認知症だけど施設に入れるお金がない…5つの対策と入居できる施設、費用目安

認知症の方の介護は片時も目が離せず、かなり負担が大きいものですが「お金」の面で施設入居を諦めてしまっているご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。しかしながら、制度の利用や施設の選び方次第で費用を抑えつつ、認知症のご家族を安心して任せることもできます。

施設に入るお金がないときにできる5つの対策と、お金がなくとも入居を検討できる施設の情報を、費用目安と合わせてお伝えします。

施設に入るお金がない認知症患者はどうする?5つの対策

・地域包括支援センターに相談する

・自治体の助成を利用する

・リバースモーゲージを検討する

・生活保護を受給する

・リーズナブルな施設を探す

認知症の家族を施設へ入れてあげたいものの、先立つお金がない状況のとき、今できる対策にはたとえば次のようなものがあります。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターとは、介護や医療、福祉など、生活全般の相談について専門知識を持ったスタッフが対応してくれる総合窓口です。介護保険サービスの申請・認定にも関わっており、身体の状態や金銭的な状況なども加味したうえで、使えるサービスや支援制度についてアドバイスがもらえます

自治体によって利用できる制度に細かい違いがあるため、まずはお住まいの地域を管轄する支援センターへ、どのような対策がとれるかを相談してみるのがよいでしょう。相談・対応は無料で、65歳以上の高齢者や、その支援のための活動に関わっている人が利用できます。

出典:独立行政法人 地域医療機能推進機構「認知症で困った時、ここに相談!」(PDF)

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自治体の助成を利用する

国や自治体には、所得や資産の額に応じて、介護サービス費を助成・軽減してもらえる制度がいくつかあります。認知症を発症した高齢者の場合、たとえば次のような制度があります。いずれの制度も助成を受けるためには申請が必要なので、まずは施設や市町村の相談窓口へ問い合わせてみてください。

特定入所者介護サービス費制度

所得や資産等が一定以下の人が介護保険施設を利用したとき、限度額を超えた負担分を介護保険から支給してもらえる制度

高額介護サービス費制度

介護サービスの月額費用が所得額等に応じて設定された限度額を超えたとき、超過分を介護保険から支給してもらえる制度

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度

低所得者や生活保護受給者を対象に、社会福祉法人等が提供する訪問介護や通所介護などのサービスを利用した際、その利用者負担を軽減してもらえる制度

リバースモーゲージを検討する

リバースモーゲージとは、今住んでいる自宅を担保に金融機関からの融資を受けられる制度です。不動産の所有者が存命のうちは利子のみを返済し、所有者の死亡後、その家を売却するなどの方法で残債を返済します。

担保となった自宅へ住み続けながらすぐにまとまった金額を用意できるため、不動産を所有している方はぜひ選択肢に含めたい対策のひとつです。

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生活保護を受給する

施設の入居に必要な費用だけでなく、そもそもの生活にも困窮している状況の場合、生活保護の受給を検討するのも一手です。保護の対象になれば、最低限の生活費が受給できるほか、医療・介護の扶助も受けられます

ただし、生活保護の受給者が入居できるのは、自治体の許可が下りた施設に限られる点に注意が必要です。認知症の場合、入居先の選択肢は介護型ケアハウス(軽費老人ホームC型)などに限られ、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などへの入居は難しいのが実情となっています。

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リーズナブルな施設を探す

初期費用である入居一時金が不要だったり、月額の利用料が安めに設定されていたりする施設を探すのも、認知症高齢者の施設入居費用を捻出できないときの対策として有効です。

LIFULL 介護に掲載された有料老人ホームの料金プラン数推移では、近年、低価格のプランを用意している施設が増加傾向にあることがわかっています。特に都市部よりも地方の施設のほうが費用を抑えやすいため、検索サイトなども活用しながら、より広く施設を探してみるのがよいでしょう。

