老人ホームを探したい!相談窓口はどこがいい?
家族が高齢となり、サポートしてくれる人の必要性を感じたり、自ら終の棲家を考えなければと思ったとき、まず思い浮かべるのが「老人ホーム」ではないでしょうか。
一言で「老人ホーム」といっても、多くの種類があります。入居する本人の身体状況によって入居できるホームが変わってきますし、ホームの規模、料金、サービスなどもまちまちです。
そこで今回は、老人ホームを探すとき、どこに相談に行けばよいのか、また入居先を探すときの注意点などについてご紹介しましょう。
<ポイント>
・介護や医療の知識がないと、老人ホームの選定が大変なこともある
・まずは気軽に電話で民間の紹介窓口の相談することがおすすめ
・相談時に伝えた方がいい情報を知っておこう
老人ホームはさまざまな種類がある
大きく分けると、公的施設と民間施設があります。公的施設は国や地方自治体、社会福祉法人などが運営。国が補助金を出して設立されていますので、入居費用や月額利用料などが抑えられており、入居者の経済状況によっては補助を受けることも可能です。
民間施設は、文字通り民間企業が運営する介護施設のこと。在宅介護サービスなどを運営する介護事業者が大半ですが、異業種からの参入も相次いでいます。
参入する企業が多く公的施設と比べて空室が見つかりやすかったり、急ぎの入居検討も柔軟に相談ができたりと、比較的入居しやすいというメリットもあります。また、民間施設は価格がさまざまで、中には費用が高額な施設もあります。
民間の高齢者施設 | 公的な高齢者施設 |
・有料老人ホーム ・サービス付き高齢者向け住宅 ・グループホーム ・シニア向け分譲マンション ・高齢者向け賃貸住宅 ・地域優良賃貸住宅 |
・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 ・軽費老人ホーム(A・B型) ・ケアハウス(軽費老人ホームC型) ・介護療養型医療施設(介護医療院) |
主な老人ホーム相談窓口
一般的に相談窓口となるのは以下の4つです。
地域包括支援センターなどの公的機関
地域包括支援センターは、全国の市町村に人口1.5万人〜3万人圏内につき1ヶ所以上設置が義務付けられている公的機関です。ここでは高齢者の介護や医療、福祉に関する全般的な相談に乗ってもらえます。また、地域の介護施設の情報を持っているため、施設について教えてもらえます。
自宅のある場所、または家族が住む最寄りの地域包括支援センターを探し、もし近くになければ自治体の高齢福祉課や介護保険課で相談してみましょう。地域包括支援センターは近隣の介護施設の情報を持ち合わせており、公的機関なので安心して相談することができます。
特に特別養護老人ホームなど公的な介護施設を検討しているならおすすめです。
老人ホーム紹介センター
全国の情報を幅広く網羅している専門家がいるのが、民間の紹介窓口(入居相談室)です。公的施設も民間施設の両方の情報を持ち、電話で相談できる窓口と、対面で相談する窓口があります。
「退院後すぐに入居できる老人ホームが知りたい」「認知症に対応した介護施設の情報がほしい」「予算の範囲で入居できる施設を知りたい」など、条件に合った介護施設を無料で教えてもらえます。
ケアマネジャー
介護を受けている人が入居を希望する場合は、担当するケアマネジャーに相談することもおすすめです。ケアマネジャーは、介護に関する知識に加えて介護施設の情報も持っています。
担当するケアマネジャーなら、入居を希望している人の健康状態や性格もよく理解していますので、プロの視点から相性の良さそうな施設を紹介してもらうことができます。相談先の一つとしてケアマネジャーの意見も聞いてみましょう。
インターネットポータルサイト
インターネットで介護施設のホームページなどから、職員の数や質、設備内容、料金などの詳細な情報を収集することができます。いつでもPCやスマホでて調べることができ、条件で絞り込みしたり、広い範囲で探せるのでとても便利です。
また、複数施設を比較する機能があったり、サイトによっては相談員が施設を無料で紹介してくれるところもあります。最近では、LINEでの相談やオンライン見学にも対応しています。入居検討する25%以上がネットで探しています(LIFULL senior調べ)。
LIFULL介護どこに相談すべき⁉
要介護の認定を受ける前でも、まずはインターネットポータルサイトの相談員に相談してみましょう。ご自身の代わりに、担当者が調べてくれるメリットがあります。知りたい情報を、各施設に確認をとってもらえたりもするので、相談者に負担なく情報が集められます。
介護や医療のことを知らずに自分で老人ホームを選定するのは、なかなか難しいこともあります。今どのようなことに困っているのかを伝えると、アドバイスなどをもらえます。まずは気軽に相談することを推奨します。
LIFULL 介護にも「LIFULL 介護 入居相談室」という相談窓口がございます。
経験豊富な専門相談員がお客様のご状況をお伺いし、最適な老人ホーム探しのお手伝いをさせていただきます。是非お気軽にご相談ください。
