
後悔しない老人ホーム選びをするには、何をどう考え、どのように探し、選べばいいのか。
探し方の手順から予算計画・立地条件・サービス内容など選び方のポイントを、多角的な視点から詳しくわかりやすく解説しています。
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- 【目次】
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入居までに必要な6つのステップ
有料老人ホームや介護施設に入居するということは、終の棲家を決めるということでもあります。
高い入居金を払うケースもあり、慎重に選ぶ必要があります。次のステップをきちんと踏んで選びましょう。
STEP1.どんな生活を希望するか考える
今の生活に足りないもの、不便を感じること、不安を覚えることなど、現在の状況を整理し、理想とする生活を考えてみましょう。
STEP2.条件を整理する
予算、立地、サービス内容などの条件を整理し、STEP1を満たすための条件に優先順位付けをします。
STEP3.老人ホームを探す
実際に老人ホームを探します。インターネット、口コミなど、幅広く情報収集しましょう。
STEP4.老人ホームを比較する
条件に合うからと1つのホームに決めてしまわず、複数の老人ホームについて比較しましょう。考えが及ばなかった新しい条件が見つかることがあります。
STEP5.老人ホームを見学する
百聞は一見に如かず、必ず複数のホームを見学しましょう。見学チェックリストを活用すると抜け漏れがない効果的な見学ができます。
STEP6.老人ホームの体験入居をする
見学を終えて入居したいと思うホームが見つかったら、本契約の前に体験入居をしましょう。見学ではチェックしきれなかった部分も含め、最終確認を行います。
次にそれぞれのSTEPについて解説します。
STEP1.どんな生活を希望するか考える
老人ホームの条件を洗い出すには、現在の生活で不足・不便・不安を感じることを踏まえて、老人ホームに何を求めるのか、どんな風に暮らしたいのかなど、入居者本人、家族の考えをまとめましょう。
STEP1をしっかり行なうことで、STEP2での条件の優先順位付けを間違えずにできるようになります。
現在の生活への不満 |
老人ホームに求めること |
友達がいない(亡くなった、引っ越した) |
友達を作りたい |
気力・体力がない(すぐに疲れる、長時間歩けない) |
リハビリをして体力減退を防ぎたい |
適応力が減少した(新しいことが覚えられない) |
必要な時に助けが欲しい |
病院に1人で行けない |
定期的に医師に診てもらいたい |
お稽古事に行けない |
趣味を続けたい |
家事全般ができなくなった |
食事や清掃などの家事から解放されたい |
心臓に疾患があり、いつ発作が起こるかわからない |
24時間見守り体制がある |
引きこもりがちで鬱症状が進行している |
部屋に籠らないような工夫がある |
STEP2.希望条件を整理する
老人ホームの条件はさまざまな側面から考える必要があります。それぞれの項目について条件を洗い出し、その優先順位をつけましょう。
費用
有料老人ホームの場合はまとまった金額の初期費用と月額費用がかかるところがあります。その場合は、無理のない予算計画を立てることが大切です。
また、生活保護を受けている方は自治体に相談しましょう。生活保護費内で入居が可能なホームもあり、紹介してくれることがあります。
老人ホームの料金相場
【はじめての方へ】リバースモーゲージ|自宅を活用して入居資金を準備しよう
立地条件
立地条件は、本人が生活する環境としての視点と家族が通いやすいかという視点が大切です。
本人が外出できるお元気な状態であれば周辺環境を、1人では外出できない状態であれば家族にとっての視点を重視しましょう。
条件例
- 周辺環境
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- 静かな環境か、にぎやかなところか(本人の好みで)
- 安全な散歩コースがあるか、買い物ができるお店の有無、利便性
- 最寄駅までの交通手段
- 家族が通いやすいか
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- 家族の家からの所要時間、家族が勤務している会社からの所要時間(会社帰りに寄りやすいか)
- 最寄り駅からの距離
- 車でのアクセス、駐車場の有無
運営会社
運営会社については経営の安定性と運営姿勢がポイントとなります。
民間企業運営の倒産リスクを見破るのは困難ですが、最低限のチェックは必要です。運営姿勢については、積極的に言いたがらないこと(経営状態や苦情など)を聞いてみるのも一法です。
介護サービス体制
希望する介護サービスが受けられるかを確認しましょう。
条件例
- スタッフの人員体制(夜間の最少人数などを確認)
- 在宅介護で行っていたケアを継続できるか
- 入浴回数、それ以上入浴したい場合は対応可能か、追加費用はいくらか
食事内容
毎日の食事はホームでの生活における最重要事項でもあります。食事に対して積極的ではない方には楽しみな時間になるように条件を考えてみましょう。
条件例
- 医療食・介護食への対応、料金
- 味付けや嫌いな食材などに対して、好みに応じてくれるか
- 入居者から意見を取り入れて改善など努力しているか
レクリエーション・イベント・サークル活動
毎日の生活に楽しさや刺激を与えてくれるもので、スタッフが工夫を凝らして企画しています。参加拒否した場合の対応方法などは、本人のペースや性格を基準に考えてみましょう。
条件例
- レクの頻度、内容、費用が希望に近いか。
- 趣味を持っている場合は、それが続けられるものがあるか
- 外出・お散歩の有無
生活支援サービス
「病院への付き添い」、「買い物代行」など、有料の生活支援サービスを提供しているホームもあります。本人ができること・できないことを踏まえて、どこまでのサービスを希望するかを考えましょう。
条件例
- サービス内容と費用
- 有料でも便利なサービスはあるのか
リハビリ体制
