エンディングノートに書くべき4つの必須事項

エンディングノートには書いておくべき4つの必須事項があります。「自分のこと、財産・資産のこと、介護・医療のこと、遺言書・葬儀・お墓こと」などです。

備えておくことで、万一のときに残された家族の負担を軽減し、ご自身の希望を叶えることにつながります。

このページではエンディングノートに最低限必要となる項目についてお伝えします。終活をスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてください。
 

必須事項 ①自分の基本情報

基本情報とは、「氏名、生年月日、出生地、本籍」といった情報です。ここから書き始める人が多いと思いますが、何れの項目も正確に書くことが大切です。本籍を書いておく理由は相続が発生した際、戸籍謄本集めをしなければならないからです。

(*2024年から戸籍謄本集めは1ヶ所で請求が可能になります。)

エピソードを年代別に書く

基本情報以外にも、自分の趣味や思い出の場所などを書いておきます。遺された家族がエンディングノートを開いたときに、今まで知らなかったあなたの一面に触れることができるでしょう。

書き方としては、年代別に振り返ると書きやすいかもしれません。熱中していたスポーツや記憶に残っている映画や音楽。結婚した当時の気持ちや子どもが誕生したときの喜び、マイホームを手に入れたときの決意など、ご自身の人生の節目に感じたことを自由に書いてみてください。

また、今後の時間については挑戦してみたいことを書くことで未来予定表となり、これからの人生の目標にもなるでしょう。

さらに、万一のときに知らせてほしい連絡先も必須事項です。親族や友人のリストを作成しておくと、家族がスムーズに連絡をとることができます。

エンディングノートまるわかり!遺言書との違いとは?

必須事項 ②財産・資産、パスワード

ご自身も家族も必ず把握しておきたいことは財産・資産です。この項目は定期的に見直しをしましょう。資産は1年ごとに変わっていきます。今後どのくらいお金が必要なのかを把握するためにも、エンディングノートに書いておきましょう。


さらに、忘れてはならないのがネット銀行口座やクレジットカード、各種パスワードの管理です。IDやパスワードはエンディングノートに直接書いておくことはせず、できれば家族だけが分かる暗号や合い言葉で書いておきましょう。こうすることで他人の目に触れずに家族に情報を伝えることができます。

財産・資産としてエンディングノートに書いておくべき必須事項

財産・資産必須事項
・預貯金銀行など(金融機関名・支店名)
・株式・債券・投資信託などの金融資産(証券会社名・支店名、資産種類)
・生命保険(保険会社名・保険の種類・受取人)
・年金・企業年金・個人年金(金額、振込口座)
・クレジットカード(クレジット会社名)
・不動産(名義人)
・不動産所得(賃貸収入など)
・借金(住宅ローン、リフォームローン、自動車ローンなど)
ライフライン・サブスクリプション・デジタルデータリスト
・ライフライン引落し口座一覧(金融機関名・支店名)
・固定資産税額(家・土地など)
・携帯電話(契約会社名)
・サブスクリプションサービス、各種会員サービス(引落しクレジットカード)
・デジタルデータ(ID・パスワード)

認知症で資産凍結?資産を活用するために知っておきたいこと

「認知症になると資産活用ができなくなる。」ニュースなどで聞いたことがあると思います。エンディングノートで資産を把握した後は、自分が認知症になったときに備え、何らかの対策を講じる必要があります。

内閣府のデータによると、2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると推測されています。

65歳以上の認知症高齢者数と有病率

出典:内閣府「65歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率(2017年)」

認知症を発症し金融機関から、認知症により判断能力がない、または著しく不十分だと判断されれば、口座は凍結され預貯金が下ろせなくなります。また、不動産売買や賃貸借契約なども制限されるため、資産を活用することはできなくなります。元気なうちに認知症や要介護状態になったときのことを想定して準備しておくことが必要です。

