【栄養士が解決】最近朝が遅い。一日2食ですが、大丈夫でしょうか。

最近朝が遅い。一日2食ですが、大丈夫でしょうか。

熱中症や脱水症など夏場には冬とは違う意味で体調管理には気を使う時期と思います。エアコンのかけ方や扇風機の使い方など環境の整えも体調管理にはとても大切ですね。

暑さから食が進まない、水分をあまりとりたがらない高齢者の方にはお勧めの食材はこれから旬を迎えるスイカやトマト、キュウリ、冬瓜などの夏野菜です。

野菜は食物繊維やビタミンが注目されていますが、実は水分を多く含むものも多くあり、料理の仕方にもよりますが、水分摂取の一環として、積極的に取り入れるとよい食材でもあります。

ぜひ水分もとれる食品!と意識して毎食野菜や果物をとりいれてみてください。

加奈子さんのエピソード

大学生の加奈子さん(仮名)はおばあちゃんと同居しています。

小さいころは働いていた母親に代わって加奈子さんの面倒をみてくれていたおばあちゃんはもう90代、大学生になってからはおばあちゃんと生活時間が合わないことも多く、最近は顔をあわせない日も増えています。

ある日、加奈子さんは休日に予定がなく、のんびり昼ごろ起きてなにか食べるものはないかしら、と冷蔵庫の中身を物色していました。

母親:今頃起きてきて、なあに、なんか食べるの?

加奈子さん:なんかある?これ朝ごはん?食べていいの?

母親:ああそれはおばあちゃんの朝ごはん。準備したんだけど最近朝起きるのが遅くて、時間が合わないと食べてくれないのよねえ。変な時間にたべると次の食事に差支えるしね。もう起きたかしら、ちょっと見てきてくれないかな。

加奈子さん:そうなの?でも寝てたらおなかもすかないよねえ。起こしてくるね。おばあちゃーん!ご飯食べようよ!

おばあちゃん:はいはい。でもあまりおなかもすいていないし、少しでいいわ。

母親:お義母さん・・・そうですか。じゃあ少しにしておきますね。

加奈子さんは母親とおばあちゃんのやり取りをきいていて少し心配になりました。

母親は気にはしているものの、おばあちゃんのいうことに無理はできない様子です。

そして、おばあちゃんは本当に少ししか食べていません。以前にくらべてずいぶん食べる量がへりました。どこか具合が悪いのかしら・・・。


加奈子さんは大学の健康診断の生活アドバイスに「~1日2食では十分な栄養素をとることは難しいです~」と書いてあったことをなんとなく思い出しました。

だけど、大学生の自分と、おばあちゃんは一緒に考えていいのかしら?でももう90代だし1日2食でもいいのかな・・?

加奈子さんはなんだかよくわからなくなってしまったのでした。
 

管理栄養士のアドバイス

訪問の栄養食事指導に伺った時には、これまでの食の背景、今現在食べている食品について、食事の回数について等いろいろなことを伺います。

通常食事は一日3回食べていると思う方が多いかもしれませんが、実は一日2食の方も多くいらっしゃいます。

朝はゆっくり起きてきて11時ごろに朝昼兼用で召し上がっているお宅、朝はコーヒーとパンだけだけど、昼食はおなかがすかないから食べない、もともと朝食は食べる習慣がない、などその理由は様々です。

加奈子さんが健康診断でアドバイスをもらったように、一般的には通常の食事量で一日2食では一日に必要な栄養素の目安量を充足することは困難といわれています。

しかしそれはあくまで目安であり、その方にとってはもしかしたら2食でも十分な食事の量、栄養素の量なのかもしれません。食事の内容や食品によっても摂取する栄養素の量は変わってきます。

食事の回数は生活習慣でもあり、今まで3食食べていたのに最近2食になってきた、歯が合わないから食べるのが面倒になった、家族がいるときは食べるけど、一人では食がすすまない、一日2食だけどおやつを食べているから大丈夫だったなど、その人それぞれの理由があることが多いです。

管理栄養士の訪問栄養食事指導では食の背景を必ず聞き取り、一概に2食ではだめ、と決めつけることはありません。

一日2食でも必要な栄養素が十分に取れるよう、食材の選択など料理を工夫する。そういった取り組みを一緒に原因を探りながら解決していけるように心がけています。

ちなみに今回のエピソードの加奈子さんはお母さんと相談して、ここはひとつ孫パワー発揮!ということで、休みの日にはなるべくおばあちゃんを早く起こして朝ごはんを一緒に食べたり、お散歩にさそってカフェでお昼を食べてみたり、とできる限りの工夫に取り組んでみることにしたのでした。

加奈子さんは食べる回数が増えたので少しはましかな、でもおばあちゃんはこれからどうなるのかな、そのうちかかりつけの先生や管理栄養士さんにも相談してみたいな、と思ったのでした。

皆さんもぜひ身近な人の食事で心配なことがあったら訪問管理栄養士をはじめ、かかりつけの病院や地域の保健所、病院などいろんなところに管理栄養士はいますので、気軽に相談してみてくださいね。

イラスト:安里 南美

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この記事の制作者

花本 美奈子

著者:花本 美奈子(「栄養ケアサポートLINKのぼりと」管理栄養士)

1995年に管理栄養士の資格を取得し、主に病院での患者指導、給食管理業務に携わっていました。
2014年に川崎市で「栄養ケアサポートLINKのぼりと」を立ち上げ、訪問看護ステーションや介護事業所等で栄養コンサルテーション業務、クリニックで訪問栄養食事指導を行っています。患者様の多様な食の背景に共感しつつ療養に即した最適な支援となるよう心がけています。

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