老人ホームと介護施設の違いを比較|種類ごとの特徴や費用について

老人ホームや介護施設は、対象者や目的などの違いからおおよそ11種類の施設に分かれています。

種類が多くて見分けがつかない!という人のために、老人ホームと介護施設の違いや、種類ごとの特徴、費用面について解説していきます。

※この記事は2022年3月現在の情報を基にしています。

老人ホームと介護施設の違い

「老人ホーム」とは、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど「老人ホーム」と名の付く施設だけでなく、高齢者が生活できる施設や住宅全般を総称するイメージです。「介護施設」とは、その中で、介護や生活援助を受けてくらせる高齢者施設を指します。

老人ホームは公的施設と、民間施設に分けることができます。公的施設は、社会福祉法人や地方自治体が要介護度の高い人や低所得者を支援するために運営しています。そのため入居対象者は限定されます。

一方民間施設は高齢者のさまざまなニーズを満たすために多種多様なサービスを展開しています。こうした性格の違いから、費用面でも公的施設の方が民間施設と比較すると安い傾向があります。

老人ホーム・介護施設一覧と種類ごとの特徴

この表では、老人ホーム・介護施設の特徴と入居条件を一覧にしてまとめています。

老人ホーム・介護施設の種類 特徴 入居条件 看取り
ケア
入居
しやすさ
終身
利用










特別養護老人ホーム

(特養)

要介護3以上〜入居できる。食事や入浴、
日常生活の支援を受けることができる
× × ×
介護老人保健施設
(老健)
退院後の自宅復帰が不安な人が、
自宅復帰を目指すための施設
× × × ×
介護医療院 高度な医療が必要な人向けに、
24時間医療ケアと介護を受けられる施設
× ×
ケアハウス
(一般型)
食事や掃除などの生活支援が受けられる × ×
ケアハウス
(介護型)
生活に不安がある人が入居できる施設で、
食事や入浴、日常生活の支援を受けられる
× ×
養護老人ホーム 経済・精神・身体・環境的に自宅での生活が
難しい人が社会復帰を目指すための施設
× × × × ×



介護付き有料老人ホーム 介護スタッフによる介護サービス
と日常支援が24時間受けられる

(※1)
住宅型有料老人ホーム 生活支援と見守りサービスが受けられる
健康型有料老人ホーム 自立している人限定で、生活支援サービス
と見守りサービスが受けられる
(アクティビティが豊富な施設も)
× × × ×
グループホーム 認知症患者向けで、24時間の介護サービス
と生活支援が受けられる
×
(※2)
×
サービス付き高齢者向け住宅 生活支援が受けられるバリアフリーマンション
(※1)
グループホーム 認知症患者向けで、24時間の介護サービス
と生活支援が受けられる
×
(※2)
×
シニア向け分譲マンション 生活支援が受けられる、バリアフリー完備
の分譲マンション。賃貸、売却も自由
× × ×

(※1)入居条件は、各施設のタイプにより異なる。

(※2)要支援2~

地域や施設規模によっても異なりますが、基本的に老人ホームは需要が高く、入りにくいところもあります。なかでも特養は低所得でも入居ができ、終身利用も可能であることから入居希望者が多いのが実情です。

地域による違いはありますが、入居には半年~1年以上時間がかかることも珍しくありません。

次の項からそれぞれの老人ホーム、介護施設について解説します。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、要介護度の高い人を対象に、日常的な介護と生活援助サービスが提供されています。

入居条件は原則要介護3以上ですが、先着順ではなく介護の緊急度が高い人から優先的に入居できます。初期費用は不要で、介護保険である程度まかなえるので、自己負担する金額が少ないことも特徴です。

終身利用もできるため入居希望者が多いことから、入居までに数年待つこともあります。

特養について詳しく知りたい方はこちら

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、主に病院を退院するようなとき、そのまま自宅に戻っても生活が不安だという人を対象に、自宅での生活に復帰できるようにリハビリを行う施設です。

リハビリ以外にも日常生活の支援や介護、レクリエーションや外出支援なども行われています。自宅への復帰を目指しているため、入居期間は原則3ヵ月間で、長期的な利用はできません。

