【栄養士が解決】水分補給とは

水分をしっかりとらなきゃと思うけれど、喉が渇いてないから、トイレが気になるからなどの理由で摂取量が少なくなっていないでしょうか。

成人の場合、体重の約60%が体液で占められますが、高齢者になると体液は体重の55~50%にまで減少します。

重要な役割を持っているこの体液が減ってしまった場合どうなるのか、どう補えばよいかを一緒に考えてみましょう。

からだと水分の働きについて

水分は食事や飲料としてからだにとり入れられ、体内の水分は尿、便、呼吸、汗となって排泄、さらには皮膚の表面で蒸発し失われます。

血液をはじめ体内のあらゆるところに分布している水分は筋肉内に多く貯えられますが高齢者の場合、筋肉量が減少するため貯えるべき水分量が少ない状態で生活していることがあり、気づかないうちに脱水状態になってしまう危険性があります。

脱水とは

からだに不可欠な水分や体液が不足した状態を脱水といいます。

私たちは普通に過ごしていても汗や尿、呼気などで毎日約1500~2500mlの体液を失います。

脱水の場合、なんらかの理由で良好な水分状態を保てない上に水分と体液を同時に失っているということになります。

脱水症状を防ぎ、細胞内のバランスを維持するためには、水分だけを補うのではなくナトリウムを適度に含んだ水分補給も必要です。

最近では、ブドウ糖や塩分を加えたドリンクや経口補水液なども販売されています。手軽な補給方法として活用するのも対策のひとつです。

ただ、摂り過ぎにならないようにご注意ください。

脱水になりやすい理由

おもな原因として下記のような理由があげられます。

水分の摂取量が減少しやすい場合

  • 喉の渇きを感じにくい
  • トイレが気になり飲む量を控えた
  • 食事の全体量が減った
  • 摂食嚥下障害、運動機能低下により頻繁に水分補給ができない

からだの水分を失いやすい場合

  • 腎臓の機能が低下した
  • 筋肉量が減った
  • 利尿作用のある薬を飲んでいる
  • 下痢や嘔吐などを起こした
  • 発熱、熱中症がある
  • 大量の汗をかいた
  • ケガなどの出血、やけどがある

脱水には様々な原因が潜んでいます。疾患やケガによる脱水の場合は、原因疾患の治療とともに脱水症状の改善が必要です。

脱水によるからだの変化と症状に気をつけよう

こんな症状はありませんか?

  • 1日あたりの水分をとる回数、量が減っている
  • 尿量が増えた、トイレへ行く回数が増えた
  • 唾液が少なく、唇が乾きやすい
  • 皮膚がカサカサ、乾燥する
  • 体重が減った気がする
  • なんとなく熱っぽい
  • 下痢や嘔吐があった

チェックが多い方は、脱水を防ぐためにも水分摂取量と飲むタイミングに注意しましょう。

脱水が起きた場合、からだへの悪影響とは

脱水は単なる水分不足では済まない深刻な命の危険性を含んでいます。

・筋力低下

・熱中症

・脳梗塞

・心筋梗塞

昨今死亡事故の報告が増えている熱中症の場合、水分補給だけでなく高温多湿など環境によるものも原因として考えられます。

高齢者の場合、温度に対する感覚が弱くなります。

夏季を中心にエアコンの活用がうまくできず冷えすぎて体温調整ができない、からだに合わないなどの理由からエアコンを使用しない方もいらっしゃいます。

気温だけでなく湿度も関係していますので室内であっても気をつけましょう。

また、脱水により血液の濃度が増し血管が詰まりやすくなります。

高齢者の水分摂取方法について

飲むタイミングと水分量

1日の水分としての摂取量は1500mlを目安とし、水(お茶など含む)以外にも料理や汁物などでも補給することで1500ml以上の水分摂取が見込まれます。

とり方としてコップ1杯程度(200ml程度)を1日6~8回くらいに分けて飲むといいでしょう。タイミングは、朝起きたとき、朝食、昼食、夕食、入浴後、寝る前などの補給を習慣化しておきましょう。

その他には、スポーツの後、帰宅時、薬を飲むときなどに補給する習慣があれば「飲まなきゃ」という負担が軽減します。

冷やすと、喉が渇いた時にはおいしく感じますが飲み続けることはできません。常温に近い温度での水分補給が望ましいでしょう。

無理なくできる水分補給テクニック

水分の摂取量は適量ですか。1日の必要量の目安を把握するために500mlくらいの自分専用ペットボトル数本を料理とは別に用意しておき、順次飲み干していくことをおすすめしています。

計量しなくても1日どれくらい飲んだのか目安がわかり便利です。水分はジュースなど糖度の含むものは避け、喉が渇く前にタイミングをみながら補給しましょう。

まとめ

「水分補給」と構えてしまうと飲みづらくなります。しかし、意識をしないでいるとつい飲み忘れてしまいます。

「こまめに水分補給を」という呼びかけをよく耳にしますが、「喉が渇いてから」では間に合わないかもしれないので水分の補給は栄養補給と同じくらいに重要です。

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この記事の制作者

徳田 泰子

著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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