不動産売却の手順と注意点

不動産売却の注意点

今や「人生100年時代」などといわれ、老後や介護にお金がかかる時代です。老後資金・介護資金の準備法の1つとして、自宅を活用することも当然に考えていく必要があります。

今回は、保有する不動産を売却して資金を作る方法について考えていきましょう。不動産を売却する際の手順と注意点を中心に解説します。

増える、早期の不動産売却

今や「自宅」という資産は、老後資金や介護資金の重要な柱になっています。

資産が不動産中心の場合、年金でまかないきれない老後資金や介護資金を捻出しなくてはならなくなったときには、自宅を活用することになります。その方法の1つが、売却して現金化する方法です。

家を売却するきっかけとして多いのは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など高齢者施設へ入居する際でしょう。入居一時金がかかる有料老人ホームへの入居の際に売却するケースも見られます。

一方で、今はまだ資金的な問題に直面していなくても、介護が必要になったときなどに売却すると決めているのであれば、判断能力があるうちに売却し現金化してしまうというケースもあります。

脳出血や認知症の進行などで判断能力が低下すると、本人名義の住宅を売却することは困難になります。成年後見人を指定しても、思ったように家庭裁判所が売却の許可を出してくれるとは限りません。

そうした実情がわかるにつけ、早めの売却を考える方も増えているようです。介護状態になって急な売却に走ると、安くたたかれる可能性もあります。

売却には、転勤などで人が移動しやすい時期などもあるため、ある程度、時間をかけてじっくり売却することも、少しでも高く売るためには重要です。

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不動産売却の流れ

不動産を売却する際の大まかな流れも知っておきましょう。

手続きなどは本人でなくてはできませんが、情報収集など一部で子どもや親族の手を借りるのも1つの方法でしょう。

ステップ1:不動産の査定を受ける

複数の不動産会社に査定を依頼します。あくまでも査定額なので、実際に売ってみないと最終的にいくらで売れるかはわかりません。

ステップ2:売却の依頼先を決める(媒介契約を結ぶ)

売却の依頼先を決め、媒介契約を結びます。1社だけに任せるなら「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」、複数の不動産会社に依頼したい場合は「一般媒介契約」で依頼します。

ステップ3:売出し価格や“戦略”を決める

査定額や依頼した不動産会社の担当者のアドバイスなどを参考に、売出し価格を設定します。「最初は少し高めに売出し、様子を見て値引きを検討する」など、あらかじめ担当者と戦略を練っておくことも大事です。

ステップ4:条件の合う買い手が見つかれば売買契約を結ぶ

条件の合う購入希望者が見つかり、引渡し希望日なども決まったら、「売買契約」を結びます。買主から手付金を受取り、仲介手数料の半額を不動産会社へ支払います。

ステップ5:買主に家を引渡す

住んでいた家から荷物を引き払い、不動産を買主に引渡します。具体的には、買主からお金を受取るのと同時に鍵を渡し、司法書士が登記を行います。

買主が住宅ローンを利用する場合は、銀行の住宅ローンの実行と同時になります。

売却はどこに依頼する?

売却を依頼する不動産業者はどのように選ぶといいのでしょうか。前述の流れでいうと、初めに査定を依頼する業者をどう絞り込むかということでもあると思いますが、知名度の高い大手か、数人で営業している街中の不動産会社か、中間の中堅会社などが候補となります。

実際に住宅を売却する際には、通常、物件情報を「レインズ(不動産情報ネットワーク)」と呼ばれる不動産会社だけが利用できるサイトに登録し、どの規模の不動産会社に依頼した場合でも広く募集を行います。

そのため、会社の規模による優劣は特にないと言われます。「大手の方が安心感があって信用できる」「中小は地域に根差していてきめ細かく対応してくれる」など、人によって好みが分かれるところかもしれません。

これまでお客様の不動産売買に立ち会ってきた立場で感じるのは、会社の規模云々より最後は担当者の人柄や経験、仕事ぶりで満足度が変わるように思います。そのため、何社かに査定を依頼し、そのやりとりの中で不動産会社の対応や担当者との相性などをチェックすることが大事です。

ただし、戸建てが得意な業者、マンションが得意な業者、両方とも得意で実績がある業者などタイプもあるので、売却する物件がマンションならマンションの売買で実績があることを確認しておきましょう。

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売却でかかるコスト

不動産を売却するときには、次のような費用がかかります。最も大きいのは仲介手数料です。

仲介手数料

不動産売却価格の3%+6万円+消費税
売却を依頼する不動産会社に支払う手数料。買主が見つかって売買契約を結んだときに半額、残り半額は物件引渡し時に支払います。

印紙税

金額に応じた額の収入印紙を不動産売買契約書に貼り、割印を押します。

印紙税の例

記載金額  印紙税額
500万円超1,000万円以下  5,000円
1,000万円超5,000万円以下 1万円
5,000万円超1億円以下 3万円

登記費用

不動産を売却して「所有権移転登記」を行う場合、登記費用は買主が負担するため、売主の負担はありません。ただし、住宅ローンが残っていて「抵当権抹消登記」を行う場合は登記費用がかかります(登録免許税と司法書士の報酬で3万円程度)。

ハウスクリーニング費

広さや依頼する人数によっても異なりますが、5万~15万円程度。自分たちで掃除ができれば費用はかかりません。

引越費用

業者や荷物の量、移動距離、サービス内容で異なり、数万円~数十万円かかる場合があります。

自宅を売却する際に注意したいこと

老後資金や介護資金のために「自宅を売却する」選択をする際には、次のような点に注意する必要があります。

売却後の住まいはどうするのか?

自宅を売却後、どこに住むのかについてしっかり考えておきましょう。子どもの家に身を寄せるのか、サービス付き高齢者向け住宅に入るのか、賃貸住宅を借りるのか。そのあたりも含めて売却プランを考える必要があります。

売却資金で老人ホームに入る場合は資金的な永続性もチェック

自宅を売却した資金で有料老人ホームなどに入所する場合、長く施設に入ることになっても問題なく入所し続けられるかもチェックしたいもの。

資金が早々に尽きそう…という場合は、介護プランを見直す必要があります。

子どもたちも納得してくれている?

自宅の売却は、子どもたちにとっても帰省先を失うことになるので、話し合って納得の上で実行しましょう。

もしも、売却した資金を使って、子どもたちの自宅で在宅介護を期待しているような場合はなおさらです。

思ったような額で売れないこともある

査定額通りに売れないこともざらにありますし、場合によっては、立地等の条件が悪いと買主が見つからず売れない場合もあります。

業者買取りとなると、相場の2~3割は低い価格が提示されることもあります。仲介手数料などのコストもかかるため、いくら手元に残るかは実際に売却してみないとわからない点にも注意が必要です。

まとめ

長年の愛着もあって、なかなか決断しにくいのが自宅の売却です。しかし、老後資金や介護資金で子どもたちへの負担を軽減するための準備として必要な手段であるなら、しっかり検討したいもの。

実際に売却をする際には、複数の業者から査定をとって、信頼できる不動産会社を選びますが、最後はあなた自身の経験からくる直感で選ぶことになるでしょう。後悔のない売却ができるようにしたいものです。

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著者

豊田 眞弓

豊田 眞弓(ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンアドバイザー、相続診断士、ハッピーエンディングプランナー
FPラウンジ(http://happy-fp.com/)代表、小田原短期大学非常勤講師
マネー誌ライター等を経て、94年に独立。現在は個人相談のほか、研修講師、マネーコラムの寄稿を行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」

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