「いい老人ホーム」を見きわめるポイントとは?

老人ホームは一度入居してしまうとなかなか転居がしづらいため、長く信頼できるところを選びたいものです。このページでは入居相談員の経験があるLIFULL 介護編集長の小菅が、「いい老人ホーム」を見極める方法をお伝えします。

小菅プロフィール

老人ホーム・介護施設紹介業で主任相談員として1500件以上の施設入居相談に対応した経験を持つ。現在は「LIFULL介護」の編集長。介護で人生を諦める人がいなくなることを願って、執筆、講演活動も行っている。

老人ホーム見学で、確認すべき「職員の質」3つのポイント

老人ホームが、賃貸マンションや分譲マンションなどの物件選びと異なるのは、そこで人の手による介護サービスを受ける点です。建物が介護をしてくれるわけではないので、そこで働く職員の質が何よりも重要です。

今回は、老人ホームの職員の質について、接遇の観点から見極める方法をお伝えします。

(1)信頼できる人かどうか

信頼できるスタッフがいるかどうかは重要なポイントです。

例えば、見学の予約を取った時に電話の対応が良かったか。見学に行った際に受付スタッフの受け答えで不快なことがなかったか。見学時の案内で、生活相談員や入居相談員からの説明に不明瞭な点はなかったか。

そういったところは基本中の基本ですが、やはり重要なポイントです。

気持ちのいい接遇をしてくれるかどうかは入居後の住み心地につながっています。

施設長と必ず会って、聞きたい質問

施設長が代わると老人ホームの色も変わると言われるほど、施設長の考え方は老人ホームの暮らしの様々なところに反映されています。

大手企業のように複数の施設を展開している老人ホームであっても、施設長の方針によって、スタッフの入居者への接し方やご家族が来た時の対応が違います。施設長がどういう考えのもと、入居者に介護サービスを提供しているかという部分が一番大事になってきます。

その辺りを確認するためにも施設長とは短時間でもお話をしたほうがいいと思います。

どんな方なのか、短い時間で知るために「介護する上で一番大事にしていることは何ですか?」と率直に聞いてみるといいと思います。

また、施設長の経歴は様々です。介護現場で経験を積んでそのまま施設長になるパターンが多いのですが、看護師として入って、ケアマネジャーを経験し施設長になるなど、いろいろなルートがあります。

また、異業種から転職される方も多い業界です。例えば、サービス業から来た方の場合、ホスピタリティを重視する姿勢の方が多くいらっしゃいます。介護経験の年数だけを見るのではなく、人として信頼できるかというところが大事です。

(2)入居相談員が入居後の生活の提案をしてくれるか

2つ目のポイントは、入居相談員が入居後の生活の提案までしてくれるかどうかです。

例えば、入居するご本人の趣味が園芸だったとしたら、入居後も草花の世話ができるかを聞いてみましょう。趣味でなくても、大切にしている生活習慣などが継続できるかを聞いてください。

入居相談員から「対応可能ですよ」「頻繁には難しいのですが、こういう頻度であれば施設としてはここまでのことはできます」など、具体的な提案が返ってくれば信頼できます。できることと・できないことを包み隠さずに話してくれる人がいいですね。

安易に「できますよ!」と言う相談員に要注意

入居相談員には入居を勧める役割もあるので、ついつい営業トークを散りばめたくなるんです。できないことはお茶を濁したり、「できる」と言ったりする人もいます。入居してから「やっぱりできません」と言われるのは避けたいですよね。

「ここまではできます。でも、ここからはうちでは難しいです」とはっきり言ってくれる人は信用に値するでしょう。

(3)入居後、面会ができなくても定期的に連絡をくれるか

入居後に定期的に連絡をくれるかどうかも大切です。ほとんどの施設でご家族への連絡はしていますが、手段や頻度はバラバラです。

緊急時の連絡はもちろんですが、日頃の生活の様子を知らせてくれるかどうか。頻繁にご家族が面会に行ければいいですが、そういう方たちばかりではありませんよね。

例えば、「入居して間もないころはちょっと不安そうな表情で、落ち着きがない様子でしたが、数日後にはスタッフが間に入りながら、入居者同士の交流をしていましたよ」といった連絡があると安心できます。毎月写真付きの冊子でお知らせしてくれたり、最近はメールやLINEで連絡をくれたりする所もあります。

