【栄養士が解決】訪問栄養食事指導のメリット

訪問管理栄養指導のメリット

訪問栄養食事指導を利用するメリットや、具体的にどのような時に利用して、どのようなことをしてもらえるのかお話ししていきたいと思います。

在宅療養されている方に多い基本的な内容に分け、その後にそれぞれのケースの実際の例もお話します。

糖尿病や腎臓病などの病気のある方の場合

長いあいだ糖尿病だったり、年をとってから腎臓が悪くなっていますよ、と言われたり。

病気によって、いろいろな食事の調整をしている方たちも多いのではないでしょうか。

むかし太っていた時に糖尿病になり、甘いものや揚げ物などは食べちゃダメですよ、と先生に言われたり、栄養指導を受けたことがある方もいると思います。

高齢になっても、同じような食事の調整が必要なのでしょうか?

訪問していると、実は食べてもいいものまで食べずに我慢している人を多く見かけます。

また、腎臓病の場合には、一般的に体にいいと皆さんがイメージされるような、ヘルシーで生野菜たっぷりの食事とは食事内容が違います。

腎臓病の方は普通に甘いものも油ものも食べられることが多く、生野菜は控える場合もあります。

「え?!」と思った人もいるのではないでしょうか?

間違った食事の仕方で食べたいものまで我慢して、結果として病気が悪化してしまっては悲しいですよね。

では実際のケースを一つ紹介したいと思います。

「腎臓病と言われたけれど、どのような食事をしたらいいかわからない」という方へ訪問したケース

Aさん90代男性。介護しているのは80代の奥さまです。

初回に訪問した際にお食事内容を確認すると、少しのご飯にノンオイルドレッシングをかけたサラダ程度のお食事しか食べていませんでした。

Aさんは体力も落ち、低栄養の状態になってしまい腎臓の数値も悪化していました。お風呂に入るときに浴槽もまたげないくらいまで体力が落ちていたのです。

奥様は、Aさんに必要なカロリーやたんぱく質などクリニックに受診した際に聞いていましたが、それが実際にどのくらいなのかわからず戸惑っていたとのことでした。

そこで訪問管理栄養士のサービスが入ることになりました。

訪問した際に、一緒に食事内容を確認して、具体的に朝のサラダには油を足してください、ですとか、スーパーの総菜を利用するときの活用法など、奥様のできることに合わせ、無理なく取り入れていただけるようなアドバイスを継続したことで、食事内容は改善し、Aさんの体力も戻り毎朝散歩に出かけられるまでに回復しました。

腎臓の数値も悪化せずに安定しています。

また介護している奥様からは「食事用意の負担も軽くなったし、とにかく食事の相談できる相手がいることが安心」とのお話しもいただいています。

Aさんはそろそろ100歳になろうとしています。好きなものを食べながら、奥様とのコーヒータイムも笑顔で楽しまれています。

認知症や摂食嚥下障害のある方の場合

「摂食嚥下障害」というとイメージが付きづらい方がいるかもしれませんが、「食べたり(嚙んだり)、飲み込んだりするのが難しい状況」という感じでしょうか。

よく噛めずに柔らかいものしか食べられなかったり、飲み込むときにむせてしまったりするような状況です。

このような状況は、認知症によるものや高齢化にともない出てくる場合があります。脳梗塞や脳出血後の後遺症でもこのような状況になることがあります。

認知症や摂食嚥下障害の方の食事の管理、栄養の摂り方は難しいことが多く、介護をしている方を含め、いろいろな専門職と一緒に連携しながら進めていくケースが多くみられます。

その中でも、管理栄養士の役目は、その方の現在の状況で「お好きな食べ物はなんだろう?」「どのくらいの栄養が必要なのか」「どのような食事形態なら食べられるだろう」「食事をするときの環境は?」「市販の介護食品など使えるだろうか?」「調理を作る人は誰だろう?」など色々なことを確認しながら、その方に合ったアドバイスをさせていただきます。

