要介護5で在宅介護は正直無理?難易度や施設入居の割合、現実的な対策

要介護度とは介護サービスの必要度を示した数字で、最も介護が必要な段階と判断されると「要介護5」に認定されます。要介護5は在宅介護が可能か、どの程度の要介護度で施設に入居する方が多いのかについてまとめました。また、身体機能や希望に合う施設の探し方も紹介します。

そもそも要介護5とはどんな状態?

・最重度の介護を要する状態
・食事やトイレ、服の着替えなど生活全般に介助を必要とする。
・身だしなみや掃除などの家事ができない
・立ち上がったり歩いたりすることができない
・立ち姿勢を保ったり、片足で立ったりすることができない
・全般的な理解の低下がみられることがある

要介護5とは、最も介護サービスの必要度が高い段階のことです。要介護認定では、介護サービスを必要とする程度を基準に、要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5の7つの段階に分けて判定します。

一般的には、日常生活動作全般に介助を必要とすることに加え、短期記憶や食事摂取に問題が見られるときに要介護5と判定されることが多いです。ただし、要介護度と持病のリスクは必ずしも相関があるわけではありません。例えば、進行性の難病をお持ちの方でも、あくまで調査時の生活がどの程度自立しているかで判定されます。そのため、病状が安定している時は介護度も低く出る可能性があります。

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要介護5における在宅介護の難易度

要介護度の判定は、「要介護認定等基準時間」をもとに実施されます。要介護認定等基準時間とは、5つの分野(直接生活介助・間接生活介助・BPSD関連行為・機能訓練関連行為・医療関連行為)にかかる時間のことで、時間が長ければ長いほど要介護度が高くなります。たとえば、要介護認定等基準時間が110分以上もしくはこれに相当するときは要介護5です。

要介護認定等基準時間は、介護老人福祉施設などの介護施設に入所している高齢者に対して、48時間内にどのような介護サービスをどの程度の時間提供したかを調べたデータ(1分間タイムスタディ・データ)をベースに算出されています。そのため、実際に家庭で提供される介護時間の基準ではありませんが、介護の必要度が非常に高い状態であることが伺えます。

出典:厚生労働省「要介護認定に係る法令」

要介護5の在宅介護割合

要介護5で在宅介護を受けている方は40.4%です。27.7%は自宅、12.8%は親や親族などの家で生活しています。一方、施設で生活している方は56.4%です。37.2%は公的介護施設、11.7%は民間施設や介護サービス付きの住宅、7.4%は医療機関で生活しています。

要介護度が高くなると、在宅介護の割合が減ります。要介護1では在宅介護の割合は76.4%ですが、要介護2では68.4%、要介護3では54.9%、要介護4では41.5%です。要介護度が高くなると介護にかかる労力が増え、ケアの専門性も高まることがあり、自宅での介護が難しくなります。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」

施設入居をした50%以上が要介護2までに入居

出典:LIFULL 介護「介護施設入居のタイミングに関する調査」

介護施設に入居した時点での要介護度は、要介護2の方が最も多く、全体の16.7%を占めていました。次に多いのは要介護1で全体の15.8%です。要介護2以下の時点で介護施設に入居する方が54.6%と多いことから、「介護度が高くなってから」ではなく「介護度が高くなる前に」施設への入居を決定する傾向にあることがわかります。

なお、個人差はありますが、要支援1から要介護2までは「必要なときに手をかす程度」の介護が必要とされます。しかし、要介護3以上の方を在宅介護する場合、半数を超えるケースにおいて「ほとんど終日」の介護が必要です。介護者の負担を考えるなら、要介護2までに施設への入居を検討しましょう。

出典:内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版) 2 健康・福祉」

無理をして要介護5の在宅介護を継続すべきではない理由

出典:LIFULL 介護「介護施設入居に関する実態調査」

家族や近親者による介護が難しくなった理由として最も多かったのが「介護している者が疲弊した、体調を崩した」でした。実に全体の74.0%もの方が、介護者の疲弊や不調により在宅介護の限界を感じています。

家族や近親者が疲弊するまで、あるいは体調を崩すまで介護をし続けることは、決して良い選択肢とはいえません。介護者に多大な負担を強いるだけでなく、介護者自身が療養を必要とする状態になり、共倒れになってしまうリスクがあります。家族や親族が心身ともに健康な状態で要介護者をサポートするためにも、介護度が高くなる前に施設への入所を検討してみてください。

無理をする前に…今すぐとるべき現実的な対策

・介護保険サービスの見直し
・介護保険外サービスの利用
・老人ホーム・介護施設の情報取集

「今まで介護してきたのだから…」「自宅で介護するのが一番良いはずだから…」と考え、介護度が高くなっても在宅介護を続けるケースも少なくありません。しかし、介護者の心身の負担は着実に高まっていきます。無理をする前にとるべき対策を紹介します。

介護保険サービスの見直し

要介護度が変わると、在宅サービス・地域密着型サービスの1ヶ月あたりの支給限度額が変わり、介護保険の適用範囲内で利用できる介護サービスの内容・時間が変わります。要介護5では、毎日何らかの介護サービスを利用しても限度額に達することはほとんどありません。利用料の経済的負担とご本人、ご家族の状況を加味して介護サービスを検討しましょう。

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介護保険外サービスの利用

介護保険外サービスの利用も検討してみましょう。保険適用外のため、全額自己負担となりますが、介護サービスでは受けられない多様なサービスを利用できることもあります。たとえば、家事支援や配食などの家事負担を軽減するサービスや、宿泊サービス、入院時の付き添いを代行するサービスなど多様なサービスが提供されています。

介護保険サービスと上手に組み合わせることで費用負担の最適化と、保険サービスでは手の届かない手厚い支援を受けることが可能になります。組み合わせると、身体的・精神的負担だけでなく、費用面での負担軽減も可能です。

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老人ホーム・介護施設の情報取集

在宅介護の限界を感じる前に、老人ホームなどの入所型施設の情報を収集しましょう。人気が高い施設では待機期間待ち時間が発生する可能性もあるため、早めに情報収集を開始し、手続きを進めることが必要です。また、実際に施設に足を運ぶことも重要です。入居者やスタッフの雰囲気、清潔さ、静かさなど、資料だけでは読みとれない部分に注目して観察してください。

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まとめ

要介護5で在宅介護を受けている方もいますが、要介護2以下の時点で介護施設に入居する方も少なくありません。共倒れを避けるためにも、限界を感じる前に入居型施設での介護を検討してみてください。

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この記事の制作者

高畑 俊介

監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)

施設職員、通所介護事業所の生活相談員、居宅介護支援事業所の管理者などを経験。業界14年目の現役のケアマネジャー。業務のかたわら、フリーコンサルとしても開業。介護事業所向けのコンサルティング、Webサイト制作や広告デザイン(ブランディング)などの依頼も受注開始。SNSでは「幸せに働く介護職を増やしたい」をモットーに、業界を明るくする発信を続けている。

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