老健について詳しく知りたい方はこちら

介護医療院

介護医療院は高度な医療が必要な高齢者を対象に、介護だけでなく医療ケアも受けられる施設で、終身利用も可能です。

介護以外に、リハビリスタッフ・栄養士・薬剤師など専門の職員も配置されているため、ほかの介護施設では入居継続が困難となった高齢者でも安心して暮らせる療養施設です。

制度変更に伴い、「介護療養型医療施設」は2024年3月で廃止となるため、現在介護医療院などへの移行が進められています。

介護医療院について詳しく知りたい方はこちら

ケアハウス

ケアハウスには一般型と介護型の2タイプあります。一般型はある程度自立している人が対象で、食事や掃除などの生活支援を受けて生活できます。

一方、介護型は介護が必要な人が入居対象で、生活支援のほか、食事、排泄、入浴などの日常生活の介護サービスも行われています。

一般型では要介護度が高くなると退去の可能性が出てきますが、介護型は、要介護1以上の人が入居し、その後に要介護度が高くなっても退去する必要はありません。

ただし、施設によっては重度になると特養などに住みかえが必要な施設もあるため、事前に確認しておきましょう。

ケアハウスについて詳しく知りたい方はこちら

養護老人ホーム

養護老人ホームは、経済・身体・精神・環境的に自宅での生活が難しい高齢者が社会復帰を目指せる施設です。

介護サービスの提供はなく、食事の提供や健康管理など、自立できるような支援が行われています。社会復帰を目指す福祉施設のため、長期入居はできません。入居後に要介護度が高くなると、退去となります。

特別養護老人ホーム(特養)と養護老人ホームの違い

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、専門の介護スタッフによる介護サービスが24時間体制で受けられる施設です。

施設によって、受けられるサービスや設備の充実度、それに伴い費用も異なるため、自分に合う施設かどうか、施設ごとに確認が必要です。

最期の看取りまでという長期間利用できる施設もあれば、自立している人でも入居できる施設や自立している人しか入居できない施設もあります。

また、自立している人が介護付き有料老人ホームに入居した場合、「自立サポート費」が必要な施設もあることはあらかじめ理解しておきましょう。

介護付き有料老人ホームについて詳しく知りたい方はこちら

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、食事や清掃などの生活支援や見守りサービスが受けられる施設です。

自立している人から要介護5の人まで幅広く入居できます。住宅型有料老人ホームでは介護サービスは提供されないため、介護が必要な場合は外部のサービスを利用することになります。

24時間体制の介護が必要になると、入居し続けるのが難しくなる施設もありますので、確認が必要です。

住宅型有料老人ホームについて詳しく知りたい方はこちら

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームとは介護の必要がない自立した高齢者向けの施設です。食事や清掃など基本的な生活支援が提供されています。自立者向けなので、イベントやサークル活動が盛んな施設もあります。

介護サービスは提供されず、入居後に認知症や介護が必要になると退去しなければなりません。

健康型有料老人ホームについて詳しく知りたい方はこちら

グループホームホーム

グループホームは、認知症の高齢者が入居する施設で、認知症に関する専門的な知識を持ったスタッフによる介護サービスを24時間体制で受けることができます。

グループホームでは、介護職員の介護を受けながら5~9人程度の集団生活をおくります。認知症とはいえ、入居時には自分の身の回りのことはある程度できることが入居条件です。

なかには要介護度が高くなると退去が必要なグループホームもありますので、確認が必要です。

グループホームについて詳しく知りたい方はこちら

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向けのバリアフリー設計の賃貸住宅です。

安否確認と生活相談サービスのほか、オプションで食事や清掃などの生活支援サービスが提供されているところが多くなっています。

特に外出制限などがないため、生活の自由度は通常の住宅と変わりません。介護サービスが必要な場合は外部サービスを利用することになります。

また、大半のサ高住は要介護度が高くなったり認知症が著しく進行したりすると退去となります。

サービス付き高齢者向け住宅について詳しく知りたい方はこちら

シニア向け分譲マンション

シニア向け分譲マンションとはバリアフリー設計の所有権のあるマンションで、生活支援や安否確認などのサービスが受けられます。

レストランや大浴場があるのは一般的ですが、温泉付きだったり、プールや娯楽室などの共有設備が充実していたりする所もあります。ただし、それらは管理費に転嫁されるため、他の老人ホームなどと比べて高額になる傾向があります。