どのような対応をしているのかは、確認してほしいポイントです。

見学に行ったらぜひ見ておきたいポイント

「建物は介護してくれない」と書きましたが、建物の状態からその老人ホームの質を推し量れる部分があります。それは「清掃が行き届いているかどうか」です。

新築であろうと、古い建物であろうと、清掃がきちんとできている老人ホームは何年経ってもきれいな状態を保っています。エントランスの下駄箱付近は一番汚れやすい場所なので、そこを見ただけで掃除ができているかどうかがすぐにわかります。

併せて、掃除をケアスタッフがやっているのか、清掃業者に外注しているかも確認したほうがいいですね。ケアスタッフは本来、ケアをするためにいる専門のスタッフです。その人たちが掃除までやってしまうと、本来のケアが手薄になっていることが考えられます。

老人ホーム探しでこだわりすぎない方がいいポイント2つ

余談ですが、老人ホーム探しをする方々の中で、こだわりが強すぎるあまりに選択肢を狭めてはもったいないポイントもあります。

(1)入居する人の住み慣れた地域にこだわる

老人ホームは、入居をされる方が住み慣れた地域ではなく、頻繁に面会に行く人の近くで探した方が良いでしょう。例えば、離れた場所に一人暮らしの親を老人ホームに入れる時は、地元のホームではなく、子の居住地のホームを探すべきです。

老人ホームは入居すれば終わりというものではありません。例えば、衣替えの時に遠方の老人ホームに通うのは荷物もあるので大変です。負担軽減も考えて面会者の家のそばがいいと思います。

住み慣れた土地に住んでほしいと思うご家族もいらっしゃるでしょう。

しかし、お体の状態にもよりますが、実際には外に出るよりも老人ホームの中で過ごす時間のほうが圧倒的に長いんです。また、自宅から近い方が面会にも足を運びやすいもの。

ご家族の顔を頻繁に見ることで、入居による孤独や不安が軽減できることもあります。

(2)新築、築浅、充実した共用設備にこだわる

老人ホームを見学される方のほとんどは建物ばかりを見てしまいます。しかし、そこにばかり注目しないでいただきたいというのが本音です。

老人ホームの建物には大きく分けて新築と既存物件の改装型があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

会社の寮を老人ホームに転換するなどの改装型の場合は、建物の取得に大きくコストがかかっていないため、価格面で入居しやすい設定になっていることがしばしばあります。

一方、改装型は老人ホーム専用設計ではないところにデメリットがあります。トイレが後付けで、個室が天井まで仕切られておらず、カーテンで区切られているだけの場合も。また、廊下の幅が法令上は問題ないつくりになっていても、車椅子2台ですれ違うのが難しい場合もあります。

それに対して新築は専用設計なので、全てバリアフリーということも含めて問題なく作られています。ただ、更地から新規に建てられているので、どうしても建築コストがかかります。それがそのまま価格にも転嫁されるので高額な施設がまだまだ多いのです。

見学をすると豪華な共用設備にも目を奪われてしまいますが、お体の状態によってはほとんど使わない場合もありますね。

結局のところ、建物ではなくてそこで提供される介護サービスや人員体制、働く方の魅力で決めたほうが、長く住んでも満足のいく老人ホームと出会えると思います。

まとめ

私が多くの老人ホームの入居相談に携わってきた中で得た、「いい老人ホーム」を見きわめるポイントについて、まとめると以下の内容になります。

ぜひ参考になさって、納得いただける老人ホームへ入居を決めていただきたいと思います。

  • スタッフが信頼できる人かどうかを見極めよう 

    特に施設長が信頼できる人かどうかは重要。契約前に必ず会ってみましょう。

  • 入居後の生活を提案してくれるかをみよう 

    できること、できないことをはっきりと伝えてくれるかどうかもポイント。

  • 入居後も家族に連絡をくれるか確認しよう

    どんな頻度で連絡しているかは施設によってバラバラ。ぜひ質問を。

  • 清掃状況もチェック

    特に玄関スペースはポイント

  • 既存物件を改装した老人ホームは、新築、築浅よりも比較的安い料金設定

  • 建物が介護をしてくれるわけではない。建物のグレードよりはそこにいるスタッフが大事

この記事の制作者

小菅 秀樹

著者:小菅 秀樹(LIFULL介護 編集長/介護施設入居アドバイザー)

神奈川県横浜市生まれ。老人ホーム・介護施設紹介業で主任相談員として1500件以上の施設入居相談に対応。入居相談コンタクトセンターのマネジャーを経て現職。「メディアの力で高齢期の常識を変える」をモットーに、介護系コンテンツの企画・制作、寄稿、セミナー登壇などを行う。
Twitter:@kosugehideki

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