老健はずっと入所できる?平均入所期間や退所後の選択肢、代わりの施設まで
介護老人保健施設(老健)へ入所することになったとき、気になるのは「いつまで入所できるのか」という点です。病気や怪我によってお体の状態が変わり、これまで通りの生活が送れなくなるかもしれないと考えると、老健を退所した後にどう暮らしていけばいいのか不安ですよね。
実際のところ老健にはどのくらいの期間入所していられるのか、そして退所後の行き先にはどのような選択肢があるのかを詳しく解説します。
老健はずっと入所できる?
介護老人保健施設(老健)は、要介護認定を受けた高齢者が在宅復帰を目指すための施設です。そのため、リハビリ後に自宅へ戻ることが前提となり、終身利用は想定されておらず、「ずっと入所し続ける」ことは原則としてできません。
3〜6か月ごとにお体の状態から在宅復帰の可否について審査やカンファレンスが行われ、問題ないとの判断になれば退所を促されるのが一般的です。
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老健の平均的な入所期間は何か月?
出典:厚生労働省「介護老人保健施設(参考資料)」(PDF)厚生労働省の調査によると、介護老人保健施設(老健)の平均入所期間は「約10か月(299.9日)」です。ただ、この数字は施設によって大きな差があり、入所期間の平均が3か月に満たない老健も中には存在します。
入所予定の施設の具体的な平均在所期間については、厚生労働省が提供する「介護サービス情報公表システム」で個別に確認できます。なお、実際にどのくらいの期間入所できるのかはお体の状態によって異なりますので、平均はあくまで目安としてお考えください。
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老健を退所する場合の対応
お体の状態により老健から退所を促された場合、退所後の選択肢として主に次の4つが挙げられます。
老人ホームに転居する
老健からの退所後、在宅での介護が現実的に難しい場合は、長期入居が可能な老人ホームや介護施設への転居を検討するのがおすすめです。終身利用が前提となっている施設では、看取りまで任せることもできます。担当のケアマネージャーにも相談し、お体の状態や必要なケア、公的・民間などのポイントから、条件に合った施設を検討しましょう。
公的施設の例 | |
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民間施設の例 |
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関連サイト【介護施設探し体験談】老健から退去しなければいけない母。次の入居先を探すために行なったこと
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医療機関に移る
病気や怪我の状態によっては、老健でリハビリを続けるのではなく、一度医療機関へ入院し治療に専念することを勧められる場合もあります。ただし、老健はもともと充実した医療的ケアを受けられる施設としても知られています。医師の指示のもと、施設内の医療的ケアで対応できる症状については、すぐには入院にならないこともあります。
入院時の対応は施設によっても異なりますが、併設する病院以外の医療機関へ移る際や、3か月以上の入院となる場合に、退所という扱いになるのが一般的です。退院後の再入所についても施設ごとに取り扱いが異なるため、事前に老健側へ確認しておきましょう。
在宅復帰する
出典:厚生労働省「介護老人保健施設等から在宅復帰した者への療養支援に関する調査研究事業 報告書」(PDF)老健でのリハビリにより自立した生活を送ることが可能になったり、自宅での介護が可能な環境にあったりする場合は、在宅復帰するのも選択肢のひとつです。厚生労働省が平成27年に行った調査によると、実際に老健を退所した人のうち、約3割が在宅復帰を選択しています。
住み慣れた自宅へ戻れる安心感がある一方、介護が必要な場合は介護者・要介護者双方への負担も生じるため、現実的に在宅復帰が可能かどうかを、家族間でもよく話し合ったうえで検討するのがよいでしょう。必要に応じて、訪問介護などの在宅の介護サービスを活用するのもおすすめです。
在宅の介護サービスを利用する
出典:厚生労働省「介護老人保健施設等から在宅復帰した者への療養支援に関する調査研究事業 報告書」(PDF)在宅の介護サービスとは、要介護・支援状態にある65歳以上の高齢者等が、介護保険を利用し一定の自己負担で受けられるサービスのことです。介護老人福祉施設など「施設へ入居する」タイプのサービスもありますが、在宅復帰し自宅で生活していく場合、訪問介護や通所介護などの在宅介護サービス(居宅サービス)が活用できます。
在宅での介護負担を大きく軽減できるため、入浴やリハビリなど特に負担が大きい部分を中心に、積極的に利用を検討するのがおすすめです。実際、老健退所後に訪問介護や通所介護(デイサービス)等の利用を開始するケースは全体の6割以上に上ることが、厚生労働省の調査でわかっています。在宅に戻った際に一番懸念されるのは、リハビリの機会の減少です。自宅に戻ってからのリハビリをいかに充実させるかが在宅生活を継続するためのカギでもあります。
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老健の代わりにおすすめの介護施設
老健を退所した後の行き先として有力な選択肢になるのが老人ホーム等の介護施設ですが、具体的には次のような施設が候補に挙げられるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、プロの相談員が常駐し、安否確認や生活相談などのサービスを提供している賃貸住宅です。自宅と変わらない自由度の高い暮らしを送ることができるため、「在宅復帰は不安だが、老人ホーム等への入居には抵抗がある」という人の選択肢としても適しています。
ある程度自立して生活できることが前提になりますが、お体の状態によっては、別途外部の介護サービスを契約することも可能です。また、介護度の高い方が入居できる「介護サービス付き高齢者向け住宅」も一部存在します。
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有料老人ホーム
有料老人ホームとは、食事や家事、介護、健康管理のうち、いずれかひとつ以上のサービスを提供している住まいのことです。提供しているサービスやお体の状態によって、「介護付き」「住宅型」「健康型」の大きく3種類から入居先を選択できます。いずれもサ高住より手厚い生活のサポートが受けられるほか、レクリエーション等で入居者同士の交流も生まれる点が大きな魅力です。
介護付き有料老人ホーム | 主に介護を必要とする高齢者が、食事や入浴などの支援・介護を受けながら生活できる施設 |
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住宅型有料老人ホーム | 自立した生活が可能な高齢者を対象に、介護を伴わない、食事や家事などの生活支援サービスを提供する施設 |
健康型有料老人ホーム | 「元気な状態の維持」を目的に、自立した生活が可能な高齢者へ食事や家事サポートなどのサービスを提供する施設 |
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まとめ
老健はリハビリによる在宅復帰を目的とした施設のため、入所し続けることは基本的にできません。施設側から退所を促されたら、自宅へ戻るか、もしくは介護施設へ移るかの選択を迫られることになります。
退所後も日常生活に介護が必要な状態の場合、介護者・要介護者の共倒れを防ぐためにも、在宅介護が現実的に可能かどうか、十分な検討が必要です。訪問介護のサービスや老人ホームのような介護施設をうまく利用しながら、双方が自分らしく快適に暮らせる介護プランを検討しましょう。
LIFULL介護では、老健退所後に安心して暮らせる介護施設を数多くご紹介しています。ご希望に合った施設をプロの相談員から無料でご提案させていただくことも可能ですので、ぜひお気軽にご利用ください。
【無料】プロのスタッフに入居相談を行うこの記事の制作者
監修者:高畑 俊介(介護支援専門員/介護福祉士)
施設職員、通所介護事業所の生活相談員、居宅介護支援事業所の管理者などを経験。業界14年目の現役のケアマネジャー。業務のかたわら、フリーコンサルとしても開業。介護事業所向けのコンサルティング、Webサイト制作や広告デザイン(ブランディング)などの依頼も受注開始。SNSでは「幸せに働く介護職を増やしたい」をモットーに、業界を明るくする発信を続けている。