認知症の方も楽しめるレクリエーションとその効果

デイサービスなどの高齢者施設や様々な場所で、高齢者を対象としたレクリエーション活動が行われています。

このページでは、このようなレクリエーションの中でも、認知症をお持ちの人にはどのような活動が向いていて、どのような効果が期待されているのかについて説明します。

レクリエーションの目的

高齢者に対するレクリエーションの効果としては、一般的に以下のようなことが期待されています。

  1. 生活に楽しみをもたらし、気分を向上させる
  2. 「はりあい」と「自信」を与える
  3. 心身の機能訓練をして回復させる
  4. 継続的なコミュニケーションの機会を作る

これらの効果が互いに相乗効果をもたらして、ご自身の力を高め、生活の質を上げていきます。レクリエーションの目的は、機能訓練や人との交流など多岐にわたっています。

レクリエーションは認知症にも効果的

こうしたレクリエーションは、認知症をお持ちの人にも有効です。
認知症の人は自身の症状を自覚し、不安や絶望を感じていることが多いとされています。さらに、できないことが増え、自信を失っていることも多いものです。
レクリエーションはそうした否定的な感情を和らげ、ご自身にもまだまだ能力がたくさんあり、新しく楽しみを見つけることができるのだと、自信を取り戻すきっかけになります。

また、「訓練」や「トレーニング」だと、自信を失ったり無力さを感じている人には、能力が試され、自分を否定されるかもしれないと荷が重いことも少なくありません。しかし、レクリエーションなら、気軽に遊びの感覚で取り組めます。
また、認知症の人は、自身の症状を知られたくない、迷惑をかけたくない、こんな自分を受け入れてくれるのかしらと、地域社会や仕事など人づきあいのつながりを自分から絶ってしまいがちです。レクリエーションはそんな風に失われがちな人間関係を自然につなぐことができます。

認知症を持つ方向けのレクリエーションの特徴

認知症の人向けのレクリエーションは、一般の方向けのものと比べて、以下のような点に注目して設定されることが多いようです。

一人ひとりの興味に合わせた活動にする
集団生活だからと、興味のないことを強いられるのは誰でも辛いもの。脳が疲れやすく、周囲の刺激を受けやすい認知症の人にはなおさら辛いものです。ご本人が自然に興味を持てる活動を探り、楽しんでいただけるようにします。
時間設定を厳しくしない
どんなに楽しい活動でも、脳の疲れやすい認知症の人にとって、長時間やり続けることは疲労のもとです。とはいえ、せっかく集中している活動を無理に中断することもよくありません。休みたいときには休めるという、時間に縛られない活動スタイルが必要です。
自信の持てるちょうどよい難易度
あまりに難しい活動は、できないことで自信を失いますが、あまりに簡単すぎるものでは「子ども扱いされている」と感じてしまいます。認知症の人は能力を軽くみられたり、能力がないとみなされてしまう周囲の偏見を経験していますので、特に後者の感覚には敏感です。ちょうどよい困難さが必要です。
自分の生活歴やこれまでの特技を生かせる
自信を深めるという点で、このようなレクリエーションが見つけ出せたら最良でしょう。自分がなじんでいる懐かしい活動を通して昔のことを思い出したり、今でもそれができると再認識することで、自分のこれまでの生き方や能力を肯定できることは重要です。
交流やつながりを持つことができる
会話が難しくなったり、人の顔を覚えられなかったりしても、一緒にレクリエーションを楽しむことで、そうした症状にとらわれることなく交流することができます。
成果が残せる、記録に残る
記憶障害によって、できたことや起きたことを忘れてしまうことはご本人にとって、とてもつらく切ないものです。しかし、レクリエーションを通じて美しい作品を残したり、楽しそうな様子を写真や映像にしておくと、後で振り返ることができます。それがご本人の生きた証ともなり、他の人と共有できる大切な記憶にもなります。

認知症の人が特に楽しめるレクとは

原則は各人の特技や興味に合わせますが、以下のような活動が認知症の人にとって楽しみやすいとされています。

簡単な体操や運動
認知症の人は軽度の腰痛や便秘など、運動不足が要因となる身体の不調を持たれていることが多いものです。無理のない体操や、簡単なゲームなどで身体を動かすと、筋肉の凝りや血行不良も解消し、心身共に良い効果をもたらします。
回想法
認知症の人は遠い昔のことはよく覚えていることが多いものです。そのため、写真や音楽などを手掛かりに昔のことを思い出す回想法というレクリエーションがあります。同世代の人々と思い出を分かち合ったり、年下の世代に伝えたりすることは、認知症の人が失いがちなきずなを取り戻すきっかけにもなります。
歌や音楽活動
ご本人の青春時代に流行った歌や、子育てしながら歌った童謡、在りし日の恋の歌。それらを歌う、聴くことはとても楽しいひと時になります。また、懐かしい歌謡曲のワンフレーズが、ご本人の記憶と活力を取り戻すきっかけになることもあります。さらに、楽器を演奏されていた方は楽器を試されるのもよいでしょう。楽器演奏は、認知症で失われにくい、体で覚えている能力の一つだからです。
手芸や工芸などの手作業
体で覚えたことは忘れにくいものです。編み物や絵画や彫刻など、ご本人が昔なさっていたことは認知症をお持ちになった後でも長く楽しめ、自信を取り戻すきっかけにもなります。また、認知症を発症された後にはじめたことでも、繰り返しているうちに少しずつ体が覚えて上達することもあります。作品が残り、それを楽しめることもおすすめポイントです。
料理や家事
料理も体で覚えていて、達成感がある素晴らしい活動です。料理をしているうちに、子どもに手料理をつくった思い出もよみがえりますし、料理を通して旬や季節の流れを感じることもできます。また、それを皆で味わう楽しみも忘れてはなりません。
食器洗いや配膳、洗濯などの家事をレクリエーションとして取り入れることもあります。認知症の人は役割や自分が他人に役に立っている感覚を奪われがちなので、それを取り戻すきっかけにもなります。
動植物の世話
動物の世話や園芸などもよいレクリエーションとなります。自分の行ったことで動物が喜ぶ、植物が成長し花を咲かせるという体験は、愛する・愛されるという感覚も得られ、自分の価値を感じることができます。動物のあたたかな体に触れる、花を眺める、土の香りをかぐ、できた野菜を味わうという五感からの心地よい刺激が癒しの体験となることでしょう。

認知症の人によい、効果があるとされるレクリエーションはたくさんのものがあり、様々な情報があふれています。どれを選び、どれを楽しむかは、あくまで「ご本人次第」です。楽しめないものを無理に続けると悪影響もありえます。
しかし、ご本人の意思を活かし、その人生に敬意が払われているレクリエーションは、長い間、ご本人とご家族を支える大切なパートナーにもなることでしょう。
レクリエーションは専門職だけが行う、特別なものではありません。日々の生活に取り入れられる活動や、家事など生活そのものにある活動も、工夫によって素晴らしいレクリエーションになります。暮らしに活かす、生きがいとなるレクリエーションを、ご家族と専門職でともに見つけてみてください。

著者

志寒浩二

志寒浩二(認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 管理者/介護福祉士・介護支援専門員)

現施設にて認知症介護に携わり10年目。すでに認知症をもつ人も、まだ認知症をもたない人も、全ての人が認知症とともに歩み、支え合う「おたがいさまの社会」を目指して奮闘中。

(編集:編集工房まる株式会社)

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