【栄養士が解説】介護食とは

介護食とは

高齢になると、口に入れた食べ物は無意識のうちにかむ、飲み込むという動作がスムーズに行われずに食事をとる周辺機能の低下が起こります。

高齢者のための介護食について基礎的な知識を身につけましょう。

高齢者食と介護食の違いは?

高齢者食とは

特別な食事ではなく加齢に伴って起こるからだの変化に適応した食事を高齢者食といいます。工夫次第でご家族や普通食の方と同じような食事をとることができます。

1. 食べやすさを工夫(かみ切りやすいなど)
2. 唾液が少なくなる、低下した機能を補う食事(水分を補う食事など)
3. 彩り、香り、形状、および盛り付けの工夫(食欲・食事量低下を防ぐ)

加齢によってかむ力が低下しても、すべて細かく刻まれた食事よりも必要に応じひと口サイズに切って食べやすく、あるいは見た目にわからない程度に包丁が施されていることでかえってかみやすく、口の中でまとめやすくなることがあります。

また、食欲が低下しがちな方のために見た目にも配慮し、彩り、形、盛り付けの工夫を、香りを立たせて嗅覚を刺激し「おいしそう!」と思い五感を使って食べるような工夫が大切です。

このように「食べたい」、「食べよう」と思わせてくれる食事環境であるかということが高齢者の低栄養を防ぎ介護予防へとつながります。

介護食とは

 高齢者食よりもさらに少しずつ弱まった機能を補ってくれる食事をいいます。誤嚥を防ぐためにも食事の形状(食事形態)がとても重要になります。また、生活習慣病を伴う場合はそれぞれの疾患に準じた対応が必要となります。
 
1.やわらかさを調整し、かみやすい食事
2. 口の中でまとまりやすく、飲みこみやすい食事
3.1~2に加え、病態(減塩、糖尿病、腎臓病など)に配慮した食事

介護食は、弱まった食べる機能を補ってくれる食事であることが大切です。かむ力が低下しているならば、やわらかさを調整した食事、飲みこむことが難しいのならば、とろみをつけてまとまりやすく、飲み込みやすく配慮された食事であるかとともに安全に食べることが重要となります。

食べる機能が低下しても「おいしい」と味わうことが健やかに生きるために大切な食事となります。

咀しゃく:食べ物をかみ砕くこと 

咀しゃく:かむ力とは

食事は口から取り入れますが、口を大きく開けるにもモグモグと咀しゃくをするにも口の周辺にある筋肉を活用しながら食べます。

しかし、上下に顎を動かしているだけではないのです。舌は食べ物を左右に移動させ内頬ではさみ固定し、食べ物が飲み込みやすい状態になるまでかみ砕いたり、すり潰したりとても複雑な運動をしています。

これを何度も何度も繰り返す、かむ力を「咀しゃく」といいます。そっと頬に手を添えてみましょう。しっかりと動いていますか?

咀しゃくしやすい介護食の主なポイント

現存する咀しゃく機能に合わせて固さや大きさの工夫を。

・固さの工夫:かみやすい、つぶしやすい固さに。
・大きさの工夫:食べ物の固さによって、大きさを調整。(すべてを刻んだ食事にしない)
・まとまりの工夫:口の中でかみ砕いていくとまとまりのある方が食べやすく、喉の奥に送り込みやすい。
・調理方法の工夫:蒸す、煮るなど食材に水分を含める調理方法は食材をふっくらとやわらかく仕上げます。

嚥下(えんげ):飲食物を飲み込むこと

嚥下:飲み込む力とは

口の中でかみ砕かれた食事は、上手くまとめられ喉の奥へ、さらに飲みこんで胃へ送り込みます。これを嚥下(えんげ)といいます。

高齢者や飲みこむ力の弱い人は、食べ物が喉に残り、誤って気管に入ることがあります。これを誤嚥(ごえん)といい誤嚥性肺炎の原因として命にかかわるケースもありますので注意が必要です。

嚥下しやすい介護食の主なポイント

・まとまりの工夫:食べ物がバラけて口の中や喉に残らない工夫を。
・喉を通りやすくする工夫:食べ物がまとまりつつ、喉の奥に送り込まれるようとろみ加減の調整を。
・パサつかない工夫:パサつくものは口に残りやすく、後で誤嚥の原因にも。あんをかけるなどとろみとまとまりを補う工夫を。

病態と介護食

介護食につきましては、食べる機能を中心にご紹介いたしましたが、多くの高齢者は何らかの疾患を持っておられそれらを切り離しては食事ケアができません。

ご家庭では厳密な制限食や治療食を作り続けることは難しく断念してしまうケースが多く見受けられます。しかし健康管理上、目を背けることもいけません。健康状態を考慮しながら継続することを目指し疾病コントロールを行いましょう。

高齢者に多い生活習慣病

・血管系疾患
・心臓疾患
・高血圧
・糖尿病
・慢性腎不全
・骨粗しょう症
・がん

まとめ

介護食と聞くと多くの方が“大変だ”と思われるでしょう。しかし、ひと手間をかけていただくことで要介護者の食事に対する満足度は格段にアップします。

私たちがおいしいものをおいしく食べたいのと同様に要介護者も望んでいるのです。一緒においしいものを頂き笑顔になれることを願っています。

著者

徳田 泰子

徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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