

  • 専門スタッフによるリハビリは受けられない
  • 要支援1・2の人は基本的に利用できない
  • 比較的、大規模の事業所が多い

デイサービスのメリットは、利用しやすいことです。事業所が多く、定員に余裕があればすぐに利用できるうえ、デイケアより費用がかかりません。

しかし、目的はあくまで日常生活の自立支援であり、専門的なリハビリは受けられず、身体機能の回復までは期待できないでしょう。また、利用できるのは要介護1以上の人と限りがあります。

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デイケア

メリット

  • 専門スタッフによるリハビリを受けられる
  • 医師が常駐している
  • 要介護でも要支援でも利用可能

デメリット

  • デイサービスより費用がかかる
  • デイサービスほど多くはない
  • 利用までに時間がかかることも
  • ずっとマンツーマンでリハビリを受けられるわけではない
  • 設備の充実度が施設によって異なる

デイケアの大きなメリットは、専門スタッフによるリハビリを受けられることです。医師による管理・指示のもとでおこなわれるので、心身機能の維持や回復が期待できるでしょう。

一方、デイサービスよりは費用が高く施設数も多くないため、利用のしやすさではやや劣ります。また、リハビリ指導は常にマンツーマンで受けられるわけではなく、グループ指導になることもあります。さらに、施設によって設備の充実度が異なるため、リハビリの質も異なることにも注意しましょう。

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どちらを利用すべき?デイサービスとデイケアの選び方

デイサービスがおすすめなケース

  • 加齢による体力低下や身体機能の低下がみられる方
  • 他者との交流を望む方、家にこもりがちの方
  • 認知症のある方

デイサービスがおすすめな人は、心身の健康を維持したい方や、認知症の診断を受けた方です。機能訓練や他の利用者との交流もあるので、心と体の健康維持や増進を図れるでしょう。

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デイケアがおすすめのケース

  • 脳血管疾患の後遺症や神経難病、呼吸器の病気がある方
  • 骨折・変形性関節症などで病院に通っている方
  • 入院により低下した体力の回復を望まれている方

デイケアはリハビリが必要な方におすすめです。医師の管理・指導のもと実施されるので、脳血管疾患や神経難病など重い疾患を患った方でも利用することができます。

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デイケアやデイサービスを上手に活用するポイント

変更や併用を視野に入れる
ケアマネージャーとのコミュニケーション
施設見学

デイケアやデイサービスは施設によってそれぞれ雰囲気や環境が異なります。そのため、利用者やご家族が快適に活用するにはいくつかのポイントを抑えておく必要があります。

変更や併用を視野に入れる

例えば「デイケア→デイサービス」、「デイサービス→デイケア」はいつでも移行することができるため、デイケアでリハビリを行い、生活動作が自立したあとに近くのデイサービスへ移る方もいます。

また、要介護1~5に認定されている場合はデイサービスとデイケアを併用することも可能ですが、要支援1~2の場合はできません。

ケアマネージャーとのコミュニケーション

サービスの利用について、最初はケアマネジャーに相談することが一般的です。入院中の場合は、病院のソーシャルワーカーからデイケアの利用を提案されることもあります。

その際は、ご本人やご家族が何に困っているかだけでなく「サービスを利用してどうなりたいか(目標)」も話し合ってみてください。目標をもって取り組んだ方が、ご本人の意欲も向上し効果が得られやすいものです。

施設見学

サービスの特徴や雰囲気は事業所ごとに異なります。ご本人に合ったサービスをお選びいただくために、気になるデイサービス、デイケアがあればぜひ現場を見学してみてください。

デイサービス・デイケアは、あくまでもご本人が残された大切な時間を過ごす場所です。ご本人が納得して利用を始めること、ご家族も現場を見学して利用のイメージを持てることが、より効果的なサービス利用につながります。

違いを理解し本人に適した施設を選ぼう

デイサービスとデイケアの違いは、「デイサービス=日常生活の介護を目的とした生活を支える施設」「デイケア=医療的ケアの対応や専門職のリハビリを行う施設」と覚えておきましょう。

どちらを選ぶのがよいかは、利用者の身体の状態と利用目的によって変わります。わからない場合はケアマネージャーに相談しましょう。利用者本人のためにも、ご家族が両者の違いを知っておくことが大切です。

LIFULL介護では、デイサービスおよびデイケアが利用できる施設を、エリアを絞って検索できます。各種詳細情報も記載していますので、ぜひご活用ください。また、その他介護施設の紹介もあわせて行っていますので、ご検討いただければと思います。

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この記事の制作者

山本 武尊

監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)

地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。

公式おかげさま社労士事務所

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