要介護4とは?3や5との違いや給付金、施設費用などを解説

要介護4は日常生活のほとんどにサポートが必要で、自力では座ったままでいることも困難な状態。介護負担も大きくなるため、適切な介護保険サービスを利用する必要があるでしょう。要介護3や5との違いや費用面なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

要介護4とは?

要介護4は、介助なしで立ったり歩いたりすることや、座っている姿勢を自力で保つことが難しい状態です。日常生活のほとんどの場面で介助が必要でしょう。

厚生労働省によると、要介護状態とは「寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態」と定義されています。その中でも要介護4は介護負担がかなり重い区分です。介護に必要な労力を時間に換算した要介護認定等基準時間は、90分以上110分未満とされています。

「サポートが必要な時間」とは、介護保険法に定める「要介護認定等基準時間」と呼ばれるもので、要介護認定を行うための特殊なものさしによる評価です。
したがって、実際に家庭や施設で行われている介護時間の合計を現すものではありません。

参照:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」

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要介護4について動画で知る

要介護4について、LIFULL 介護編集長・小菅が動画でご説明します。

要介護3や要介護5との違いは?

要介護3 要介護4 要介護5
要介護認定等
基準時間
70分以上90分未満 90分以上110分未満 110分以上
低下している
日常生活能力
起き上がり・立ち上がり
(要支援1以上)
片足での立位・日常の意思決定・買い物
(要支援2/要介護1以上)
歩行・洗身・つめ切り・薬の内服・金銭の管理・簡単な調理
(要介護2以上)
寝返り・排尿・排便・口腔清潔・上衣の着脱・ズボン等の着脱
座位保持・両足での立位・移乗・移動・洗顔・整髪
麻痺(左下肢)・食事摂取・
外出頻度・短期記憶
参考:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順 厚生労働省老人保健課」

要介護4は日常生活のほぼすべてに介助が必要な状態で、要介護3以上に介護負担が大きくなります。自力では、座ったままでいたり、両足で立ったりすることもままなりません。一段階上の要介護5になると意思疎通がさらに困難に。どちらも基本的に寝たきりの状態である点は共通しています。

要介護4で利用できるサービス

自宅で家事の世話や介護を受ける

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問入浴

訪問看護

訪問リハビリテーション

夜間対応型訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

施設に通って介護サービスやリハビリを受ける

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーション(デイケア)

地域密着型通所介護

療養通所介護

認知症対応型通所介護

訪問・通い・宿泊サービスを組み合わせて利用する

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

短期間のみ施設に宿泊する(ショートステイ)

短期入所生活介護

短期入所療養介護

施設に入居する

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

介護老人保健施設(老健)

介護療養型医療施設

特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

介護医療院

小規模な施設に入居する

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

福祉用具を使う

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

要介護4の方はすべての介護保険サービスの給付対象になり、上記から必要なサービスを選んで利用可能。介護保険サービスには、居宅サービスと施設サービス、地域密着型サービスの3つがあり、それぞれ特徴も異なります。

各サービスの内容を把握したうえで、ご本人にとって必要なものをチョイスしましょう。また、福祉用具のレンタルや購入も可能です。

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要介護4の区分支給限基準度額

要介護4の区分支給限度額は30,983単位です。1単位は10円で計算できますので、原則月に309,380円分まで介護保険でサービス利用が可能です。(地域区分による費用差あり)

負担割合が1割の場合は30,938円、3割の場合は92,814円が自己負担額となります。実際の負担割合は、収入や世帯構成によって決まります。また支給限度基準額は月内に受けたサービスの合計単位数から算出します。区分支給限度基準額を超過した分のサービス利用費は全額自己負担になります。

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要介護4で利用できる助成制度

おむつ代助成制度
高額介護サービス費制度
障害者控除
住宅改修補助制度(介護保険制度)
住宅特定改修特別税額控除(バリアフリー工事)

要介護4の方は、介護保険以外にも利用できる助成制度や控除制度があります。ご本人やご家族の負担を減らすためにも、利用できる制度を把握しておきましょう。

おむつ代助成制度

おむつ代助成制度とは、各自治体による紙おむつの給付および、おむつ代の支給制度です。

現物給付と現金給付の2種類があり、自治体ごとに下記のような条件が設けられています。制度の細かい内容や助成額、利用条件などは地域によってさまざまなので、保健福祉課などの行政窓口へ問い合わせてみましょう。地域包括支援センターが窓口の場合もあります。

おむつ代助成制度を利用するための主な条件

  • 寝たきり状態でおむつが常時必要な状態が長期間続いており、今後もおむつが必要な方
  • 要介護3~5の認定を受けている、65歳以上の方
  • 要介護3~5の認定を受けている、40歳以上65歳未満の介護保険被保険者の方

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、1ヶ月の介護保険サービス費用の自己負担額が高額な場合に、払い戻しを受けられる制度です。月内の自己負担額が所定の負担上限額を超過した場合に適用。負担上限額は所得によって定められています。詳細は下記の記事で解説中なので、チェックしてください。