資産活用のために備えておくべき必須事項

1.普通預金を4点セットでそろえておく(通帳、印鑑、カード、暗証番号)
2.代理人キャッシュカードの作成
3.代理人指名手続き

代理人カード・代理人指名手続きとはご自身がATMや銀行窓口に出向くことができなくなったときも代理人が本人に代わってお金を引き出すことができます。この3つを備えておくことでお金の心配はかなり減ります。

資産活用のために検討しておく事項

・定期預金(満期)、保険(養老保険満期)を現金化する
・財産管理のために家族信託契約の検討する

認知症を発症しても、すぐに何もかもができなくなるわけではありません。症状や進行は個人差があるので、ここまで準備しておくことで負担もかなり軽減されます。

認知症で親の預金口座が凍結されるとどうなる?

必須事項 ③介護・医療・終末期の希望を伝える

介護や医療、延命治療などの終末期に関することはご自身の希望は、を必ず書いておきましょう。

脳または心臓の血管障害により突然入院する可能性は誰しもあり得ます。エンディングノートに書いておくことで、自分がどのような介護や医療、終末期の希望を持っているのか気持ちを見みつめ直す良い機会となります。

書いておくべき必須事項(介護)
書いておくべきこと
介護の判断をお願いしたい人
希望する介護施設について(希望条件)
施設の利用料の支払いについて(一時金や毎月の支払い方法)
判断能力が衰えたときの財産管理対応について(誰にお願いしたいのか)
介護状態になったときに付き添ってもらいたい人、介護して欲しい人について

書いておくべき必須事項(医療・終末期)
必ず書いておくべきこと できれば書いておくべきこと
血液型 治療方針について
持病・アレルギーの有無(食品など等) 告知について
病歴・入院歴 かかりつけ病院名、医師名
投薬(処方されている薬の内容と量) 臓器提供について
かかりつけ病院名、医師名 *「事前指示書」について

事前指示書について、詳しくは以下の記事も参考にしてください。

【専門家が回答】親の終末期|延命治療の意思を確認すべき?


 

必須事項④遺言書、葬儀・お墓の希望

遺言書の有無

遺言書を作成している場合は、必ずエンディングノートに書いておきましょう。遺言書を作成していても誰もその存在を知らないなら、作成していないことと同じです。遺言書の種類と保管場所を書いておくことで、相続後の遺産分割がスムーズになります。

葬儀とお墓について

ご自身の葬儀を自分で行なうことはできません。そのため、最低限こうして欲しいという希望がある場合は必ず書いておきましょう。

・葬式の生前予約の有無
・互助会の積立などの有無
・葬式の形式(一般葬、家族葬、一日葬、直葬)
・葬式の予算
・葬式に参列してほしい人のリスト
・棺に入れてほしいもの
・遺影の写真について
・納骨先の寺院、霊園について
・法要の希望

何がちがう?エンディングノートと遺言書の法的効力

まとめ

まずはエンディングノートを書き始めることが大事です。書きやすい自分自身のことや親族・友人の連絡先から書いてみましょう。次に財産・資産を書き出すことで、今後の生活にどのくらいのお金が必要なのかを把握することができます。

また、認知症になった場合に家族が最も困るのはお金のことです。資産を持っていても、認知症の発症に備えて準備をしておかないと、自宅のリフォーム費用や介護施設に入居する費用にも使うことができません。シニア世代の方こそエンディングノートをフル活用して、今後の対策を検討してみましょう。

そのほか、お葬式や納骨のことで具体的な希望がある場合も、エンディングノートに書いておくと良いでしょう。これをきっかけに、家族で終活について話し合うコミュニケーションの時間が増えるかもしれませんね。
 

この記事の制作者

馬渡 初代

著者:馬渡 初代(1級ファイナンシャルプランニング技能士・AFP)

ファイナンシャルプランナーとして、一人暮しの高齢者の方の傾聴ボランティアと見守り活動をしています。人生100年時代。自分らしい老後を過ごすための終活セミナーやエンディングノート書き方ワークショップを実践中。
「独居老人を一人にさせない」をモットーに社協の方と連携で地域福祉を推進しています。

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