- LIFULL介護相談窓口
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専門スタッフが介護施設についてご相談をお受けします。
0120-652-140( 9時~18時、土日祝日休み )
老人ホームの相談をする際に伝えておきたいこと
施設を探す際、入居する人やその家族が希望する条件に合った施設を紹介してもらえるよう、インターネットポータルサイトの相談員にあらかじめ伝えておいた方がいいことがあります。
入居する人の身体状態を確認する
老人ホームは、介護が不要で元気な状態から入居できるところと、介護認定を受けている方が入居できるところに分けられます。入居を希望する人の身体状態によって、選べる施設が変わってきますので、まずは現状を把握することが大事になります。
ある程度、希望する老人ホームの候補がいくつかあがってきたら、介護を受けている人なら現在どんな介護を受けているか、その他どんな医療行為が必要かを伝えると、対応可能なホームかどうかを調べ、問い合わせをしてくれます。
またお薬手帳などをもとに、どんな薬を服用しているかという情報も、身体状態を把握するためには重要になるので、準備しておくと安心です。
検討できる予算の上限を決める
予算は必ず伝えなければなりません。入居・利用にかかる費用は、介護施設の種類によって異なり、民間施設の場合は、入居一時金が必要になることもあります。費用に大きな差がありますので、比較することが重要です。さらにプラスして毎月の費用が必要となります。
まず入居一時金はどれくらいが上限か、さらに月額費用の上限はいくらぐらいまでかを伝えましょう。
その際、希望する上限金額と、もしもの場合は、あとどれくらいまでプラスして支払うことが可能か、少し余裕を持たせた上限を伝えることをおすすめします。希望の上限金額のみを伝えてしまうと、あと少し金額を上げれば要望が叶う施設があっても紹介してもらえない可能性もあるからです。
検討可能な地域を絞る
住み慣れた環境で住み続けたいと願う人は少なくありません。しかし今の家の近くに、希望する条件に該当する老人ホームなどがない可能性があります。検討している地域と、検討可能な範囲をできるだけ具体的に伝えましょう。
検討可能な限界地域ギリギリの範囲まで伝えておくと、提案してもらえる老人ホームの数も増え、その分選択肢が増えます。またご家族が面会する際の交通手段として、車移動か、電車などの公共交通機関での移動になるかも伝えておくと、ご家族の通いやすさも考慮して探してくれます。
入居の決定権がある人は誰か
相談者自身に決定権がある場合は話が早いですが、他の人に決定権があるというケースも多いでしょう。その人に納得してもらわなければならない場合は、時間がかかってしまうこともあり得ます。
誰が決定権を持っているかを伝えて、老人ホーム紹介窓口の担当者(相談員)にスムーズに事が運ぶようにするにはどうすべきかを、相談してみるといいかもしれません。過去のうまくいった対応事例などを教えてもらえたり、場合によっては決定権を持つ人と直接話をしてくれる可能性もあります。
いつまでに入居先を確定させたいか
入居したい時期を伝えましょう。「○月までに」など、できるだけ具体的に伝えた方が効率よく探すことができます。ホームによっては、待機者が大勢いるところもあります。どのくらいで順番が回ってきそうか、各ホームに確認しながら情報を収集してもらえます。
ただし、希望時期には間に合わない場合でも、要望にマッチするホームが見つかった場合は、入居希望時期を遅らせることも、家族で相談することをおすすめします。
入居後にどんな生活を送ってほしいか
相談者の中には、「今の大変な状況から抜け出すこと(=入居)」がゴールになってしまっている人もいます。入居する本人にとっては、それから先の暮らしがとても大切になります。まず入居する本人のその後の生活を第一に考えるとよいでしょう。
どんな暮らしなら穏やかに毎日を過ごせるか、どんな環境ならその人らしく生きることができるかなど、入居後のことを想像してホームを選ぶことが大切です。入居はゴールではありません。入居後の生活を意識しながら相談すると、入居する人に合った、より良いホームが見つかると思います。
老人ホーム入居までの流れ
1.相談窓口で相談
民間の老人ホーム紹介窓口(入居相談室)や公的な機関の窓口で、どんなホームがあるのか、入居者にはどこが向いているのかなどを相談しながら、いくつか候補をあげてもらいます。
できるだけ選択肢は多い方がいいので、より多くのホームの情報を持っている紹介窓口に相談することをおすすめします。いくつかの施設をピックアップしたら、資料を見せてもらって比較検討します。
2.資料を取り寄せる
インターネットで検索した場合、気になるホームを見つけたら、詳しいパンフレットなどの資料を取り寄せます。入居する人の状況や老人ホームの受け入れ態勢にもよりますが、施設見学や体験入居、必要書類の準備など、入居までに1〜2ヶ月ほどかかります。
