介護疲れとは?独自調査から見る相談先とチェックシート、限界になる前に行うべき対策まで

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介護疲れとは、介護における心身の負担から介護者が疲弊してしまう状態を指します。介護者の6割以上が抱える深刻な問題で、放置するとさらなる事態の悪化を招くことも。本記事では、介護疲れの対策や現状確認のチェックシートを紹介します。介護者への独自調査をもとにした相談先も紹介するので、今の状況を見直すきっかけとしてご活用ください。

介護疲れとは?

「介護疲れ」とは、介護における身体的負担や精神的ストレス、経済的な問題などが複合的に重なり、介護者が心身ともに疲弊してしまう状態です。無理を続けると、介護の質が低下したり、介護者自身が体調を崩し共倒れしたりするリスクがあります。単純な疲労とは異なり、休んでも回復しにくい点が特徴で、注意が必要です。

介護疲れの状態が続くことで、「自分はダメな介護者だ」と、自責の念に駆られるケースも存在します。介護者であるご自身の状態を冷静に見つめ、早急に対策することが大切です。

介護疲れは介護者の多くが感じている

出典:厚生労働省「4 同居の主な介護者の悩みやストレスの状況」

介護疲れが続くと「こんなにつらいのは自分だけだ」と孤独を感じやすくなります。しかし実際には、多くの介護者が同じような悩みやストレスを抱えています。上記のグラフは、厚生労働省が介護におけるストレスの有無を介護者に調査したデータになります。介護者の6割以上が悩みやストレスを抱えているという結果に。

介護は突然始まるケースが多く、十分な準備ができないまま生活が一変します。ご家族が要介護状態になったショックや何から手をつければ良いのかという戸惑い、仕事への支障など、介護開始当初から大きな負担がかかります。介護疲れは特別なことではなく、誰にでも起こりうる問題なのです。

介護疲れを感じる主な原因

  • 介護者も高齢化し、老々介護が増加している
  • 家族ゆえに感情移入が強く、ストレスも増幅しやすい
  • 仕事や家事と介護の両立が大変
  • 介護負担が偏っている
  • 介護がいつまで続くか見通しが立たない
出典:J-Stage「在宅介護ストレスへの新たな視点 -ストレスの二面性に着目して-」(PDF)

介護疲れの原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。ご自身の状況を客観的に見つめ、つらいと感じている理由を理解することが、解決への第一歩になります。

介護者も高齢化し、「老々介護」が増加している

介護者が高齢である場合、自身も体力が衰えていたり、持病を抱えたりしていることが多く、負担が大きくなります。特に被介護者の状態が悪いと無理が重なりやすく、共倒れのリスクも高まります。

家族ゆえに感情移入が強く、ストレスも増幅しやすい

血縁関係にあるご家族が介護者となる場合、責任感や愛情、ショック、苛立ちなど、さまざまな感情が複雑に絡み合います。深く感情移入するあまりに、介護のストレスがより増幅するケースは少なくありません。

仕事や家事と介護の両立が大変

現役世代が介護を担う場合、仕事や家事、育児と並行する「ダブルケア」「トリプルケア」といった状況になりがちです。時間的・精神的な余裕がなくなり、自分の時間や睡眠時間も削られることで、心身ともに消耗してしまいます。

介護負担が偏っている

介護負担が一人に偏り、他のご家族からの協力が得られない状況は大きな不満やストレスになります。「なぜ自分だけが」「誰のための介護なのか」といった役割への疑問や不公平感が、精神的な疲弊を生むケースも多いです。

介護がいつまで続くか見通しが立たない

介護はいつまで続くか見通しが立たないため、精神的な負担も大きくなります。病気の進行や認知症の悪化により、要介護度が上がることへの不安は、介護疲れを感じる最も大きな要因の一つです。

介護疲れのチェックリスト

1 夜中に何度も目が覚め、まとまった睡眠が取れない
2

朝起きても疲労感が残り、体が重いと感じる

3

特定の病気ではないが、頭痛や胃痛が続いている

4 食欲がなくなったり、逆に食べすぎてしまったりする
5 以前より風邪をひきやすくなった、または治りにくくなった
6 以前楽しかったことでも、今は楽しいと感じない
7 理由もなくイライラしたり、怒りっぽくなったりする
8

被介護者ご本人に、つい冷たい態度をとってしまう

9 将来の介護生活に対して、漠然とした不安や絶望を感じる
10 「自分はダメな介護者だ」と自身を責めてしまうことがある
11 自分の趣味や休息の時間がほとんど取れていない
12 友人や知人からの誘いを断り、外出や交流を避けている
13 介護について、他の家族や親戚に相談できていない
14 介護サービスの利用に抵抗がある、または十分に使えていない
15 介護を理由に仕事や家事に支障をきたしている

ご自身でも気が付かないうちに介護疲れを感じていないか、以上の項目からセルフチェックしてみましょう。本チェックシートはあくまで目安のため、正確な診断は専門の医療機関などにご相談ください。

該当が1〜4個の場合

まだ軽度な介護疲れですが、今の状態が続けば深刻化する可能性があります。睡眠や休息を意識的に確保し、少しでも負担を減らせるよう、介護サービスなどの利用も検討しましょう。

該当が5〜8個の場合

介護疲れが蓄積している状態です。無理をせず、専門家に現状を相談し、具体的なサポートを求めましょう。特に6〜10番の質問を多くチェックしている場合は、心のケアも必要です。

該当が9個以上の場合

心身ともに限界に近い状態で、すぐに休息が必要です。早急にケアマネジャーや地域の相談窓口に連絡し、介護サービスの利用や見直し、介護負担を軽減する方法を模索することを強く推奨します。

介護疲れを感じやすいのはどんな人?

