リバースモーゲージ|高齢期の不動産活用術

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リバースモーゲージとは、高齢期に利用できる金融機関による融資制度の1つです。自宅に住みながら、その不動産を担保に融資を受けられる仕組みです。お金はまとまった一時金か、分割かなどを選択し受け取ることができます。

お金は金融機関によって、まとまった一時金か、分割かなどを選択し受け取ることができます。満期時や、契約者の死亡後に不動産を売却するなどして返済することができます。

このページでは、高齢者の老後資金の一部になるものとして注目されるリバースモーゲージについて解説します。

リバースモーゲージ。その仕組みとは

自宅に住み続けながら、自宅を担保にして一時金や月々の生活費を借りられる仕組みが「リバースモーゲージ」です。

金融機関や社会福祉協議会の一部で取り扱っています。20年などあらかじめ設定されていた契約期間満了時、あるいは亡くなったときに、自宅を売却するなどして借入金を返済します。

死亡時に自宅を売却して返済した場合は、差額が残れば遺族に支払われます。

利用できる年齢は金融機関などで異なりますが、55~65歳以上などと高めになっています。物件種類や築年数等の条件があるものの、リバースモーゲージが利用できれば、高齢世帯にとっては非常に助かる制度といえます。

借り入れには主に三つのプランがあり、毎月(または毎年)一定額の融資を受ける「年金型」、一時金としてまとまった金額を一括して借りる「一括融資型」必要なタイミングで借りる「枠内自由引出型」があります(金融機関によって異なります)。

図表1は早くからリバースモーゲージを取り扱ってきた東京スター銀行の利用者数の推移です。右肩上がりに伸びているのがわかります。

同行広報によると、新規利用者は70歳前後が多いそうです。

東京スター銀行「充実人生」利用者推移

リバースモーゲージの利用が伸びている背景としては、長寿化で老後資金不足に陥りやすくなっていることや、定年後も住宅ローンを抱える世帯が少なくないことが考えられます。

これを裏付けるものとして、60代2人以上世帯は平均2062万円(保有世帯のみ)の金融資産を保有している一方で、当面の予備費以外の金融資産がない世帯が29.4%に上るというデータがあります。

また、60代で住宅ローン返済中の世帯では平均714万円の残債を抱えています(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2017年)」)。

リバースモーゲージはこんな人におすすめ

リバースモーゲージはどのような人に向くのでしょうか。整理しておきましょう。

ちょっと足りない老後資金を補いたい人

定年後、継続雇用や年金だけの生活に切り替わったときなどは、収入がダウンします。手元の貯蓄があまりない、あるいは一定額を残しておきたい場合など、リバースモーゲージを使って生活費の不足を補うことができます。

定年後、住宅ローンの返済から解放されたい人

退職金を充てても住宅ローンが残る、あるいは退職金は老後資金として残しておきたいという人は、残債をリバースモーゲージに借り換え、利息だけ支払う形にすることも。利息の返済はあっても、だいぶ家計がラクになります。

要介護状態になって介護資金が必要になった人

生活費は年金などでまかなえても、介護資金がかかるようになったときに資金不足を補うためにリバースモーゲージを利用することもできます。

住宅のリフォーム資金が必要になった人

バリアフリーなど住宅のリフォームが必要なのに、資金がないかあるいは十分でないときに、リバースモーゲージで一時金を借りて、リフォーム資金に充てることもできます。

家を残したまま介護施設に入る人

夫婦の一方がグループホームや特別養護老人ホームなどに入り、一方が自宅に残る場合、追加的にかかる介護施設の費用をリバースモーゲージでまかなうこともできます。

入居金がかかる有料老人ホームに入居する人

家を売却せずに、リバースモーゲージで借りた一時金を有料老人ホームの入居金に充てることもできます。自宅が残るので、夫婦の一方が自宅で過ごすこともできます。

リバースモーゲージのメリット・デメリット

前述のとおり、リバースモーゲージは高齢期の生活の支えとして、さまざまに活用できそうです。ここで、メリット・デメリットを整理しておきましょう。

まずは、メリットとしては次のような点が挙げられます。

リバースモーゲージのメリット

  • 自宅に住み続けながら自宅を担保にお金を借りることができる
  • 「年金型」か「一括融資型」か。ニーズに合わせて利用できる(金融機関で異なる)
  • 生存中は返済がないか利息のみ返済すればよいので負担は軽い
  • 年収要件は「ない」か、あったとしても低い