では、実際のケースをお話したいと思います。

「認知症、摂食嚥下障害があり、食事を拒否するのでどうしたらいいのかわからない」という方へ訪問したケース

Bさん70代女性。要介護度5で独居の方です。

近所に息子夫婦が住んでいますが、共働きで朝の少しの時間しかBさんを訪問できません。

「最近、食事量が減ってきて体重も落ちてきている、それに加えて食事の拒否も始まり困っている」と息子さんよりお話がありました。

管理栄養士が訪問した際には、ヘルパーさんと食卓に座り食事を食べているところでしたが、口元に食事をもっていっても口を閉じてしまい、食事を拒否して一口も食べませんでした。

そのような状況が長く続いていたため、とりあえずBさんには、いつも座っているソファに腰かけていただき、いつも通りテレビを見ていただきました。リラックスしている様子です。

そこで、食べかけのゼリーをソファへもっていき、「お母さん、あと少し食べてもらわないと片付かないわ!」と急に話しかけてみました。

すると「え?そうなの、あらやだ」といって、ゼリーをご自分でぺろりと召し上がってしまいました!

それからは、食卓について食べるのではなく、栄養のある簡単に食べられるものをソファに座っているときにお持ちして、Bさんに渡して食べてもらう事にしました。

徐々に栄養が摂れ始め、1か月後の訪問時には食卓に座ってヘルパーさんの作った食事を食べていました。

低栄養状態は認知機能の低下ともかかわりがあると考えられ、Bさんも訪問時には低栄養で、脱水の症状もあったと考えられます。

適切な栄養や水分摂取に近づけることで、普段できていたことが再度出来るようになった方を数名経験しています。

低栄養状態になると、全身の筋肉量も減少することがあり、咀嚼したり、飲み込んだりの力も弱くなる人がいます。

Bさんもそうでしたが、嚙む力や飲み込んだ時にむせなどを確認しながら、柔らかい調理や市販の食品の提案や、食事が終わった後に喉をきれいにするために、かならずゼリーを数口食べることなども提案しました。

認知症の型にもよりますが、Bさんは食事のお皿の柄をお箸でいじってしまい食事に集中できないこともありました。

そのため、お皿は「無地」のお皿にしていただくことで、柄に気がいかないため食事に集中していただくこともできました。

Bさんは3か月後には、食卓について自分で食事を食べ、一人で過ごすときにはソファのテーブルに置いてある、お菓子やお茶などを飲めるまでに。

細くて、不安定な身体でしたが、徐々に体重も増えしっかり座れるようにもなりました。笑顔も見られます。

Bさんは海外に住んでいたこともあり、海外の雑誌をよみながらソファでくつろぐ姿も見られます。

まとめ

私たち管理栄養士のお手伝いは、作るのが大変なレシピを提案するよりは、いつも食べているものを中心に、少しの工夫をご提案してお食事を整えていくイメージでしょうか。

食べたいものを一口でも食べていただきたいですし、そこにはそれを食べていい、という安心感はとても大切だと思います。

栄養の面からも、食事、食事形態の面からも、さまざまな面から「食や栄養の専門家」としてアドバイスさせていただいています。

ケースを通して、少しはイメージができたでしょうか?ぜひ、「食事や栄養の相談相手」として訪問管理栄養士にお声がけください!

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この記事の制作者

米山 久美子

著者:米山 久美子(「地域栄養サポート自由が丘」管理栄養士)

『地域栄養サポート自由が丘(居宅療養管理指導事業所)』『eatcoco(栄養ケア・ステーション)』のヨネヤマクミコです。生まれた育った世田谷を中心に、目黒区、大田区などに在宅訪問管理栄養士として訪問栄養食事指導を行っています。低栄養の方から、食べたり飲みこむのが難しい方、糖尿病や腎臓病などの在宅療養者の皆さんに日々訪問し、食事や栄養のアドバイスをさせていただいております!

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