  • 責任感が強い
  • 介護を完璧に行いたい
  • 辛いのに我慢しすぎてしまう
  • 体力に自信がない
  • 経済面に不安を抱えている

介護疲れは誰にでも起こり得るものですが、特に上記の特徴がある方は疲労が深刻化しやすい傾向にあります。ご自身やご家族の状況と照らし合わせてみてください。介護疲れは自分一人で解決できる問題ではありません。心身が限界を迎える前に、休んだり、外部のサポートを受けたりすることが大切です。

介護疲れを放置するとどうなる?

介護疲れを抱えたまま無理を続けると、心身のバランスを崩しやすくなります。介護うつや介護ノイローゼを発症し、不眠や苛立ち、無気力といった症状に見舞われるリスクが高まります。また、精神的な余裕がなくなることで、対応が行き届かなくなったり、関わりを避けてしまったりする状態につながるおそれもあります。最終的には、介護者自身が倒れてしまう共倒れのリスクも。

介護者自身が心身の健康を保つことは、被介護者の生活を守ることと直結します。介護疲れは絶対に放置しないようにしましょう。

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介護疲れが限界を迎える前に行いたい5つの対策

  • 専門の相談窓口に相談する
  • 介護関連サービスを利用する
  • 完璧主義をやめる
  • 相談相手を作る
  • 施設入居を検討する

介護疲れを深刻化させないためには、積極的に対策することが重要です。介護者が心身の限界を迎える前に取り組みたい施策を5つご紹介します。

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専門の相談窓口に相談する

介護疲れを解消するために、まずは専門家を頼りましょう。介護疲れが起こる背景には、介護者の孤立があります。孤立防止にも、専門家に相談する方法は有効です。下記のグラフは「LIFULL 介護」が介護者に対して、介護における相談先を調査した結果になります。多くの介護者がケアマネジャーや介護スタッフ、地域包括支援センターなど、さまざまな専門家に相談していることが読み取れるでしょう。

出典:PR TIMES「仕事と介護の両立について「相談したことがない」人が4割。LIFULL 介護がワーキングケアラーの実態調査【取り巻く環境編】を発表」 地域包括支援センターとは? その活用法

介護関連サービスを利用する

介護保険サービス
  • レスパイトケア
  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • デイサービス
  • ショートステイ
介護保険外サービス
  • ホームヘルパーによる生活援助
  • 民間事業者による配食サービス
  • トレーニングを受けたボランティアによる付き添いや安否確認
行政サービス
  • 自治体独自の高齢者支援サービス

介護疲れの直接的な解決策として、介護関連サービスを最大限活用し、介護に充てる時間を減らすことが有効です。介護関連サービスは公的な介護保険サービスに加えて、介護保険外サービス、自治体独自の行政サービスがあります。それぞれ内容や利用条件、費用面を十分に確認し、最適なものを選択すると良いでしょう。

【はじめての方へ】介護保険制度とは?しくみをわかりやすく解説します 【はじめての方へ】介護保険外サービスとは?

完璧主義をやめる

介護疲れを取るには、介護に対する考え方を緩め、完璧主義にならないことが大切です。介護疲れの原因の一つに、「家族だから完璧に面倒を見なければならない」という責任感や、「外部に頼るのは良くない」という固定観念があります 。デイサービスやショートステイを利用して作った時間を自分の趣味や外出などに費やし、介護生活にオンとオフを作り出しましょう。

相談相手を作る

ご自身の気持ちを理解し、共感してくれる相談相手を持つことは心の負担を軽減するうえで大切です。地域で実施されている「介護家族の会」などに積極的に参加して、同じ立場の人とつながることで、気持ちもリフレッシュできます。認知症のご家族を介護している場合は、町内会や民生委員、マンションの管理者などにあらかじめ状況を伝えておくと安心です。近所の人や地域とのつながりは、いざというときの支えになります。

施設入居を検討する

さまざまな方法で介護負担を軽減しても介護疲れが改善しない

場合、老人ホームなどの介護施設を検討する方法もあります。下記のグラフは「LIFULL 介護」が介護者に対して、「もっと早く介護施設への入居を検討すればよかったと思うか」調査したデータです。調査の結果、約7割の方が「思う」旨の回答をしていることが読み取れます。在宅介護を行えている間に、介護施設への入居を視野に入れておくと良いでしょう。

まとめ

介護疲れは決して特別なことではなく、強い責任感や孤独感から、誰にでも起こりうる深刻な問題です。介護者自身が心身の健康を保つことは、介護を続けていくうえで欠かせません。介護サービスや相談窓口を積極的に活用し、ご自身の時間と休息を確保してください。

さまざまな対策を講じても介護疲れが軽減されない場合は、施設入居も前向きな選択肢です。「LIFULL 介護」では、ご本人やご家族の状況に合った施設探しはもちろん、無料で入居相談も可能です。介護疲れを少しでも感じていたら、ぜひ一度ご相談ください。

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イラスト:安里 南美

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この記事の制作者

小菅 秀樹

監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)

有料老人ホームの入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。介護離職防止対策アドバイザー。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護や高齢期の情報発信を行う。2025年7月集英社より「幸せになれる老人ホーム探し~マンガでわかる高齢者施設~」発売。

プロフィール詳細LIFULL senior

X(Twitter)@kosugehideki

著書集英社「幸せになれる老人ホーム探し~マンガでわかる高齢者施設~」

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※HOME’S介護は、2017年4月1日にLIFULL 介護に名称変更しました。

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