入居一時金100万円以下、月額25万円以下の施設数遷移

  • 出典:LIFULL 介護「手頃な料金プランの老人ホーム、介護施設がある街ランキング」

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認知症でも入居できる、費用負担が少ない施設

・グループホーム

・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

・介護付き有料老人ホーム

認知症のある高齢者でも入居できる施設のうち、特に費用負担が抑えられる施設には「グループホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」、「介護付き有料老人ホーム」などがあります。

グループホーム

グループホームとは、認知症のある高齢者が、スタッフの介助を受けながら暮らせる小規模な介護施設です。5〜9人で構成されるユニットごとに、家事などを分担し共同生活を送ります。

月々にかかる費用は家賃や食費、生活費を含めて14〜15万円程度。初期費用も約5万円と、他の介護施設と比較して負担が少なく、入居しやすい価格帯です。

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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、バリアフリー対応の設備と、常駐スタッフによる安否確認・生活サポートなどのサービスが付いた賃貸住宅です。物件を選べば家賃5万円台から入居が可能で、金銭的な負担を最小限に抑えられます。

介護サービスは提供されませんが、必要に応じて外部の介護サービスを契約し利用することにより、さらに手厚いサポートを受けることも可能です。

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介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームとは、民間が運営する有料老人ホームのうち、食事や入浴などの日常的な介助を受けられる施設のことです。介護スタッフが常駐しており、認知症で夜間・早朝を含めた24時間の介護が必要となる方でも、安心して入居できます。

近年はリーズナブルな料金プランがある施設も増えているため、特別養護老人ホームなどの公的施設へ申し込んだ後、入居待ちの間のつなぎとして活用するのもおすすめです。

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認知症のある高齢者の施設入居にかかる費用は?

入居時費用 月額費用
特別養護老人ホーム 0円 5万~15万円
介護付き有料老人ホーム 0~数千万円 15万~35万円
住宅型有料老人ホーム 0~数千万円 12万~30万円
グループホーム 0~100万円 15万~30万円
サービス付き高齢者向け住宅 0~100万円 10万~30万円
介護老人保健施設 0円 8万~14万円
ケアハウス
(軽費老人ホームC型)
0~数百万円 7万~20万円
シニア向け分譲マンション 1000万~5000万円 7万~20万円

認知症のある高齢者が施設へ入居する場合、入居に伴う初期費用として数十万~数百万円月額費用は10~20万円前後かかるのが一般的です。公的施設である特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、ケアハウスなどは比較的費用を抑えられるものの、入居待ち期間が長いという問題もあります。

費用を抑えながら早めに施設へ入居したいときは、低額な料金プランのある介護付き有料老人ホームや、グループホームなどへの入居も検討するのがよいでしょう。特にグループホームでは入居時費用が0円から、月々の負担も15万円前後からと負担を抑えられるケースが多いため、有力な選択肢のひとつになりそうです。

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まとめ

「認知症のある家族を施設に入れてあげたいけれど、お金がない」という状況では、まず地域包括センターに相談しましょう。また認知症といっても症状は個人によって異なります。現状で何が必要なのか、本当に施設に入る必要があるのかも含めて相談・検討する必要があります。まずは、今使える支援制度や施設の情報などを収集することが大切です。その上で、リバースモーゲージや生活保護など、他の対策も選択肢へ含めていきましょう。

近年ではグループホームやサ高住、介護付き有料老人ホームなどの施設にも、リーズナブルな料金設定をしているところが増えてきています。LIFULL 介護ではこれらの施設の情報を数多く取り扱っておりますので、入居できる施設探しにお悩みの方は、ぜひお気軽にご活用ください。

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この記事の制作者

山本 武尊

監修者:山本 武尊(主任介護支援専門員・社会福祉士)

地域包括支援センター 元センター長。介護現場の最前線で業務をすると共に、介護業界の低待遇と慢性的な人手不足の課題解決のため介護に特化した社会保険労務士として開業。
現在は介護関連の執筆・監修者、介護事業所向け採用・教育・育成や組織マネジメントなど介護経営コンサルタントとしても幅広く活躍中。

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