空いていてもすぐに入居できないことは覚えておきたいポイントです。ただし、一部の老人ホームでは、3ヶ月以内に受診した病院の健康診断書があれば、通常よりも早く入居できることもあります。
見学時に資料をもらえるので、資料を取り寄せる前に見学予約をする人も多くなっています。
3.見学に行く
資料だけでは実際のホーム内のことはわかりません。入居後に入居する人も家族も後悔しないホーム選びのためにも、必ず見学には出かけましょう。民間の老人ホーム紹介窓口(入居相談室)では、同日に複数の見学予約を調整してくれることもありますので、相談者は手間を省くことができます。
介護サービスは、ホームによってその質は千差万別です。見学時に運営会社の理念や、介護技術のレベルなど確認することが重要です。もちろん居室や設備などの住環境も必ず確認が必要です。
さらに、人員態勢や介護スタッフが普段どのように入居者と接しているかは、介護の様子やスタッフの表情などからもわかりますので、食事の時間やレクリエーションなどの時間に見学するのもいいでしょう。
また最近ではオンラインでの見学を受け付けているホームも増えており、特に遠方の家族も気軽に見学予約できるようになっています。時間的な余裕があまりない場合は、資料請求せずに、まずは見学に行くことも可能です。資料は現地でもらえます。
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4.体験入居
見学をして、入居を希望する老人ホームが見つかったら、契約する前に体験入居をすることが可能です。「お試し入居」といわれるもので、多くのホームで実施しています。期間は3日から1週間程度で、費用は1泊2食で3,000円〜2万円と、ホームによって異なります。
この間に、要望したサービスが提供されているか、食事は合うか、音や匂いなど環境に気になる点はないか、介護スタッフの対応など、実際に生活してみなければわからないことを、本人の感想も踏まえて判断します。
もちろん体験入居はしなくても大丈夫です。本来は健康診断書などの書類が揃わないと入居契約ができないのですが、家族が切羽詰まっている場合は、体験入居している間に必要書類を揃えて、契約の段取りを整える場合もあります。
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5.契約
見学や体験入居で問題がなければ入居契約を締結します。契約の際には「入居契約書」「重要事項説明書」「管理規程」などさまざまな必要書類について説明がありますので、納得の上署名・捺印をします。
中でも「重要事項説明書」には、施設の概要や職員態勢、サービスの内容や料金など、実際に生活に直結する内容が多く記載されていますので、しっかり読み込んで、わからないことがあればその場で質問しましょう。
入居者側も、住民票や健康診断書などの準備が必要です。健康診断書は取得までに1ヶ月近くかかる場合もありますので、早めの準備を心がけておくことが大切です。そのほか、印鑑など必要なものを、入居先のホームに確認しておいてください。
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6.入居
入居時に最低限必要なもの、逆に持ち込んではいけないものについては、入居先のホームに確認することが必要です。介護ベッドなど最初から備え付けのものもある一方、ホームの規定で購入しなければならないものもあります。
引越しは、荷物が少なければ家族が運ぶことも可能です。運搬時にホームの壁や床にキズをつけてしまわないよう注意しましょう。もし心配な場合はプロの引越し業者に任せる方が安心です。
老人ホームなど介護施設への引越しを得意とする業者もあります。荷物の運び込みはもちろん、不用品の処分や各種手続きの代行まで行ってくれるところもありますので、事前に調べておくといいかもしれません。
老人ホーム入居時に必要な物と持ちこみ禁止な物まとめ
人生の後半、どこでどんな風に過ごしていくかを考えることはとても重要です。その中の選択肢の1つとして老人ホームを考えたとき、どんなホームがあって、どんな人たちが暮らしているのかなど、じっくりと見て、考えたいものです。
その相談窓口となるのが、今回ご紹介した公的機関や民間の紹介窓口です。入りたいと思ったときにすぐに入居できるとは限らないので、時間の余裕を持って、入居者に最適なホームを見つけておきたいものです。
【プロが答える】失敗しない!老人ホームの選び方と見極めのポイントは?この記事の制作者
監修者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居コンサルタント)
介護施設の入居相談員として首都圏を中心に300ヶ所以上の老人ホームを訪問。1500件以上の入居相談をサポートした経験をもつ。入居相談コールセンターの管理者を経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」を掲げ、介護コンテンツの制作、セミナー登壇。YouTubeやX(旧Twitter)で介護の情報発信を行う。