シニア向け分譲マンションは、通常の分譲マンションと同様に所有権があるため、思い通りにリフォームしたり、売却や賃貸で貸し出したりすることも自由です。

シニア向け分譲マンションについて詳しく知りたい方はこちら

老人ホーム・介護施設の費用の違い

介護施設・老人ホームの種類 費用
初期費用 月額費用



別養護老人ホーム(特養) 0円 6~20万円
老人保健施設(老健) 0円 7~21万円
介護医療院 0円 8~22万円
ケアハウス(一般) 0~30万円 7~20万円
ケアハウス(介護) 数十万~1千万円 8~30万円
養護老人ホーム 0円 0~14万円




介護付き有料老人ホーム 0~数千万円 12~40万円
住宅型有料老人ホーム 0~数千万円 12~40万円
健康型有料老人ホーム 0~数千万円 12~40万円
グループホーム 0~百万円 15~20万円
サービス付き高齢者向け住宅 0~数百万円 10~40万円
シニア向け分譲マンション 数千万~数億円 10~30万円

公的施設、民間施設の老人ホームにかかる費用を一覧にしました。

老人ホーム、介護施設に必要な費用は大きく分けて、初期費用と月額費用の2種類です。それぞれの費用の内容を見ていきます。

初期費用の内訳

老人ホームや介護施設で必要な初期費用とは、入居一時金や敷金のことです。

ケアハウスを除く公的施設は入居一時金が不要ですが、民間施設の場合は入居一時金(もしくは敷金)としてまとまった費用が必要です。

入居一時金の相場は施設によってかなり幅広く、0円と謳っている施設もあれば数千万円必要な施設もあります。

入居一時入居金が0円でも家賃が月額費用に上乗せされているケースや、入居一時金を支払っている分、月々の費用が抑えられているケースもあるため、一概に入居一時金0円(なし)が安いというわけではないことは押さえておきましょう。

月額費用の内訳

初期費用の他に、以下のような毎月支払う月額費用がかかります。

【月額費用の内訳】

  • 居住費:家賃に相当、居室のタイプや施設によって幅がある
  • 食費:食材費、厨房維持費が含まれる
  • 施設介護サービス自己負担額:介護サービスを受けるための費用
  • サービス加算:基本の施設のサービス費以外に、設備や体制に加算される費用
  • 上乗せ介護費:手厚い介護体制を敷いている介護付き有料老人ホームなどでかかる費用
  • 介護保険対象外のサービス費:介護保険の対象にならない、買い物代行などの実費
  • 管理費:施設職員の人件費、建物全体の修繕費、光熱費、生活消耗品費など
  • 日常生活費:個人が生活の中で使用する日用品費、娯楽費など
  • 医療費:個別に必要な医療費、薬代など

基本的に上記の費用が月々必要になりますが、介護保険施設である特養・老健・介護医療院では、居住費や食費は所得に応じて自己負担額が異なります。また、日常生活費用のうち、オムツ代も介護保険施設では自己負担の必要はありません。

なお、介護サービスの自己負担割合は、所得に応じて1割、2割、3割とめられています。

老人ホームの費用について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

老人ホームや介護施設は、公的施設か民間施設かによって、費用面や対象者、目的などが大きく異なることをご理解いただけたでしょうか。

その中でも、終身利用ができるのか、看取りケアができるのか、介護サービスが提供されるか、認知症でも入れるか、自立していても入れるかなど、費用面以外にも確認すべきポイントがたくさんあります。

自分に合う老人ホーム、介護施設を見つけるためには自分の希望する条件に当てはまる施設を選び、実際に見学することが大切です。即決して後悔しないよう、計画的に介護施設・老人ホームを選びましょう。

この記事の制作者

岡本典子

監修者:岡本典子(ファイナンシャルプランナー/CFP、1級FP技能士)

FPリフレッシュ代表。
シニアライフを安心して暮らせる高齢者施設・住宅への住み替えコンサルに注力。
セミナー講師・講演、執筆、監修も行う。著書に『イザ!というとき困らないための 親の介護と自分の老後 ガイドブック』(ビジネス教育出版社)などがある。

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