【はじめての方へ】慢性硬膜下血腫ってどんな病気?原因・症状・予防法まで

慢性硬膜下血腫とは

慢性硬膜下血腫の典型的な発症例は、お酒を飲んで転倒し頭をぶつけたが、特に目立ったケガなどせず、その数週間後から数か月後に軽い頭痛やもの忘れの症状がでる、というもの。

病院に受診すると慢性硬膜下血腫であることを告げられ、緊急手術するというパターンが多く見られます。このように忘れた頃に時間差で症状がでる病気です。
 

頭部の打撲で発症!高齢者だけではない

慢性硬膜下血腫は、軽く頭をぶつけるなど外傷により発症します。脳を包む硬膜の下に出血が起こり、血のかたまり(血腫)が大きくなることで脳が圧迫され、頭痛、もの忘れ(認知障害)などの症状が現れる病気です。

血腫となるまでに数週間~数か月かかるため、発症したときには本人は頭をぶつけたことすら忘れているのが特徴。高齢で、血液をサラサラにする薬  (抗血小板薬、抗凝固薬)を内服している方や、大酒家の発症が多いといわれています。

また、幼児や、スノーボード中の頭部外傷後などで発症する若者もいますが、割合としては中高年の男性に多いようです。
 

症状は打撲後に時間差で現れる

慢性硬膜下血腫は外傷後、数週間~数か月で症状が現れはじめます。最初は軽い頭痛が見られたり、もの忘れが多くなったり、片方の手が動かしにくくなるなどの片麻痺の症状も確認されています。

また、慢性硬膜下血腫で生じるもの忘れ(認知障害)は血腫を取り除くことで回復するという特徴があります。    
 

慢性硬膜下血腫の治療|状態によっては手術の必要も

軽症の場合は、特に治療せず経過を観察します。また、脳の中にできてしまった血のかたまりは局所麻酔で頭に穴をあけて取り除く穿頭術(せんとうじゅつ)が用いられ、手術後は回復する見込みが高いことが特徴です。

頭をぶつけないことが一番の予防法    

いちばんの予防法は頭をぶつけないよう転倒に注意すること。また、頭をぶつけたときに外傷や変化がなくても数週間後~数か月後に症状が現れることがあるため、頭痛、記憶力の変化などがないかに注意して生活することが大切です。

血液をサラサラにする薬を内服している高齢者は、特に転倒時は注意が必要といえるでしょう。

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イラスト:坂田優子

この記事の制作者

橋本 優子

著者:橋本 優子(看護師編集者)

大学卒業後、出版社にてビジネス誌の編集に携わる、その後、出産をきっかけに看護師資格を取得。病院勤務後、「看護」「医療」の知識を活かした情報発信をするため、現在は健康に関する記事の企画、取材、執筆、編集までを行う。

伊東 大介

監修者:伊東 大介(慶應義塾大学医学部神経内科・准教授)

1967年生まれ。1992年、慶應義塾大学医学部卒業。
2006年より、慶應義塾大学医学部(内科学)専任講師。総合内科専門医、日本神経学会専門医、日本認知症学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本医師会認定産業医。
2012年、日本認知症学会学会賞受賞。

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