【栄養士が解説】高齢者食と美味しく食べるためのポイント

高齢者食

私たちが当たり前のようにとる食事にも、身体的変化をともなう高齢者の方々には食べることが負担となることが多々あります。

介護食とまでいかないけれど食事をとる時むせやすくなった、少し食べづらく感じる時など、楽しく食べて元気に過ごすための高齢者食について学びましょう。

年を重ねると起こるからだの変化

加齢とともにかむ、飲み込む、消化するなど食事にかかわる機能の低下が起こります。

まずは、ご自身あるいはご家族の食べる様子に変化がないかをチェックしてみましょう。

食事にかかわるからだの変化

加齢とともに変化する機能についてまとめてみました。

  • 食欲が少なくなる
  • かむ力が弱くなる
  • 飲みこみにくくなる
  • 唾液が少なくなる
  • 味覚が低下しやすい
  • 脱水になりやすい
  • 便秘になりやすい
  • 消化吸収力が低下しやすい

食欲が少なくなったような気がする...... どんな原因が考えられる?

食欲が出ない原因は、からだの不調なのか、生活からなのかによって対策が変わってきます。おいしく食べて元気に過ごすためにも原因を知っておきましょう。

  • 体調がすぐれないため
  • 歯の調子がよくない(入れ歯が合わないなど)
  • 運動が不足気味でおなかが空かない
  • 飲みこみがうまくいかず食べるのが負担になる
  • 気候や天気などの環境によるもの
  • おやつを頻繁につまんでいる
  • 便秘がち

場合によっては医師や専門家へ相談し、早めに改善へと取り組みましょう。

なるべく長く、自分の力でおいしく食べたい。その対策とは?

加齢によって起こる様々なからだの変化や病気、障害を予防するためにも、食べる意欲と楽しみを持ち続ける工夫が大切です。からだの変化と食事のポイントについてまとめてみました。

①かむ力が弱くなったら?

食材は、かみ切りやすい、口に入れやすい大きさに切る。隠し包丁を入れて食べやすく。すべて細かく刻まない方が口の中でまとまりやすく飲みこみやすくなります。

②飲みこみにくいときは?

片栗粉やくず粉でとろみをつける。粉ゼラチンなどでゼリー状に。油脂やケチャップなどの調味料を活用するといいでしょう。

③味を感じにくいときは?

味がわかりにくくなり、味付けを濃くしてしまうと塩分のとり過ぎになります。だし汁のうま味や香ばしさ、食材の持つ香りを活用します。

④脱水が気になるときは?

加齢によって喉の渇きが感じにくくなります。高齢者の脱水の原因は、水分摂取量の減少の他、食事量の低下、腎機能の低下なども挙げられます。毎食のお茶や飲み物以外にペットボトルにお茶など水分を必要量入れて飲み切る習慣をつけるとどれだけ飲んだかの目安がわかります。料理では、スープやみそ汁なども取り入れるといいでしょう。

⑤便秘がちなときは?

水分の補給、野菜などに含まれる食物繊維を積極的にとりましょう。また、ヨーグルトなど整腸作用のある食品の活用がおすすめです。

⑥消化吸収力が低下しているときは?

脂っこいものは胃の中にとどまる時間が長く負担がかかります。煮る、蒸す、焼く調理方法がおすすめです。冷たいものよりも温かい食事、やわらかく調理された食事が望ましいです。

高齢者が食べにくい食材ってどんなもの?

食材で覚えるよりも言葉遊びでイメージを膨らませると下記のような表現になります。

■「ポロポロ」まとまりのないもの

例:ひき肉そぼろ、卵の黄身、クッキー など

■「くにゅくにゅ」弾力のあるもの

例:こんにゃく、高野豆腐、グミ など

■「カリッカリッ」不均等な硬さのもの

例:揚げたパン粉の硬い部分、ナッツ類、フランスパンの外側、せんべいの欠片 など

■「ボソボソ」パサついたもの

例:パン、クッキー、おから など

■「ホクホク」水分の少ないもの

例:ふかした芋、焼き芋(じゃがいも、さつまいもなど)など


このように私たちが普段、おいしいと感じる食感でさえ負担になることがあります。しかし、食べにくい食材であっても工夫次第で食べやすくすることは可能です。

例えば、クッキーは飲み物と一緒にとる、そぼろは溶き卵やあん(とろみ)を絡める、ふかし芋にはマヨネーズやバター、牛乳を混ぜることで食べやすくなります。
 

料理を作るときの3つポイント

①家族と同じ食事のアレンジからはじめよう

みんなと一緒の食事ができるようアレンジメニューで対応しましょう。

例:ハンバーグは、ひき肉がバラけて食べにくいので煮込みハンバーグでソースにとろみを加えて。

②手間をかけすぎない

あれこれ手をかけすぎるよりも「ひと手間」程度で習慣化をめざしましょう。

例:下処理に電子レンジを活用すると時間短縮にも。

③食べたいものが食べられるように

「食べたい」「食べさせてあげたい」という思いがあれば、アイデアが生まれます。

例:お造りなどは、隠し包丁を入れてかみやすさ、やわらかさを調節。たたきにして青じそを混ぜて香りよく。

まとめ

食事に関する機能が弱わり高齢者に「やさしい」「食べやすい」ことは重要ですが、高齢者自らが機能を維持できる食、食事に対する意欲を失うことなく自らで咀しゃくし、飲みこみ、味わうことのできる機能を維持するための食事を工夫することが健康維持と介護予防につながります。

小さな気遣いと日ごろのチャレンジにより食への安心感と楽しみを保っていきましょう。

著者

徳田 泰子

徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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