脳血管疾患|寝たきりになる病気第1位 原因から予防まで

【図解】脳血管疾患

65歳以上の高齢者の主な死因として、「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」です。「脳血管疾患」(脳血管障害ともいう)は、脳血管の異常が原因で起こる脳・神経の疾患の総称です。

「脳血管疾患」のなかでも代表的な疾患としてあげられるのが「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」「血管性認知症」「高血圧性脳症」。

これらの疾患は高齢になるほど発症率が高く、寝たきりになる原因疾患1位としても知れています。また生活習慣の影響を受けやすいのも特徴です。

「脳血管疾患」と「脳卒中」は何が違う?

「脳血管疾患」の同義語として使われる言葉として「脳卒中」と言う言葉を聞くことはありませんか?じつはこの言葉、一部の脳血管疾患を表しています。

「脳卒中」の「卒」には「突然」を意味し、「中」には「あたって倒れる」という意味があります。「脳に突然なにかがあたって倒れる」ことを意味し、「脳梗塞」「脳出血」「クモ膜下出血」の3つの疾患をさす言葉です。

「脳血管疾患」は、脳の血管が狭窄したり閉塞する虚血性疾患と血管が破れて破綻する出血性疾患の2つに分けられます。

「脳卒中」のうち、前者の「脳梗塞」は血管が詰まり血液が脳に行きわたらない状態をさし、後者の「脳出血」「クモ膜下出血」は脳の中の血管が破れて脳内で出血している状態をさします。

また「脳血管疾患」は介護保険制度の特定疾病に指定されています。 40~64歳未満でも「脳血管疾患」を発症した場合は「2号保険者」として、介護保険が適用され、要介護認定の対象となります。

介護保険制度についてくわしく見る

代表的な脳血管疾患の特徴

「脳血管疾患」の中でも高齢者がかかりやすい代表的な疾患を紹介していきます。それぞれの疾患に共通していえるのは、初期症状に気づき早期治療をすれば重症化を免れ、寝たきりを回避できるということです。

まずは疾患を理解していきましょう。

脳梗塞

脳血管疾患の中でも半数以上を占め、65歳以上の高齢者の発症率は特に高い傾向にあります。 脳内の血管が狭窄、閉塞し血液が脳の組織に行きわたらなくなることで、酸素や栄養が運ばれず、脳の組織が壊死してしまう状態です。

脳梗塞には「脳血栓」と「脳塞栓」の2種類があります。脳の動脈内に血栓がつくられ、血管を閉塞するのが「脳血栓」、脳以外の部位から血のかたまりなどが血管内を流れてきて、脳の動脈で血管を閉塞するのが「脳塞栓」。

脳塞栓の大半の原因は、不整脈(心房細動)です。

脳梗塞はなぜ起こる?原因・症状・予防法まで

脳出血

脳実質内の出血を脳出血(脳内出血)といいます。出血した部位、血腫の大きさによってさまざまな程度の麻痺や意識障害など多くの症状があらわれます。脳出血の主要原因は高血圧で「脳梗塞」につづき高齢者に多い疾患です。

脳出血は生活習慣と高血圧が主な原因

くも膜下出血

脳表面の血管の破綻によって、脳を覆っているクモ膜(オブラートのような薄い膜)下腔に出血が生じた状態です。なかでも脳動脈瘤破裂が80%を占め、高齢者に多く起きています。死亡や重度後遺症が残る割合が多いのが特徴です。

クモ膜下出血|突然激しい頭痛に襲われる脳の病気

慢性硬膜下血種

脳膜下にじわじわと出血が起こり、血腫が作られ脳を圧迫。頭痛、認知障害、歩行障害、片麻痺が症状としてあらわれます。高齢者やアルコール多飲者にみられる疾患で、頭部外傷が原因となりますが、まったくその既往がなくても発症します。

慢性硬膜下血腫ってどんな病気?原因・症状・予防法まで

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血など脳血管の障害に伴って起きる認知症です。脳の血流障害で充分な酸素や栄養が脳の組織に行きわたらないことが原因で、もの忘れや認知症が起きます。認知症患者の約15%を占め、60~70代で起きやすいといわれています。高血圧症や血圧の変動が大きい人に多くみられます。

脳血管性認知症とは?発症のしくみや症状の特徴

高血圧性脳症

血圧130 mmHg以上の急激な血圧上昇によって頭痛、嘔吐、意識障害、全身けいれんなどを起こす疾患です。なんらかの原因で急激に血圧が上昇すると、脳内の血液循環が調整できなくなり、脳動脈がけいれんを起こして、出血、梗塞、浮腫を引き起こします。

高血圧性脳症|激しい頭痛や嘔吐などを招く脳の障害

脳血管疾患になる人の共通点

6つの「脳血管疾患」に共通するのは、高齢で高血圧の人や喫煙者、大量に飲酒する人、肥満や生活習慣病のある人がなりやすいということです。

脳血管疾患の月別死亡率をみると夏期と冬期とでは約1.3倍も冬期に多く、この疾患の特徴であるといえます。

生活習慣の改善が大切|脳血管疾患の予防法

食生活では高血圧を予防するため「減塩」を心がけましょう。肥満防止のためには適度な運動、禁煙、また飲酒は適量にすることが脳の血管に負担をかけない生活といえます。これらを心がけることで予防できる疾患です。 

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イラスト:坂田 優子

この記事の制作者

橋本 優子

著者:橋本 優子(看護師編集者)

大学卒業後、出版社にてビジネス誌の編集に携わる、その後、出産をきっかけに看護師資格を取得。病院勤務後、「看護」「医療」の知識を活かした情報発信をするため、現在は健康に関する記事の企画、取材、執筆、編集までを行う。

伊東 大介

監修者:伊東 大介(慶應義塾大学医学部神経内科・准教授)

1967年生まれ。1992年、慶應義塾大学医学部卒業。
2006年より、慶應義塾大学医学部(内科学)専任講師。総合内科専門医、日本神経学会専門医、日本認知症学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本医師会認定産業医。
2012年、日本認知症学会学会賞受賞。

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