どこまでのリハビリを希望するのか、それを実現する体制を考えます。
条件例
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など機能訓練員の有無
- 介護予防の有無、頻度
- 集団リハビリ、個別リハビリの有無、頻度とそれぞれの費用
医療体制
持病や必要な医療的処置の内容から条件を考えましょう。
条件例
- 看護師の常勤時間、対応できる医療処置
- 提携病院との連携、緊急時の対応
- 緩和ケアの実績、看取り対応の有無
メンテナンス、清潔感
施設の衛生管理は重要です。人手不足かどうかを見極めるポイントにもなります。
条件例
居室や共有スペースの設備
時々は料理をしたい、自由にお風呂に入りたい、タバコを吸いたいなど、自分のライフスタイルが実現できる設備があるかも条件となるでしょう。
条件例
ペット入居の可否
ごく少数ですがペットと入居可能なホームもあります。ペットと離れることで精神的な落ち込みが大きくなると思われる方、ペットの世話を誰にも託せない方は条件として考えてみましょう。
条件例
- 入居可能なペットの種類
- ペットに対するサービス
- ペットと入居するにあたり追加でかかる費用の有無
このように多角的な視点から条件を考えることが大切ですが、一方で全ての希望条件に合致するホームを見つけるのはとても難しいです。
理想を追い求めすぎると入居のタイミングを逸してしまうことにもなりかねません。
そこで重要なのが「条件の優先順位付け」です。「必須条件」と「希望条件」に整理し、挙げた条件に優先順位をつけましょう。
アンケートでわかった、老人ホーム選びで重視するポイントSTEP3.いざ老人ホームを探す
条件を洗い出したら、老人ホームの情報収集を行います。いろんな手段がありますので、それぞれの特徴を鑑みて活用しましょう。
気になる老人ホームが見つかったら資料請求をして、パンフレットを取り寄せましょう。
インターネット
- LIFULL介護のようなポータルサイト……多くのホームの比較が可能
- 老人ホームの公式サイト
役所や地域包括支援センター
個別に民間施設を紹介することはありませんが、近隣地域の老人ホーム一覧などを用意していることがあります。
担当のケアマネジャー
民間施設の紹介はケアマネジャーの業務ではないので、持っている情報量も個人差があります。
在籍する事業所の近隣情報や営業活動が活発な施設しか情報を持ってないなど、偏りがある場合もあります。
上記3つ以外に、老人ホームを紹介している事業所に相談に行くのも手です。
LIFULL介護でも、お電話での入居相談を承っています。どこから探していいのかわからない方は、こうしたプロの手を借りてみましょう。
LIFULL介護 入居相談室
また、老人ホームは資料請求から入居まで1ヶ月半~2ヶ月程度の期間が必要となります。全体のスケジュール感、入居までにすべきことは何かを押さえておきましょう。
意外とかかる入居までの流れ
老人ホーム探し「LINE」相談サービスのお知らせ
以下のリンクからLIFULL介護入居相談室をLINEのお友達に追加して、お気軽にご相談ください。高齢者住まいアドバイザー検定の資格を持った専門相談員が確認後、対応いたします。
◆LINE相談サービス◆
STEP4.老人ホームを比較する
条件に合いそうなホームの条件収集を終えたら、それぞれの比較を行ない見学するホームを決定します。各々特徴があり一長一短があるかと思いますが、条件の優先順位に従って見学する施設を選び出しましょう。
比較確認事項
- 施設の強み、特徴(条件に合っているか)
- 入居条件・退去用件(特に退去用件は見学時にも詳しく確認)
Q&A「失敗しない老人ホームの選び方や、見極めのポイントを教えてください。」
オンライン見学対応な全国の有料老人ホームを探すSTEP5.老人ホームを見学する
実際にホームの見学を行います。見学は必ず複数のホームに行きましょう。できれば2~4ヶ所の見学を行なうと、より比較すべきところが明確になります。
見学を終了したら、比較検討に入ります。そのためには、それぞれの印象も含めて、しっかりメモをして記録に残しておきましょう。
老人ホーム見学時のポイント
老人ホーム選びで「施設長と会うべき理由」をプロが解説!
STEP6.老人ホームの体験入居をする
見学後の比較検討の結果、入りたいと思うホームを決めたら、本契約する前に必ず体験入居を行います。
体験入居に問題がなければ、原則としてそのまま入居になります。見学ではわからない点も体験入居で確認できることが多くありますので、しっかりと最終チェックを行いましょう。
体験入居で「合わない」と判断した場合は、STEP4~5で比較した別の施設を再度検討しましょう。
老人ホームの体験入居
老人ホーム選びは、終の棲家を選ぶこと。人生の総決算、棚卸しを行なうことでもあり、「どんな生活を送りたいか」を考えるSTEP1からSTEP6の体験入居まで、省略できる段階は1つもありません。
また、老人ホームでは、食事や介護予防の点からも管理され、安全・安心の生活を手に入れることができます。
サービスの質が良いところであれば、元気になり、より長生きできます。しかし、その分費用もかかります。真の意味で安心を得るには、しっかり余裕を持った予算計画がとても大切です。
老人ホーム選びにおいても、彼を知り己を知ることが成功の秘訣です。
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この記事の制作者
著者:武谷 美奈子(シニアライフ・コンサルタント)
学習院大学卒 福祉住環境コーディネーター 宅地建物取引士
これまで高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受ける。 「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」等介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。 また日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。