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障害者控除

障害者控除は、本人または同一生計の配偶者や親族に障害がある場合に、所得税や住民税などの控除を受けられる制度です。対象者は「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3つに区分分けされており、それぞれ控除額も異なります。

各自治体から「障害者控除対象者認定書」を取得後に、年末調整や確定申告時に申請します。

参考:国税庁ホームページ

居宅介護住宅改修にかかる介護保険給付

要介護の認定を受けた方の自宅に手すりを設置したり、バリアフリー化したりする際に支給を受けられる制度。支給額の上限は20万円で、それぞれの自己負担割合に応じた金額を支払います。利用の流れや詳細は下記記事で触れているので、あわせて参考にしてください。

※居宅介護住宅改修及び介護予防住宅改修は要介護4のみならず要介護・要支援の認定をお持ちの方であれば利用が可能です。

参照:厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」

住宅特定改修特別税額控除(バリアフリー改修工事)

所有している住宅のバリアフリー改修工事を行い、一定の要件を満たした場合に所得税額の控除を受けられる制度です。税額控除を受けるためには、確定申告書に所定の書類を添付のうえ所轄税務署に提出が必要になります。詳しい要件などは、国税庁のウェブサイトから確認できます。

※この控除は、要介護4のみならず利用できる場合があります。詳細な要件等はウェブサイトよりご確認ください

参考:国税庁ホームページ

要介護4の方がサービスを利用した際の費用例

施設入所・入居の場合
在宅介護の場合

要介護4の方に必要な介護費用は、施設入居か在宅介護かによって大きく異なります。介護プランを大きく左右する選択になるので、費用面を把握して慎重に決断しましょう。

施設入所・入居の場合

介護付き有料老人ホーム 特別養護老人ホーム

介護サービス費用
(1割負担の場合)

25,050円 29,517円

月額費用
(家賃・食費・生活費など)

209,000円※ 112,940円
合計 234,050円 142,457円
参考:介護サービス公表システム

※LIFULL 介護に登録している施設の月額費用相場です。

施設に入居する場合、月額費用分だけ在宅介護よりも合計額が高くなります。しかし、プロによる介護を受けれたり、介護負担を大きく減らせたりとメリットも多数。金額面だけで判断せずに、生活面や介護負担なども踏まえて検討するとよいでしょう。

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在宅介護の場合

利用するサービス 利用頻度 利用回数/月 金額/回 金額/月
訪問介護 3/週 12 3,170円 38,040円
訪問看護 2/週 8 5,460円 43,680円
訪問入浴 1/週 4 14,280円 57,120円
訪問リハビリテーション 1/週 4 3,370円 13,480円
通所介護(デイサービス) 2/週 8 10,560円 84,480円
短期入所生活介護 2 10,270円 19,740円
福祉用具貸与(車いす・ベッド等) - - 定額 20,540円
合計 277,440円
自己負担(1割の場合) 27,744円
参考:介護サービス公表システム

在宅介護の場合にかかる介護費用は上記に加えて、医療費やおむつなどの介護用品費などが挙げられます。いずれの場合も金額感だけ見れば、施設入居よりも抑えられるでしょう。ただし、日常生活の介護負担が大きくなることも事実。共倒れを防ぐためにも、施設利用をあわせて検討するとよいでしょう。

関連記事在宅介護にかかる費用

要介護4の方はどんな施設に入居しているの?

株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査」(2020年)より

介護負担が重いとされる要介護4の方は、介護サポートが手厚かったり、医療ケアが充実したりしている施設を選んでいることが読み取れます。

特養に次いで割合が高い、介護療養型医療施設は医療依存度の高い方が多く入居しているのが特徴。要介護4の状態は自宅での介護負担も非常に大きくなるため、早急に施設利用を検討すべき段階と言えるでしょう。

要介護4はすぐにでも施設入居を検討するべき状態。適切な介護保険サービスの利用を

要介護4は、日常生活のほとんどにおいて介助が必要な状態です。自力では座っていることや、立ったり歩いたりすることもままならないでしょう。要介護4の在宅介護は介護側に大きな身体的、精神的負担がかかるため、施設利用を視野に入れましょう。

「LIFULL 介護」では、要介護4の方も入居相談可能な施設情報を掲載中。無料の入居相談室ではお客様の状況や希望条件を踏まえて、安心して暮らせる施設をご紹介します。施設利用を検討している方はぜひ一度ご相談ください。

LIFULL介護相談窓口

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この記事の制作者

高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

施設職員、通所介護事業所の生活相談員、居宅介護支援事業所の管理者などを経験。業界14年目の現役のケアマネジャー。業務のかたわら、フリーコンサルとしても開業。介護事業所向けのコンサルティング、Webサイト制作や広告デザイン(ブランディング)などの依頼も受注開始。SNSでは「幸せに働く介護職を増やしたい」をモットーに、業界を明るくする発信を続けている。

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