一方で、次のような点がデメリットとして挙げられます。

リバースモーゲージで考えられるデメリット

  • 利用できる物件の種類やエリア、評価額など条件が厳しい
  • 金利は住宅ローンよりも高い
  • 亡くなったときに家を売却して返済するため家を残せない

覚えておきたいリバースモーゲージの注意点

リバースモーゲージを利用する際の注意点についても整理しておきましょう。次の4点を挙げることができます。

1.限度額までしか借りられない

金融機関によって「担保評価の5~7割程度」と借りられる限度額が設定されています。中には、「年金年額の10倍程度といずれか低い額」という条件が付く場合も。

また、担保評価額は一般に売買される額の8割程度でもあり、思っていた金額を借りられないこともあります。

2.限度額は変動する

不動産の評価額は定期的に見直され、限度額も変動します。また、変動金利型のため、金利が上昇すれば想定より早く限度額に到達してしまうこともあります。

3.資金使途が限定されている場合がある

資金使途は金融機関によって異なります。金融機関によっては利用目的を問わない(ただし、事業資金や投資資金は×)ところもある一方で、「医療・介護費、老後の生活資金、自宅の建て替え・リフォーム資金など」と使途が限定されている場合もあります。

4.利用するには相続人全員の同意が必要

相続人の同意が取れないとこの制度を利用できません。

この他にも、30代、40代でライフプランを立てるときなどに、20年、30年先の不動産市況がどうなっているかはわからないため、安易にリバースモーゲージ資金を老後資金として見込むことは避けた方がいいでしょう。

どんな人・物件だと利用できる?

リバースモーゲージはどのような人が利用できるでしょう?

金融機関によって異なる部分ですので、よく確認が必要です。実は狭き門だということも知っておきましょう。

人の条件

  • 本人の年齢制限がある。(例:55歳、60歳、65歳以上など)
  • 配偶者に年齢制限がある場合もあります。
  • 本人の年収に最低額が設定されていることもある。(例:120万円以上など)
  • 契約時に判断能力がある。
  • 相続人が確定できる。

    ※金融機関で異なります

物件の条件

  • 所定の地域で、土地評価が一定以上(例:2,000万円以上など)の一戸建て
  • マンションが可能な場合は、地域や築年数、広さ、金額の条件も(例:100歳時点で築45年以内、50m2以上、5,000万円以上など)
  • 単身のみ、夫婦のみで居住であること。
  • 自己または配偶者名義の物件であること。
  • 借地・借家は対象外。

    ※金融機関で異なります

その他に、「連帯保証人が必要」という場合もあります。「身寄り(身元引受人)の有無」については銀行の要件には特に見られません。

また、住宅ローンの残債がある場合でも、借り換えという形で利用できるところもあります。

利用する際の流れ

リバースモーゲージを利用する際の、大まかな流れについても見ておきましょう。窓口での相談から融資が実行されるまでです。

金融機関によっても異なる部分はあるかもしれませんが、相談をして納得がいけば申込みをします。

金融機関の審査をパスすれば契約となり、融資が実行されます。相談から融資実行までの期間は、住宅ローンよりも長めの傾向があり、1カ月~1カ月半前後かかるようです。

その後、契約内容に応じて返済が行われます。

融資実行までの流れ

  • 金融機関窓口で相談
  • 申込み
  • 審査
  • 契約(融資額決定)
  • 融資実行(一時金か年金か、適用金利も決定)
  • (返済)

返済については、利息だけを毎月返済するのか、借入期間は全く返済せずに満期や亡くなったときに住宅を売却して返済するのかなど、返済については契約により異なります。

まとめ

老後が長くなる中、ますますリバースモーゲージのニーズは高まりそうです。あるいは、定年後に住宅ローンが残る場合にも、リバースモーゲージへの借り換えという選択肢もあります。

しかし、漠然と「利用したい」と考えていても、物件等が条件に合わなければ利用できません。それも金融機関によって条件は異なります。そのため、将来、リバースモーゲージの利用を考えている場合は、50代になったら、自分の住まいがリバースモーゲージの対象になりそうかかどうか確認しておくといいでしょう。

※本項ではご紹介できなかった、社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金貸付事業」については改めて取り上げます。

不動産担保生活資金

関連記事 【FPが解説】公的リバースモーゲージ「不動産担保型生活資金」

著:豊田 眞弓

イラスト:上原 ゆかり

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著者

豊田 眞弓

豊田 眞弓(ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンアドバイザー、相続診断士、ハッピーエンディングプランナー
FPラウンジ(http://happy-fp.com/)代表、小田原短期大学非常勤講師
マネー誌ライター等を経て、94年に独立。現在は個人相談のほか、研修講師、マネーコラムの寄稿を行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」

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