【栄養士が解決】誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎

加齢や疾患によって嚥下(えんげ)機能が低下すると食べ物が誤って肺に入ってしまい、炎症を引き起こすことを誤嚥性肺炎といいます。

誤嚥=肺炎というわけではなく、細菌を含んだ唾液や胃の中の食べ物が食道を通って逆流し肺へ。

あるいは栄養状態が思わしくなく免疫力が下がっているなどの諸条件が重なることで起こりやすくなります。

嚥下と誤嚥について

口の中で咀しゃくした食事を飲みこみやすい大きさに取りまとめ喉の奥へ、さらに食道から胃へ送り込むことを嚥下といいます。

嚥下機能には加齢や疾患による病的な変化など個人差がみられ、食事がうまくとれないことは栄養の確保にも影響を与えます。

ごっくん!の仕組み

通常、飲食物を口にすると喉を通過し、食道の入り口付近で「ごっくん」と飲みこむための反射が起こります。

食道の入り口付近では、空気の通り道「気管」と食べ物の通り道「食道」の2つに分かれています。

飲食の際には、気管の入り口は閉まり、飲食物が食道へと進みますがタイミングがあわず、誤って気管に入ることがあります。これを誤嚥といいます。

当然、本来通るべき道を誤って気管に入ったのですから異物として取り除こうと、咳きこむなどの反射が起こります。

誤嚥性肺炎とは

なんらかの原因で誤嚥したものが肺に入って炎症を起こすことを誤嚥性肺炎といいます。

誤嚥=肺炎という訳ではなく、細菌を含んだ唾液や胃の中の食べ物が食道を通って逆流し肺へ、あるいは栄養状態が思わしくなく免疫力が下がっているなどの諸条件が重なることで起こりやすくなります。

咳、たん、発熱、ぼうっとしているなどの症状がみられますが、症状が現れずご本人の自覚症状がなく周囲も気づかないことがあるため、いつもと少し様子が違って見える場合は早めに受診することをおすすめします。

今や肺炎は日本人の死因の第3位となり、75歳以上の高齢者の割合が高くなっています。

誤嚥性肺炎が起こりやすい条件

・誤嚥物の量、誤嚥物に含まれる細菌の量が多い
・咳の反射が有るか、無いか
・咳きこんで出す力が弱い
・からだの防衛力、免疫力(栄養状態)が下がっている

どんな誤嚥が肺炎を起こしやすいのか

・食事に関連している場合:むせを示す場合と示さない場合の両方があります。

 →口の中に残っている食べ物、その他飲食物による誤嚥

・食事以外の場合:むせや症状を示さない場合があります。

 →唾液の誤嚥、逆流物の誤嚥、・咽頭分泌物や貯留物(たんや唾液、食べ物の残りかすなど)

※特に夜間の唾液誤嚥には注意が必要です。

誤嚥性肺炎の予防について考えよう

食事について5つのポイント

1.嚥下機能を改善

50歳からでも嚥下体操やトレーニングを少しずつチャレンジしてみよう。

2.食事の形ややわらかさ、まとまりを改善

食べにくいからと避けるのではなく、おいしく食べるための工夫をしてみよう。

3.適切な介助

介助が必要な場合は、食事のペース、1回ごとの口に入れる分量、口の中で食べ物を運び置く位置などに配慮を。

4.栄養状態の改善

食事、栄養を必要量補うことで抵抗力をつけよう。

5.脱水の改善

脱水に伴い唾液分泌の低下が起こると食べ物をまとめる、口の中を移動させることがスムーズに行われなくなるため水分の確保はしっかりと。

誤嚥がみられる場合、どの程度まで食事が可能かは、自己判断せず医師や歯科医師などの専門家のアドバイスに従ってください。

食事以外について3つのポイント

1.お口の中を清潔に

義歯、舌など口の中を清潔にし、食べ物の残りかすや細菌の繁殖を防ごう。

2.食事の際の姿勢や体位

食事開始時は体の角度を30~60度のリクライニングに。(個人の状態にあった角度調整が必要。)食後は胃食道内容物の逆流を防ぐための姿勢を使い分けよう。

3.体力・免疫力の改善

食事量が減らないような工夫。また日中の活動量も積極的に増やそう。

誤嚥を防ぐ介護食のポイント

1.まとまりの工夫

食べ物がバラけて口の中や喉に残らない工夫を。

2.喉を通りやすくする工夫

食べ物がまとまりつつ、喉の奥に送り込まれるようとろみ加減の調整を。

3.パサつかない工夫

パサつくものは口に残りやすく、後で誤嚥の原因にも。あんをかけるなどとろみでまとまりを補う工夫を。

4.水分やサラサラしたものなど液体の工夫

水分のようにサラサラは気管に入りやすいので少しとろみをつけて飲みやすく。

まとめ

低栄養と嚥下障害の悪化は関連性があり、それが誤嚥性肺炎の要因にもつながります。

年を重ねることで弱まる機能は少なくありませんが、予防のため簡単な筋肉トレーニングから呼吸訓練まで手軽に行えるものがあります。

いつまでもおいしく食べるための準備は早い段階からはじめておくとよいでしょう。

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この記事の制作者

徳田 泰子

著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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