【栄養士が解決】高齢者にとっての補食とおやつ

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高齢者にとって食事は、日々の暮らしで楽しみにしていることの一つですが、様々な理由から食事摂取が思うように進まず栄養の確保が難しくなる場合があります。

高齢者の補食は、食事の補助的役割として食べる楽しみや遊び心を加えて高齢者が自らの力で食べたくなる気持ちを引き出します。

高齢者の補食とは

高齢者にとって食事は、日々の暮らしで楽しみにしていることの一つですが、加齢によってからだの機能低下や疾病、様々な理由から食事摂取が思うように進まず栄養の確保が難しくなる場合があります。

毎回の食事は、空腹を満たす、栄養素を確保する以外にも心を満たすことで食べる気力を高め、元気なからだづくりへとつなげます。

その助けとなり得る高齢者の補食とは、1日3回の食事量が十分に満たせない場合、食事の補助的役割として食べたい気持ちを引き出すことにも着目し、食事とは違った側面から楽しみや遊び心を加えて高齢者が自らの力で食べたくなるよう工夫したいと思います。
 

高齢期のおやつの役割

かつて食事は1日2食の時代があり、食事間隔があいていたため、八つ時(午後2時から4時頃)に食べる間食をおやつと呼んだことからはじまったと言われています。

ここでは、高齢者の間食を単に甘いお菓子ではなく、食が進まないときでも召し上がることもでき、栄養摂取の補助的役割を持つものとして気取らず“おやつ”と呼ぶことにします。

補食としてのおやつ

高齢者の栄養不足は課題も多く深刻です。高齢者が安心して健やかな生活を送るためには良好な栄養状態を保つことが必要です。

食事を充実させることはもちろんですが、補食としてのおやつは、卵や牛乳、大豆製品などのたんぱく質、野菜や果物のビタミン類や食物繊維を補うことができます。

おやつの役割

摂取エネルギーをアップするためのおやつ

高齢者は食欲の低下など様々な理由から食事量が減り、栄養の確保がしにくくなります。

からだを動かすために必要なエネルギーや筋肉を作るたんぱく質が不足すると低栄養状態になることがあります。

おやつは、不足しがちなエネルギーを確保し低栄養を防ぐ重要な役割を持ち合わせています。

食物繊維がとれる野菜のおやつ

野菜が不足すると、ビタミン・ミネラル類の不足により体調をくずしやすくなること、食物繊維が不足し便秘がちになることが心配されます。

野菜のおやつは馴染みがないかもしれませんが、野菜や果物を使うことで食材が本来持ち合わせている自然の甘さを十分に活用しつつ不足しがちな栄養素を補うことができます。

さつま芋やかぼちゃなどそのままだとむせやすい食材ですが、つぶして茶巾にすれば和菓子に、酸味が残るミニトマトは、ゆでで皮をむき、少量の砂糖を加えたシロップでひと煮立ちさせ、冷やすとコンポートになります。

トマトは加熱することで酸味が抑えられると同時に、うま味と甘さが増すのでとても食べやすくなります。

素材の持ち味を活かしつつ、楽しく栄養の確保ができる野菜のおやつは、とても重要な役割を持っています。

補食

▲トマトのコンポート

水分補給ができるおやつ

加齢によって起こるからだの変化には、水分の摂取量が減る脱水症状があります。

水分として補給する以外にもゼリー状にしてみると思いのほか、喜んで口に運んでくださるのでバリエーションを増やしています。

ほうじ茶をゼリーにしたもの、レモン水を崩したゼリー状に固めたものなどは砂糖を加えなくてもおいしくさっぱりと喉を通ります。

固める素材は様々な商品が出回っています。

ゼリーは冷やさねばなりませんが、海藻を原料としたものなら常温でも固まり、ゼリーと寒天の間の食感でのど越しもよく手軽に味わうことができます。

補食2

▲ほうじ茶のゼリー

“食べる力”をサポート

おやつには、やはり甘いものが喜ばれます。しかし、甘いお菓子にばかり偏ってしまっては、本来の補食としての役割が果たせません。

おやつには特にルールがありません。だからこそ食べたいものを食べられるように様々な工夫をすることで食事が進むきっかけとなることを願っています。

決して食事の邪魔をしないように、おやつはあくまでも補食としていただきましょう。

時には、そのおやつに健康への意図が含まれるよう日々工夫してみたいと思います。
 

まとめ

おやつの時間は、たくさんの笑顔を見ることができるため私たちも幸せな気持ちになります。

ある時は、食事の補助、ある時は栄養確保の補助、水分摂取の補助とおやつの補助的役割は様々です。

しかし、おやつへの楽しみは食事以上になる場合もあり、食べる人の心を満たしてくれます。よいタイミングでその方に適したおやつが提供できればと思います。

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この記事の制作者

徳田 泰子

著者:徳田 泰子(「株式会社ヘルシーオフィスフー」代表取締役。管理栄養士・調理師)

病院での栄養管理業務に約10年間携わり、健康であるためには日々の暮らしにおいて「おいしく、楽しく」食事をとることが重要であると考え起業しました。
家族の在宅での介護・看取りの経験からグループホームをはじめ高齢者施設での栄養サポートを行い、安全・かんたん・おいしい食事づくりのご支援をさせて頂いております。
高齢者食支援専門サイト「スマイリーフード」http://foo.co.jp/管理運営。

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