【栄養士が解決】制限食で生活習慣病を改善する

制限食とは

65歳を超えると複数の生活習慣病で服薬や治療を受ける方が急激に増え、塩分や糖質、カロリーなどの栄養成分の制限が必要になります。

この制限食について正しく理解し、無理のない栄養計画を立てましょう。

高齢者に多い生活習慣病

65歳を超えると何らかの疾患を持ち医療機関へ受診される機会も多くなります。

生活習慣病は自覚症状が少なく放置してしまいがちです。しかし、脳血管疾患など命にかかわる重度の病気へと進行する可能性があります。生活習慣病を正しく理解し、予防・改善をはかりましょう。

生活習慣病とは

生活習慣病とは、日々繰り返される習慣が大きく関係し、悪しき習慣が関連して発症する病気のことをいいます。

高齢者に多くみられるおもな生活習慣病

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症(高脂血症)
  • 脳血管疾患、心疾患
  • 腎臓病
  • がん

これら生活習慣病は、食生活との関連性が深く、食事コントロールと切り離して考えることができません。

*生活習慣が関与せず発症する疾病もあります。
*最近では、がんも生活習慣とのかかわりが報告され、生活習慣病のひとつと考えられています。

生活習慣病と食事

生活習慣は、私たちが日々の生活で繰り返し行われるため「習慣」となります。

暮らしの中では都合がよくても私たちのからだにとっては良いものばかりとは限りません。

生活習慣病を治療する上で必要となるのが生活習慣および食生活の改善、食事内容の見直しと運動です。
 

制限食が必要な理由

食事内容を見直す場合、過剰な部分を調整するため制限食が必要となることがあります。

例えばカロリー制限、糖質制限、塩分制限などがあり、ご家庭では厳密な制限食や治療食を作り続けることは難しく断念してしまうケースが多く見受けられます。しかし健康管理上、目を背けては病気の改善につながりません。

「制限」という言葉を抑圧的な言葉のイメージでとらえず、健康状態をよりよくするための策としてからだへの負担を「軽減」し、長く続けるための疾病コントロール法としてとらえてみませんか。
 

どんな食事制限が必要か、ポイントを知っておこう

糖尿病

どんな病気?
インスリンというホルモンの分泌低下、作用の不足によって高血糖が慢性的に続く病気。
食事のポイント
食べ方、食事タイミングの工夫(何を食べるか、いつ食べるか)
制限ポイント
カロリー制限(自分にあった摂取エネルギー)
糖質制限(適正な炭水化物の量)

高血圧

どんな病気?
一般的にいわれる上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上の状態。
食事のポイント
・減塩調理の工夫
・野菜の摂取量を増やす工夫
・肉類を控え、魚介類を積極的に摂る工夫
・アルコールは控えめにする工夫
制限ポイント
塩分制限

脂質異常症(高脂血症)

どんな病気?
血液中に含まれるコレステロール、中性脂肪などの脂質が一定基準よりも多い状態。動脈硬化など血管系の病気を起こしやすくなる病気。
食事のポイント
・減塩調理の工夫
・野菜の摂取量を増やす工夫
・肉類を控え魚介類、大豆製品を積極的に摂る工夫
制限ポイント
・アルコールは控えめに
・塩分制限
・脂質制限(おもに動物性脂肪を控える)

腎臓病

どんな病気?
腎臓の機能が低下する病気。様々な種類と原因、症状があり、それぞれに対応が違ってきます。(糖尿病性腎症、慢性腎臓病、腎不全 など)
食事のポイント
・減塩調理の工夫
・必要エネルギーを確保するための工夫
・塩分制限の工夫
制限ポイント
病状により
・カリウム制限
・たんぱく質制限
・カロリー調整食
・水分制限

がん

どんな病気?
遺伝子の変化により異常な細胞が増え、からだに害を与える病気。
食事のポイント
・野菜・果物を積極的に
・減塩調理の工夫
・加熱処理された食事
・食事形態の工夫
*治療により味覚異常、食欲低下、嘔吐、体重減少などが起こる場合があります。それぞれの症状に合わせた食事の工夫が必要です。
制限ポイント
・塩分制限
・アルコール制限(節酒)

まとめ

からだに対して誤った生活習慣が長く続き、少し健康の路線から外れてしまったことに気づいたならば、また少しずつ本来の健康路線に戻ってくればいいのです。

適正に戻すための「制限食」は今までよりも努力と工夫が必要となりますが、食材を選ぶ、味わう、料理の工夫を楽しみながら継続できる方法を見つけてください。

【PR】噛む力が弱くなってきた方むけのお弁当|全国配送可能(外部リンク)

この記事の制作者

徳田 泰子

著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

合わせて読みたい関連記事

この記事と関連するQ&A

すべてのQ&Aを見る

介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、その他介護施設や老人ホームなど、高齢者向けの施設・住宅情報を日本全国で延べ57,000件以上掲載するLIFULL 介護(ライフル介護)。メールや電話でお問い合わせができます(無料)。介護施設選びに役立つマニュアルや介護保険の解説など、介護の必要なご家族を抱えた方を応援する各種情報も満載です。
※HOME’S介護は、2017年4月1日にLIFULL 介護に名称変更しました。

情報セキュリティマネジメントシステム 株式会社LIFULL seniorは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。